Elementary(Ubuntu LTS ベース)にBURGをインストールして設定する

概要
GNU GRUBは長年にわたり主要なブートローダーでした。BURGはそのフォークで、最大の利点は「設定のしやすさ」と「視覚的なカスタマイズ性」です。GRUBに設定面で不満がある場合、BURGは良い代替になります。本記事は、最新のUbuntu LTSをベースにしたElementary OS上でBURGを導入し、テーマや設定を管理する方法を紹介します。
重要: サードパーティのPPAを追加するため、信頼できるソースかを必ず確認してください。ブートローダーの変更はシステムに重大な影響を及ぼします。バックアップとリカバリ手段を用意してください。
前提条件
- 管理者権限を持つアカウント(sudo権限)
- インターネット接続
- 既存のGRUBによるブート環境のバックアップ推奨(例: ディスクのスナップショット、重要データのバックアップ)
インストール手順
端末を開いて以下のコマンドを順に実行します。これにより、BURGのPPAを追加し、パッケージをインストールします。
sudo add-apt-repository ppa:n-muench/burg
sudo apt-get update
sudo apt-get install burg burg-themes
インストール中に設定画面が表示されます。BURGをインストールするドライブを選択するプロンプトでは、矢印キーで選択肢を移動し、Spaceで選択、Enterで確定します。
インストール完了後、以下を実行して設定ファイルを生成・更新します。
sudo update-burg
エミュレータでの確認
すぐに再起動する前に、エミュレータで動作確認と微調整を行えます。
sudo burg-emu
burg-emuは実際の再起動なしでブート画面を再現します。テーマの切り替えや解像度変更の確認に便利です。
画面上には検出されたOSの最新カーネルが複数並びます。シャットダウンや再起動のオプションも表示されます。テーマを変更する際は、テーマメニューでF2、解像度を変更する際はF3を使用します。
テーマのカスタマイズ
デフォルトのburg-themesパッケージに満足できない場合は、grub-customizerを使ってテーマの編集や独自テーマの読み込みが可能です。PPAを追加してインストールします。
sudo add-apt-repository ppa:danielrichter2007/grub-customizer
sudo apt-get update
sudo apt-get install grub-customizer
起動後、grub-customizerは自動でBURGを検出し、BURGの設定オプションを表示します。
「外観設定」タブで背景画像やアイコンを設定できます。ネット上で配布されているテーマをダウンロードして読み込むことも可能です。
テーマを手動で追加する手順
- テーマ配布ファイル(通常はtar.gzやzip)を取得する。
- ファイルマネージャをrootで開くか、端末でsudoを使ってアクセスする。
- /boot/burg/themes/ に展開する(theme.txtが上位階層にあることを確認)。
例:
sudo tar -xzf my-burg-theme.tar.gz -C /boot/burg/themes/
注意: theme.txtがテーマのルートに無いと読み込めません。
GRUBへ戻す手順
何らかの理由でGRUB 2に戻したい場合は、次のコマンドでBURGと関連テーマを削除し、PPAを削除、GRUB設定を更新します。
sudo apt-get remove --purge burg burg-themes
sudo add-apt-repository -r ppa:n-muench/burg
sudo update-grub
その後システムを再起動して、GRUBが正常に起動するか確認してください。
トラブルシューティングと注意点
重要: ブートローダー変更はシステム復旧が必要になるリスクを伴います。以下はよくある問題と対処法です。
- 起動しなくなった場合
- ライブUSBから起動し、chrootしてGRUBを再インストールするか、上記のGRUBに戻す手順を実行してください。
- テーマが表示されない場合
- theme.txtの位置とパーミッションを確認する。/boot/burg/themes/<テーマ>/theme.txt が存在すること。
- 解像度やフォントが崩れる場合
- F3で解像度設定を試す。テーマの互換性が問題のことが多いです。
- grub-customizerが反映しない場合
- grub-customizerで保存後、sudo update-burg を手動で実行して反映させる。
失敗例/適用されない場面:
- 最新のUbuntuリリースや特殊なパーティションレイアウトではBURGが正しく動作しない可能性があります。
- セキュアブートが有効な環境では署名やブートポリシーで遮断されることがあります。必要であれば一時的にSecure Bootを無効にしてください。
代替手段
- GRUB 2をそのまま使う: より広くテストされており、ディストリビューションの公式サポートがある。
- systemd-boot: EFI環境でよりシンプルで高速なブートローダー。
- rEFInd: GUIベースでEFIのカスタマイズ性が高い。
選択のヒント: GUIでの見た目カスタマイズが主目的ならBURGやrEFInd。互換性と公式サポート重視ならGRUBを推奨します。
ロール別チェックリスト
ユーザー(個人のデスクトップ)
- 重要データをバックアップ
- PPAの信頼性を確認
- burg-emuで表示を確認
システム管理者
- ブートレスキュー手順を準備
- 複数台で展開する場合はイメージに組み込む手順を文書化
- セキュリティポリシー(Secure Boot等)との整合性を確認
簡易SOP(短い手順書)
- バックアップを取得する。2. PPAを追加してインストール。3. sudo update-burg を実行。4. sudo burg-emu で確認。5. 必要ならgrub-customizerで調整。6. テーマを/boot/burg/themes/へ配置。7. 問題があればGRUBに戻す。
用語集(1行)
- BURG: GRUBのフォークで、テーマとGUIカスタマイズを重視したブートローダー。
- GRUB: 伝統的なGNUのブートローダー。多くのLinuxディストリで標準。
- grub-customizer: GRUBやBURGの設定やテーマをGUIで編集するツール。
- burg-emu: 再起動せずにBURGの動作をエミュレートするツール。
まとめ
BURGは視覚的に優れ、テーマや起動メニューの順序を簡単にカスタマイズできます。ただし、互換性やセキュアブートの制約がある点に注意してください。導入前にバックアップと復旧手順を準備し、まずはburg-emuで確認してから実環境へ反映することをおすすめします。
重要: 変更を加える前に必ず重要データのバックアップを取り、復旧可能な手段を確保してください。