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フォーマット済みハードドライブのデータ復旧ガイド

1 min read データ復旧 更新されました 20 Oct 2025
フォーマット済みハードドライブのデータ復旧ガイド
フォーマット済みハードドライブのデータ復旧ガイド

はじめに

誤ってハードドライブをフォーマットして大事なデータを失ったとき、動揺するのは自然です。しかし、全てが失われたわけではありません。フォーマットは通常、データ領域を「使用可能」とマークする処理であり、元のファイルが物理的に消えるわけではありません。適切な手順を踏めば、データを取り戻せる可能性が高いです。

重要: 最優先は「上書きを避ける」ことです。復旧したいドライブにソフトをインストールしたり、データを書き込んだりしないでください。

フォーマット済みドライブ復旧で知っておくべきこと

復元は可能か

フォーマット直後で、元のデータ領域が上書きされていなければ、多くの場合で復旧できます。ただし成功確率は条件によって大きく変わります。

  • ドライブの種類: HDD(ハードディスク)は磁気記録のため、論理フォーマットからの復旧が比較的容易です。SSDは内部のガベージコレクションやTRIM機能により、フォーマット後の復元が難しくなることがあります。

フォーマット済みドライブの復旧で重要な要因(ドライブ種別など)

なぜフォーマットが必要になるのか

  • ファイルシステムの破損: FAT/NTFS/EXTなどのファイルシステムが破損するとアクセスできなくなり、再フォーマットで復旧を図ることがある。
  • マルウェア感染: 感染を除去するためにクリーンインストールやフォーマットが行われることがある。
  • 電源障害や書込み中断: 書込み中の中断でファイルシステムが不整合になると、修復のためにフォーマットが選択される場合がある。

復旧の基本手順(概観)

  1. ドライブの使用を直ちに停止する。
  2. 別の健康なコンピュータに接続するか、外付けケースを使って読み取り専用でマウントする。
  3. ドライブに復旧ソフトをインストールしない。復旧ソフトは別のドライブにインストールするか、ブート可能メディアから実行する。
  4. ドライブのイメージ(クローン)を取れるならまずイメージを作成する。以降の作業はイメージ上で行う。
  5. 復旧ソフトでスキャンし、復元可能なファイルをプレビューして復元先は別ドライブに指定する。

重要: イメージを作成できる場合は必ず先に作成してください。物理故障の可能性がある場合、自己流で作業すると状態が悪化します。

AnyRecover を使った復旧手順(例)

以下は AnyRecover を使う一般的な流れの説明です。ソフトのバージョンや UI により細部は異なる場合があります。

  1. 別の正常なパソコンに AnyRecover をダウンロードしてインストールする(復旧対象ドライブにはインストールしない)。
  2. AnyRecover を起動し、「PC とハードドライブの復旧」または類似メニューを選択して、フォーマット済みドライブを指定する。

AnyRecover の画面例:復旧対象ドライブを選択する

  1. スキャンを実行して、失われたファイルを検索する。ディープスキャンやファイル形式でのフィルタが利用できる場合は精度向上に役立ちます。

AnyRecover のスキャン進行画面

  1. スキャン完了後、復元可能なファイルが一覧表示されるので、プレビューで中身を確認し、復元したいファイルを選択する。

復元可能ファイルのプレビューと選択画面

  1. 復元先は必ず別ドライブを指定し、復元ボタンを実行する。

復元先を別ドライブに指定して復旧

注記: AnyRecover などのツールは多くの場合「無料試用版」を提供しますが、完全な復元は有料版が必要なことがあります。ライセンス情報や利用規約を確認してください。

代替アプローチと専門サービス

  • 別のソフトを試す: Recuva、R-Studio、PhotoRec、TestDisk など、目的やファイル形式に合わせて使い分けると良い結果が出ることがあります。
  • コマンドラインツール: Linux の ddrescue でイメージを作る、TestDisk でパーティション復元を試みる、といった方法は技術者向けです。
  • 専門業者に依頼する: 物理故障やヘッド故障、重度の論理破損がある場合は、自己対応で状態を悪化させる前にデータ復旧専門業者に依頼するのが安全です。

復旧が難しいケース(失敗しやすい状況)

  • 上書き済みデータ: 新しい書込みで元ファイル領域が上書きされると復元はほぼ不可能になります。
  • SSD と TRIM: SSD はTRIM によって削除されたデータが物理的に消去されることがあり、フォーマット後の復元が困難です。
  • 暗号化されたドライブ: BitLocker や FileVault 等で暗号化されていると、鍵が無ければ復元は事実上不可能です。
  • 物理故障: モーターやヘッドなどハードウェア障害がある場合、一般ソフトでは対応できません。

リスク評価マトリクス(簡易)

リスク要因影響度対処法
上書きの有無すぐに使用停止、別ドライブへイメージ化
SSD と TRIM中〜高すぐに電源断、専門業者に相談
物理故障自己作業を避けて専門業者に依頼
暗号化鍵(パスフレーズ)を用意

復旧作業チェックリスト(役割別)

  • 個人ユーザー
    • ドライブを取り外して使用を停止する
    • 別のPCから復旧ソフトを実行する
    • 復元先は別ドライブに設定する
  • IT 担当者
    • ドライブのクローンを作成する(可能なら)
    • ログを記録し、ステップごとに確認する
    • 復旧後はバックアップ運用を見直す
  • データ復旧業者
    • 物理検査を実施し、必要に応じクリーンルームで作業
    • 復旧確率と見積もりを提示する

バックアップのベストプラクティス

  • 3-2-1 ルールを採用する: 少なくとも3つのコピー、2種類のメディア、1つはオフサイト保管。
  • 定期的な自動バックアップを設定する。
  • 重要データはクラウドとローカル両方に保存する。
  • バックアップの復元テストを定期的に行う。

事実ボックス:覚えておくべきポイント

  • フォーマットは必ずしも「完全削除」ではないが、条件次第で復元できない場合がある。
  • HDD と SSD では復旧のしやすさが異なる。
  • ドライブの状態を悪化させないため、自己流での物理操作は避ける。

まとめ

フォーマット済みハードドライブの多くは、適切な手順とツールを使えば復旧可能です。ただし成功は条件に依存します。まずはドライブの使用を止め、イメージの作成や別ドライブへの復元などの原則に従って作業してください。物理障害や特殊な暗号化がある場合は、専門業者に相談するのが最短かつ最も安全な選択です。

重要: 事後の対策としてバックアップ戦略を整えることを強く推奨します。復旧作業を行う際は、復旧ツールの利用規約とライセンス情報を確認してください。

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