OpenBravo 2.4 を CentOS にインストールする手順

概要

このガイドは、著者が検証した手順に基づき、CentOS 系の環境に OpenBravo ERP 2.4 を手動でインストールする方法を示します。主に次のコンポーネントを手動で配置し、インストーラを利用して OpenBravo をセットアップします。

• Apache Tomcat 5.5（/opt/tomcat）
• Apache Ant 1.7（/opt/ant）
• OpenBravo 2.4 インストーラ
• PostgreSQL（今回はインストーラからDBを指定）

重要: 本手順は検証済の OpenBravo 2.4 向けです。新しいバージョン（例: 2.5）は未検証のため、自己責任で試してください。

目次

• Apache Tomcat 5.5 の取得と起動
• Apache Ant 1.7 の取得と設定
• OpenBravo 2.4 のダウンロードとインストール
• 動作確認
• 事前チェックリスト
• トラブルシューティングとロールバック手順
• 受け入れ基準とテストケース
• ロール別チェックリスト
• 用語集
• 参考リンク

Apache Tomcat 5.5 の取得と起動

次の手順で Tomcat を /opt 配下にダウンロードして配置します。

cd /opt

wget http://apache.cyberuse.com/tomcat/tomcat-5/v5.5.27/bin/apache-tomcat-5.5.27.tar.gz

tar xzf apache-tomcat-5.5.27.tar.gz

mv apache-tomcat-5.5.27 tomcat

Tomcat を起動してバックグラウンドに渡します。

/opt/tomcat/bin/startup.sh &

システム起動時に自動起動させたい場合は rc.local に追記します。

echo "/opt/tomcat/bin/startup.sh &" >> /etc/rc.local

重要: システムや配布元によっては init/systemd スクリプトを用意する方が望ましく、rc.local への追記は古い方法です。

Apache Ant 1.7 の取得と設定

Ant を手動で /opt に展開し、環境変数を設定します。

cd /opt

wget http://apache.promopeddler.com/ant/binaries/apache-ant-1.7.1-bin.tar.gz

tar xzf apache-ant-1.7.1-bin.tar.gz

mv apache-ant-1.7.1 ant

echo "export ANT_HOME=/opt/ant" >> /etc/rc.local

export ANT_HOME=/opt/ant

注: 永続的に環境変数を設定する場合は /etc/profile.d/ にスクリプトを置く方法が推奨されます。

OpenBravo 2.4 のダウンロードとインストール

/tmp に移動してインストーラを取得します。

cd /tmp

wget http://surfnet.dl.sourceforge.net/sourceforge/openbravo/OpenbravoERP_2.40-linux-installer.bin

実行権を付与してインストーラを実行します。

chmod +x OpenbravoERP_2.40-linux-installer.bin

./OpenbravoERP_2.40-linux-installer.bin

インストーラはテキストベースで対話的に設定を行います。以下は対話例（推奨入力）です。インストール中に表示されるライセンスは ENTER を数回押して読み進め、最後に yes を入力します。

テキストプロンプトの一例（対話中の質問と推奨入力）:

Please specify the directory where Openbravo ERP will be installed

[/opt/OpenbravoERP]: <– ENTER

Please specify a directory for the Openbravo ERP attachments

[/opt/OpenbravoERP/AppsOpenbravo/attachments]: <– ENTER

Installation mode

Please select the installation mode you wish to perform

[1] Complete

The database and the application server in the same computer

[2] Distributed

The database and the application server in different computers

Please choose an option [1] : <– ENTER

Please select the installation type you wish to perform

[1] Standard

Installs the database and sets up the application server.

Recommended.

[2] Development

Installs the database and and sets up the application server

through a compilation process.

Recommended for developers.

Please choose an option [1] : <– ENTER

Please specify the directory where the JDK is located

[/opt/java]: <– ENTER

Please specify the location where the Ant executable is located

[/opt/ant/bin/ant]: <– ENTER

Please specify the directory where Tomcat is located.

In case of having Tomcat split into 2 directories, select the one containing the webapps directory

[/opt/tomcat]: <– ENTER

Please select a database

[1] PostgreSQL

[2] Oracle

Please choose an option [1] : <– ENTER

Please specify the directory where the binaries of the PostgreSQL installation are located (psql, pg_restore, vacuumdb)

[/usr/bin]: <– ENTER

Please enter the IP address of the PostgreSQL database

Database host [localhost]: <– ENTER

Please enter the port of the PostgreSQL database

Database port [5432]: <– ENTER

Enter the password for your “postgres” administrator user

Password : <– testpassword

Retype password : <– testpassword

Please enter the name of the PostgreSQL database

Database name [openbravo]: <– ENTER

Please enter a username for the Openbravo ERP PostgreSQL database

Username [tad]: <– admin

Please enter a password for the new database user

Password : <– adminpassword

Retype password : <– adminpassword

Enter a context name.

This is used in the URL to access Openbravo ERP:

http://:/context_name

Context name [openbravo]: <– openbravoerp

Please select the preferred date and time formats

Date format

[1] DD MM YYYY

[2] MM DD YYYY

[3] YYYY MM DD

Please choose an option [1] : <– ENTER

Date separator

[1] -

[2] /

[3] .

