Miracast が「グラフィックス ドライバーが対応していません」と表示された時の修正手順(Windows 11)
重要: このガイドは、実際のハードウェア非対応(物理的に Miracast をサポートしていない場合)と、ソフトウェア設定/ドライバーの問題を区別して対処します。
何が「Miracast がグラフィックス ドライバーに対応していません」を引き起こすか
このメッセージは一般的に次のいずれかを示します。
- Windows に「Wireless Display」機能がインストールされていない。
- インストール済みでも、グラフィックドライバーが汎用(Windows が自動で入れたドライバー)か古いため Miracast をサポートしていない。
- ごく稀に、PC のハードウェア(Wi‑Fi モジュールや GPU)が Miracast 非対応である。
まずはソフトウェア側の確認を行い、問題を切り分けましょう。
事前確認:Wireless Display と Connect アプリの確認
- Win + S を押して「Wireless Display」と入力し、アプリが表示されるか確認します(Windows 11 では以前の Connect アプリが Wireless Display に相当します)。
- 表示されない、または起動できない場合は次の「設定でのインストール」を行います。
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設定 → アプリ → Optional features(オプション機能)を開き、インストール済みの機能一覧で「wireless display」を検索します。見つからなければ未インストールです。
Wireless Display が見つかった場合
その後、DxDiag(DirectX 診断ツール)を実行して Miracast の行が「Supported(サポート)」になっているか確認します。もし「Not Supported」や「Miracast: Not Supported by Graphics Driver」が出る場合は次の手順に進んでください。
1. 設定から Wireless Display をインストールする
Windows 11 の Settings から Wireless Display を追加できます。手順:
- Win + I で設定を開きます。
- 左側の「Apps(アプリ)」を選択します。
- 右側で「Optional features(オプション機能)」を開きます。
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- 「Add an optional feature(オプション機能の追加)」の View features をクリックします。
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- 検索欄に “wireless display” と入力し、リストから Wireless Display を選んでインストールします。
- インストール後、PC を再起動してください。
インストールがエラーになる場合は次のコマンドプロンプト手順をお試しください。
2. コマンドプロンプトから Wireless Display をインストールする
この方法は、設定画面でインストールに失敗する場合の代替手段です。
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手順:
- Win + S を押して「cmd」と入力し、検索結果の「Command Prompt」を右クリックして「管理者として実行」を選びます。
- 管理者権限のコマンドプロンプトで、以下のコマンドを入力して Enter キーを押します:
DISM /Online /Add-Capability /CapabilityName:App.WirelessDisplay.Connect~~~~0.0.1.0
- ダウンロードとインストールが自動で行われます。進捗が 100% になるまで待ちます。
- 完了したら PC を再起動します。
再起動後、DxDiag を実行して Miracast の状態が改善しているか確認してください。
3. DxDiag で Driver Model(WDDM)を確認してグラフィックドライバーを更新する
このエラーは新規インストール直後に発生しやすく、汎用ドライバー(WDDM 情報が古い/低い)を使用しているケースが多いです。
DxDiag での確認手順:
- Win + R を押して「Run」を開きます。
- dxdiag.exe と入力して OK を押します。
- DirectX 診断ツールで「Save All Information(すべての情報を保存)」をクリックして dxdiag.txt を保存します。
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保存した dxdiag.txt をメモ帳で開き、”Driver Model” または “Driver Mode” の行を探します。ここに表示される値(WDDM バージョン)を確認します。値が低い、もしくは不明な場合はドライバーを更新してください。
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グラフィックドライバーの更新方法:
- Settings → Windows Update → Download & install updates で未適用の更新を確認してインストールする。
- NVIDIA GPU の場合は GeForce Experience、AMD の場合は Radeon Software、Intel の場合は Intel のダウンロードセンターから公式ドライバーを入手してインストールする。
- Device Manager(デバイス マネージャー)からドライバーを更新することも可能ですが、自動検索は最新ドライバーを見つけられない場合があります。
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補足: ドライバーを当てた後は必ず再起動し、DxDiag で Miracast の状態が “Supported” になっているかを確認してください。
4. ディスプレイドライバーをロールバックする(逆に最新が問題を起こす場合)
時には最新ドライバーが Miracast 接続に問題を引き起こすこともあります。そうした場合はロールバックが有効です。
手順:
- Win + R で Run を開き、devmgmt.msc と入力して Device Manager を起動します。
