テクノロジーガイド

CentOS 5.5 に OCS Inventory NG Server 2 をインストールする方法

3 min read サーバー 更新されました 28 Sep 2025
CentOS 5.5でOCS Inventory NG Server 2を導入する手順
CentOS 5.5でOCS Inventory NG Server 2を導入する手順

概要

OCS Inventory はネットワーク上のコンピュータ資産を収集・管理するためのオープンソースソフトウェアです。NG(Next Generation)Server は主に以下で構成されます:

  • 通信サーバ(Communication server): エージェントと通信する中心サービス
  • 配布(デプロイ)サーバ: ソフトウェア配布やパッケージ管理
  • 管理コンソール(Administration console): Web ベースの管理画面

エージェントを各クライアントに導入してサーバに向けてデータを送信させることで在庫情報を収集します。本ガイドは CentOS 5.5(64ビット)での手順を示しますが、Fedora や Red Hat 系でもほぼ同様に動作します。ただしディストリビューションやバージョンによるパッケージ名やパスの違いに注意してください。

作成者: Rafael Marangoni(BRLink Consultoria Linux Team による原稿の日本語ローカライズ)

重要: CentOS 5.5 は既にライフサイクル終了(EOL)しているため、可能であればサポートされている新しい OS への移行を検討してください。インストール手順は古い環境向けの参考として提供します。

目次

  • 前提条件と必要パッケージ
  • OCS インストール手順(ダウンロード〜セットアップウィザード)
  • MySQL データベース作成と初期設定
  • 管理コンソールへのアクセスと初期ログイン
  • 運用チェックリスト/テスト基準
  • よくある障害と対処(トラブルシューティング)
  • 代替アプローチと移行のヒント
  • 役割別チェックリスト(管理者・運用担当)
  • 参考リンク

前提条件と必要パッケージ

この手順は root 権限(または sudo)で実行することを前提とします。サーバはインターネットにアクセスできること、ポート 80(HTTP)や MySQL のポート(デフォルト 3306)が必要に応じて許可されていることを確認してください。

推奨されるソフトウェア要件(参考):

  • CentOS 5.5(64ビット)
  • Apache HTTP Server
  • MySQL(サーバとクライアント)
  • Perl と必要な CPAN/パッケージモジュール
  • PHP(Web 管理コンソール用)

注意: ここで使うパッケージ名やパスは CentOS 5.x 系の標準構成に合わせています。

必要パッケージのインストール例

まず MySQL と PHP 関連をインストールします:

yum install mysql-server php-mysql php-pecl-zip php-gd

MySQL を起動します:

/etc/init.d/mysqld start
chkconfig --level 35 mysqld on

MySQL の root パスワードを設定します(ここでは例として ‘secret’ を使用):

/usr/bin/mysqladmin -u root password 'secret'

Apache を起動します(OCS は Apache を使用します):

/etc/init.d/httpd start
chkconfig --level 35 httpd on

EPEL リポジトリを追加して必要な Perl モジュール等をインストールします:

rpm -Uvh http://download.fedora.redhat.com/pub/epel/5/x86_64/epel-release-5-4.noarch.rpm
yum install -y perl-XML-Simple perl-Compress-Zlib perl-DBI perl-DBD-MySQL perl-Net-IP perl-XML-Entities perl-Apache-DBI perl-Apache2-SOAP perl-SOAP-Lite mod_perl

PHP 設定の更新

大きなファイルアップロードやパッケージ配布を行う場合、php.ini の設定を変更する必要があります。

vi /etc/php.ini

以下の値を適切に変更します(例):

post_max_size = 200M
upload_max_filesize = 200M

変更後、Apache を再起動します:

/etc/init.d/httpd restart

OCS Inventory NG Server 2 のインストール

ダウンロード用ディレクトリを作成して tarball を取得します(元の例をそのまま):

mkdir /download
cd /download
wget http://launchpad.net/ocsinventory-server/stable-2.0/2.0rc1/+download/OCSNG_UNIX_SERVER-2.0rc1.tar.gz

