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WindowsでWi‑Fiレポートを作成して分析する方法

1 min read ネットワーク 更新されました 13 Oct 2025
WindowsのWi‑Fiレポート作成と分析ガイド
WindowsのWi‑Fiレポート作成と分析ガイド

木の後ろにあるWi‑Fi機器と電波のイメージ

概要 — Wi‑Fiレポートとは何か

WindowsのWi‑Fiレポート(WLANレポート)は、PCで発生した無線ネットワーク関連のイベントを時系列で記録したHTMLドキュメントです。接続先SSID、接続継続時間、切断の理由、発生したエラー、使用した物理および仮想アダプタの情報などが含まれます。一目で過去数日にわたる全セッションを確認できるため、断続的な切断や接続不能の原因追究に役立ちます。

補足(1行定義): WLANレポート = Windowsの無線ネットワークイベントログを見やすくHTMLでまとめたレポート。

いつ使うべきか

  • 自宅や職場で断続的にWi‑Fiが切れるとき
  • 新しいルーターやアダプタを導入した後の動作確認
  • ITサポートに状況を伝えるための客観的なログが欲しいとき

重要: レポートは過去72時間程度のセッション履歴を中心に表示します。長期の傾向は別途ログ収集が必要です。

レポートの作成手順(ステップバイステップ)

  1. Windows検索を開く(Win + S)し、検索ボックスに「cmd」と入力します。
  2. 「コマンドプロンプト」が表示されたら、右クリックまたは検索結果のオプションで「管理者として実行」を選択します。

Windows 11の検索結果に表示されたコマンドプロンプト(管理者として実行の操作がわかるスクリーンショット)

  1. ユーザーアカウント制御(UAC)が表示されたら「はい」をクリックして管理者権限で開きます。
  2. コマンドプロンプトに以下を入力してEnterを押します(正確に入力してください):
netsh wlan show wlanreport
  1. コマンドが完了すると、WindowsはHTMLレポートを生成し、通常は次の場所に保存します:
C:\ProgramData\Microsoft\Windows\WlanReport\wlan-report-latest.html
  1. ファイルエクスプローラーで上記のパスに移動してレポートをダブルクリックし、既定のブラウザーで開きます。

Windows 11のファイルエクスプローラーで表示されたWlanReportの保存場所

注意: ProgramDataは隠しフォルダーになっていることがあります。エクスプローラーの「表示」設定で隠しファイルを表示してください。

レポートの主要セクションと見るべきポイント

レポートは複数のセクションで構成されます。まずは表紙に近い「Wi‑Fiサマリー」チャートで全体像を把握し、その後、詳細セクションを掘り下げます。

WindowsのWLANレポートのWi‑Fiサマリーチャート

  • サマリーチャート: 緑のバーは各セッションの継続時間を示します。左から古い順に並びます。バー上のアイコン(アルファベットや丸印)はセッション中に発生したイベントを表し、クリックすると該当箇所へジャンプします。
  • 赤い丸に「X」はエラー(切断や失敗)を示します。これを起点にそのセッションの詳細を確認します。
  • 凡例(チャートの右下)で各アイコンの意味を確認してください。

主要な下位セクション

  • Network Adapters(ネットワークアダプタ): 物理・仮想のアダプタ一覧とドライバー情報、状態が記載されています。ここでアダプタ自体の問題(ドライバ不整合や無効化)を検出できます。

  • Summary(要約): 各セッションの成功/失敗、切断理由、接続時間が一覧になっています。

WLANレポートのSummaryセクションのスクリーンショット

  • Wireless Sessions(無線セッション): 個々のセッションを詳述する箇所です。使用したアダプタ、接続モード(手動/自動)、接続先SSID、セッション長、イベントごとの時刻とメッセージが時系列で並びます。各イベントの左にある「[+]」をクリックすると詳細メッセージが展開されます。

WLANレポートのセッション詳細のスクリーンショット

レポートの見方:トラブルシューティングの実用手順

  1. サマリーチャートで赤い「X」アイコンのあるセッションを見つける。
  2. そのセッションのWireless Sessionsへジャンプし、切断時刻直前のイベントメッセージを確認する。
  3. メッセージから原因のヒントを拾う(例: 認証失敗、DHCPタイムアウト、アダプタの無効化など)。
  4. Network Adaptersセクションで該当アダプタのドライババージョンと状態を確認する。
  5. 必要に応じてドライバ更新、電源管理設定の変更、またはルーター側ログの確認を行う。