- Display adapters(ディスプレイ アダプター)を展開し、使用中の GPU を右クリック → Properties(プロパティ)を開きます。
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- Driver(ドライバー)タブで「Roll Back Driver(ドライバーのロールバック)」を実行します(ボタンがグレーアウトしている場合は、手動で以前のドライバーを入手してインストールしてください)。
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ロールバック後は再起動し、再度 DxDiag の出力で Miracast を確認します。
トラブルシューティングのミニメソドロジー(診断手順)
- Wireless Display のインストール有無を確認。
- Wireless Display 未インストールなら Settings から追加、失敗時は DISM コマンドで強制追加。
- DxDiag で Driver Model(WDDM)を確認。
- GPU メーカー公式ドライバーをインストール。改善しない場合はロールバック。
- それでもダメならハードウェア非対応の可能性を検討(Wi‑Fi モジュールと GPU の組合せが重要)。
受け入れ基準(Критерии приёмки)
- DxDiag の Miracast セクションが “Supported” を表示すること。
- Windows の「Wireless Display」アプリが起動し、受信機(スマート TV、別 PC、Miracast レシーバー)を検出できること。
- 実際に画面ミラーリング(投影)が成功すること。
よくある失敗パターンと回避策
- Windows Update が未完了でドライバーが古いまま: 更新を完了させる。
- Device Manager の自動更新だけに頼る: 公式サイトからドライバーをダウンロードして手動インストール。
- Wi‑Fi ドライバーが古い/無効: 無線アダプターのドライバーも確認し、必要なら更新。
- ノート PC の省電力設定で無線が制限される: 高パフォーマンスに設定して再試行。
代替アプローチ
- ハードワイヤード接続(HDMI)での画面出力。確実で遅延が少ない。
- サードパーティのキャストアプリ(例: Chromecast、専用アプリ)を利用する。ただしセキュリティや互換性に注意。
役割別チェックリスト
エンドユーザー(個人):
- Wireless Display をインストールしているか確認。
- GPU と Wi‑Fi のドライバーを最新にする。
- PC を再起動して再試行する。
IT 管理者:
- 企業イメージに合わせたドライバー配布(SCCM/Intune)を検討。
- ドライバーの既知の問題がないかベンダーのリリースノートを確認。
- Miracast 必要性が高い場合はハードウェア互換リストを作成。
OEM / サポート担当者:
- 出荷時ドライバーのバージョンを確認し、WDDM 要件を満たすかドキュメント化。
- ユーザー向け手順を短く簡潔に提供。
テストケース / 受け入れ基準(簡易版)
- ケース 1: Wireless Display をインストール後 DxDiag の Miracast が “Supported” になる。
- ケース 2: 最新公式ドライバー適用後も投影できる。
- ケース 3: ロールバックで投影が復活する(アップデートが原因だった場合)。
合格条件: 少なくとも 1 台の受信機に対して画面ミラーリングが成功すること。
判断フローチャート(Mermaid)
flowchart TD
A[Miracast エラーが出る] --> B{Wireless Display はインストール済みか}
B -- いいえ --> C[Settings でインストール]
B -- 失敗 --> D[DISM コマンドでインストール]
B -- はい --> E[DxDiag を保存し Driver Model を確認]
E --> F{Driver Model のバージョンは古いか/不明か}
F -- はい --> G[公式 GPU ドライバーをインストール]
G --> H{改善したか}
H -- はい --> I[完了]
H -- いいえ --> J[ドライバーをロールバック]
J --> K{改善したか}
K -- はい --> I
K -- いいえ --> L[ハードウェア非対応を検討 / 代替接続]
互換性の見取り図(簡易)
- Windows 10 / 11(最新アップデート適用): 多くの現行機種で Miracast をサポート。
- GPU ドライバー: ベンダー公式ドライバー推奨。
- 無線アダプター: Miracast では Wi‑Fi Direct を利用するため、無線ドライバーが重要。
ローカル(日本)向けの注意点
- 国内メーカー製ノート PC はカスタムドライバーを添付することが多く、Windows Update の汎用ドライバーでは Miracast 機能が制限される場合があります。メーカーサポートサイトから最新版ドライバーをダウンロードしてください。
- 企業ネットワーク下ではセキュリティポリシーで Wi‑Fi Direct が制限される場合があります。IT 管理者に相談してください。
まとめ
Miracast の “グラフィックス ドライバーが対応していません“ エラーは、設定不足(Wireless Display が未インストール)か、ドライバーの問題であることが大半です。まずは Wireless Display をインストールし、DxDiag の Driver Model を確認。公式ドライバーのインストールや、必要ならロールバックで問題を解消してください。最終的にハードウェア非対応の可能性も残るため、その場合は有線接続や代替のキャスト手段を検討してください。
重要: いつでも変更を加える前に現在のシステム状態(ドライバー設定や復元ポイント)をバックアップしておくことを推奨します。
短いお知らせ文(配布用):
Miracast に “グラフィックス ドライバーが対応していません“ と表示される問題は、Windows の「Wireless Display」機能の未インストールやグラフィックドライバーの問題で発生します。本手順を参照し、Wireless Display の追加、DxDiag での確認、公式ドライバーのインストールまたはロールバックを試みてください。問題が解決しない場合は、ハードウェア互換性を確認のうえ代替接続を検討してください。