[4] :

Please choose an option [2] : <– ENTER

Time format

[1] 12h

[2] 24h

Please choose an option [2] : <– ENTER

Time separator

[1] :

[2] .

Please choose an option [1] : <– ENTER

Should the installer populate the database with demo data?

[Y/n]: Y <– ENTER

Setup is now ready to begin installing Openbravo ERP on your computer.

Do you want to continue? [Y/n]: Y <– ENTER

インストールは数分かかります。完了すると “Setup has finished installing Openbravo ERP on your computer.” のようなメッセージが表示されます。

動作確認

インストールが成功したらブラウザで次の URL にアクセスします（ホスト名/IP とコンテキスト名はインストール時の設定に合わせる）。

• http://www.example.com:8080/openbravoerp
• http://192.168.1.1:8080/openbravoerp

初回ログイン: ユーザー名 Openbravo、パスワード openbravo を使用します（インストール時に変更している場合はその値）。

注意: スクリーンショットは割愛しています。問題がある場合は後述のトラブルシューティングを参照してください。

事前チェックリスト

• Java JDK がインストール済みであること（インストールパスを把握している）。
• /opt に書き込み可能であること（root または適切な権限）。
• PostgreSQL がインストール済み、または同一ホストにインストール可能であること。
• firewall や SELinux の設定でポート 8080（または Tomcat のポート）が許可されていること。

受け入れ基準

• ブラウザで Openbravo のログイン画面が表示されること。
• 管理者アカウントでログインできること。
• デフォルトのデモデータが正しくロードされていること（インストールでデモデータを選択した場合）。
• アプリケーションログ（Tomcat の catalina.out）に重大な例外が出ていないこと。

テストケース（簡易）

• 起動テスト: Tomcat 起動後、/openbravoerp にアクセスして 200 OK を確認する。
• ログインテスト: Openbravo 管理者でログインできるか。
• データベース接続: PostgreSQL に接続でき、Openbravo 用のスキーマが存在するか。
• アップロードテスト: 添付ファイル機能にファイルをアップロードして取り出せるか。

トラブルシューティング（よくある問題と対策）

• Tomcat が起動しない
  • /opt/tomcat/logs/catalina.out を確認。Java のバージョン不整合やポート競合をチェック。
• Ant が見つからない
  • インストール時に指定した Ant のパス（/opt/ant/bin/ant）を再確認。PATH に追加する。
• PostgreSQL 接続エラー
  • psql が /usr/bin にあるか確認。インストーラで指定したホスト/ポート/ユーザーの権限を確認。
• インストールが途中で失敗する
  • ログ出力を確認し、一時ディレクトリの空き容量やファイルパーミッションをチェック。

重要: SELinux が有効な場合、Tomcat からのファイルアクセスやポート利用が制限されることがあります。問題が発生したら一時的に permissive にするか、適切なポリシーを追加してください。

ロール別チェックリスト

• システム管理者
  • JDK/Ant/Tomcat のインストールとバージョン確認
  • 必要なポートを firewall で開放
  • サービスの自動起動設定
• データベース管理者
  • PostgreSQL ユーザーと権限の作成
  • バックアップとリストア手順の確認
• 開発者
  • 開発モードでのビルド手順確認（必要ならソースからビルド）
  • Ant のビルドスクリプトをレビュー

インシデント時の簡易実行手順（ロールバック）

1. アプリケーション停止:

/opt/tomcat/bin/shutdown.sh

2. データベースのバックアップがあればリストア。なければ重要データを抽出して保存。
3. /opt/OpenbravoERP ディレクトリをリネームまたは削除（削除前にバックアップ必須）。

mv /opt/OpenbravoERP /opt/OpenbravoERP.bak

4. Tomcat 内の Openbravo webapp を削除または置換。

rm -rf /opt/tomcat/webapps/openbravo

5. 必要ならインストーラ前の状態（Ant/Tomcat のみ残す）に戻して再インストール。

ミニメソドロジー（推奨手順）

1. テスト環境で一度インストール手順を通す。
2. 構成をドキュメント化（パス、ユーザー、パスワード、ポート）。
3. 本番ではスクリプト化・自動化された手順で反復可能にする。

用語集（1 行）

• Tomcat: Java Servlet/JSP を実行するウェブアプリケーションサーバ。
• Ant: Java ビルドツール。OpenBravo のコンパイルやデプロイで使用。
• コンテキスト名: OpenBravo をアクセスする URL の一部（例: /openbravoerp）。

セキュリティ注意点

• デフォルトの管理者パスワードは必ず変更すること。
• インターネットに公開する場合は SSL/TLS（HTTPS）を導入し、通信を暗号化すること。
• PostgreSQL の管理アカウント（postgres）のパスワードを強力に設定すること。

参考リンク

• Openbravo: http://www.openbravo.com/
• CentOS: http://www.centos.org
• PostgreSQL RPM リポジトリ: http://yum.pgsqlrpms.org

まとめ: この手順では Tomcat と Ant を /opt 配下に手動で配置し、OpenBravo のインストーラを使って 2.4 をセットアップする方法を示しました。事前チェックとログ確認、役割別の確認項目を用意しているので、まずはテスト環境で一通り試してから本番適用してください。