Macで「Apple Payが無効です」を修正する方法

重要: ここで紹介する手順は一時的な対処が主です。Apple側の公式パッチが配布されるまで、銀行やAppleサポートと連携してください。
問題の概要
最近のmacOSアップデート後に、多数のユーザーが次のようなメッセージを目にしています。
- 「Apple PayはこのMacのセキュリティ設定が変更されたため無効になっています」
- 「カードがApple Payで使用できません」
これらのエラーは、ソフトウェア側のセキュリティ設定変更が原因で発生することが多く、同様の報告がAppleのディスカッションフォーラムに多数寄せられています。本記事は、まず試すべき対処法を順を追って解説し、さらに状況に応じた追加手順、IT担当者向けの確認リストやトラブルシューティングの判断フローなども提供します。
主要な対処法(まず試すこと)
「システムデータファイルとセキュリティアップデートのインストール」を一度オフにして再度オンにする
多くの報告で解決に結び付いたのは、この設定のトグル操作です。手順は以下の通りです。
- 画面左上のAppleメニュー()をクリックします。
- システム環境設定 を開きます。※macOSのバージョンによっては システム設定 と表示されます。
- ソフトウェア・アップデート を選びます。
- 画面内の 詳細…(またはAdvanced)ボタンをクリックします。
- 表示されたポップアップで「システムデータファイルとセキュリティアップデートのインストール」のチェックをいったん外し、数秒後に再びチェックします。
- OK をクリックして変更を保存します。
この操作は、システムが保有するセキュリティ関連の小規模ファイルの再同期を促します。多くのユーザーがこれでApple Payのエラーが解消したと報告しています。
注意: この方法で直らないこともあります。その場合は下の「基本的な確認事項」と「追加の解決策」を順に試してください。
基本的な確認事項(速攻チェックリスト)
- VPNをオフにする。VPN接続が原因で認証や地域判定に失敗することがあります。
- Macをセーフモードで再起動してテストする。セーフモードは起動時に不要な拡張やキャッシュを無効にします。
- Wi‑Fiまたは個人用ホットスポットに接続する(安定したネットワークを確保)。
- ノート型Macを使用している場合、ふた(蓋)を開けた状態にしておく。
- Apple T2セキュリティチップ搭載Macの場合、Apple Payは最高レベルの起動セキュリティを必要とします。Secure Boot(セキュアブート)を下げていると影響します。Startup Security Utilityを使い、フルセキュリティに戻してください。
- Apple IDからログアウトして再ログインする。Apple Payの資格情報が更新されることがあります。
- システム環境設定 > ソフトウェア・アップデート で保留中のアップデートがないか確認する。
- 使用しているカードがApple Payに対応しているか、発行銀行に確認する。
これらは短時間で確認できる項目です。順番どおりに試し、どの手順で改善したかをメモしておくと、問題発生時の原因特定が容易になります。
追加の解決策(状況に応じて実行)
1) セーフモードでの詳細チェック
- Macをシャットダウンし、電源を入れてすぐにShiftキーを押し続けてセーフモードで起動します。
- セーフモードでApple Payが動作するか確認してください。動作する場合、サードパーティ製の拡張やログイン項目が原因の可能性が高いです。
2) NVRAM/PRAMとSMCのリセット(Intel Mac向けの最終手段)
- NVRAM/PRAMやSMCのリセットはハードウェアレベルの小さな設定を初期化します。問題の切り分けに有効ですが、設定がリセットされるため手順を確認してから実施してください。
3) セキュアブートの確認(T2搭載Mac)
- リカバリーモードで起動し、Startup Security Utilityを開いて、Secure Bootが「完全なセキュリティ(Full Security)」に設定されているか確認します。
4) キーチェーンと証明書の確認
- キーチェーンアクセスでApple PayやWalletに関連するプロファイルや証明書が破損していないかを確認してください。破損が疑われる場合は、該当エントリを削除して再生成します(注意: 慎重に操作してください)。
