概要
WhatsAppは世界中で数十億人が使う多機能なメッセージアプリです。ファイルや連絡先の共有だけでなく、位置情報の共有もできます。ここで言う「偽の位置情報を送る」とは、端末のGPS座標を第三者アプリで上書き(スプーフィング)し、WhatsAppにその偽の座標を渡して共有する操作を指します。
GPSスプーフィングとは: 端末の位置をソフトウェア的に偽装して、実際とは異なる座標を他アプリに提供する手法です。

重要: この手順は主に「いたずら」や「テスト」を想定した説明です。相手を欺く目的で悪用したり、法的・倫理的問題を引き起こす状況で使用しないでください。
準備と前提条件
- Androidスマートフォン(開発者オプションが利用可能であること)。
- Google Playからダウンロードできる偽GPS(モック位置)アプリ。この記事では「LocaEdit Fake GPS Location」を例にします。
- WhatsAppアプリ(最新版推奨)。
注意: iOS端末では標準設定でGPSスプーフィングを許可していないため、本手順は一般向けには適用できません(開発者向けツールや脱獄が必要になる場合があり、推奨しません)。
WhatsAppで偽の位置情報を送る手順
1. 開発者オプションを有効にする
- 端末で「設定」を開きます。
- 「端末情報」または「デバイス情報」をタップします。
- 「ソフトウェア情報」またはビルド番号があるメニューを選びます。
- 「ビルド番号」を7回続けてタップします。画面に「あなたは開発者になりました」などのトーストが表示されます。
- 設定画面に戻り、画面下部に「開発者向けオプション(Developer options)」が表示されるのを確認します。




2. 偽GPSアプリをインストールして設定する
- Google Playストアを開きます。
- 検索バーで「LocaEdit Fake GPS Location」を検索してインストールします(他の偽GPSアプリでも手順は概ね同じです)。
- 設定 > 開発者向けオプションを再度開き、「モック位置アプリを選択」または「疑似ロケーションアプリを選択」を探します。
- リストから「LocaEdit」などインストールした偽GPSアプリを選択します。



重要: モック位置アプリを選択した状態では、端末の全アプリが偽の位置データを受け取る可能性があるため、用途が終わったら必ず元に戻してください。
3. 偽位置情報を設定してWhatsAppで共有する
- LocaEdit(または選んだ偽GPSアプリ)を開きます。
- マップ上で好きな場所を選択します。自由に世界中の任意の座標を指定できます。
- 「Move」や「Start」などのボタンでモック位置を有効にします。

- WhatsAppを開き、共有したいチャットを選びます。
- クリップ(添付)アイコンから「位置情報」を選択すると、WhatsApp側にはLocaEditで設定した座標が表示されます。
- その位置を共有すれば、相手にはあなたが選んだ偽の場所が送信されます。

実例: 本記事の例では、筆者の実際の位置(インド)をLocaEditでエジプト付近に設定し、WhatsAppにエジプトの座標が反映されることを確認しました。使用端末はSamsung Galaxy S23 Ultraです。
代替アプローチと注意点
- ルート化(root)されたAndroidでは、より高度な位置改ざんツールやシステム書き換えが可能になりますが、セキュリティリスクや保証無効の問題があります。
- PC経由でADBコマンドを使い開発者向けのモックを設定する方法もあります。技術的なハードルが高く、一般的なユーザーには推奨しません。
- 一部のサードパーティ製のWhatsApp改変アプリ(Mod版)には位置偽装機能が付くことがありますが、アカウント停止や個人情報漏えいのリスクが高く、安全性と信頼性に問題があります。
失敗するケース(代表例):
- モック位置が有効になっていないと、WhatsAppは実際のGPSデータを読み取ります。
- 一部の端末やAndroidバージョンでは、位置サービスの精度や権限管理の違いで期待通りに機能しない場合があります。
- 受信側が位置情報のスクリーンショットや通信履歴などで偽装を検出することがあるため、必ずしも「騙せる」わけではありません。
リスクと軽減策
リスク: 相手の信頼を損なう、緊急連絡時に誤情報を与える、規約違反によるアカウント停止。
軽減策: いたずらの前に相手の了承を得る、緊急用途では使用しない、使用後は必ずモック位置を無効にする。
リスクの優先度別対策:
- 高(信頼喪失): 相手に説明して謝罪する。倫理的に使用しない。
- 中(アカウント停止): 公式でないアプリや改造版を使わない。
- 低(技術的失敗): モック位置のオン/オフを確認し、端末を再起動する。
操作後チェックリスト
- LocaEditなどの偽GPSアプリを停止したか。
- 開発者オプションのモック位置設定を「なし」に戻したか。
- WhatsAppで正しい現在地が表示されるかを確認したか。
- 相手に誤解を与えていないかを確認したか。
使っていい場面・悪い場面(判断の目安)
- 使っていい: 友人同士の無害ないたずら、アプリの挙動テスト、位置依存機能のデバッグ。
- 絶対に避ける: 緊急連絡、公式手続き、詐欺やなりすましの目的。
よくある質問
1. WhatsAppで使える他の偽GPSアプリは何がありますか?
LocaEditのほかに「Fake GPS Location by Lexa」「Fake GPS by ByteRev」「Fake GPS Location Spoofer by IncorporateApps」などがあります。アプリによって使い勝手や安定性が異なるので、評価やレビューを確認して選んでください。
2. iOSでWhatsAppに偽の位置情報を送れますか?
一般的なiPhoneではAppleのプラットフォーム制限により、簡単にGPSを偽装することはできません。脱獄(Jailbreak)や専門の開発ツールを使えば技術的には可能になることもありますが、推奨されません。セキュリティや保証、法的な問題が発生するリスクがあります。
まとめ
- Androidでは開発者オプション + モック位置アプリでWhatsAppに偽位置を送れます。
- iOSでは通常できません。
- 使用後は必ず偽装を解除し、相手の信頼を損なわないよう配慮してください。
役立つヒント: いたずらで使う場合でも、冗談が通じる相手に限定し、誤解や安全性の問題が起きないようにしてください。
参考: LocaEdit Fake GPS Location、Fake GPS Location (Lexa)、Fake GPS (ByteRev)、Fake GPS Location Spoofer (IncorporateApps)