Windowsで「WLAN AutoConfig サービスを開始できません」エラーを修正する方法
重要: 下記の手順の多くは管理者権限を必要とします。レジストリを変更する前に必ずバックアップを作成してください。
概要
このガイドでは、Windowsで「WLAN AutoConfig サービスを開始できません」というエラーが出た場合の原因解析と、段階的な修復手順を詳しく説明します。家庭のPCから企業の端末まで、幅広い環境で使える検証済みのチェックリストと操作順を含めています。
想定読者: エンドユーザー、ヘルプデスク、システム管理者
一次目的: WLAN AutoConfig サービスが起動しない問題を解決する
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なぜこのエラーが発生するのか — 主な原因
以下はよくある原因です。ひとつだけでなく、複数の要因が重なることもあります。
- ドライバーの古さや破損: WLANアダプターのドライバーが古い、壊れている、あるいはOSと互換性がない場合にサービスが正常に動作しません。
- サービス依存関係の問題: WLAN AutoConfigは Remote Procedure Call(RPC)やDCOM Server Process Launcherなど、ほかのサービスに依存します。依存サービスが停止していると起動に失敗します。
- レジストリ設定の不正: サービスの依存関係を示すDependOnServiceなどのレジストリ値が誤っていると、サービスが期待どおりにロードされません。
- システム破損やマルウェア: システムファイルの破損や悪意あるソフトウェアが原因でサービスが機能しなくなることがあります。
重要: 根本原因を特定することが再発防止には最も効果的です。まずは簡単な手順から実施し、改善がなければ段階的に深い調査へ進んでください。
事前準備
- 管理者アカウントへ切り替える。
- レジストリを編集する場合はレジストリのバックアップを作成する。
- 重要データはバックアップ(外付けHDDやクラウド)を行う。
ノート: 企業環境ではグループポリシーや管理ツールにより手順が制限されることがあります。会社のITポリシーに従ってください。
1. まずは簡単な確認と予備対処(プリリミナリ修正)
これらは手軽に試せる対処です。多くの場合、ここで改善します。
- Wi‑Fiの電波強度を確認する。ルーターに近づいて試す。
- PCとルーターを再起動する。両方の再起動で一時的な不具合が解消することがある。
- 機内モードが有効になっていないか確認する。タスクバーの無線アイコンまたは設定で確認する。
- 別の無線ネットワークに接続してみる。接続可能であれば端末側の設定/ドライバーが原因の可能性が高い。
- USBや外付けのネットワーク機器がある場合は一旦取り外して再度試す。
重要: これらは根本解決ではありませんが、最初に試すべき短時間の確認です。
2. Windows ネットワークトラブルシューターを実行する
Windowsにはネットワーク接続の問題を自動診断する機能があります。まずはこれを実行してみましょう。
手順:
- 「Windows」キーを押して設定を開く。あるいは「Windows」+「I」を押す。
- 「システム」→「トラブルシューティング」を開く。
- 「その他のトラブルシューティング」を選択する。
- “ネットワークアダプター” の行で「実行」をクリックする。
トラブルシューターが問題を検出した場合、修復を試みるか、ユーザーに推奨を表示します。問題が見つからない場合は次の手順へ進んでください。
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画像の説明: トラブルシューティング画面で機内モードやネットワーク関連のオプションを表示している例
3. ネットワークアダプターを有効にしてドライバーを更新する
ドライバーの問題は最も多い原因の一つです。デバイスマネージャーでアダプターを確認し、有効化および更新を行います。
手順:
- 「Windows」+「S」で検索画面を開く。
- 『デバイスマネージャー』と入力して開く。
- 「ネットワーク アダプター」を展開する。
- 無線アダプターを右クリックして「デバイスの有効化」を選ぶ(無効になっている場合)。
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画像の説明: デバイスマネージャーでネットワークアダプターを右クリックし有効化する手順のスクリーンショット
- 同じアダプターを右クリックして「ドライバーの更新」→「ドライバー ソフトウェアの最新版を自動検索」を選択する。
画像:
画像の説明: デバイスマネージャーで自動的にドライバーを検索して更新する手順のスクリーンショット
- メーカーの公式サイトから直接最新ドライバーをダウンロードしてインストールする方法も有効です。特にBroadcom、Intel、Realtekなどのチップベンダー製品はメーカー提供ドライバーが安定することがあります。
確認後、PCを再起動して問題が解決したか確認してください。
注意: Windowsの自動更新が古いドライバーを当てる場合があります。メーカー提供の最新ドライバーを優先して試してください。
