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jobberBaseで自前の求人掲示板を構築する

2 min read Web開発 更新されました 22 Oct 2025
jobberBaseで自前の求人掲示板を構築する
jobberBaseで自前の求人掲示板を構築する

求人掲示板の概念図

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求人掲示板の一覧表示サンプル

求人募集ページに適した候補者を見つけるのは手間がかかります。企業によっては採用代行に委託したり、Monster.comやJobCoinのような求人配信サービスを利用します。しかし自社サイトで求人掲示板を運用できれば、掲載費を抑えつつ求職者に直接リーチできます。

今回紹介するのは jobberBase です。公式に “The Open Source Job Board Software” と銘打たれた軽量なオープンソース求人掲示板です。基本機能は求人掲載ですが、RSSやウィジェット、簡易CMSなど、実運用に便利な機能も備えています。

jobberBase オープンソース求人掲示板のスクリーンショット

重要: この記事は jobberBase の導入手順をわかりやすくすることを目的としています。バージョン差やサーバー環境により細部は変わるため、公式ドキュメントも併せて確認してください。

この記事の対象読者

  • 自社サイトに求人掲示板を追加したいウェブ担当者
  • 小〜中規模の採用コストを抑えたい人事担当者
  • PHP/MySQL環境でオープンソースを試したいエンジニア

用語定義: jobberBase — PHPで動くオープンソースの求人掲示板ソフト。

主要機能の概観

  • 求人投稿と応募フォーム(ページから直接応募可能)
  • カテゴリ/都市単位での求人分類
  • RSSフィードと埋め込みウィジェットで求人を配信
  • 軽量CMSで固定ページを管理
  • テーマ切替(デフォルト/hireme など)

利点

  • ランニングコストはサーバー代のみ
  • カスタマイズが容易(PHP/テンプレート)
  • 自社ブランディングの求人ページを維持できる

欠点・制限

  • セキュリティ・運用は自前で管理する必要がある
  • 高度な採用管理(ATS)機能はない
  • 大量トラフィック時はパフォーマンス対策が必要

導入前に必要な準備(前提条件)

  • Webサーバー: Apache もしくは IIS(この記事では Apache を想定)
  • PHP 5.x(MySQLi 拡張が必要)
  • MySQL(phpMyAdmin 等の管理ツールがあると便利)
  • Apache の mod_rewrite(または IIS 用の URL Rewrite / ISAPI_Rewrite)
  • FTP/SCP アクセス(ファイルアップロード用)
  • データベース作成権限(ユーザーとデータベースを作成できること)

注意: PHP 5.x は古いバージョンです。セキュリティ面を考慮し、可能なら最新の PHP 対応版やセキュリティパッチの有無を公式で確認してください。

ステップ 1 - ソフトウェアをダウンロードする

jobberBase のダウンロードにはサイトでの登録が必要です。登録後、ダウンロードリンクがメールで届きます。登録は最新版やセキュリティ情報の通知を受け取るために有用です。

ステップ 2 - データベースを作成してインポートする

  1. phpMyAdmin かコマンドラインで新しいデータベースと接続用ユーザー(ユーザー名/パスワード)を作成します。権限は必要最小限に設定しましょう。
  2. ダウンロードしたパッケージ内の db/jobberbase.sql をデータベースにインポートします。

MySQL データインポートの例

ヒント: 大きな SQL ファイルをインポートする際は、phpMyAdmin のアップロード上限に注意してください。上限超過時はコマンドライン mysql クライアントを利用すると確実です。

ステップ 3 - ファイルをアップロードする

  1. インストールファイルを解凍すると、db、docs、public の3つのディレクトリがあります。
  2. public 以下のファイルをウェブサーバー上の任意ディレクトリにアップロードします(例: /var/www/html/jobs/)。
  3. FTP/SCP を使ってファイルを転送してください。

アクセス権設定(サーバー側で chmod 等):

  • /uploads を書き込み可能にする
  • /_templates/default/_cache (別テーマを使う場合は theme 名に置換)
  • /admin/_templates/_cache

推奨パーミッション: 可能な限り最小権限で運用してください。記事中では chmod 755 や一時的な chmod 777 が紹介されていますが、777 はセキュリティリスクとなるため、必要最小限に留めたうえで設定後は戻すことを検討してください。

ステップ 4 - 設定ファイルを編集する

公開ファイル内の設定ファイルを開き、データベース接続情報やアプリのURLを設定します。

編集ファイル:

/jobs/_config/config.envs.php

jobberBase は複数サイト用の設定が可能な構成になっています。ここでは1サイト分だけ残して、不要なインスタンスは削除してください。重要な設定項目は以下です。

'prefix' => 'your.domain.name', // must be a part of app_url below     'db_host' => 'your_db_hostname', // this is usually 'localhost'     'db_port' => 3306,     'db_user' => 'your_db_user',     'db_password' => 'your_db_password',     'db_name' => 'your_db_name',     'db_prefix' => '',     'app_url' => 'http://domain/path/to/jobberbase',

