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Vanguard のエラー「VAN9001: This build of Vanguard requires TPM 2.0 and secure boot to be enabled」を解決する方法

3 min read トラブルシューティング 更新されました 19 Oct 2025
Vanguard VAN9001 を解決:TPM 2.0 と Secure Boot の確認方法
Vanguard VAN9001 を解決:TPM 2.0 と Secure Boot の確認方法

ユーザーがWindowsゲーミングPCでチャット用マイクを使っている様子

このページは、Vanguard のエラーメッセージ「This build of Vanguard requires TPM 2.0 and secure boot to be enabled」を受け取ったときに原因を特定し、段階的に問題を解決するための詳細ガイドです。Valorant や他の Riot 製ゲームを Windows 11 上で起動しようとした際に多く見られます。

概要と用語の説明

このエラーのメッセージに出てくる用語を短く整理します。

  • Vanguard — Riot Games が提供するカーネルレベルのアンチチートソフトウェア。改ざんや不正ツールの検出を目的とします。
  • TPM — Trusted Platform Module。デバイス認証や鍵格納を行う専用ハードウェア(またはファームウェア実装)。TPM 2.0 が要件です。
  • Secure Boot — UEFI レベルの起動保護。ブートローダーが信頼済みの署名を持っていることを確認して、悪意あるブートキットの実行を防ぎます。

Vanguard はセキュリティの一環として TPM 2.0 と Secure Boot の両方を必要とします。どちらか一方が無効、またはハードウェアが非対応だとエラーが出ます。

まずはデバイスが TPM 2.0 と Secure Boot に対応しているか確認する

Windows 11 に正規にアップグレードしている PC の多くは両方に対応していますが、カスタムアップグレードや古いマシンでは例外があります。下記の手順で確認してください。

Secure Boot の対応状況を確認する手順

  1. スタートボタンを押すか検索ボックスに移動します。
  2. 「システム情報」と入力してシステム情報アプリを開きます。

Windows検索からシステム情報ウィンドウを開いている画面

  1. 左のパネルで「システムの概要」を選択します。
  2. 右側に表示される一覧で「BIOS モード」の値が UEFI になっているか確認します。
  3. 「Secure Boot の状態」が On または Off と表示されれば、機能はサポートされています。Unsupported と表示されていればサポート外です。

システム情報ウィンドウで Secure Boot のサポート状況を確認している様子

  • On:Secure Boot が有効
  • Off:Secure Boot はサポートされているが無効
  • Unsupported:ハードウェアが Secure Boot に対応していない

TPM の対応状況を確認する手順

TPM の有無とバージョンは以下のいずれかで確認できます。

  • Windows の検索で「tpm.msc」を実行して TPM 管理ツールを開く。ここで TPM のバージョン(例:2.0)と状態が確認できます。
  • 「システム情報」や「デバイスマネージャー」でも一部情報が得られます。

TPM が存在しない、またはバージョンが 2.0 未満なら、Vanguard の要求を満たすにはハードウェアのアップグレードまたは別の対応策が必要です。

TPM と Secure Boot を有効にする一般的な手順

TPM と Secure Boot は BIOS/UEFI 設定から有効にします。手順はマザーボードやメーカーによって異なるため、以下は一般的な流れです。

  1. 完全にシャットダウンしてから PC を再起動します。
  2. 起動時にメーカー指定のキー(Delete、F2、F10、F12、Esc など)を押して BIOS/UEFI 設定に入ります。
  3. セキュリティや Advanced、Trusted Computing などのタブを探します。
  4. TPM の項目は「TPM」、「PTT」(Intel)、「fTPM」(AMD)などと表記される場合があります。Enabled に切り替えます。
  5. Secure Boot を有効にします。モードが Legacy や CSM になっていると有効にならないため、UEFI に切り替える必要があります。
  6. 設定を保存して再起動します。