4. レジストリ修正 — DependOnService を確認・修正する
警告: レジストリの変更はリスクを伴います。必ずバックアップを作成してください。
このエラーで有効だった対処法の1つに、DhcpサービスのDependOnService値を編集し、余分な依存関係を取り除く方法があります。
手順:
- 「Windows」+「R」を押してファイル名を指定して実行を開く。
- 『regedit』と入力してEnter。ユーザーアカウント制御で『はい』を選択する。
- 次のキーへ移動する:
HKEY_LOCAL_MACHINE\SYSTEM\CurrentControlSet\Services\Dhcp
- 右ペインで『DependOnService』という文字列値を探し、ダブルクリックする。
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画像の説明: レジストリエディタでDependOnService値を示すスクリーンショット
- 値の中身から『Afd』以外を削除して保存する(環境によって必要な依存関係は異なるため、変更前に必ずバックアップを取ること)。
画像:
画像の説明: DependOnServiceの値に『Afd』のみを残す例
- レジストリエディタを閉じてPCを再起動する。
戻し方(ロールバック): もし不具合が出れば、レジストリバックアップを用いて元の状態に復元してください。
いつ使うか: ドライバー更新やサービス再起動で治らない場合に試す手順です。企業ではグループポリシーで管理されていることがあり、IT部門に相談してください。
5. サービスを再起動し、起動の種類を確認する
WLAN AutoConfigサービス自体が一時的な不具合を起こしていることがあります。サービス管理ツールで再起動と自動起動設定を行います。
手順:
- 「Windows」+「R」を押し、『services.msc』と入力してEnter。
- サービス一覧から「WLAN AutoConfig」を探す。
画像:
画像の説明: サービス一覧でWLAN AutoConfigを選択してプロパティを開く例
- 右クリックで『プロパティ』を開く。
- 『停止』をクリックして数秒待ち、再度『開始』をクリックする。
- 『スタートアップの種類』を『自動』に設定し、『適用』→『OK』を押す。
画像:
画像の説明: WLAN AutoConfigのプロパティで停止と開始、スタートアップの種類を自動に設定する手順のスクリーンショット
- 同様に、Remote Procedure Call(RPC)とDCOM Server Process Launcherも起動しているか確認し、必要なら再起動する。
結果: サービスの一時的な障害や条件不一致が原因の場合はこれで改善することが多いです。
6. 追加の診断と修復(高度な手順)
上記で改善しない場合、より深い診断が必要です。以下の手順を上から順に試していきます。
- SFC/DISMでシステムファイルを修復する
- 管理者としてコマンドプロンプトを開き、以下を順に実行します:
sfc /scannow
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
SFCは壊れたシステムファイルを修復し、DISMはWindowsイメージを修復します。実行後に再起動してください。
ネットワーク設定をリセットする
- 設定→ネットワークとインターネット→状態→ネットワークのリセット を実行する。
- 注意: 保存されたWi‑FiのパスワードとVPN設定が消える可能性があります。
セーフモードで問題を確認する
- セーフモードで起動し、同じ問題が発生するか確かめます。セーフモードで問題が消える場合、サードパーティのドライバーやソフトウェアが原因の可能性が高いです。
マルウェアスキャンを実行する
- Windows Defenderや信頼できるアンチウイルスでフルスキャンを実行します。
メーカー製のネットワーク診断ツールを使う
- PCメーカーやチップベンダー(Intel、Broadcom、Realtekなど)が提供する診断ツールやドライバーアンインストーラーを使って完全アンインストール→クリーンインストールを行う。
BIOS/UEFIで無線デバイスが無効になっていないか確認する
- 一部ノートPCはBIOSで無線デバイスのオン/オフを管理しています。BIOS設定を確認してください。
7. 典型的な失敗例と代替アプローチ
失敗例: デバイスマネージャーでドライバーを更新したが、Windows Updateが古いドライバーで上書きしてしまう。
- 対処: メーカーサイトのドライバーをダウンロード後、ドライバーの署名とバージョンを確認して手動でインストールする。必要ならWindows Updateの自動ドライバー更新を無効化するポリシーを検討する。
失敗例: レジストリを編集しても症状が改善しない。
- 対処: 依存関係を示す他のサービス設定や、イベントビューアのエラーを精査する。イベントログにエラーIDが出ている場合はそのIDで検索し、関連情報を参照する。
代替アプローチ:
- クリーンインストールを避けたい場合は、Windowsのシステムの復元ポイントで問題発生前に戻す。
- 企業環境ではプロビジョニングツール(Intune、SCCM)を利用して一括でドライバー配布やポリシー適用を行う。