展開してセットアップを開始します:

tar -zxvf OCSNG_UNIX_SERVER-2.0rc1.tar.gz
cd /download/OCSNG_UNIX_SERVER-2.0rc1
sh setup.sh

セットアップスクリプトはウィザード形式です。多くの場合はデフォルトを選択して問題ありません。以下は実行時に表示される主な質問例(入力例付き)です。空欄にするとデフォルト値が選ばれます。

  • 続行しますか? ([y]/n)? y
  • データベースホスト [localhost] ? localhost
  • データベースポート [3306] ? 3306
  • Apache バイナリパス [/usr/sbin/httpd] ? (デフォルトを使用)
  • Apache 設定ファイル [/etc/httpd/conf/httpd.conf] ? (デフォルトを使用)
  • Apache 実行ユーザー [apache] ?
  • Apache 実行グループ [apache] ?
  • Apache Include ディレクトリ [/etc/httpd/conf.d/] ?
  • PERL 実行ファイル [/usr/bin/perl] ?
  • Communication server をこのサーバにセットアップしますか? ([y]/n)? y
  • Communication server のログディレクトリ [/var/log/ocsinventory-server] ?
  • Apache 設定ファイル名を ‘z-ocsinventory-server.conf’ に変更して mod_perl の読み込み順を保証しますか? ([y]/n) ? y
  • Administration Server(Web 管理コンソール)をこのサーバにセットアップしますか? ([y]/n)? y
  • 管理用の静的ファイル設置先 [/usr/share/ocsinventory-reports] ?
  • 配布パッケージやキャッシュ用書き込みディレクトリ [/var/lib/ocsinventory-reports] ?

重要: 古いバージョン(1.01 以前)からのアップグレードの場合、Apache ドキュメントルート下の ‘ocsreports’ と ‘download’ ディレクトリを削除または移動する必要があります。deploy 機能を使うなら ‘download’ は管理サーバの書き込み可能キャッシュディレクトリ(デフォルト /var/lib/ocsinventory-reports)に移動してください。

MySQL データベース作成と権限設定

MySQL に root で接続します(先ほど設定したパスワードを使用):

mysql -u root -p"secret"

データベースと利用ユーザーを作成します(例):

CREATE DATABASE ocsweb;
GRANT ALL ON ocsweb.* to 'ocs'@'localhost' identified by 'ocs';

注: データベース名、ユーザー名、パスワードは運用ポリシーに合わせて変更してください。ここでは OCS のデフォルト例を示しています。

管理コンソールのアクセス

ブラウザで管理画面にアクセスします:

http://server-ip/ocsreports/

デフォルトアカウントはユーザー: admin / パスワード: admin です。初回ログイン後は管理者パスワードを必ず変更してください。

インストール後、インストールスクリプトを削除してセキュリティに配慮します:

rm -f  /usr/share/ocsinventory-reports/ocsreports/install.php

その後、ネットワーク上の各クライアントに OCS エージェントをインストールし、サーバの IP を指定してデータ送信を確認します。

運用チェックリスト(導入前〜導入直後)

  • サーバのバックアップポリシーを確認・実施
  • Apache と MySQL の自動起動設定を確認
  • firewall(iptables など)で HTTP と必要ポートを許可
  • PHP の upload 最大値と post 最大値を設定
  • OCS 管理コンソールにログインして初期管理者パスワードを変更
  • 必要なディレクトリ(/var/lib/ocsinventory-reports など)の所有者と権限を確認
  • エージェントからデータが到着しているか検証

テストケース/受け入れ基準

  1. 管理コンソールに admin でログインできる
  2. サーバが MySQL に接続できる(ocsweb のスキーマが読み込まれている)
  3. 最低 1 台のクライアントにエージェントをインストールし、資産情報がコンソールに表示される
  4. 配布機能を使う場合、配布パッケージをアップロードして対象クライアントに配信できる
  5. Apache と Communication server が正しく起動し、ログに重大なエラーがない

よくある障害と対処

  • MySQL に接続できない:

