概要
AppleがMacBook Proに導入したOLED表示のキーボードディスプレイ「Touch Bar」は、アプリに応じて表示内容が変わる新しい入力インターフェースです。9to5Macの報道によれば、開発者がGitHubで公開したTouch Bar Demoというアプリにより、実機がなくてもTouch Barの動作を無料で試せます。
この記事では、2つの利用方法(macOS上での仮想表示/iPadを接続して実機のように使う)について、準備手順、互換性、注意点、代替案、受け入れ基準、チェックリストなどを分かりやすくまとめます。
使える環境(互換性)
- macOS: Sierra 10.12.1 build 16B2657 以降が必要。Touch Bar機能がOSに組み込まれているビルドでなければ動作しません。
- iPad: USB接続でMacに接続できるiPad(iOS側のビルド要件はプロジェクトで確認してください)。
- 開発環境: iOSアプリをビルドするにはXcodeで TouchBar.xcodeproj を開き、TouchBarClient ターゲットを選択してデバイスを指定します。
重要: macOSの古いビルドでは動作しないため、まずシステム環境設定 > ソフトウェア・アップデートでOSが要件を満たすか確認してください。
インストールと起動手順(macOS上で仮想Touch Barを使う)
- GitHubのリリースページから最新のZIPをダウンロードします。
- ZIPを解凍し、アプリを /Applications フォルダに移動します。
- 初回起動時はmacOSのセキュリティでブロックされる場合があります。その場合はアプリを Ctrl+クリックして「開く」を選び、許可して起動します。
- アプリを実行して、任意のアプリをアクティブにした状態で Fn キーを押すと、Touch Barが画面に表示されます。
動作: Touch Barがアクティブなアプリに応じてアニメーションで切り替わります。タッチパネルではないため、画面上のアイコンはクリックで選択します。
iPadを接続してフル機能を使う手順
- MacとiPadをUSBケーブルで接続します。
- GitHubのプロジェクト内のTouchBar.xcodeprojを開き、TouchBarClientターゲットを選択してiPadにビルド・インストールします。
- iPad上に仮想Touch Barが表示され、Macのアプリに応じて表示が即座に切り替わります。
ポイント: iPad接続の方法は、macOS上での操作よりも実機に近い操作感を得られます。画面上のアイコンはタップで反応します。
重要: Xcodeからデバイスにインストールするには、開発者アカウントや適切なコード署名が必要な場合があります。エラーが出た場合はXcodeのログを確認してください。
何が期待できて何が期待できないか(利点と制限)
利点:
- 実際のTouch Barがなくてもインタフェースを把握できる。
- iPadを使えばタッチ操作でほぼ実機相当の体験が可能。
- 無料で試せるため、アプリ開発やUI設計のプレビューに便利。
制限:
- macOS上での実装はタッチ操作ではないため、実機の感触は再現できない。
- すべてのTouch Bar APIやジェスチャが完全に再現されるわけではない。
- 古いmacOSビルドや非対応のハードウェアでは利用不可。
代替アプローチ
- 市販ソフトを使う: 一部のユーティリティは既存のキーボードや外部ディスプレイ上で似たUIを模擬します(例: キーボードカスタマイズツール)。利用時は互換性とライセンスを確認してください。
- ハードウェア改造: 物理的なTouch Barパネルを組み込むプロジェクトもありますが、リスクや手間が大きく推奨しません。
- 開発用サンプル: 開発者はAppleの公式ドキュメントやサンプルコードでAPIや挙動を学ぶのが確実です。
受け入れ基準(テスト例)
- Fnキーを押すと仮想Touch Barが表示される。
- 表示内容がアクティブなアプリに応じて切り替わる。
- iPad接続時、タップ操作でアイコンが反応する。
- macOS 10.12.1 build 16B2657 未満では起動しないことを確認する。
開発者向けチェックリスト
- macOS が 10.12.1 build 16B2657 以降であることを確認
- GitHubから最新ZIPを取得して解凍
- /Applications にアプリを配置して権限を許可
- (iPad使用時)Xcodeで TouchBar.xcodeproj を開き、TouchBarClient をターゲットに指定
- デバイスにインストールして動作確認
一般ユーザー向けチェックリスト
- macOSをアップデートして要件を満たす
- ZIPをダウンロードしてアプリを起動
- Fnキーを押して表示を確認
- iPadを接続する場合はケーブルとiPadの準備
互換性マトリクス(要点)
- macOS 10.12.1 build 16B2657 以上: mac上での仮想表示が可能
- macOS < 10.12.1: 非対応
- iPad(最近のiOS)+ USB: フル機能(Xcodeでのクライアントインストールが前提)
短い用語集
- Touch Bar: MacBook Proのキーボード上に配置されるOLEDベースの横長ディスプレイ。
- TouchBarClient: GitHubプロジェクト内のiOSクライアントターゲット名。
トラブルシューティングのヒント
- 起動できない: セキュリティ > 一般 でブロック解除を行う。
- Xcodeからインストールできない: ケーブル接続、デバイスの信頼設定、署名設定を確認。
- 表示が切り替わらない: 該当アプリがフォアグラウンドか確認し、アプリ側でTouch Barのカスタム表示をサポートしているか確認。
まとめ
Touch Bar Demoは、実機がなくてもTouch Barの挙動を理解するのに役立つシンプルで実用的なツールです。macOS上で手軽に試す方法と、iPadを使ってより実機に近い体験を得る方法の両方が提供されています。開発者はXcodeでクライアントをビルドする手順を踏む必要がありますが、一般ユーザーでもFnキーで簡単に試せます。
出典: 9to5Mac
著者
編集