Scientific Linux 6.1 の DVD インストール手順

目的
このガイドは、Scientific Linux 6.1(SL 6.1)を DVD メディアから新規インストールする流れを示します。Scientific Linux は Fermilab や CERN などの研究機関が Enterprise Linux をソースから再構築して作った配布物で、主にラボ間の重複作業を減らし共通基盤を提供することを目的としています。本稿は学習用であり、確実な成功を保証するものではありません。
重要: このバージョンは古いリリースです。可能ならばより新しいサポートされたディストリビューションの利用を検討してください。
前提条件
- DVD ドライブを搭載したインストール対象のマシン
- Scientific Linux 6.1 の DVD ISO(i386 または x86_64)
- インストール対象のバックアップ(パーティション操作によりデータは消えます)
- ネットワーク接続(推奨:インストール後の更新のため)
用語定義: DVD ISO — 光学メディアに書き込むイメージファイル。
ダウンロード
ミラーから ISO を取得します。i386 と x86_64 のどちらかを選択してください。ダウンロード後は MD5 サム等で整合性を確認します。
- i386 バージョン
- x86_64 バージョン
DVD へ書き込みと起動
ISO の MD5 を確認し、お使いのライティングソフトで DVD に焼きます。書き込みが完了したら、対象マシンを DVD から起動します。
注: 古い光学ドライブや DVD-R の互換性が問題になることがあります。USB ブートが使える場合は ISO を USB に書き込む代替も検討してください。
インストール開始: 基本システムの導入
- DVD で起動後、ブートプロンプトで「Install or Upgrade an existing system」を選択して Enter を押します。
- インストールメディアのテストは時間がかかるためスキップできます(推奨オプションではありませんが、時間短縮が必要な場合の選択肢です)。
- ウェルカム画面で OK を選択します。
- インストール言語を選びます。
- キーボードレイアウトを選びます。
- タイムゾーンを設定します。
- root ユーザーのパスワードを設定します。強力なパスワードを選んでください。
警告: 弱いパスワードを入力すると警告が表示されます。セキュリティ上、強いパスワードを使用してください。
パーティション設定
パーティションの選択は重要です。ここで誤ると既存データが消えます。
- 「Replace existing Linux system(既存の Linux を置換)」など、用途に応じたスキームを選択します。
- 変更内容を書き込むと、選択したパーティション上のデータはすべて消去されます。十分注意して OK を押してください。
重要: THIS WILL DESTROY ALL DATA ON SELECTED PARTITION!(選択したパーティション上のすべてのデータが失われます)
ハードディスクのフォーマットが実行されます。
ネットワーク設定
マシンに複数のネットワークデバイスがある場合は、どのデバイスを利用するか指定します。
ネットワークインターフェースの詳細設定を行います(静的 IP や DHCP、ホスト名など)。
パッケージ依存性のチェックとインストール
インストーラが選択されたパッケージの依存関係をチェックします。
パッケージのインストールが始まります。所要時間は環境により異なりますが、目安は 30〜60 分程度です。
インストール完了メッセージが表示されます。
DVD を取り出して再起動します。
再起動後、ログイン画面が表示されます。
インストール後の基本操作
- システムにログインします。
- 最初にシステムを更新します:
yum update -y
- 不要なサービスを無効化し、ファイアウォールや SELinux ポリシーを確認します。
注意: SL 6.1 は古いカーネルとライブラリを含んでいます。最新のセキュリティ対応が必要な場合は、サポート中のディストリビューションの採用を検討してください。
Scientific Linux 6.1 に含まれる主なパッケージ情報
下記はインストール時に含まれていた代表的なパッケージです。
authconfig-6.1.12-5.el6.i686
bash-4.1.2-8.el6.i686
coreutils-8.4-13.el6.i686
cpio-2.10-9.el6.i686
curl-7.19.7-26.el6.i686
cyrus-sasl-2.1.23-8.el6.i686
db4-4.7.25-16.el6.i686