    • MySQL サービスが起動しているか確認(/etc/init.d/mysqld status)
    • ユーザー名・パスワード・ホスト(’ocs’@’localhost’ など)を確認
    • MySQL の bind-address が外部接続を制限している場合は設定を見直す
  • Apache で PERL 関連のエラー:

    • mod_perl が正しくインストールされているか確認
    • Apache のエラーログ(/var/log/httpd/error_log)を確認
  • PHP アップロード失敗:

    • /etc/php.ini の post_max_size と upload_max_filesize を確認
    • 一時ディレクトリの権限を確認
  • エージェントがサーバに接続しない:

    • エージェントの設定でサーバ IP/ホスト名が正しいか確認
    • サーバのファイアウォールが接続を遮断していないか確認
    • サーバのアクセスログ(/var/log/httpd/access_log)で到達ログを確認

代替アプローチと移行のヒント

  • OS をアップグレード可能なら CentOS 7/8 以降や RHEL、Alma/Rocky Linux などサポートのあるプラットフォームへの移行を推奨します。OCS のバージョン互換性を確認し、新しいディストリのパッケージ管理(yum/dnf)経由でインストールする方が簡単です。

  • コンテナ化: 既存環境を変更したくない場合は Docker コンテナで OCS を稼働させる選択肢もあります(ただし永続ボリュームやネットワーク設定に注意)。

  • データ移行: 古いデータベースから新しいサーバへ移行する場合は mysqldump を使ったエクスポート/インポートが一般的です。テーブル構造の差異に注意してください。

運用上の注意(セキュリティ・プライバシー)

  • デフォルト管理アカウントのまま運用しない。初期ログイン後にパスワードを変更する。
  • 管理コンソールは HTTPS(SSL/TLS)で保護する。Apache の仮想ホストで SSL を有効にすること。
  • データベース接続情報やインストールスクリプトはサーバに残さない。インストール後は関連スクリプトを削除する。
  • 個人情報や端末情報を収集する場合の社内ポリシーや法令(国内の個人情報保護法)に従う。

役割別チェックリスト

管理者(インフラ管理者):

  • OS とパッケージの更新計画を立てる
  • バックアップとリストアの手順を用意する
  • ログ監視・アラートの設定を行う

運用担当(オンコール/運用):

  • 毎日のサービス稼働確認(Apache/MySQL/Communication server)
  • エージェント未到着端末の調査フローを保持
  • 配布ジョブの実行結果を確認

セキュリティ担当:

  • 管理画面アクセスのログを監査
  • SSL/TLS 設定と証明書の期限管理
  • 最小権限の原則に基づく DB ユーザーとファイル権限設定

主要項目ファクトボックス

  • 必要サービス: Apache, MySQL, Perl, PHP
  • 主要ポート: HTTP 80, MySQL 3306
  • デフォルト DB 名: ocsweb
  • デフォルト管理ユーザー: admin
  • 重要ディレクトリ: /usr/share/ocsinventory-reports, /var/lib/ocsinventory-reports, /var/log/ocsinventory-server

ローカル環境における注意点(日本向け)

  • 企業ネットワークで導入する際は、代理サーバやプロキシ経由のアクセス制御がある場合にエージェントの通信設定を合わせる。
  • 社内セキュリティ基準や個人情報保護方針に従い、収集対象情報の範囲を事前に明確化する。

参考リンク

OCS Inventory ドキュメント: http://wiki.ocsinventory-ng.org/index.php/Documentation:Main

ダウンロード例(インストールで使用した元ファイル): http://launchpad.net/ocsinventory-server/stable-2.0/2.0rc1/+download/OCSNG_UNIX_SERVER-2.0rc1.tar.gz


まとめ: CentOS 5.5 上での OCS Inventory NG Server 2 のインストールは、MySQL・Apache・Perl・PHP の前提を満たし、セットアップウィザードに従うことで比較的スムーズに行えます。だが、OS の EOL やセキュリティ面を考慮して、可能なら最新のサポートされた環境への移行を計画してください。

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