Microsoft Storeが動作しないときの完全な対処ガイド

重要: 以下の手順は管理者権限が必要なものがあります。作業前に重要なデータのバックアップを取得してください。
目次
- なぜ Microsoft Store が動作しないのか
- 事前チェックリスト(まず確認すること)
- 解決手順(ステップ別)
- DNSアドレスを変更する
- コンピューターの時刻を修正する
- WindowsAppsフォルダーの所有権を取得する
- Windows Store のキャッシュをクリアする
- Microsoft Store を再インストールする
- プロキシ/VPNを無効化する
- Microsoft Store をリセットする
- Windows Store アプリを再登録する
- Windows 用の「Windows Store アプリ」トラブルシューティングを実行する
- インターネット接続のトラブルシューティング
- Windows を最新に更新する
- ゲーム向けの裏技:Xboxアプリを使う
- 追加の価値: いつ効かないか、代替手段、短いSOP(手順書)、ロール別チェックリスト、決定木(Mermaid)
- テストケースと受入れ基準
- リスクと軽減策
- よくある質問(FAQ)
- まとめ
なぜ Microsoft Store が動作しないのか
代表的な原因(要約):
- ネットワーク経路やDNSによる接続障害(エラー 0x80131500 など)
- システム時刻とストア側の時刻の同期ズレ
- WindowsApps フォルダーの所有権やアクセス権の問題
- ストアのローカルキャッシュの破損
- プロキシまたはVPNによりアカウントIPと実際のIPが不一致
- ストアアプリ自体の破損や設定の不整合(再インストールが必要)
- Windows の未適用アップデート
- 不安定なインターネット接続
このリストは典型例です。問題は複数の原因が重なることが多く、順序立てた切り分けで解決します。
重要: ブルースクリーン(BSOD)や「Unexpected Store Exception」などの重大エラーが出る場合、まずはシステム全体の整合性(ディスク、メモリ、ドライバー)も確認してください。
事前チェックリスト(まず確認すること)
- Windows に未適用の更新がないか(設定→Windows Update)
- UAC(ユーザーアカウント制御)が有効になっているか
- GPU/ビデオドライバーが最新であること
- 使用中のネットワークが社内プロキシや学内フィルタリング経由でないか
- 一時的にセキュリティソフトを無効にして挙動が変わるかを確認(注意して実施)
上記を確認しても改善しない場合、以下の段階的な対処を行ってください。
1. DNSアドレスを変更する
症状の例: エラーコード 0x80131500 が出る、ストアの読み込みが途中で止まる。
概念(1行): DNS はドメイン名をIPアドレスに変換する仕組みで、不安定なDNSサーバを使うと接続失敗が起きる。
Windows 11 の場合(手順)
- 「設定 -> ネットワークとインターネット」に移動し、ウィンドウ上部の「プロパティ」をクリックします。
- 「DNS サーバの割り当て」横の「編集」をクリックします。
- ドロップダウンで「手動」を選び、IPv4 のスライダーを「オン」にします。
- 「優先 DNS」に 1.1.1.1(Cloudflare)または 8.8.8.8 / 8.8.4.4(Google)を入力し、OK をクリックします。
補足: NextDNS 等のカスタムDNSも有効です。企業環境ではIT部門に確認してください。
Windows 10 の場合(手順)
- 「設定(スタート→歯車アイコン)→ ネットワークとインターネット → アダプターのオプションを変更する」を開きます。
- 使用中の接続を右クリック→「プロパティ」。
- 「インターネット プロトコル バージョン4 (TCP/IPv4)」を選択し、プロパティで「次のDNSサーバーのアドレスを使う」を選んで 1.1.1.1 や 8.8.8.8 を入力します。
いつ効果がないか(反例): ネットワーク機器のファイアウォールや上位プロキシが名前解決を改変している環境では、ローカルでDNSを変えても改善しないことがあります。
2. コンピューターの時刻を修正する
概念(1行): ストアは認証やトークン検証で正しい時刻を必要とし、時刻ズレで接続やログインが失敗することがある。
手順:
- タスクバーの時刻を右クリックし「日付と時刻の調整」をクリックします。
- 「時刻を自動的に設定する」を一度オフにし、数秒後に再度オンにします(タイムゾーンも正しいことを確認)。
効果がないケース: 企業のドメイン参加マシンでドメインコントローラーと同期できない場合は、ドメイン環境の時刻設定を管理者に依頼してください。