5) Appleサポートおよび銀行への相談
- 上記で解決しない場合、Appleサポートへ連絡し、症状と試した手順を伝えてください。また、カード発行元の銀行にカード側での制限がないか確認してください。
役割別チェックリスト
エンドユーザー向け(簡潔)
- VPNを切る
- 「システムデータファイルとセキュリティアップデート」をトグルする
- Apple IDの再ログイン
- 銀行へカード互換性の確認
- Appleサポートへ問い合わせ
IT管理者/企業内サポート向け
- MDMプロファイルと構成プロファイルの変更を確認する
- セキュリティポリシー変更(Secure BootやFileVault)を監査する
- 社内ネットワークのプロキシ/ファイアウォールログを確認する
- 同一アップデート配布での被害状況を他端末と比較する
トラブルシューティング判断フロー(Mermaid)
flowchart TD
A[問題を確認: Apple Payが無効] --> B{ネットワークは安定しているか}
B -- いいえ --> C[Wi-Fiまたはホットスポットへ接続]
B -- はい --> D{VPNやプロキシを使用しているか}
D -- はい --> E[VPNをオフにして再試行]
D -- いいえ --> F[システム設定の「詳細」でセキュリティファイルをトグル]
F --> G{問題解決したか}
G -- はい --> H[完了]
G -- いいえ --> I[セーフモード起動とテスト]
I --> J{改善したか}
J -- はい --> K[ログイン項目や拡張を無効にする]
J -- いいえ --> L[Appleサポートとカード発行元に問い合わせ]
ミニSOP(短い作業手順書)
目的: MacでApple Payが無効となる問題を迅速に切り分け、暫定復旧する。
手順:
- ユーザーから症状を記録(エラーメッセージ、macOSバージョン、時間)。
- ネットワークとVPNを確認・無効化。
- システム環境設定 > ソフトウェア・アップデート > 詳細… で「システムデータファイルとセキュリティアップデート」をトグル。
- Apple IDのサインアウト→サインイン。
- セーフモードで起動し動作確認。
- IT管理者はMDMや構成プロファイルを確認。
- 改善しなければAppleサポート/銀行窓口へエスカレーション。
いつこの手順が効かないか(失敗例と注意点)
- MDMや企業の管理者が配布している構成プロファイルでセキュリティが強制的に変更されている場合、ユーザー側でのトグル操作は効果がありません。管理者に連絡してください。
- ハードウェア故障(T2チップの不具合など)が原因の場合、ソフトウェア側の操作だけでは解決しません。修理が必要です。
- カード発行側で制限がかかっている(地域制限やアカウント停止など)場合は、Apple側の設定では直りません。
セキュリティとプライバシーに関するメモ
- Apple Payはセキュリティ要件が高い機能です。起動セキュリティやファームウェアの整合性が保たれていないと、意図的に無効化される場合があります。
- 本記事の手順は、システムのセキュリティを弱めるものではありません。設定変更後は必ずセキュリティ設定の状態を確認してください。
まとめ
- まずは システムデータファイルとセキュリティアップデートのインストール を一度オフ→オンする手順を試してください。
- それでも直らない場合は、VPN解除、セーフモード、Apple IDの再ログイン、ネットワーク確認、T2搭載機のセキュアブート設定確認を順に実施します。
- 企業管理下のMacやハードウェア故障、カード側の制限が原因の場合は、IT管理者やカード発行元、Appleサポートと連携してください。
最後に:この問題は多くのユーザーに影響しており、Appleが修正版をリリースするまで時間がかかる可能性があります。暫定手順で改善しない場合は、ログと実施済み手順を記録してサポートへ提出すると解決が早まります。
ご意見やこの手順での結果があれば、コメントで共有してください。DigitBinのYouTubeチャンネルでも方法を解説しています。安全なオンライン決済を取り戻しましょう。
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