意思決定を助ける短いフローチャート
以下は簡易的な診断フローです。シンプルなMermaid図として提示します。
flowchart TD
A[問題発生: WLAN AutoConfig 起動失敗] --> B{簡易確認}
B -->|電波弱い/再起動で直る| C[解決]
B -->|改善しない| D[トラブルシューター実行]
D -->|問題検出| C
D -->|何も検出されない| E[ドライバー確認]
E -->|更新で解決| C
E -->|改善しない| F[レジストリのDependOnService確認]
F -->|修正で解決| C
F -->|改善しない| G[サービス再起動/依存サービス確認]
G -->|解決| C
G -->|未解決| H[高度診断: SFC/DISM, マルウェア, BIOS]
H --> I[IT/専門家へエスカレーション]
I --> J[解決またはクリーンインストール]
8. 役割別チェックリスト(エンドユーザー、ヘルプデスク、管理者)
エンドユーザー:
- PCとルーターを再起動した
- 機内モードを確認した
- 別ネットワークで試した
- 管理者に連絡できるようにエラーメッセージと時刻をメモした
ヘルプデスク:
- トラブルシューター実行結果を確認
- デバイスマネージャーでアダプターの状態を確認
- 最新ドライバーを用意し、手順書に沿って適用
- ローカルでSFC/DISMを実行
システム管理者:
- グループポリシーでサービスやドライバーの制御がないか確認
- 管理用ソフトでドライバー展開を計画
- イベントビューアのログを収集して原因分析
- 必要ならレジストリと復元ポイントの管理を行う
9. テストケースと受け入れ基準
テストケース1: ドライバー更新
- 期待結果: 最新ドライバー適用後、WLAN AutoConfigサービスが自動で開始され、Wi‑Fiに接続できる。
テストケース2: レジストリ修正
- 前提: レジストリバックアップが存在すること
- 手順: DependOnServiceを編集してPCを再起動
- 期待結果: サービスが開始され、依存サービスも正常に稼働する
受け入れ基準(Критерии приёмки相当):
- WLAN AutoConfigサービスが「実行中」になっていること
- Windows起動後に自動でWi‑Fiへ接続できること(既知SSIDの場合)
- イベントビューアに同種のサービスエラーが記録されないこと
10. ロールバック手順(レジストリ/ドライバー)
レジストリ:
- 編集前に『ファイル』→『エクスポート』でバックアップを作成しているはずです。これをダブルクリックして元に戻します。
- 復元後、PCを再起動して動作を確認します。
ドライバー:
- デバイスマネージャーで該当アダプターを右クリック→『プロパティ』→『ドライバー』タブ→『ドライバーのロールバック』を実行する。
- ロールバックできない場合は、以前のドライバーをメーカーサイトからダウンロードして手動でインストールする。
11. イベントビューアでのログ確認方法
- 「Windows」+「X」→イベントビューアを開く。
- 「Windowsログ」→「システム」を選択する。
- 発生時刻周辺のエラー・警告をフィルタして、サービス名(WlanSvc)やエラーIDを探す。
ログのメッセージは原因特定に役立ちます。特に依存サービスが原因の場合、関連するサービス名やエラーコードが記録されます。
12. セキュリティとプライバシーに関する注意
- 不審なマルウェアはネットワーク関連サービスに影響を与えることがあります。信頼できるアンチウイルスでスキャンしてください。
- レジストリやシステム設定を編集する際は、個人情報が保存されている場所を誤って消さないように注意してください。
13. まとめと推奨手順(短縮版プレイブック)
短い手順(優先度順):
- 再起動と電波チェック
- トラブルシューター実行
- デバイスマネージャーでアダプター有効化とドライバー更新
- サービス再起動とスタートアップ種別を自動に設定
- DependOnServiceの検査と修正(バックアップ必須)
- SFC / DISM、ネットワークのリセット、マルウェアスキャン
- メーカー提供ツール/ITエスカレーション
ポイント: 手順を上から順番に実行し、各ステップ後に改善があれば以降の手順は不要です。
付録: 1行用語集
- WLAN AutoConfig: Windowsのワイヤレス接続を管理するサービス
- RPC: Remote Procedure Call。多くのWindowsサービスが依存する通信基盤
- DependOnService: サービスの依存関係を示すレジストリ値
要点まとめ:
- 多くの場合、ドライバー更新やサービス再起動で解決します。
- レジストリ変更は最終手段として扱い、必ずバックアップを作成してください。
- 企業環境ではポリシーや管理ツールが影響するためIT部門へ相談してください。
画像:
画像の説明: Windowsで無線接続に失敗した際に表示される一般的なエラー画面の例
最後に: もし上記をすべて試しても問題が継続する場合、ハードウェア故障(無線モジュールの物理故障)やメーカー固有の互換性問題の可能性があります。専門の技術サポートに相談してください。