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Fedora を最新にアップグレードする完全ガイド

2 min read Linux 更新されました 22 Oct 2025
Fedora を安全に最新版へアップグレードする方法
Fedora を安全に最新版へアップグレードする方法

TL;DR

Fedora のアップグレードは「preupgrade」か公式 DVD(ISO)を使うのが確実です。クリーンインストールが最も安全ですが、現在の設定やパッケージを維持したい場合は事前バックアップを取り、sudo yum install preupgradesudo preupgrade の流れか、ISO からアップグレードを実行してください。

重要: 重大なデータ損失を避けるため、必ずバックアップを作成してからアップグレードを開始してください。


Fedora デスクトップのスクリーンショット

Fedora は頻繁に新機能や改良をリリースします(例:GNOME の大規模更新や GRUB 2、Btrfs など)。本記事は公式のアップグレード手順を分かりやすくまとめ、現場で使えるチェックリスト、リスク対策、検証手順を提供します。

この記事の狙いと想定読者

  • 主にデスクトップユーザーとシステム管理者を対象にしています。
  • 既存の Fedora インストールを新しいリリースへ安全に移行する手順、選択肢の比較、失敗時の対処法を示します。

役立つ前提情報

Linux コミュニティでは、一般に「クリーンインストール(新規インストール)」が推奨されます。理由は次の通りです。

  • 古いパッケージや設定ファイル、不要なゴミが残らないためシステムがクリーンになる。
  • ディストリビューションや環境によってはアップグレード経路がうまく動作しないことがある。

ただし、既に使い込んだ環境をそのまま維持したい場合や、インストール済みソフトと設定を保持したい場合はアップグレードが実用的です。筆者の経験では、Fedora は比較的アップグレードに強く、直接新しいリリースへジャンプ(例:F13 → F15)できる柔軟性があります。Ubuntu などはリリース間を逐次アップグレードすることが多く、長期サイクルのリリースでは手順がやや複雑になることがあります。

定期リリースの周期はおおよそ 6 ヶ月程度である点を理解しておくと、リリース間移行の計画が立てやすくなります。

アップグレード方法の全体像

Fedora をアップグレードする主な現実的な方法は次の 2 つです。

  1. preupgrade ユーティリティを使う(ネットワーク経由で必要なパッケージのみ取得)
  2. DVD(ISO)からアップグレードする(インストールメディアを作成して実行)

他にも手動でリポジトリを切り替えて yum / dnf で段階的に更新する方法など実験的なやり方がありますが、成功率や手間を考えると上の 2 種が確実です。

preupgrade を使う手順

preupgrade の長所と短所

  • 長所: ネットワークから必要なパッケージだけを取得するためダウンロード量が抑えられる。リポジトリ設定を自動で新しいリリースに切り替える。
  • 短所: 一部の状況では DVD ベースの手順より堅牢性が劣るとの報告がある(経験上、多くは問題なく動作します)。

実行手順

  1. 現行システムを最新に更新し、重要データをバックアップする。推奨: 完全バックアップ(外部ストレージ)と設定ファイルのエクスポート。
  2. preupgrade をインストールします。
sudo yum install preupgrade
  1. preupgrade を実行します。
sudo preupgrade
  1. ウィザードが起動し、アップグレード先のリリースを選択できます。アルファ/ベータ/rawhide を含めるかどうかのチェックボックスが表示されます。安定性を重視するならチェックを外してください。

preupgrade の選択画面

  1. ダウンロードと同定が終わると再起動が促され、ダウンロード済みインストーラで起動してアップグレード処理が実行されます。処理終了後に再起動すると新しいリリースで起動します。

preupgrade のダウンロード画面

注意点と検証

  • ロールバックの用意がない場合、アップグレード前に必ずブート可能なリカバリメディアやバックアップを作成してください。
  • ネイティブのサードパーティリポジトリ(RPM Fusion など)は自動で切り替わらないことがあるため、アップグレード後に手動で確認してください。

DVD(ISO)を使う手順

DVD(またはブータブル USB)から行う方法は、インストールメディアによりシステムを起動してアップグレードを選ぶ流れです。

  1. 公式サイトから目的のリリースの DVD ISO をダウンロードします。
  2. ISO を DVD に焼くか、容量のある USB スティックへ書き込みます(例: dd や Rufus、Fedora Media Writer を使用)。
  3. メディアから起動し、インストーラを起動します。
  4. インストーラが既存の Fedora を検出し、アップグレードのオプションを提示します。アップグレードを選んで処理を続けます。

DVD からのアップグレード画面

DVD ベースの方法はローカルメディアだけで済むため、ネットワークが不安定な環境や厳密なバージョン管理をしたい場合に有利です。

実験的・上級者向けの選択肢

リポジトリを手動で切り替え dnf system-upgrade(新しい Fedora では dnf system-upgrade が推奨されることがあります)を使う方法、またはコンテナや仮想環境での段階的移行など、上級者向けの手法も存在します。これらは状況に応じて検討してください。

