Windows 10でメモリ診断ツールを使ってメモリテストを実行する方法

重要: メモリ診断はRAMやマザーボードの問題を検出する優れた初期手段ですが、すべてのハードウェア不良を見つけるわけではありません。検出できないケースや追加検査の方法も後述します。
概要
メモリ(RAM)問題はPCの動作を大きく遅くしたり、フリーズやブルースクリーン(BSOD)を引き起こします。Windowsには標準で「Windows メモリ診断」というツールがあり、シンプルなメモリテストを自動で実行します。本記事では、Windows 10環境でこのツールを実行する8つの方法を画像付きで説明し、結果の解釈、失敗時の対応、代替ツールや運用向けチェックリストまでカバーします。
このガイドで得られること(主目的と関連フレーズ)
- 主目的: Windows 10でメモリ診断ツールを実行してRAMの問題を特定する方法
- 関連フレーズ: Windows Memory Diagnostic、メモリ診断ツール、MdSched、メモリチェック、MemTest86
メモリ診断ツールとは(1行定義)
Windows メモリ診断は、起動時にRAMを読み書きしてエラーを検出するMicrosoft純正の診断ユーティリティです。
使える状況と制限(要点)
- 利点: 無料で簡単。OS標準のため追加ソフト不要。起動時の完全チェックが可能。
- 限界: 深度・網羅性は外部ツール(MemTest86等)より限定的。短時間のスキャンでは一部の不良を見逃す可能性あり。
- 推奨: 初期診断→問題あり→詳細はMemTest86やハードウェア入替で確認。
手順 — 8つの起動方法(画像は元ファイルパスをそのまま利用)
以下は、Windows 10でメモリ診断ツール(Windows Memory Diagnostic)を起動する標準的な8つの方法です。どの方法でも最終的に同じツールが起動します。
1. スタートメニューを使う
- Winキーを押してスタートを開きます。
- 「Windows メモリ診断」と入力して開きます。
- 次の2つから選択します:
- 今すぐ再起動して問題をチェックする(推奨)
- 次回PC起動時に問題をチェックする
- ツールがメモリを検査し、問題を検出した場合は報告します。
この方法はもっとも手軽です。Windows 11でも同様の手順で実行できます。
2. Windows検索を使う
- Win + S を押してWindows 検索を開きます。
- 「Windows メモリ診断」と入力して開きます。
- 先ほどと同じ2つのオプションから選択します。
- ツールがメモリを検査します。
3. コマンドプロンプトを使う(管理者)
- Winキーを押してスタートを開きます。
- 管理者としてコマンドプロンプトを開きます。
- 以下を入力してEnterを押します(コマンドは大文字小文字問いません)。
MdSched
- 表示された2つの選択肢から選びます。
- ツールがメモリ検査を実行します。
コマンドプロンプト経由は、起動に問題があるときやリモートで操作している場合に便利です。
4. 設定(Windows Settings)を使う
- Win + I を押して設定を開きます。
- 検索欄に「memory」と入力し、コンピューターのメモリの問題を診断する(Diagnose your computer’s memory problems)を選びます。
- 2つのオプションから選択します。
- ツールが検査を行います。
5. コントロールパネルを使う
- Winキーを押してスタートを開きます。
- コントロールパネルを開きます。
- 「表示方法(View by)」を小さいアイコン(Small icons)に変更します。
- 管理ツール(Administrative Tools)を選択します。
- Windows メモリ診断を選びます。
- 2つのオプションから選択します。
- ツールが検査を行います。
6. エクスプローラーのアドレスバーを使う
- エクスプローラーを開きます。
- アドレスバーに
MdSched
と入力してEnterを押します。 - 表示された選択肢から選びます。
- ツールが検査を実行します。
7. タスクマネージャを使う
- Ctrl + Shift + Esc でタスクマネージャを開きます。
- ファイルタブをクリックします。
- 新しいタスクの実行を選びます。
- 「MdSched」と入力してEnterを押します。
- 2つの選択肢から選びます。
- ツールが検査を行います。
タスクマネージャ経由は、GUIが制限されている環境やアクセス権の制約がある場合に役立ちます。
8. 実行ダイアログ(Run)を使う
- Win + R で実行ダイアログを開きます。
MdSched
と入力してEnterを押します。- 2つの選択肢から選びます。
- ツールが検査を実行します。
結果の読み方(ミニ・メソドロジー)
- 再起動後、ツールは自動でメモリスキャンを実行します。進捗はパーセントで表示されます。
- スキャンが完了するとWindowsに戻り、診断結果が通知領域に表示されます。表示が出ない場合はイベントビューアで確認できます(イベントID: MemoryDiagnostics-Results)。
- 「問題が検出されました」と表示されたら、次のステップを実行します(下の『問題が見つかった場合の対応』参照)。
短時間のスキャンで問題が検出されない場合でも、断続的なエラーは見逃されることがあります。疑わしい場合は長時間・繰り返し検査や外部ツールの利用を検討してください。
問題が見つかった場合の対応(インシデントランブック)
- まずは再起動して結果を再確認する。
- メモリモジュールの再着席(電源を切り、RAMを抜き差しする)。
- 可能ならモジュールをスロット入替えして単体テストを行う(故障モジュールの特定)。
- BIOSのメモリ設定(XMPや周波数)をデフォルトに戻す。
- 別のPCでモジュールをテストできるなら移して確認する。