補足: メッセージに「認証失敗」や「信号が弱い」といった文言がある場合は、まずルーター側のSSID/パスフレーズ、及びチャネル競合(近隣APとの干渉)を疑ってください。

実践チェックリスト(ホームユーザー向け)

  • WLANレポートを生成して該当セッションを特定したか
  • 赤いXやエラーメッセージの時間をルーターのログと照合したか
  • アダプタの電源管理(省電力による無効化)を無効化したか
  • ドライバを公式サイトから最新版に更新したか
  • ルーターの再起動とファームウェア確認をしたか

ロール別チェックリスト(IT管理者向け)

  • ネットワーク管理者:
    • ドライバ/ファームウェアの互換性、802.11モード(a/b/g/n/ac/ax)設定を確認
    • DHCP割当やRADIUS認証ログと照合
  • サポート担当:
    • ユーザーからレポートを受け取るための手順(ファイル送付、添付方法)を統一
    • 再現手順を文書化してエスカレーションする

SOP(標準作業手順) — レポートを取得してサポートに送る流れ

  1. ユーザーに管理者権限でコマンドを実行させるか、ITがリモートで実行。
  2. 生成されたHTMLを確認し、該当セッションのスクリーンショットと該当行のテキストを抜粋。
  3. ルーターのログ(可能なら)と時刻を合わせ、関連ログを添えてサポートチケットに添付。
  4. 対応後、解決したかどうかの確認のため、同様の条件で再テストを実施。

受け入れ基準(問題が解決したと判断する条件)

  • 同じ操作・環境で24~72時間以内に該当する切断やエラーが再発しない。
  • WLANレポートの同セッションで赤いXや同一エラーメッセージが出ない。
  • ユーザーが所定の業務を問題なく実行できる(実用確認)。

よくあるケースと対処法(短い例)

  • ケース: 「接続はするがインターネットにアクセスできない」
    • レポートにDHCP関連のエラーがあれば、IPアドレス割当を確認。固定IPやルーターのDHCP設定を見直す。
  • ケース: 「頻繁に切断される」
    • レポートのRSSI(受信信号強度)や周囲のチャンネル干渉情報がヒントになる。チャネル変更やAP配置の見直しを検討。
  • ケース: 「認証(パスワード)が通らない」
    • セキュリティプロトコル(WPA2/WPA3)とクライアントの対応状況を確認。RADIUSや802.1Xが関与している場合は認証サーバーログを確認。

決定フローチャート(簡易:問題切り分け)

flowchart TD
  A[接続問題発生] --> B{Wi‑Fiに接続できるか}
  B -- はい --> C{インターネットにアクセスできるか}
  B -- いいえ --> D[アダプタ/ドライバ/SSID確認]
  C -- はい --> E[外部要因(サーバ/サイト)の可能性]
  C -- いいえ --> F[DHCP/ゲートウェイ/認証の確認]
  D --> G[ドライバ更新・電源設定確認]
  F --> H[ルーター/認証サーバーのログ照合]
  G --> I[再テスト]
  H --> I
  I --> J{問題解決?}
  J -- はい --> K[対応完了]
  J -- いいえ --> L[エスカレーション]

役立つヒューリスティクス(判断のための簡潔な考え方)

  • 「一台だけ問題」ならクライアント側の設定/ドライバ、複数台で問題ならインフラ側(AP/ルーター)を疑う。
  • 時刻が特定の時間帯に集中する場合は、干渉(人為的な周波数使用)やスケジュールタスクを疑う。
  • 認証失敗が多発する場合は認証基盤(RADIUSやAD)との同期問題の可能性が高い。

セキュリティとプライバシー上の注意

WLANレポートには接続したSSIDやMACアドレス、時刻などの情報が含まれます。これらは個人情報や環境情報に相当するため、レポートを共有する際は機密扱いにし、必要な範囲でのみ提供してください。

1行用語集

  • SSID: 無線ネットワークの識別名
  • RSSI: 受信信号強度指標(信号の強さ)
  • DHCP: IPアドレスを自動割当する仕組み
  • RADIUS: 認証サーバーの一種(企業で多用)

まとめ

WindowsのWi‑Fi(WLAN)レポートは、短時間で接続問題の原因を切り分けるための強力なツールです。管理者権限で簡単に生成でき、サマリーチャートとセッション詳細を見比べることで、アダプタ起因かネットワーク起因かを判定できます。まずはレポートを生成して、赤いエラーアイコンのあるセッションを起点にイベントを追ってください。

重要: 長期的なトレンド分析や複雑な認証問題は、追加のログ(ルーター、認証サーバー)や専門的な解析が必要です。

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