3. WindowsApps フォルダーの所有権を取得する
概念(1行): Microsoft Store のアプリは通常 C:\Program Files\WindowsApps にインストールされ、所有権やACLが不適切だと動作に支障が出ることがある。
注意: この操作はファイルシステムとアプリの実行に関与するため、手順を誤るとアプリが動かなくなることがあります。事前に復元ポイントやバックアップを推奨します。
手順の概略(詳細なGUI手順は長いので要約):
- エクスプローラーで隠しフォルダーと保護されたOSファイルを表示する設定にします。
- C:\Program Files\ に移動し、WindowsApps を右クリック→プロパティ→セキュリティ→詳細設定を開きます。
- 所有者を変更(現在のアカウントに切替)し、フルコントロールを付与します。
補足: 詳細な手順やPowerShellによる自動化スクリプトを用意している技術記事が多数あります。管理者作業に不慣れな場合はIT管理者に依頼してください。
4. Windows Store のキャッシュをクリアする
最もシンプルで即効性のある対処法の1つです。
手順:
- Win + R を押し、表示された「ファイル名を指定して実行」ボックスに
wsreset
と入力して Enter。
wsreset
- コマンドプロンプトのウィンドウが開いて処理が始まり、完了すると自動的に閉じます。ストアを再起動して確認してください。
効果がない場合: キャッシュを消しても解決しない場合は、ストアデータ自体の破損やアカウント認証の問題の可能性が高いです。
5. Microsoft Store を再インストールする
概念(1行): ストア本体のパッケージが破損している場合、まず削除してから再登録/再インストールするのが有効です。
警告: ストアのアンインストール/再インストールは管理者権限が必要です。全ユーザーの環境に影響します。
手順(PowerShell を使用):
- Win キーを押し
powershell
と入力。 - 検索結果の PowerShell を右クリックして「管理者として実行」。
- 以下を実行して全ユーザーのパッケージ一覧を表示します:
get-appxpackage -allusers
Microsoft.WindowsStore
のエントリを見つけ、PackageFullName の値をコピー。
- 次のコマンドでアンインストールします(コピーした PackageFullName を使用):
remove-appxpackage Microsoft.WindowsStore_22210.1401.6.0_x64__8wekyb3d8bbwe
- 再起動後、管理者PowerShellで次のコマンドを実行して再インストールします:
Get-AppXPackage *WindowsStore* -AllUsers | Foreach{Add-AppxPackage -DisableDevelopmentMode -Register "$($_.InstallLocation)\AppXManifest.xml"}
注意点: 上記コマンドは実行時のWindowsバージョンやストアのビルド番号によって変わる場合があります。コマンド実行中にエラーが出たらエラーメッセージを控え、追加調査が必要です。
6. プロキシ/VPNを無効化する
概念(1行): VPNやプロキシが介在すると、MicrosoftアカウントのIP情報と矛盾が生じ、ストアの認証や地域判定で失敗することがあります。
手順(WindowsのGUI):
- 「設定 -> ネットワークとインターネット -> プロキシ」を開きます。
- 「手動プロキシ設定」を確認し、必要ならば「プロキシサーバーを使う」をオフにします。Windows 11 では直接スイッチがあります。
- VPN クライアントを利用している場合は、一時的にオフにして挙動を確認してください。
企業ネットワークでは管理者に確認してから行ってください。
7. Microsoft Store をリセットする
概念(1行): ストアの設定・データを初期化して工場出荷時に近い状態に戻す操作です。個人設定やログイン状態は消えますが、インストール済みアプリは残ります。
手順:
- スタートボタンを右クリック→「アプリと機能」を開き、リストから Microsoft Store を探します。
- 「詳細オプション」→「リセット」を実行します。
効果がないとき: リセットしても改善しない場合は、ストア自体の欠落やシステム側の深刻な不整合が疑われます(再インストールやシステムの修復が必要)。
8. Windows Store アプリを再登録する
