Ubuntuのターミナルにカスタム背景(画像・透明度)を設定する方法

概要
この記事では、Ubuntu(GNOME)でターミナルの見た目を変える手順を分かりやすく説明します。まずは透明度を変える方法を解説し、その後で背景画像を使いたい場合の現実的な代替案(xfce4-terminalの導入)と補助的な代替手段を紹介します。短いチェックリストや設定スニペット、検討すべき条件も載せます。
重要: 使用するUbuntuのバージョンやデスクトップ環境(GNOME、Xfce、KDEなど)によって手順や可能性が変わります。事前に自分の環境を確認してください。
目的と想定読者
目的: ターミナルの外観をカスタムする方法を知る。関連する選択肢を比較して最適解を選べるようにする。
想定読者: Ubuntuを使うデスクトップユーザー、ライトなカスタマイズを望む開発者、システム管理者。
最近の変更
Ubuntu 18.04 LTS以降、GNOMEをコアとする標準端末(gnome-terminal)では「背景画像を直接設定する」オプションが廃止されました。これはGNOMEのデザイン方針とセキュリティ・UXの簡素化が理由です。結果として、ユーザーは以下のような選択肢に分かれます。
- GNOME端末の透明度・色だけを使う
- 別の端末アプリ(xfce4-terminalなど)をインストールして背景画像を使う
- スクリプトや外部ツールで裏技的に対応する(手間とリスクあり)
透明度の設定(GNOME端末)
GNOME端末は背景画像をサポートしなくても、色と透明度は比較的自由に設定できます。手順は以下の通りです。
- アプリケーションメニューから「端末」を開く、または Ctrl + Alt + T を押す。
- 端末上部の小さなメニュー(≡ など)をクリックし、「Preferences」を選ぶ。
- 左側のProfilesから「Unnamed」など既存プロファイルを選択する。
- 上部のタブで「Colors(色)」を選び、「Use colors from system theme(システムテーマの色を使用)」のチェックを外す。
- 小さなチェックボックスをオンにして透明度スライダーを調整する。フルにすると最大透明度になります。
メモ: 透明度は背景のデスクトップ壁紙やウィンドウの重なり方によって見え方が変わります。可視性(文字の見やすさ)を常に優先してください。
背景画像を使いたいとき(現実的な選択)
GNOME端末で直接背景画像を選べないので、実際的な解決策は別の端末アプリを使うことです。私のおすすめは Xfce の端末(xfce4-terminal)です。外観設定で背景画像を選べます。
インストール方法(端末で実行):
sudo apt install xfce4-terminal
インストール後、アプリケーションメニューから xfce4-terminal を起動します。メニューから Edit → Preferences を開きます。
「Appearance(外観)」タブで Background を選ぶと、Solid colour、Transparency、Background image の中から選べます。Background image を選ぶとファイルを指定できます。
ファイル選択後、タイル表示かフルスクリーン表示かを選べます。
利点:
- GUIで簡単に設定できる。
- 透明度と背景画像を同時に使えるプロファイルが作れる。
注意点:
- デフォルトの端末と見た目や動作が少し異なる場合があります(ショートカット等)。
- セキュリティや互換性の観点から、企業環境では導入前に確認してください。
もう一つの方法:Perlスクリプト等で背景を操作する
Ubuntuのmanpageやコミュニティには、端末背景を「テキストの背後に画像を配置する」タイプのツールやスクリプトが存在します。これらは端末ウィンドウの描画を置き換えるような仕組みで、実現できる場合がありますが次の点に留意してください。
- 多くはコミュニティ作成のスクリプトであり、メンテナンス状況が不明。
- 設定や互換性のトラブルシューティングが必要になる。
- セキュリティや安定性に関する保証はない。
結論として、簡単で安全な方法はxfce4-terminalを使うことです。スクリプトは最終手段と考えてください。
代替アプローチ(比較)
- GNOME端末: 透明度・色を変えられる。背景画像は不可。
- xfce4-terminal: 背景画像・透明度・タイル/フルスクリーンをGUIで設定可能。
- tilix / konsole / alacritty: それぞれ別の特徴がある。例えば Konsole(KDE端末)は背景画像を持つ設定が可能な場合がある。alacrittyは高速だが設定はYAMLで行う。
選ぶ基準(ヒューリスティック):
- シンプルにGUIで設定したければ xfce4-terminal
- パフォーマンス重視で設定はファイルで管理したければ alacritty
- デスクトップ環境を揃えたいなら同じDEの端末を使う(KDEならKonsole)
小さな実践メソッド(3分チェックリスト)
- まず現在の端末とバージョンを確認: gnome-terminal かどうかを確認する。
- 透明度だけで十分か確認する。
- 背景画像が必要なら xfce4-terminal をインストールして試す。
- 見た目と可読性をテスト。必要であればフォントや色を調整する。
- 問題が出たら元のプロファイルに戻す。
役割別チェックリスト
デスクトップユーザー:
- 画像サイズをスクリーン解像度に合わせる。
- コントラストを高め、文字を読みやすくする。
開発者:
- ターミナルテーマ(色)と背景の組み合わせでシンタックスハイライトの可読性を確認する。
- 必要ならプロファイルごとに背景を分ける(作業用/ログ用など)。
システム管理者:
- 大量配備する場合は標準の端末ポリシーを決める。
- カスタムソリューションは検証済みかどうかを確認する。
設定スニペットとコマンド
インストール(再掲):
sudo apt update
sudo apt install xfce4-terminal
起動コマンド:
- xfce4-terminal を起動する: xfce4-terminal
- gnome-terminal を起動する: gnome-terminal
補足: Konsole や tilix を試すなら、それぞれのパッケージ名を apt で検索してインストールしてください。
判断フローチャート
以下は選択の簡易フローです。
flowchart TD
A[背景画像を使いたい?] -->|いいえ| B[GNOME端末で透明度設定を行う]
A -->|はい| C[別の端末アプリを使う]
C --> D{DEに依存するか}
D -->|KDE| E[Konsoleを検討]
D -->|Xfce/軽量| F[xfce4-terminal を推奨]
D -->|高速/設定ファイルを好む| G[alacrittyやtilixを検討]
いつうまくいかないか(事例と対処)
- 企業や管理された環境で端末アプリのインストールが制限されている場合。
- 対処: 管理者に相談するか、透明度のみで妥協する。\
- 背景画像が文字の可読性を著しく下げる場合。
- 対処: 背景に薄いオーバーレイを入れるか、画像を暗くしてコントラストを回復する。\
- スクリプト方式で互換性問題が起きる場合。
- 対処: 元に戻せるバックアップを取り、信頼できるソースのみ使う。
用語集(1行定義)
- プロファイル: 端末の配色やフォントなどを保存する設定のセット。
- DE(デスクトップ環境): GNOME、KDE、Xfceなど、UIとウィンドウ管理を提供するソフト群。
まとめ
- GNOME端末は透明度をサポートしますが、背景画像は標準で利用できません。
- 簡単に背景画像を使いたいなら xfce4-terminal をインストールするのが最も手軽で安全です。
- スクリプト等の裏技は存在しますが、手間とリスクが伴います。優先順位は可読性→安定性→見た目です。
重要: 見た目を優先して可読性を犠牲にしないでください。ターミナルは作業ツールです。
まとめ(3つの要点):
- まずは透明度で妥協できるか確認する。
- 背景画像が必須なら xfce4-terminal を推奨する。
- 裏技は最後の手段。導入前にバックアップと検証を行う。