BoltWire を Ubuntu 18.04 にインストールし設定する

概要
BoltWire は PHP で書かれたオープンソースの CMS で、データはファイルシステムに保存されます。WYSIWYG や SEO に配慮した出力、柔軟な CSS フレームワークを特徴に持ち、少人数や軽量サイトに向きます。データベースを使わないため、シンプルなホスティング環境でも動作しますが、ファイルパーミッションやバックアップの運用が重要です。
重要: 本手順は Ubuntu 18.04 を前提にしています。他バージョンではパッケージ名やコマンドが異なる場合があります。
目次
- 要件
- 事前準備
- Apache と PHP のインストール
- Apache の BoltWire 用設定
- BoltWire のダウンロードと配置
- 初回アクセスとサイト作成
- よくある問題と対処
- セキュリティとバックアップ
- 導入チェックリスト
- 受け入れ基準
- まとめ
要件
- Ubuntu 18.04 が稼働するサーバー
- 固定 IP(サーバーに設定済み)
- sudo 権限を持つ非 root ユーザー
事前準備
まずシステムを最新に更新します。端末で以下を実行してください。
sudo apt-get update -y
sudo apt-get upgrade -y
この処理により既存パッケージが最新になり、以降のインストールが安定します。
Apache と PHP のインストール
BoltWire は PHP 上で動作し、通常 Apache をウェブサーバーとして使用します。以下のコマンドで必要なパッケージを一括インストールします。
sudo apt-get install apache2 php7.2 libapache2-mod-php7.2 php7.2-common php7.2-mbstring php7.2-xmlrpc php7.2-gd php7.2-xml php7.2-cli php7.2-tidy php7.2-intl php7.2-curl php7.2-zip unzip wget curl -y
インストール後、PHP の設定ファイルを編集します。
sudo nano /etc/php/7.2/apache2/php.ini
ファイル内で少なくとも次の設定を確認または変更してください(サンプルは元のチュートリアル例)。
file_uploads = On
allow_url_fopen = On
memory_limit = 256M
upload_max_filesize = 100M
max_execution_time = 360
date.timezone = Europe/Berlin
注意: date.timezone はサーバーの地域に合わせて変更してください(例: Asia/Tokyo)。
編集が終わったら保存してファイルを閉じ、Apache を起動して自動起動を有効にします。
sudo systemctl start apache2
sudo systemctl enable apache2
Apache の BoltWire 用設定
Apache に仮想ホストファイルを作成してサイトをホストします。例:
sudo nano /etc/apache2/sites-available/boltwire.conf
以下を追加します(例)。DocumentRoot と ServerName は環境に合わせて変更してください。
ServerAdmin [email protected]
DocumentRoot /var/www/html/boltwire
ServerName example.com
Options FollowSymlinks
AllowOverride All
Require all granted
ErrorLog ${APACHE_LOG_DIR}/seopanel_error.log
CustomLog ${APACHE_LOG_DIR}/seopanel_access.log combined
ファイルを保存後、仮想ホストを有効にし、mod_rewrite を有効化して Apache を再起動します。
sudo a2ensite boltwire
sudo a2enmod rewrite
sudo systemctl restart apache2
重要: ServerName は必ず自分のドメイン名に置き換えてください。ローカルや単純な IP でテストする場合は /etc/hosts を編集するか、直接 IP とパスでアクセスします。
BoltWire のダウンロードと配置
一時ディレクトリへ移動して、公式から ZIP を取得します。
cd /tmp
wget https://www.boltwire.com/files/6/boltwire6.02.zip
ダウンロード後に解凍し、Apache の DocumentRoot に配置します。
unzip boltwire6.02.zip
sudo mkdir /var/www/html/boltwire
sudo cp -r boltwire /var/www/html/boltwire/
パーミッションを適切に設定します。
sudo chown -R www-data:www-data /var/www/html/boltwire
sudo chmod -R 755 /var/www/html/boltwire
注意: ファイルベース CMS ではファイル書き込み権限が稼働に重要です。必要最小限の権限を付与してください。
