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win32kfull.sys のブルースクリーン(BSOD)を修正する方法

3 min read トラブルシューティング 更新されました 19 Oct 2025
win32kfull.sys のブルースクリーンを修正する完全ガイド
win32kfull.sys のブルースクリーンを修正する完全ガイド

win32kfull.sys によるブルースクリーンが表示された PC 画面

概要と目的

このガイドは、win32kfull.sys に関連するブルースクリーン(例: SYSTEM_SERVICE_EXCEPTION、APC_INDEX_MISMATCH、PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA)を診断し、段階的に修復するための実務的な手順をまとめたものです。対象はエンドユーザー、ヘルプデスク、システム管理者で、再現手順、原因切り分け、修復、検証まで網羅しています。

重要: ここで示す操作はシステムファイルやドライバーに関わるため、実行前に重要データのバックアップを必ず取得してください。

win32kfull.sys とは何か

win32kfull.sys はカーネルモードのシステムファイルの一つで、ユーザーインターフェース(GDI、ウィンドウ系)や入力デバイスなどとカーネルのやり取りを行う役割があります。拡張子 .sys はデバイスドライバーやカーネル関連ファイルを示します。これらのファイルが破損したり、互換性のないドライバーやソフトウェアと衝突すると、システムが stop エラー(ブルースクリーン)を出すことがあります。

定義(1行): win32kfull.sys は Windows のカーネル領域で動作する重要なシステムドライバーで、GUI とカーネルの橋渡しをします。

典型的な原因

  • デバイスドライバーの不整合、古い/破損したドライバー
  • 最近インストールしたソフトウェアやプリンタドライバーの不具合
  • システムファイルの破損(win32kfull.sys 自体または依存ファイル)
  • メモリ(RAM)の不具合
  • ストレージの論理/物理エラー
  • サードパーティ製のセキュリティソフトや低レベルユーティリティの干渉

事前準備(全員共通)

  • 重要データのバックアップを作成する(外付け HDD、クラウド、NAS など)
  • 可能なら復元ポイントを作成する(Windows の復元ポイント)
  • 管理者権限のあるアカウントで操作する
  • ネットワーク接続(インターネット)を確保する

早期確認(まず試すべきこと)

  1. PC を再起動して問題が一時的か確認する。多くの一時的なエラーは再起動で回復することがある。
  2. エラー発生直前に新しいソフトウェアやドライバーをインストールしていないか確認する。
  3. セーフモードで起動してエラーの再現性を確認する。セーフモードで発生しない場合はドライバー/ソフトが疑わしい。

手順: セーフモードで起動するには、Windows 10/11 なら「設定 > 回復 > 今すぐ再起動(詳細スタートアップ)」からトラブルシューティング > 詳細オプション > スタートアップ設定 でセーフモードを選択します。

修復方法(段階的)

以下は推奨される実行順です。各ステップを一つずつ実行し、問題が解決したら以降の手順は不要です。

方法 1: デバイスドライバーを更新・ロールバックする

ドライバーの問題は win32kfull.sys による BSOD の最も一般的な原因です。

手順(デバイスマネージャー経由):

  1. スタートを右クリックして「デバイスマネージャー」を開く。
  2. 問題になりやすいカテゴリ(ディスプレイアダプター、プリンタ、ネットワークアダプター、マウス/キーボード)を展開する。
  3. 各デバイスを右クリックし「ドライバーの更新」を選択して「ドライバー ソフトウェアの最新版を自動検索」または製造元サイトから取得したドライバーを手動で適用。
  4. 最近ドライバー更新後に問題が始まった場合は、対象デバイスを右クリックして「プロパティ > ドライバー > ドライバーのロールバック」を実行。

注意: ドライバーの更新は公式メーカー(Dell、HP、Lenovo、NVIDIA、AMD、Intel など)のダウンロードページから、OS バージョンに合ったものを入手してください。

代替: 自動ツール(例: 商用または無償のドライバー更新ツール)を使うと手間は減りますが、公式ドライバーを優先してください。サードパーティ製ツールは使う前に評判とレビューを確認しましょう。

方法 2: Windows を最新に更新する

Microsoft はセキュリティ更新やシステムファイルの修正を配布します。最新の更新を適用することで既知のバグが修正されることがあります。

Windows 10 / 11:

  • 設定 > 更新とセキュリティ > Windows Update を開く
  • 「更新プログラムのチェック」をクリックして表示された更新を適用
  • 更新後は再起動して問題が解決するか確認

Windows 7(サポート終了済みだが現場に残る場合の手順):