device-mapper-1.02.62-3.el6.i686
dhclient-4.1.1-19.P1.el6.i686
filesystem-2.4.30-2.1.el6.i686
glibc-2.12-1.25.el6.i686
grub-0.97-70.el6.i686
iptables-1.4.7-4.el6.i686
iptables-ipv6-1.4.7-4.el6.i686
kernel-2.6.32-131.0.15.el6.i686
krb5-libs-1.9-9.el6.i686
lua-5.1.4-4.1.el6.i686
lvm2-2.02.83-3.el6.i686
m4-1.4.13-5.el6.i686
mysql-libs-5.1.52-1.el6_0.1.i686
ncurses-5.7-3.20090208.el6.i686
openldap-2.4.23-15.el6.i686
openssh-server-5.3p1-52.el6.i686
openssl-1.0.0-10.el6.i686
pam-1.1.1-8.el6.i686
postfix-2.6.6-2.1.el6_0.i686
python-2.6.6-20.el6.i686
rpm-4.8.0-16.el6.i686
rsyslog-4.6.2-3.el6.i686
selinux-policy-3.7.19-93.el6.noarch
sl-release-6.1-2.i686
tar-1.23-3.el6.i686
yum-3.2.29-17.el6.noarch
これらのパッケージ名とバージョンはインストール環境により異なる場合があります。
追加のチェックリスト(管理者向け)
- 重要データのバックアップを作成したか
- インストールメディアの MD5 を確認したか
- root パスワードを設定したか(強力なもの)
- 不要なサービスを無効化したか
- yum update を実行したか
- ファイアウォールと SELinux の設定を確認したか
役割別チェックリスト
- サーバー管理者:
- SSH の鍵認証設定
- 自動更新または監視の導入
- 重要ログの収集設定
- 研究者/利用者:
- 必要なランタイム/ライブラリのインストール
- ホームディレクトリのパーミッション確認
- 使用するソフトウェアのバージョン管理
よくあるトラブルと対処
- DVD から起動しない: BIOS のブート順を確認。USB ブートの代替を検討。
- ネットワークが繋がらない: ネットワークインターフェースの有効化と DHCP/静的設定を再確認。
- パッケージ依存で失敗する: インストールメディアの破損やミラーの不整合が原因のことがあります。媒体のチェックと再ダウンロードを検討。
互換性と移行のヒント
- Scientific Linux は RHEL/CentOS 系の互換性を目指しています。RHEL 系のソフトや設定の多くはそのまま動作しますが、古いバージョンゆえに新しいソフトのビルドが必要になることがあります。
- 可能であれば長期サポートが継続しているディストリビューションへの移行を検討してください。
小さな方針(ミニ・メソドロジー)
- 目的と役割を決める(サーバー、デスクトップ、実験用など)。
- 必要なパッケージとストレージ設計を決定する。
- バックアップを取り、ISO の整合性を確認する。
- インストール → 初期設定 → 更新の順で進める。
簡易フローチャート
flowchart TD
A[ISO を入手] --> B{ISO の整合性 OK?}
B -- Yes --> C[DVD/USB に焼く]
B -- No --> A
C --> D[マシンを起動]
D --> E{パーティションを選択}
E -- 新規 --> F[インストール実行]
E -- 置換 --> F
F --> G[再起動と更新]
G --> H[運用]
参考リンク
- Iran Honeynet Project: http://www.honeynet.ir/
- Scientific Linux: http://www.scientificlinux.org/
まとめ
- Scientific Linux 6.1 を DVD でインストールする基本手順を示しました。
- パーティション操作はデータを消去します。必ずバックアップを取り、注意して操作してください。
- インストール後は必ず yum update を実行し、必要なセキュリティ対策を施してください。
要点:
- DVD から起動 → 言語/キーボード/タイムゾーン/パスワード → パーティション → ネットワーク → パッケージインストール → 再起動 → 更新
短い引用:「組織間で共通基盤を持つことは、研究環境での再現性と効率を高めます。」