重要:Secure Boot を有効にすると、古い OS や一部の Linux ディストリビューション、古いドライバー、未署名のブートローダーが動作しなくなることがあります。デュアルブート環境では事前に注意してください。

メーカー別の補助情報(代表的な例)

  • Dell:BIOS で Secure Boot を有効にするためのサポート記事がある。UEFI モードの切り替えや TPM の有効化手順を参照してください。
  • Lenovo:Think 系や Legion 系それぞれの BIOS 設定画面に TPM/Intel PTT の説明があります。
  • ASUS:TPM は「fTPM」または「PTT」として表示されることが多いです。Secure Boot は Boot メニューで管理します。
  • HP:BIOS のセキュリティ設定に TPM と Secure Boot の項目があります。企業向けモデルでは管理者パスワードが必要な場合があります。

各社サポートページで「Enable Secure Boot」や「Enable TPM」などのキーワードで検索すると手順が見つかります。

TPM 名称の違いと注意点

  • Intel プラットフォーム:PTT(Platform Trust Technology)として実装されることがある。
  • AMD プラットフォーム:fTPM と呼ばれるファームウェア実装が多い。
  • 一部のマザーボードでは物理 TPM モジュールの取り付けが必要な場合がある(特に古い世代)。

TPM を有効にしても、Windows に TPM がまだ初期化されていない場合は「tpm.msc」から初期化手順を行う必要があります。

Secure Boot 非対応または TPM 未搭載の場合の選択肢

ハードウェアが対応していない場合、短期的に取れる選択肢は限られます。

  • ハードウェアをアップグレードする(マザーボード交換や TPM モジュールの取り付け、対応 CPU の導入など)。
  • 新しい PC を購入する。
  • Windows 10 に戻す(Windows 11 のセキュリティ要件を満たしていない PC では、Windows 10 上で Vanguard が要求するチェックが異なるためプレイできる場合があります)。

ダウングレードは簡単な作業ではありません。データのバックアップ、ライセンスキー、インストールメディアの準備を事前に行ってください。当面は Windows 10 でしかプレイできないこともあります。

両方有効なのにエラーが出る場合の詳細トラブルシューティング

両方が有効なのにまだ VAN9001 が出る場合は、以下の順で検証してください。

  1. Windows Update を実行して最新の更新を適用する。セキュリティやドライバーの修正が必要な場合があります。
  2. Vanguard 自体を最新にする。Riot のランチャーやゲームが自動で更新されているか確認します。
  3. 他のセキュリティソフト(サードパーティのアンチウイルスやセキュリティスイート)を一時的に無効化してテストします。Windows Defender も一時的にオフにして衝突の有無を確認します。
  4. ゲームをアンインストールして再インストールする。インストール時に Vanguard のドライバーが適切に導入されることが重要です。
  5. 管理者権限でゲームを実行してみる。カーネルドライバーの読み込みに権限が必要な場合があります。
  6. システムログ(イベントビューア)を確認して、Vanguard またはカーネルドライバーに関連するエラーを特定します。

よくある失敗例(ローカルでの回避が難しいケース)

  • 古い BIOS/UEFI で TPM のフレームワークを正しく認識しない。
  • マザーボードが TPM モジュールを必要とする設計で、モジュールが未接続。
  • Secure Boot を有効にするとデュアルブート環境が壊れるため無効化したままにしている。

これらは BIOS アップデート、モジュールの追加、または構成変更でしか解決できないことが多いです。

テストケースと受け入れ基準

変更後に問題が解決されたかを確認するための簡単な受け入れ基準とテストケース:

  • 受け入れ基準:システム情報で TPM 2.0 が存在し、Secure Boot の状態が On となっている。Valorant(または対象のゲーム)を起動して VAN9001 エラーが発生しない。

  • テストケース:

    • TPM を有効化して再起動後、tpm.msc でバージョンが 2.0 と表示されるか確認する。
    • BIOS を UEFI モードに設定し、Secure Boot の状態が On か確認する。
    • ゲームを起動して 5 分以内にクラッシュやアンチチート関連のエラーが出ないか確認する。

