概要
エラー126(LoadLibrary failed with error 126)は、ゲームやOpenGLを使うソフトで報告されることが多いWindowsの問題です。エラーダイアログでOKをクリックすると対象アプリが終了し、使用できなくなります。本稿はWindows 11 / 10を主対象に、原因別の対処法を詳細に解説します。多くの解決策は古いWindows(8、7、Vista)でも有効な場合がありますが、手順はバージョン差に応じて調整してください。
重要: この記事は手順説明を含みます。システムファイルやドライバー操作は管理者権限が必要です。実行前に重要なデータのバックアップを推奨します。
主な原因(短く定義)
- 権限不足: アプリが必要なシステムリソースにアクセスできない。
- 破損したシステムファイル: OS側のファイルが壊れている。
- グラフィックドライバーの競合や不整合: 特に複数GPU環境や古い/不適合ドライバー。
- マルチディスプレイ設定やGPUベンダー固有のライブラリ問題(例: AMD の atio6axx.dll)。
対処手順(優先度順)
1. 対象プログラムを管理者として実行する
短く言うと: 権限不足が原因のことが多いので、まずは管理者権限で起動します。
手順:
- 対象アプリのショートカットまたは実行ファイルを右クリックします。
- 「プロパティ」を開き、「互換性」タブを選択します。
- 「管理者としてこのプログラムを実行する」にチェックを入れ、「適用」→「OK」をクリックします。
効果: 一部のライブラリ読み込みが失敗していた場合、管理者権限で解決することがあります。
重要: 永続的に管理者で動かすことによりセキュリティ上のリスク増加が起きる可能性があります。信頼できるアプリに限定してください。
2. システムファイルチェッカー(SFC)を実行する
短く言うと: OSの破損したファイルを検査・修復します。
手順:
- 検索欄(Win + S)で「コマンドプロンプト」を検索します。
- 「管理者として実行」で起動します(右クリック → 管理者として実行)。
- 以下を実行してスキャンと修復を行います:
sfc /scannow
- スキャンが完了したらPCを再起動し、問題が解決するか確認します。
補足: SFCで解決しない場合、次に DISM を試すことがあります(Dism /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth)。ただし、DISMはネットワーク経由でイメージを修復するため、管理者権限とインターネット接続が必要です。
3. 二次グラフィックスアダプター(統合GPU)を無効化する
短く言うと: マルチGPU(内蔵+独立)の環境でドライバーが競合している場合があります。統合GPUを一時的に無効にして確認します。
手順 (Windows 11 / 10):
- タスクバーの「スタート」を右クリックして、表示されるメニューから「デバイス マネージャー」を選びます。
- 「ディスプレイ アダプター」をダブルクリックして展開します。
- 統合GPU(通常Intel表記のデバイス)を右クリックして「デバイスの無効化」を選択します。
- 確認ダイアログで「はい」をクリックします。
- 対象アプリを起動してエラーが消えるか確認します。
画像参照:
注意: 無効化はテスト目的で行ってください。ドライバーの相互作用によっては表示や性能に影響が出ます。問題が解決したら、元に戻す判断をしてください。
4. atio6axx.dll をコピーする(AMD環境向けの古典対処)
短く言うと: atio6axx.dll は AMD の OpenGL 関連ドライバーDLLで、これに起因する問題を手作業で修正する古い対処法です。AMD製GPU搭載PCで報告されるケースがあります。
注意: 以下はAMD環境でのみ試すべき操作です。コマンドを実行する前に必ずシステムの復元ポイントを作成するか、重要データをバックアップしてください。
手順:
- Win + S で検索ボックスを開き、「コマンドプロンプト」と入力します。
- 検索結果で「コマンドプロンプト」を右クリックし、「管理者として実行」を選びます。
- コマンドプロンプトの初期フォルダが System32 でない場合、次を実行して移動しますn
cd \Windows\System32
- 次に、ファイルをコピーするコマンドを実行します(ソース記事の手順を忠実に示します):
copy atio6axx.dll .dll
解説: 上記のコマンドは古い手順のまま記載されています。実行結果や意味が不明瞭な場合、ファイルマネージャーで atio6axx.dll の場所を確認し、System32 に正しく配置されているか確認してください。コマンド実行でエラーが出る場合は、手動でDLLをコピーするか、次の「ドライバー更新」「再インストール」を優先してください。
