Windows 11のモバイルホットスポットをイーサネットで共有する方法

概要
このガイドは、Wi-Fi受信のみ可能なホスト(Windows 11)から、イーサネット(有線)で接続された別のPCにインターネット接続を共有する手順を、図とともにわかりやすく説明しています。主に次の2つの方法を扱います。
- ネットワーク ブリッジを使う方法(設定が簡単だが環境によって接続が不安定になる場合あり)
- インターネット接続の共有(ICS)を使う方法(手動IP設定が必要だが安定する)
重要: ここで説明する手順は、管理者権限を持つアカウントで実行してください。古いイーサネットアダプタが接続されている場合は、クロスオーバーケーブルが必要になることがあります。
目次
- ネットワーク ブリッジで共有する手順
- インターネット接続の共有(ICS)で共有する手順
- どちらを選ぶべきか(比較)
- よくある問題と対処法
- チェックリストと操作テンプレート
- 追加の代替案と推奨
- 要点まとめ
ネットワーク ブリッジで共有する手順
概要
ネットワーク ブリッジは、複数のネットワークインターフェースを1つの論理的なネットワークにまとめます。設定は簡単で、受信側(クライアント)で追加設定を行う必要がほとんどありません。短所として、環境によって接続が切断されやすい報告があります。
手順:
- ホストPC(Windows 11)をWi-Fiでホットスポットに接続します。
- 「スタート」をクリックし、検索で「ネットワーク接続」と入力して「ネットワーク接続の表示」を選択します。
- Ctrlキーを押しながら「イーサネット」と「Wi-Fi」の両方を選択し、Wi-Fiを右クリックして「ブリッジ接続」を選びます。
- 「Network Bridge」という新しい接続が作成されます。これを右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 新しいポップアップで、Wi-Fiとイーサネットの両方が選択されていることを確認します。
- ホストPCとクライアントPCをイーサネットケーブルで接続します。受信側で特別な設定は不要です。
注意点:
- 受信側PCに古いイーサネットアダプタがある場合は、通常のストレートケーブルでは通信できずクロスオーバーケーブルが必要になることがあります。
- 多くのユーザーが接続の切断を経験しているため、長期的な安定運用が必要な場合は次のICS方式を検討してください。
インターネット接続の共有(ICS)で共有する手順
概要
ICSはホストPC側でインターネット接続を明示的に共有する機能です。クライアント側に手動でIP設定を行う必要がありますが、ブリッジ方式より安定することが多いです。
手順:
- ホストPCとクライアントPCをイーサネットケーブルで接続します。
- ホストPCで検索に「ネットワーク接続」と入力し、「ネットワーク接続の表示」を開きます。
- ホストのWi-Fi接続を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「他のネットワーク ユーザーにこのコンピューターのインターネット接続を使わせる」のチェックボックスをオンにし、下のプルダウンで「イーサネット」を選択します。
- 次にイーサネット接続を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- IPv4(インターネット プロトコル バージョン 4)を選択し、「プロパティ」をクリックします。
- ホスト側で手動IPを割り当てます(例: 192.168.1.1)およびサブネットマスク 255.255.255.0、DNSは 8.8.8.8 などを設定します。
- クライアントPC側で「ネットワーク接続の表示」を開き、イーサネットのプロパティを開きます。
- IPv4のプロパティで、IPアドレスを 192.168.1.2、サブネットマスク 255.255.255.0、デフォルトゲートウェイ 192.168.1.1(ホストと同一)およびDNS 8.8.8.8 に設定します。
- ホストとクライアントの設定値を再確認して、接続が機能するか確認します。