  • コントロールパネル > システムとセキュリティ > Windows Update から「更新プログラムの確認」を実行
  • サービスが無効な環境や企業のエンドポイントでは、組織の更新プロセスに従ってください

重要: 大きな機能更新を適用するとドライバー互換性が変わる場合があるため、企業環境ではテスト後に展開してください。

Windows の更新と修正を示すイメージ

方法 3: システムファイルチェッカー(SFC)とDISMを実行する

sfc は破損したシステムファイルを検出・修復します。DISM は Windows イメージの整合性を修復します。順序は DISM → SFC の方が推奨されます(オンライン修復を行う場合)。

手順(管理者コマンドプロンプト):

  1. 管理者としてコマンドプロンプトを開く(検索ボックスに cmd と入力し、Ctrl+Shift+Enter)。
  2. 以下のコマンドを順に実行:
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
sfc /scannow
  1. DISM がオフラインイメージを使う必要がある場合や失敗する場合は、インストールメディアを指定して実行する方法を確認してください。
  2. SFC が修復を完了したら再起動して、エラーが解消されたか確認。

所要時間: 環境により 10〜60 分程度。

方法 4: メモリとディスクのハードウェアチェック

RAM やストレージ障害は PAGE_FAULT_IN_NONPAGED_AREA 等の BSOD を引き起こします。

メモリ診断手順:

  • スタートで「Windows メモリ診断」と入力し起動
  • 「今すぐ再起動して問題を確認する(推奨)」を選択
  • 再起動後、メモリ診断が自動実行され、完了後に結果がログに記録されます(イベントビューアで確認可能)。

詳細なメモリ検査が必要な場合は MemTest86 のようなブート可能なツールで数パス実行してください。

ディスクチェック手順:

  • 管理者コマンドプロンプトで次を実行:
chkdsk C: /f /r
  • システムドライブの場合、次回再起動時にスキャンが実行されます。物理的不良セクターがある場合は SMART レポートやベンダー製診断ツールで確認してください。

方法 5: 最近インストールしたソフトウェアまたはプリンタを再インストール/アンインストールする

問題発生が最近のソフトウェアインストールと時期が一致する場合、そのソフトが原因のことが多いです。特に印刷や描画に関わるドライバー(プリンタ、PDF プリンタ、仮想プリンタ)、低レベルユーティリティ(フック系ツール)を疑います。

手順:

  1. コントロールパネル > プログラムと機能(または Windows 10/11 の「アプリ」)で対象ソフトをアンインストール。
  2. 公式サイトから最新のソフトまたはドライバーをダウンロードして再インストール(必ず公式配布元から)。
  3. 再インストール後に再起動して確認。

方法 6: システムの復元またはクリーンインストール

復元ポイントが存在する場合、安定していた時点に戻すのが早い解決策です。復元で改善しない、またはシステムファイルが深刻に破損している場合はクリーンインストール(またはリフレッシュ)を検討します。

手順(復元):

  • コントロールパネル > 回復 > システムの復元 を選び、案内に従って適切な復元ポイントを選択。

クリーンインストール:

  • USB インストールメディアを作成し、重要なデータをバックアップした上でインストールを実行。
  • プロダクトキーやライセンス、再インストール後のドライバー・アプリ準備を事前に行う。

注意: クリーンインストールは最終手段です。組織内では IT ポリシーに従ってください。

方法 7: Reimage 等のサードパーティツールについて

Reimage のような Windows 修復ツールは欠損したファイルを自社配布イメージに置換することで問題を解決する場合がありますが、商用ソフトは動作保証や費用が発生します。使う前にレビューを確認し、重要データをバックアップしてください。

追加のトラブルシューティング: ログとデバッグ

  • イベントビューア(イベント ビューアー > Windows ログ > システム / アプリケーション)でエラー発生時刻のログを確認。
  • ミニダンプ(%SystemRoot%\Minidump)を取得し、WinDbg(Windows SDK)や WhoCrashed で解析すると、どのモジュールがクラッシュを引き起こしたかを特定できます。
  • ドライバー署名の問題やサードパーティのカーネルドライバーが原因であれば、ドライバーのファイル名やベンダーをログから特定可能です。

いつ上の手順で失敗するか(反例)

  • ハードウェア故障(複数の HDD/SSD、RAM スロット不良、電源不良)がある場合、ソフトウェア修復では根本解決しない。
  • エンタープライズ環境でカスタムカーネルドライバーやセキュリティ製品がある場合、修復にはベンダーの協力が必要。
  • Windows 自体がサポート切れ(例: Windows 7 の最新更新が無い環境)で既知の脆弱性や不具合が残る場合。