重要: DLLの直接操作はシステムを不安定にするリスクがあります。最新ドライバーの再インストールが安全で確実な方法です。
5. 「このディスプレイをメインディスプレイにする」を選択する(マルチディスプレイ環境)
短く言うと: マルチモニター環境ではメインディスプレイの設定が影響することがあります。対象アプリが特定の表示デバイスを期待している場合、メイン表示を明示的に設定してみてください。
手順:
- Windowsキー + I で設定を開きます。
- 「システム」→「ディスプレイ」を選択します。
- 「複数のディスプレイ」を展開し、メインにしたいディスプレイを選択して「これをメインディスプレイにする」にチェックを入れます。
- 変更後にPCを再起動してアプリを試します。
代替: 一時的にセカンダリモニターを完全に外して単一モニターで試すのも有効です。問題が解決したら、セカンダリを別ポートに接続してみるなど接続方法を変えて再検証します。
6. GPUドライバーを更新する
短く言うと: 古い/不適合なドライバーが最も一般的な原因の一つです。最新の公式ドライバーを入手して更新してください。
方法:
- 自動ツールを使う: Driver Booster 等の更新支援ツールで簡便に更新できます。ただし外部ツールはデータベースの更新頻度や信頼性がツール毎に異なります。
- 手動で入手する(推奨): GPUベンダー(AMD、NVIDIA、Intel)の公式サイトから自分のモデル用の最新ドライバーをダウンロードしてインストールします。
画像参照:
ヒント: 手動インストールでは自分のGPUモデルとOSビット数(64bit/32bit)を正しく選択する必要があります。
7. GPUドライバーをクリーン再インストールする
短く言うと: ドライバーの更新で改善しない場合、古い残存ファイルや不整合を取り除くためにクリーンインストールを行います。
手順要点:
- 既存のGPUドライバーをアンインストールします(「プログラムと機能」または各ベンダーのアンインストーラを使用)。
- PCをセーフモードで起動し、Display Driver Uninstaller(DDU)などのツールで残存ドライバーを完全に削除する手順が一般的です。
- PCを再起動してから、GPUベンダー公式ドライバーをインストールします。
注意: DDUなどを使用する場合は公式手順に従い、ネットワーク接続が必要になることや一時的にディスプレイ解像度が低下することを想定してください。
8. クリーンブート(スタートアップとサービスの最小化)を試す
短く言うと: サードパーティープログラムや常駐サービスの干渉を排除するために最小構成で起動します。
手順要点:
- タスクマネージャーで「スタートアップ」タブを開き、不要なサードパーティ項目を無効にします。
- msconfig(システム構成)で「サービス」タブを開き、Microsoftのサービスを除外した上でサードパーティサービスを無効化します。
- 再起動してアプリを試します。
画像参照:
効果: 特定の常駐ソフトがロードライブラリの競合を引き起こしている場合、クリーンブートで原因を特定できます。
9. AMDソフトウェア(Catalyst / AMD Software)をアンインストールする
短く言うと: AMD純正のユーティリティや古いCatalystコンポーネントが干渉することがあります。不要であれば一度アンインストールして検証します。
手順要点:
- コントロールパネルの「プログラムと機能」から「AMD Software」または「AMD Catalyst」をアンインストールします。
- 再起動後、対象アプリを起動して問題が解決したか確認します。
画像参照:
補足: 完全に削除する場合は、ベンダー提供のアンインストーラやDDUを併用することを検討してください。
代替アプローチと注意点
- セーフモードでの動作確認: セーフモードで問題が発生しない場合、通常の起動時のドライバーや常駐ソフトが原因である可能性が高いです。
- システムの復元を使う: 問題が最近発生した場合は、エラー発生前の復元ポイントに戻すことが有効です。
- 新しいGPUを追加した直後に発生した場合は、古いドライバーの残存やBIOSの設定を疑います。
失敗するケース(反例):
- ハードウェア故障(GPU自体の故障、メモリエラー)では上記ソフトウェア対処では解決しません。
- 特定のゲームやアプリの内部欠陥(配布ファイルの破損)では、アプリの再インストールや最新パッチの適用が必要です。
判断フロー(簡易)
下のフローチャートはエラー126発生時の優先的な切り分け手順です。手順に沿って進めることで効率よく原因を特定できます。
flowchart TD
A[エラー126が出る] --> B{複数モニタ?}
B -- はい --> C[メインディスプレイを設定/セカンダリ切断]
B -- いいえ --> D[管理者として実行]
C --> E[改善した?]