PowerShell を使ってストアを再登録(Register)する手順です。再登録はアプリ登録情報を再構築するので、権限や参照パスに問題がある場合に有効です。
手順:
- 管理者として PowerShell を実行。
- 次のコマンドを実行します:
Get-AppXPackage *Microsoft.WindowsStore* | Foreach{Add-AppxPackage -DisableDevelopmentMode -Register "$($_.InstallLocation)\AppXManifest.xml"}
コマンドによりストアが再登録され、アプリ登録情報が修復されます。実行後に問題が続く場合はログ(PowerShell の出力)を記録してください。
9. Windows の「Windows Store アプリ」トラブルシューティングを使う
Windows 11 では専用のトラブルシューティングツールがあり、一般的な問題を自動検出・修復します。
手順:
- 「設定 -> システム -> トラブルシューティング」を開きます。
- 「その他のトラブルシューティングツール」→「Windows Store アプリ」を探して「実行」をクリックします。
- 検出された問題は自動で修復されるか、次のアクションが表示されます。
10. インターネット接続のトラブルシューティング
概念(1行): ストアはダウンロードと認証でネットワークを使うため、接続品質が影響します。
手順:
- 「設定 -> システム -> トラブルシューティング -> その他のトラブルシューティング」を開き、「インターネット接続」を実行します。
- サンプルウェブサイトへの接続テスト等を実行し、正常であればネットワーク側の問題ではないことを確認します。
補足: Wi-Fi の電波強度、ルーターの再起動、ISP 側の障害確認、別ネットワーク(スマホのテザリング等)での動作確認も有用です。
11. Windows を最新に更新する
概念(1行): システム側の既知不具合修正はWindows Updateで配信されるため、最新版にすることで問題が解消される場合があります。
手順:
- 検索で「Windows Update」を開くか「設定 -> Windows Update」へ移動。
- 「更新プログラムのチェック」を実行し、利用可能な更新を全て適用します。
注意: 大規模アップデート(機能アップデート)は再起動と長時間のインストールを要することがあるので、作業時間を確保してから実行してください。
ボーナス: ゲームなら Xbox アプリを使う
Microsoft はPC向けゲーム体験を Xbox アプリに移行しつつあります。Xbox アプリ経由でゲームを購入・起動すれば、Microsoft Store の問題を回避できる場合があります。
Xbox Game Pass に登録すれば定額で遊べるタイトルが多数あり、ゲーム利用がメインのユーザーは検討する価値があります。
追加セクション: いつこの手順が効かないか(注意すべき例)
- 企業ドメインでグループポリシーやネットワークフィルタが厳しく適用されている場合、ローカル側での修復では改善しないことがあります。必ずIT管理者へ相談してください。
- ディスク破損やシステムファイルの深刻な破損がある場合、SFC/ DISM や最終的にはリカバリ/再インストールが必要になることがあります。
- Microsoft サービス側(認証サーバやストア側)の一時障害の場合、ローカルでの操作は無効です。その場合は障害の回復を待つしかないことがあります。
決定木(トラブルシューティングの簡易フロー)
以下は優先度の高い切り分けフローです。簡潔に判断できるようにしています。
flowchart TD
A[Storeが開かない/エラーが出る] --> B{エラーコードはあるか}
B -- 0x80131500 --> C[DNSを1.1.1.1または8.8.8.8に変更]
B -- 時刻関連 --> D[時刻を自動設定→再同期]
B -- なし --> E[WSResetを実行]
E --> F{改善したか}
F -- はい --> Z[完了]
F -- いいえ --> G[プロキシ/VPNを無効化]
G --> H{改善したか}
H -- はい --> Z
H -- いいえ --> I[Microsoft Storeをリセット]
I --> J{改善したか}
J -- はい --> Z
J -- いいえ --> K[再インストール(PowerShell)]
K --> L[改善しない場合はログとエラーメッセージを収集してIT/サポートへ]
ロール別チェックリスト(実務向け)
ユーザー(家庭用):
- Win+R → wsreset を実行
- 時刻の自動同期を一度オフ→オン
- VPN/プロキシをオフにして再試行
- 別ネットワーク(モバイルテザリング等)で試す