役割別チェックリスト

  • エンドユーザー:

    • 最近のインストールを確認・一旦アンインストール
    • Windows Update とドライバー更新を実行
    • データをバックアップ
  • ヘルプデスク:

    • SFC / DISM の実行
    • メモリ診断・chkdsk 実行
    • ミニダンプを収集して上位にエスカレーション
  • システム管理者:

    • ドライバー配布とロールバック管理(WSUS、MDM)
    • ハードウェア診断(SMART、HDD ベンダー診断)
    • WinDbg でクラッシュダンプ解析

インシデント対応フロー(短い実行手順)

  1. 現象確認: エラーコード(例: SYSTEM_SERVICE_EXCEPTION)を記録
  2. セーフモードで起動し再現確認
  3. ドライバーの更新・ロールバック
  4. SFC / DISM 実行
  5. メモリ / ディスク検査
  6. 復元ポイントまたは再インストール
  7. 必要ならベンダーサポートへ連絡

フローチャート(診断の流れ)

flowchart TD
  A[BSOD: win32kfull.sys] --> B{セーフモードで再現するか}
  B -- いいえ --> C[ドライバーまたはソフトが原因の可能性]
  C --> D[最近のインストールをアンインストールして確認]
  B -- はい --> E[ハードウェア/システムファイル問題を疑う]
  E --> F[DISM -> SFC 実行]
  F --> G{改善したか}
  G -- はい --> H[監視・経過観察]
  G -- いいえ --> I[メモリ診断と chkdsk 実行]
  I --> J{物理障害か}
  J -- はい --> K[ハードウェア交換またはメーカーへ]
  J -- いいえ --> L[復元またはクリーンインストール]

受け入れ基準(検証)

  • 5 回以上の通常稼働サイクル(シャットダウン→起動)で同一の BSOD が発生しないこと
  • 関連するイベントログに継続的なエラーが記録されないこと
  • SFC / DISM の実行後に “Windows リソース保護はリソースの整合性違反を検出しませんでした” か、修復が成功した旨が出力されること

テストケース(簡易)

  • 再現性テスト: 問題発生前と同じ操作を 3 回再現してエラーが生じないことを確認
  • ドライバーロールバック: 最新ドライバーから前バージョンへ戻して再起動し、BSOD が消えるか確認
  • メモリ除外テスト: デュアルチャネル構成の片方を外して問題が再現するか確認

用語集(1行定義)

  • BSOD: ブルースクリーン(システムが重大エラーで停止した画面)
  • SFC: System File Checker(システムファイルの整合性を検査・修復するツール)
  • DISM: Deployment Image Servicing and Management(Windows イメージの修復ツール)
  • Minidump: ブルースクリーン発生時に保存される小規模なダンプファイル

ロールバックと復旧の手順(短期)

  1. 影響のあるドライバーを特定し、ロールバックまたは削除
  2. Windows の復元ポイントで安全だった時点へ戻す
  3. 問題が解決したら、障害発生前の構成を段階的に再適用し、どの操作で再発するか確認

セキュリティとプライバシー上の注意

  • 不明なサードパーティ製ツールをダウンロードする際は、配布元の信頼性を確認する。
  • 専用ツールで生成される診断データをサポートに送る際は、個人情報が含まれていないかを確認する。

代替アプローチとベストプラクティス

  • まずは最小権限かつ最小変更で切り分け(1 つずつ変更)すること
  • 企業環境では変更を段階的にロールアウト、影響範囲を限定する
  • 定期的な Windows Update、ドライバー更新、ハードウェア監視をルーチン化する

エッジケース集

  • 古いプリンタドライバー(32bit 用など)が 64bit 環境で誤って入った場合はブルースクリーンを誘発することがある
  • 仮想化ホスト上でゲスト OS のドライバー不整合によりホストまで影響する事例(稀)

最後に

上記の手順でほとんどの win32kfull.sys に関連したブルースクリーンは解決できます。もしここに書かれている方法ですぐ解決しない場合は、ミニダンプの解析結果(またはイベントログの該当箇所)を用意してハードウェアベンダーまたは Microsoft サポートに連絡してください。

Windows 更新やドライバー修復で問題を解決するイメージ

要点まとめ:

  • 最初にドライバーと Windows Update を確認
  • SFC / DISM、メモリ診断、chkdsk を実行
  • 最近のソフトやプリンタドライバーを疑う
  • 最終手段は復元かクリーンインストール

重要: 変更を加える前に必ずバックアップを取り、可能であれば検証環境で試してから本番へ適用してください。

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