問題を起こすWindowsアップデートを削除する方法

概要
Windows Update はセキュリティ修正や機能改善を配布しますが、まれに環境やドライバーとの相性で不具合を引き起こします。ここでは、問題のある更新プログラムを見つけて安全に削除する手順、代替手段、失敗時のロールバック方法、検証チェックリストを詳しく説明します。
重要: 更新プログラムの削除はシステムに影響を与える可能性があるため、作業前に必ず復元ポイント作成や重要データのバックアップを行ってください。
いつ更新を削除すべきか
- 更新後に特定の機能が動作しなくなったとき(例: ネットワーク、プリンタ、グラフィックドライバー)
- システムが起動しない、青画面(BSOD)が発生するなど致命的な障害が出たとき
- 短期間の間に同じ種類の障害報告が増えている(フォーラムやKB記事で確認できる)
逆に、軽微な不具合や一部アプリだけの問題であれば、まずドライバー更新やアプリのアップデートで解決できないか確認してください。
事前準備(必須)
- 復元ポイントを作成する。Windowsキーを押して「復元ポイントの作成」と入力し、作成します。
- 重要データは外部ドライブかクラウドにバックアップ。
- 作業後に自動的に更新されないように、暫定対策を準備(「更新の一時停止」や「更新の非表示」ツール)。
- 管理者権限で操作すること。
方法A — コントロールパネルから削除(GUI)
手順:
- Windowsキーを押して「インストールされている更新プログラムの表示」と入力し、Enter。
- 表示された一覧で「インストール日」列をクリックして新しい順に並べ替え、問題発生直前の更新を特定する。
- 各更新のKB番号(KBxxxxxx)をコピーして検索エンジンで調べ、同様の問題報告がないか確認。
- 確認後、削除したい更新を右クリックして「アンインストール」を選択。
- 完了後、PCを再起動して問題が解決したか検証する。
注: 削除した更新は後でWindows Updateにより再適用される可能性があります。再適用させたくない場合は後述の「更新プログラムの非表示」ツールを使ってください。
方法B — IObit Uninstaller を使った削除(サードパーティ)
手順:
- IObit Uninstallerを起動し、左メニューから「Windows Updates」を選択。
- 一覧から削除する更新を選び、右下の「Uninstall」ボタンを押す。
- 複数同時に削除したい場合は、右上の「Batch Uninstall」にチェックを入れ、対象を選択してアンインストール。
- ポップアップで「アンインストール前に復元ポイントを作成」にチェックすることを推奨。チェックして続行。
- プログラムが残留ファイルやレジストリを検査し、必要に応じて削除。作業後は指示に従い再起動。
注意: IObit のようなツールは利便性が高い反面、サードパーティなので信頼性と互換性を事前に確認してください。
方法C — コマンドライン(管理者)
- wusa を使う(KB番号がわかっている場合):
wusa /uninstall /kb:XXXXXXXX /quiet /norestart
- DISM でパッケージを確認して削除する(上級者向け):
DISM /Online /Get-Packages
DISM /Online /Remove-Package /PackageName:Package_for_KBxxxxxx~31bf3856ad364e35~amd64~~10.0.1.2
コマンドは管理者権限で実行し、パッケージ名を誤るとシステムが不安定になるため注意。
代替・補助アプローチ
- システムの復元を使う(更新前のポイントがあれば最短で戻せる)。
- 「更新プログラムの非表示」ツール(wushowhide.diagcab)で特定の更新をブロック。Microsoftが提供する隠しツールです。
- セーフモードで起動して削除を試みる。
いつ削除してはいけないか(失敗の例)
- セキュリティパッチ(例: 脆弱性修正)を安易に削除すると、攻撃に対して脆弱になります。
- 企業やドメイン環境で、IT管理者の方針に反する単独削除は運用ポリシー違反になる場合があります。
重要: セキュリティ関連の更新は、削除の前に代替の保護手段が整っているかを確認してください。
リスクマトリクスと対応策
- 高リスク: 起動不能になる/データ損失 — 対策: フルバックアップ、システムイメージ、復元ポイント
- 中リスク: 特定ハードウェアの機能喪失(例: ネットワーク) — 対策: ドライバーの入替、既知の互換性情報を確認
- 低リスク: アプリの一部機能不具合 — 対策: アプリ更新や再インストール
ロール別チェックリスト
エンドユーザー:
- 復元ポイント作成済みか?
- 重要データをバックアップ済みか?
- アップデートのKB番号を控えたか?
IT管理者:
- 変更管理に登録済みか?
- グループポリシー/WSUSで再適用対策が可能か?
- コンプライアンスへの影響を評価済みか?
簡易プレイブック(SOP)
- 問題確認と影響範囲の特定
- KB番号とインストール日時の記録
- 復元ポイント&バックアップ作成
- コントロールパネルでアンインストール(またはIObitで一括)
- 再起動して検証
- 問題解決ならば、再発防止策(更新の非表示、ドライバー更新)を実施
- 解決しない場合はシステム復元かITへエスカレーション
検証(テストケース・受け入れ基準)
- システムが正常に起動すること
- 影響を受けていた機能が回復すること(例: ネットワーク接続、プリンタ印刷)
- 主要なエラーログが消えること
- 既知のセキュリティ要件が満たされていること(セキュリティチームと確認)
ロールバック手順(万が一失敗した場合)
- 復元ポイントからシステムを復元する
- システムイメージがあればイメージで復旧
- セーフモードで修復作業を行い、ログを保存して管理者へ連絡
用語一行定義
- KB番号: Microsoftが配布する個別更新プログラムの識別番号
- wusa: Windows Update Standalone Installer のコマンドラインツール
- DISM: イメージ管理とメンテナンス用のツール
簡易意思決定フロー
flowchart TD
A[問題発生] --> B{最近の更新はあるか}
B -- はい --> C[インストール日とKBを特定]
C --> D{安全に削除できるか}
D -- はい --> E[復元ポイント作成後に削除]
D -- いいえ --> F[復元またはITへエスカレーション]
B -- いいえ --> G[ドライバー/アプリを疑う]
注意事項(重要)
- 企業環境ではIT部門の承認なしに個人で更新を削除しないでください。
- セキュリティ更新を削除する際は、その脆弱性に対する代替対策を必ず講じてください。
まとめ
問題のあるWindows更新は、順を追ってKB番号を特定し、復元ポイントを作成した上でコントロールパネルか専用ツールで丁寧に削除すれば、多くの場合ロールバックできます。コマンドラインや復元方法、更新の非表示ツールも併用することで再発を抑えられます。削除はリスクを伴うため、事前準備とテストを怠らないことが最も重要です。
よくある質問
Q: アンインストール後に同じ更新が再インストールされますか?
A: はい。Windows Update は自動で再配信する可能性があります。再適用を防ぐには「更新プログラムの非表示」ツールを使うか、企業ならWSUS/グループポリシーでブロックします。
Q: アンインストールできない更新がある場合は?
A: セーフモードで試すか、DISMコマンドでパッケージを確認してから削除を試みます。最終手段はシステム復元またはイメージからの復旧です。
ソース: Softpedia