パワーユーザー/管理者:
- DNS を 1.1.1.1 / 8.8.8.8 に変更
- WindowsApps の所有権とACLを確認
- PowerShell で再登録/再インストールを実行
- DISM / SFC でシステム整合性を確認
ITサポート:
- ユーザーからのログ(PowerShell 出力、イベントビューアのアプリ/サービスログ)を収集
- ドメイン/グループポリシー、プロキシログを確認
- ネットワーク経路(プロキシ、FW、DNS)を検証
- 必要ならば Microsoft サポートへエスカレーション
短いSOP(標準作業手順): Microsoft Store が動かない場合の推奨フロー
- ユーザー操作: wsreset を実行、時刻を同期、VPN/プロキシを切る。改善しない場合はスクリーンショットとエラーを取得。
- 管理者対応: DNS の切替、ストアのリセットを実行。ログを収集。
- 上級対応: PowerShell で再登録/再インストール。必要なら DISM / SFC を実行。
- 解決不可: イベントログ、PowerShell 出力を添えて Microsoft サポートまたはベンダへ連絡。
テストケースと受入れ基準(QA 用)
テストケース例:
- TC1: ストアが起動すること(初回起動でクラッシュしない)
- TC2: アプリの検索・表示が可能であること
- TC3: アプリのダウンロードとインストールが最後まで成功すること
- TC4: サインイン/サインアウトが成功すること
- TC5: ネットワーク切替(Wi-Fi→有線)で問題が再現しないこと
受入れ基準(Критерии приёмки):
- すべての基本操作(起動、検索、ダウンロード、インストール、起動、サインイン)が正常に行えること
- 主要なエラーコードが再現されなくなったこと
- 管理者が指定したログにエラーが残らないこと
リスクと軽減策
リスク:
- 誤ったファイルアクセス権の変更により、他のアプリが動作しなくなる
- PowerShell コマンドの実行ミスで予期せぬアンインストールが起きる
- 企業環境でポリシー違反を起こす可能性
軽減策:
- 作業前にシステムの復元ポイントを作成
- 管理者権限を持つ人が作業を実施
- 企業環境では必ずIT部門に連絡
1行用語集
- DNS: ドメイン名をIPに変換するサービス
- wsreset: Windows ストアのローカルキャッシュをリセットするコマンド
- PowerShell: Windows のオートメーション/管理シェル
- WindowsApps: Microsoft Store のアプリが保存されるフォルダー
よくある質問(FAQ)
なぜ Microsoft Store は使いにくいのですか?
回答: 歴史的にUWP(Universal Windows Platform)ベースの配布モデルに依存していた点、開発者と顧客の採用度合いの低さ、配信インフラやサポート体制の課題などが指摘されてきました。現在は改善が進んでいる要素もありますが、依然として他の配布経路に比べて制約が残ることがあります。
Microsoft Store を使わなければいけませんか?
回答: ほとんどの場合は必須ではありません。安全に配布されたアプリを手軽に入手できる点がメリットですが、同じアプリやゲームはWebや他のクライアント(例: Xbox アプリ)から利用できることが多いです。一部、ストア専用のアプリもありますが稀です。
Microsoft Store を完全に削除できますか?
回答: はい。PowerShell を使ってアンインストールできます。ただし復元や再インストールの手順を事前に理解しておく必要があります(本記事の「再インストール」節を参照)。
Microsoft Store でアプリがダウンロードできない場合の最短解決策は?
回答: まず wsreset を実行してキャッシュをリセットし、Microsoftアカウントでサインアウト→再サインインを試すこと。多くのケースで効果があります。ネットワークの安定性確認も必須です。
まとめ
- Microsoft Store の不具合は原因が多岐に渡るため、手順を順に実行して切り分けることが重要です。
- まずは簡単な手順(wsreset、時刻同期、VPN解除)を試し、効果がなければDNS変更や再登録、最終的に再インストールまで進めてください。
- 企業環境ではローカル対応で解決できない場合があるため、IT管理者やMicrosoftサポートへのエスカレーションを検討してください。
役に立つヒント: ゲーム用途が中心であれば、Microsoft Store ではなく Xbox アプリを使うことで多くの問題を回避できます。
All screenshots by Sayak Boral.