役割別チェックリスト

  • ゲーマー(エンドユーザー):

    • システム情報で TPM と Secure Boot のステータスを確認。バックアップを作成。
    • サードパーティのセキュリティソフトを一時停止してテスト。
    • ゲーム/Vanguard の再インストールを実施。
  • IT 管理者/技術者:

    • BIOS/UEFI の設定とファームウェアバージョンを確認。必要なら BIOS アップデートを計画。
    • マザーボードのマニュアルで TPM ピンヘッダや fTPM/PTT の設定を確認。
    • 大量導入環境ではグループポリシーやイメージに Secure Boot 設定を組み込む。

簡易意思決定フローチャート

以下は問題解決の流れを示す簡単なフローチャートです。

flowchart TD
  A[ゲーム起動で VAN9001 が発生] --> B[システム情報を確認]
  B --> C{Secure Boot と TPM 2.0 は対応か}
  C -->|はい| D{両方有効か}
  C -->|いいえ| E[ハードウェア更新またはWindows10へ復帰を検討]
  D -->|はい| F[Windows更新・Vanguard再インストール・セキュリティソフト無効化を試す]
  D -->|いいえ| G[BIOSで TPM/Secure Boot を有効にして再起動]
  F --> H[問題解決とプレイ可能]
  G --> B
  E --> I[対策が無ければPC買替えまたはWindows10復帰]

ダウングレード(Windows 11 から Windows 10)を検討する場合

ハードウェアを今すぐ更新できない、あるいは OS 要件を満たさない旧世代ハードウェアであれば、Windows 10 に戻すという選択肢があります。ただし、次の点に注意してください。

  • 事前に重要なデータをすべてバックアップする。
  • Windows 10 のインストールメディアとライセンス、ドライバーを用意する。
  • 一部の最新機能やセキュリティ更新が利用できなくなる可能性がある。

ダウングレードは一時的な回避策であり、長期的には対応ハードウェアへの移行が望ましいです。

セキュリティとプライバシーに関する注意

TPM と Secure Boot を有効にすることは、マルウェアやブートキットに対する保護を強化します。Vanguard はカーネルレベルのドライバーを用いるため、これらの保護がある環境を前提に動作します。セキュリティソフトを恒久的に無効にするのは推奨しません。

1行用語集

  • TPM 2.0:デバイスの識別と鍵管理を行うハードウェア/ファームウェア。
  • Secure Boot:UEFI ブート時に署名済みブートローダーのみを許可する機能。
  • PTT / fTPM:それぞれ Intel と AMD の TPM 実装名。

まとめ

Vanguard の VAN9001 エラーは TPM 2.0 と Secure Boot の両方が必要であることを示しています。まずは「システム情報」で両方のサポートとステータスを確認し、BIOS/UEFI で必要項目を有効にしてください。ハードウェアが非対応の場合は、PC のアップグレードか Windows 10 への復帰が選択肢です。問題が解決しない場合は、Windows の更新、Vanguard の再インストール、セキュリティソフトの一時無効化などを順に試してください。

重要: BIOS の変更や OS のダウングレードはリスクを伴います。必ず事前にデータのバックアップをとり、メーカーの指示を参照してください。

よくある質問

なぜ Vanguard は TPM と Secure Boot を要求するのですか

Vanguard は改ざんや不正ツールの検出にカーネルレベルの保護を用います。TPM と Secure Boot は起動時やデバイス認証の信頼性を高め、アンチチートの前提条件となることがあります。

BIOS に項目が見つからない場合はどうすればよいですか

マザーボードやノート PC のマニュアル、メーカーのサポートページを参照してください。必要であれば BIOS/UEFI のアップデートを検討します。

それでもエラーが消えない場合は?

イベントビューアのログを確認し、Riot のサポートに連絡するか、コミュニティフォーラムで同機種の事例を探してください。

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