補足: クライアントをルーターに直接接続できるならそれが最も簡単です。ただし、距離や空きポートの制約がある場合は上記のどちらかを選びます。また、クライアント側に外付けのUSB Wi-Fiアダプタを追加してWi-Fiで接続する方法もあります。
どちらを選ぶべきか(簡易比較)
- 簡単さ: ブリッジ方式 > ICS
- 安定性: ICS > ブリッジ方式
- 手動設定の手間: ICS(必要) > ブリッジ(不要)
- 推奨シナリオ: 「一時的な接続」「すぐに使いたい」はブリッジ。長時間・安定稼働はICS。
よくある問題と対処法
接続が頻繁に切断される
- 対処: ICS方式に切り替える。ホストPCのWi-Fiドライバーを最新に更新する。省電力設定でネットワークアダプタの電源管理を無効にする。
クライアントでインターネットに接続できない
- 対処: IP設定を再確認(同一サブネット、正しいデフォルトゲートウェイ)。ホストのファイアウォール設定が共有を妨げていないか確認する。
「LAN ネットワークは既に構成されています」エラー
- 対処: ネットワークアダプタのリセット、不要な仮想アダプタ(VPN等)の無効化、再起動を試す。
古いイーサネットアダプタで接続できない
- 対処: クロスオーバーケーブルを試すか、USB-Ethernetアダプタなどを購入する。
技術メモ/事実ボックス
- 例として用いたIPレンジ: 192.168.1.0/24(ホスト 192.168.1.1、クライアント 192.168.1.2)
- 一般的なDNS例: 8.8.8.8(Google Public DNS)
- 必要権限: 管理者権限
- 互換性: Windows 11 の標準機能を利用(追加ソフト不要)
チェックリスト(実行前)
- ホストPCでWi-Fiが動作していることを確認
- 両端のイーサネットケーブルとポートをチェック
- 管理者権限でログインしていること
- 必要ならドライバーを更新しておく
- ファイアウォールやVPNを一時無効化してテスト
操作テンプレート(短縮手順)
- ブリッジ方式(最短): ネットワーク接続を開く → Wi-Fi+イーサネット選択 → 右クリック → ブリッジ接続
- ICS方式(安定): Wi-Fiのプロパティ → 共有タブでイーサネットを選択 → ホストに手動IP(例:192.168.1.1) → クライアントに静的IP(例:192.168.1.2)
代替案・応用
- クライアント側にUSB Wi-Fiドングルを追加して直接ホストのホットスポットに接続する
- 小型ルーターやスイッチを中継して複数台へ配信
- モバイルルーター(ポケットWi-Fi)を別に用意して共有負荷を分散する
トラブルシューティングの流れ(簡易決定木)
flowchart TD
A[ネットワーク接続できない] --> B{イーサネットで物理接続あり?}
B -- はい --> C{IP自動取得?}
B -- いいえ --> D[ケーブル・ポートを確認]
C -- はい --> E[IPアドレス確認(同一サブネット)]
C -- いいえ --> F[静的IPを設定して再試行]
E --> G{ファイアウォールやVPNがある?}
G -- はい --> H[一時的に無効化して確認]
G -- いいえ --> I[ドライバー更新・再起動]
セキュリティとプライバシーの注意
- 共有接続ではホストがゲートウェイになるため、ホスト側のマルウェアや不適切な共有設定がクライアントの通信に影響を与える可能性があります。信頼できる端末のみ接続してください。
- 公共のWi-Fiをホストに使う場合、トラフィックが暗号化されないことがあるため取り扱いに注意してください。
要点まとめ
- 一時的で手軽に共有したいなら「ネットワーク ブリッジ」が最短。
- 長時間・安定した共有を望むなら「インターネット接続の共有(ICS)」で手動IPを設定するのがおすすめ。
- 接続トラブルはIP設定、ケーブル、ドライバー、ファイアウォールの4点を順に確認すると解決しやすい。
ご不明な点や手順でつまずいた箇所があれば、接続環境(ホストのWindows 11ビルド、使用するイーサネットアダプタ、エラーメッセージ)を添えて教えてください。具体的な状況に合わせた追加アドバイスを差し上げます。
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