注: app_url は実際にアクセスする URL と一致させてください。HTTP/HTTPS のプロトコルも正しく指定すること。

ステップ 5 - 管理画面にアクセスして初期設定を行う

ブラウザで次の管理画面にアクセスします:

http://yourdomain/path/to/jobberbase/admin/

初回ログイン情報は admin/admin です。ログイン後はすぐに管理者パスワードを変更してください。

管理画面のログイン例

管理画面から:

  • サイトのタイトルや説明を調整
  • 募集カテゴリを作成
  • 固定ページを編集(付属の CMS を利用)
  • テーマを切り替え(default / hireme)

求人投稿画面の例

テーマはテンプレートを編集することで見た目を変更できます。HTML/CSS の基礎が分かるとカスタマイズはしやすいです。

運用と拡張のポイント

  • RSS フィードやウィジェットを活用して、他ページや外部サービスに求人を配信できます。
  • スパム対策として応募フォームに CAPTCHA を導入するか、IP フィルタを検討してください。
  • 定期的にバックアップ(ファイル/DB)を取り、更新前には必ずバックアップを取得しましょう。
  • ログ監視とファイル権限の定期点検でセキュリティリスクを低減できます。

よくあるトラブルと対処法

問題: 管理画面にログインできない

  • 対処: config.envs.php の app_url が正しいか確認。DB 接続情報が間違っているとエラーになります。

問題: ページが 500 エラーになる

  • 対処: Apache のエラーログ(例: /var/log/apache2/error.log)を確認。パーミッションや PHP のバージョンが原因の場合が多いです。

問題: SQL インポートでタイムアウトする

  • 対処: コマンドラインで mysql クライアントを使うか、phpMyAdmin のアップロード上限を一時的に引き上げてください。

問題: 画像アップロードが失敗する

  • 対処: /uploads ディレクトリのパーミッションと所有者を確認。Web サーバーのユーザーが書き込める必要があります。

代替案と比較(短評)

  • 外部求人配信サービス: 初期導入が簡単でサポートがあるが、ランニングコストがかかる。
  • フル機能の採用管理システム(ATS): 採用フローを自動化できるが複雑で高価。
  • 自作フレームワーク構築: 完全自由だが開発・保守コストが高い。

jobberBase は「低コストでシンプルに求人掲載を始めたい」場合に適しています。

ロール別チェックリスト

管理者(サイトオーナー):

  • 管理者アカウントのパスワード変更
  • サイト説明とブランドを更新
  • カテゴリと都市リストを作成

開発者/運用者:

  • サーバー要件確認(PHP/MySQL/mod_rewrite)
  • パーミッションと所有権の確認
  • 定期バックアップ設定

人事担当:

  • 応募フローをテスト(フォーム送信→メール受信)
  • 掲載テンプレート(項目)を決める
  • 応募データの保管・削除ポリシーを策定

ミニ運用手順(Playbook)

  1. 新着求人を作成 → 公開前に別ブラウザで表示確認
  2. 応募テスト送信 → 管理メールが確実に届くことを確認
  3. 週次で掲載状況を確認し、古い求人をアーカイブ
  4. 月次でバックアップを取得し、復元テストを実施

受け入れ基準

  • 管理画面にアクセスでき、管理者でログインできる
  • 求人の作成・編集・削除が行える
  • 応募フォームからの送信が管理者に届く
  • 指定 URL(app_url)が正しく動作する

セキュリティ注意点

  • 可能ならHTTPS(TLS)を必ず有効化してください。
  • データベース接続情報は外部からアクセスできない場所に保存すること。
  • 定期的に最新版の有無とセキュリティアドバイザリをチェック。

ローカル運用時のヒント(日本向け)

  • 日本語の文字化けがある場合は、データベースと接続の文字セット(utf8 / utf8mb4)を確認してください。
  • 日付表示や地域カテゴリは日本の慣習に合わせてカスタマイズすると使いやすくなります。

まとめ

jobberBase は軽量で導入コストが低い求人掲示板ソフトです。適切なサーバー要件と少しの設定で自社サイトに求人機能を追加できます。セキュリティやバックアップ、応募データの運用ポリシーに注意しつつ、まずはテスト環境で手順を確認してから本番公開することをおすすめします。

重要: インストールや設定でつまずいた場合は、エラーログの確認と設定ファイル(config.envs.php)の見直しを最初に行ってください。必要ならエラーログの抜粋を書いて問い合わせると解決が早くなります。

要点:

  • 必須: PHP + MySQL、mod_rewrite
  • 初期ログイン: admin/admin(要変更)
  • 主要ファイル: /jobs/_config/config.envs.php

もしインストールで詰まったら、どの手順で止まったかを明記して質問してください。できる限りサポートします。

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