初回アクセスとサイト作成
ブラウザでインストーラーにアクセスします。例: http://example.com/boltwire/start.php
画面で管理パスワードを設定し、SUBMIT をクリックします。次にサイト用のパスワードとサイト ID(フォルダ名)が求められます。サイト ID は URL の一部になります。
サイト作成が完了すると成功画面が表示されます。
サイトのフロントエンドにアクセスします(例: http://example.com/testsite/index.php)。
管理画面へは Register(登録)またはログインから進みます。
初期管理者ユーザー名は ‘admin’ です。パスワードは作成時に設定した値を使用します。
ログイン後、Admin ボタンから管理ダッシュボードへ移動し、Settings でサイト設定を進めます。
よくある問題と対処
- 403 Forbidden やファイルアクセスエラー
- DocumentRoot の所有者を www-data にする、または AllowOverride / mod_rewrite の設定を確認してください。
- PHP エラーや致命的なメモリ不足
- php.ini の memory_limit を増やすか、不要な PHP 拡張を調整してください。
- ファイルが保存されない
- ディレクトリの書き込み権限を確認してください(特に uploads や data フォルダ)。
- インストーラーが進まない
- 必要な PHP 拡張(mbstring, xml, gd など)がインストール済みか確認します。
代替アプローチと互換性
- Nginx を使う場合: PHP-FPM と組み合わせる必要があります。DocumentRoot のパスと try_files、リライトルールを Nginx 用に書き換えてください。
- Docker を使う場合: PHP-Apache の公式イメージに BoltWire をコピーしてコンテナ内で動かす方法が手軽です。永続ボリュームで data を保つこと。
- 他の PHP ベース CMS(WordPress 等)と比較すると、BoltWire はデータベース不要で軽量ですが、プラグインエコシステムは限定的です。
ファイルベース CMS の考え方(メンタルモデル)
ファイルベース CMS は「データをファイルとして扱う」ことで単純性を得ます。長所はセットアップの容易さ、短所は同時編集やスケーラビリティ、アクセス制御の複雑さです。中小規模のサイトや個人プロジェクトに適しています。
セキュリティとバックアップ
- ファイルバックアップ: 定期的に /var/www/html/boltwire のバックアップを取得してください。rsync や tar を用いた定期ジョブを推奨します。
- パーミッション: 不要な書き込み権限を付与しない。www-data のみが必要なフォルダに書き込み可にする。
- HTTPS: Let’s Encrypt で SSL を導入し、Apache に HTTPS を強制してください。
- 強力な管理パスワードを使用し、管理パネルへのアクセスは IP 制限や VPN を併用すると安全です。
導入チェックリスト
- Ubuntu 18.04 の最新化を実施
- Apache と必要な PHP 拡張をインストール
- php.ini の主要設定を確認(uploads, memory_limit, timezone)
- Apache の仮想ホストを設定し mod_rewrite を有効化
- BoltWire を /var/www/html/boltwire に配置
- 所有者と権限を設定(www-data)
- 初回インストーラーで管理パスワードとサイト ID を設定
- HTTPS(Let’s Encrypt)を有効化
- 定期バックアップの仕組みを構築
受け入れ基準
- サイトのトップページがブラウザで正しく表示される(index.php が動作)
- 管理者アカウントでログインできる
- ファイルアップロードとページ編集が問題なく行える
- Apache のエラーログに致命的なエラーが出ていない
- 定期バックアップが実行され、復元手順が検証されている
トラブルシューティング用の簡易フロー
flowchart TD
A[インストール後に問題発生] --> B{ブラウザで 403/500 エラー?}
B -->|403| C[権限と AllowOverride を確認]
B -->|500| D[Apache と PHP のエラーログを確認]
C --> E[権限修正して再試行]
D --> F[不足拡張をインストール/ php.ini を確認]
E --> G[再度アクセス]
F --> G
短い告知文(100–200 文字)
BoltWire を Ubuntu 18.04 にインストールする方法を公開しました。Apache と PHP の設定、初期サイト作成、運用上の注意点、トラブルシュート、バックアップ手順を含む実践ガイドです。軽量でデータベース不要な CMS を素早く導入したい方に向けた手順です。
まとめ
- BoltWire はデータベース不要で導入が簡単なファイルベース CMS です。
- Apache と PHP の適切な設定、ファイルパーミッション、バックアップ運用が鍵です。
- 必要に応じて Nginx や Docker での運用も可能ですが、設定は環境に合わせて調整してください。
重要: 本手順は一般的なガイドです。実運用前にステージング環境で動作確認とバックアップ・復元テストを必ず行ってください。