- それでも問題が続く場合は、MemTest86などのブート可能な詳細テストツールを使う。
- ハードウェア保証や購入元のサポートに問い合わせる(故障確定で交換)。
ロールバック手順(短期対応):
- 影響を抑えるためRAMを以前の構成に戻すか、疑わしいモジュールを取り外して運用を継続する。
よくあるトラブルと対処法(ケース別)
- ツールが起動しない/フリーズする:
- セーフモードや回復環境(WinRE)からコマンドプロンプトで
MdSched
を試す。 - ブート可能なUSBにMemTest86を作成してそちらで検査する。
- セーフモードや回復環境(WinRE)からコマンドプロンプトで
- 検査が途中で止まる、または再起動ループに入る:
- BIOSでメモリの設定を初期化し、接続を再確認。
- 電源不足で不安定になっている可能性もあるため、可能なら電源ユニット(PSU)を検査。
- 検査結果が「問題なし」なのに不具合が続く:
- ストレージ(SSD/HDD)やドライバー、ソフトウェアの問題も疑う。
- MemTest86で長時間検査を行う(複数パス)。
代替アプローチと比較
Windows メモリ診断(本記事対象)
- 長所: OSに標準搭載、手順が簡単、追加メディア不要
- 短所: 深度が限定的、断続的エラーを見逃す場合あり
MemTest86(外部ツール、USBブート)
- 長所: 詳細で網羅的、テストオプションが豊富
- 短所: USBメディア作成が必要、多少学習コストあり
BIOS/UEFI内蔵テスト(一部マザーボード)
- 長所: 低レベルでの検査が可能
- 短所: 機能がマザーボード依存
選択のヒント: 初期診断はWindows メモリ診断、再現するエラーや交換対応が必要ならMemTest86で確認する、といった段階的アプローチが現実的です。
メンタルモデル(問題切り分けの思考法)
- まずソフトウェア的な原因かハード的な原因かを切り分ける。ドライバや最近のアップデートを疑う。
- 次に再現性を確認する。エラーが常に出るならハードウェア寄り。断続的なら環境や電源など幅広く調査。
- メモリ診断でエラーが出たらRAM単体のテスト→交換で解決できるかを検証。
ロール別チェックリスト
家庭ユーザー向け(短いチェック):
- スタートメニューからWindows メモリ診断を実行
- 結果が出たら再起動して通知を確認
- 不具合が続く場合は販売店に相談
IT管理者向け(運用手順):
- 問題発生時はログ(イベントビューア)を保存
- 複数台で同様の症状が出るか確認
- MemTest86で詳細検査を実行し、故障モジュールを交換
サポートエンジニア向け:
- BIOS設定と電圧周波数履歴を確認
- OSクラッシュダンプ(BSOD)を解析してメモリエラーの兆候を検出
- 必要ならメモリベンチやストレステストを実施
テストケース / 受け入れ基準(簡易)
合格条件:
- メモリ診断が完了し、エラーが報告されない
- システムが安定し、再現していたクラッシュやフリーズが解消される
不合格条件:
- メモリ診断でエラーを報告
- MemTest86で複数のエラーが報告される
受け入れ基準は運用環境に応じて厳しく設定してください(例: サーバは長時間のパスでOKを要する)。
互換性と移行の注意点
- Windows 10 / Windows 11 の両方でメモリ診断は利用可能です。UIが若干違うだけで機能は同等です。
- UEFI / レガシーブート環境の違いはツール自体には影響しませんが、外部ブートツール(MemTest86)を使う場合はUEFI対応のメディアを作成してください。
よくあるエッジケース(ギャラリー)
- デュアルチャネル環境で片方のスロットだけにエラーが出る。
- → スロット入替えや単体検査で不良モジュールを特定する。
- XMPやオーバークロック設定の影響でエラーが出る。
- → BIOSでデフォルト(標準)設定に戻して確認。
- ノートPCでメモリがオンボードの場合
- → 修理依頼やマザーボード交換が必要になる場合がある。
追加のトラブルシューティング手順(詳細)
- イベントビューアで「Windows ログ > システム」を開き、MemoryDiagnostics-Results イベントを探す。
- BIOSを最新に更新(メーカー推奨手順に従う)。
- 電源関連の不安定が疑われる場合は別電源でのチェックや最小構成(1枚のRAM、最小周辺機器)での起動を試す。
- メモリブランド固有の相性問題があるため、可能なら同一モデルで揃える。
代替ツールの簡易手順(MemTest86)
- 公式サイトからISOまたはUSBイメージを取得し、USBに書き込む(Rufusなど)。
- PCをUSBからブートしてMemTest86を起動。
- 規定のパス数(最低1〜2パス、運用環境では数時間〜翌日まで複数パス推奨)を実行。
- エラーが出たモジュールを特定し、交換やメーカー修理へ。
セキュリティとプライバシー上の注意(簡潔)
- メモリ診断はローカルで実行され、ユーザーデータを外部に送信しません。診断ログはローカルに保存されるため、ログの共有時は個人情報に注意してください。
まとめ
Windows メモリ診断は、初心者でも手軽に使えるRAMの初期診断ツールです。スタートメニューやコマンドプロンプト、実行ダイアログなど複数の起動経路があります。検査で問題が見つかった場合は、RAMの再着席、スロット入替え、BIOS設定の見直し、そして必要に応じてMemTest86による詳細検査を行ってください。
重要: 診断で問題が検出されたら、速やかにバックアップを取ってください。RAMが不安定なシステムはデータ破損のリスクがあります。
この記事が役立ったら、どの方法を使ったかコメントで教えてください。
付録: 1行用語集
- MdSched: Windows メモリ診断を起動するコマンド名。
- MemTest86: ブート可能な外部メモリ診断ツール、より詳細な検査が可能。