受け入れ基準

アップグレード成功の受け入れ基準(最低ライン):

  • システムが正常にブートする。
  • 主要サービス(GUI、ネットワーク、SSH など)が動作する。
  • ユーザーデータとホームディレクトリが完全に保たれている。
  • 主要なアプリケーションが実行可能で、破損した依存関係がない。

検査項目に不備があれば、ロールバックまたはバックアップから復旧してください。

役割別チェックリスト

デスクトップユーザー:

  • 全データのバックアップ
  • 現行パッケージの一覧を保存(rpm -qa > packages.txt
  • 拡張リポジトリの確認と対応

システム管理者:

  • サーバーのサービス停止手順を用意
  • スナップショット(LVM/ZFS/Btrfs)やイメージバックアップを取得
  • アップグレード後の監視とログ確認手順

リスクと緩和策

リスク影響緩和策
依存関係の衝突サービス停止バックアップ、テスト環境で事前検証
ブート不能サービス完全停止ブート可能なリカバリメディア、GRUB 修復手順
サードパーティパッケージ非互換アプリ動作不良リポジトリ確認、代替パッケージの検討

アップグレード後の検証テスト(簡易)

  • ブート時間およびログの確認 (journalctl -b)
  • 主要サービスの起動確認
  • ユーザーデータ整合性チェック
  • デスクトップ環境の基本操作確認

テストケースの例

  • インプレースアップグレード実施 → ブート成功
  • ネットワーク切断時に preupgrade を中断 → 再試行が可能か
  • サードパーティリポジトリがある状態でアップグレード → パッケージ破損の有無

決定フローチャート

下のシンプルなフローチャートは、どの方法を選ぶべきかの判断に使えます。

flowchart TD
  A[アップグレードするか?] -->|いいえ| B[現状維持]
  A -->|はい| C[完全バックアップを取る]
  C --> D{ネットワーク安定しているか}
  D -->|はい| E[preupgrade を使用]
  D -->|いいえ| F[ISO をダウンロードして DVD/USB で実行]
  E --> G[アップグレード実行]
  F --> G
  G --> H{問題発生?}
  H -->|いいえ| I[完了]
  H -->|はい| J[リカバリ/バックアップから復元]

短い実務手順(SOP)

  1. 重要データの完全バックアップ
  2. システムの現状パッケージリストを保存
  3. アップグレード方法を選択(preupgrade / ISO)
  4. アップグレードを実行
  5. ポストチェック(ブート、サービス、ログ)
  6. 必要に応じて追加のパッケージ修正

互換性と移行のヒント

  • NVMe や新しいハードウェアを使う場合、カーネルやドライバの互換性に注意してください。
  • サードパーティのクローズドドライバ(NVIDIA など)は、アップグレード後に再インストールやモジュールの再ビルドが必要になることがあります。
  • Btrfs や LVM のスナップショット機能を使える場合は、アップグレード前にスナップショットを作ると安全です。

1 行用語集

  • preupgrade: Fedora のインプレースアップグレード用ユーティリティ
  • ISO: インストールメディアのイメージファイル
  • GRUB: ブートローダ
  • Btrfs: 最新機能を備えたファイルシステム

よくある失敗例と対処

  • ダウンロード中に電源断: 再起動してインストールを再実行
  • サードパーティパッケージの非互換: 既存リポジトリを確認し、必要なら削除または更新
  • ブート不能: リカバリメディアで chroot して GRUB を再インストール

セキュリティ注意点

  • アップグレード後はセキュリティ設定(ファイアウォール、SELinux)を確認すること。
  • 古い設定ファイルを引き継ぐ場合、不要なサービスが有効になっていないかチェックしてください。

ローカライズと地域の注意点

  • 日本語環境を使っている場合、ロケールやフォントの再設定が必要になることがあります。
  • 時刻設定(タイムゾーン)やロケール周りは、アップグレード後に timedatectllocalectl で確認しましょう。

DVD からのアップグレード手順の画面

結論と推奨

  • 安全性と安定性を最優先するならクリーンインストールを検討してください。
  • 既存の設定やアプリを維持したい場合は、事前バックアップを厳密に取り、preupgrade または ISO ベースの手順を選択してください。
  • 重大なサーバーやミッションクリティカルな用途では、まずテスト環境でリハーサルを実施してから本番で実施することを強く推奨します。

最後に: あなたの環境ではどの方法が最適でしたか?コメントで運用経験を共有してください。


要点まとめ:

  • preupgrade と ISO のどちらかを選ぶ。
  • 必ずバックアップと検証を行う。
  • サードパーティリポジトリとドライバの互換性に注意する。
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