D --> E
E -- はい --> Z[完了]
E -- いいえ --> F[SFC実行]
F --> G[改善した?]
G -- はい --> Z
G -- いいえ --> H{GPUベンダー}
H -- AMD --> I[atio6axx.dll対処 / AMDソフト削除]
H -- NVIDIA/Intel --> J[ドライバー更新/再インストール]
I --> K[改善した?]
J --> K
K -- はい --> Z
K -- いいえ --> L[クリーンブート / サポートへ相談]
L --> Z
Z[解決またはサポートへ]
ロール別チェックリスト
ユーザー(個人PC):
- 管理者実行を試した
- SFCを実行した
- 単一モニターで動作確認した
- ドライバーを手動で最新化した
IT管理者 / サポート担当:
- DDUで既存ドライバーの完全削除と再インストールを試す
- セーフモードでのログ取得(イベントビューア)
- ハードウェア診断(GPU、メモリ)の実行
- 必要ならベンダーサポートへログと環境情報を提供する
受け入れ基準(Критерии приёмки)
- 復旧手順実施後、対象アプリがエラー126を出さずに正常起動すること
- 再起動後にも問題が再現しないこと(少なくとも1回の再起動で確認)
1行用語集
- SFC: System File Checker。Windowsのシステムファイル整合性チェックツール。
- DDU: Display Driver Uninstaller。GPUドライバーを完全に削除するためのユーティリティ。
- atio6axx.dll: AMDのOpenGL関連のドライバーDLL(AMD特有のファイル)。
トラブルが続く場合の対応(次のステップ)
- イベントビューアーで「アプリケーション」と「システム」ログを確認し、LoadLibraryやDLL読み込み失敗に関する詳細なエラーを特定する。
- ベンダー(AMD、NVIDIA、Intel)公式フォーラムやサポートにログと環境(OSバージョン、GPUモデル、ドライバーバージョン)を提示して問い合わせる。
- ハードウェア故障を疑う場合、可能であれば別のGPUや別PCで問題の再現を試みる。
まとめ
エラー126は複数の原因で発生しますが、管理者実行、SFC、グラフィックドライバーの更新・再インストール、二次GPUの無効化、マルチディスプレイ設定の見直しで多くの場合解決します。AMD環境では atio6axx.dll に対する古い対策が有効なケースもありますが、DLLの直接操作はリスクを伴うため、まずはドライバーのクリーン再インストールを推奨します。問題が継続する場合はイベントログの収集、ベンダーサポートへの相談、ハードウェア診断を検討してください。
重要: 操作前に必ずバックアップを取り、管理者権限での作業やDLL編集は慎重に行ってください。
まとめの要点:
- 権限とシステムファイルの検査が最優先
- GPUドライバーの更新とクリーン再インストールが鍵
- マルチGPUやモニター設定が原因のことがある
- AMD固有のDLL対処はリスクを理解した上で実施