Windows:「発行元がブロックされました」エラーの解除方法

重要: 以下の手順は、インストールするソフトが信頼できる場合にのみ実行してください。未知のソフトや出所不明のファイルはインストールせず、ウイルス対策ソフトでスキャンしてください。
概要
Windows がアプリのインストールをブロックする理由には主に次があります。
- ファイルが別のコンピューターやインターネットから来たと判定され、ブロックされた。
- 発行元(署名者)が「信頼できない発行元」リストに入っている。
- SmartScreen や「望ましくない可能性のあるアプリ」ブロックが作動している。
- 組織のグループポリシーや管理者が特定アプリのインストールを制限している。
この記事では、一般ユーザーと管理者の両方が試せる具体的な手順を、画像付きでわかりやすく示します。手順ごとに安全確認とリスク軽減策も記載します。
方法一覧(先に全体像を示す)
- ファイルのプロパティでブロックを解除する
- 信頼できない発行元(Untrusted Publishers)から発行元を削除する
- コマンドプロンプト(管理者)で強制実行する
- SmartScreen フィルターを一時的に無効にする
選ぶ基準: まずは最も安全な「ファイルのプロパティでブロック解除」を試し、解決しない場合は発行元の管理や管理者権限での実行へ進んでください。どうしてもダメなら SmartScreen を一時的に切る方法を検討します。
重要: 企業ネットワークではグループポリシーが優先され、個人で解除できない場合があります。必ずIT管理者に相談してください。
1. ファイルのプロパティでアプリを解除する
説明: Windows は、別PCやインターネットから取得した実行ファイルに「ブロック」フラグを付けることがあります。まずは簡単な方法で解除してみましょう。
手順:
- ブロックされたインストーラー(setup.exe など)を右クリックして「プロパティ」を選択します。
- 「全般」タブを開きます。
- ウィンドウ下部に「セキュリティ」欄が表示され、そこに「ブロックの解除」チェックボックスまたは「ブロックを解除」ボタンがあればオンにします。
- 「適用」→「OK」をクリックして変更を保存します。
- インストーラーを再度実行します。
補足: 「ブロックを解除」オプションが表示されないファイルもあります。その場合は次の手順へ進んでください。
注意: ブロック解除後に必ずウイルススキャンを行い、期待した発行元の署名があるかを確認してください。
2. 発行元(Publisher)を管理してブロック解除する
説明: インターネットオプション → 証明書で「信頼できない発行元」リストを確認し、問題の発行元が含まれている場合は削除できます。
手順:
- Win + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
- box に control と入力し、Enter してコントロールパネルを開きます。
- 「ネットワークとインターネット」をクリックします。
- 「インターネット オプション」をクリックします。
- 「インターネットのプロパティ」ダイアログで「コンテンツ」タブを選びます。
- 「証明書」ボタンをクリックします。
- 証明書ダイアログで右上の小さな矢印ボタンでタブを切り替え、「信頼できない発行元」タブを表示します。
- リストから問題の発行元(Friendly Name 列を参照)を探します。
- 見つかったら選択して「削除」をクリックします。
- 確認ダイアログで「はい」を選びます。
- 「閉じる」→「適用」をクリックして設定を保存します。
- インストーラーを再度実行して動作を確認します。
重要: 発行元を削除する操作は管理者権限が必要な場合があります。企業端末では IT 管理者に依頼してください。
3. コマンドプロンプトから管理者権限でインストールする
説明: 発行元リストに表示されない場合、管理者権限でインストーラーを直接実行してみます。ファイルパスをコピーしてコマンドラインで起動する方法です。
手順:
- エクスプローラー(Win + E)でインストーラーのあるフォルダーへ移動します。
- 対象ファイルを右クリックして「パスとしてコピー」を選びます。
- Win キーを押し、cmd と入力して「管理者として実行」でコマンドプロンプトを起動します。
- コマンドプロンプト上で Ctrl + V で先ほどコピーしたパスを貼り付け、Enter を押します。
- インストーラーが管理者権限で起動し、通常のインストールウィザードが表示されれば手順に従ってインストールします。
注意: 管理者権限で実行することで、OS の保護機能をバイパスする可能性があります。信頼できるソフトかどうか再確認してください。
4. SmartScreen フィルターを一時的に無効にする(Windows 11 の手順)
説明: SmartScreen は既知の脅威や不審なアプリをブロックしますが、誤検出で正当なアプリをブロックすることがあります。以下は Windows 11 の例です。Windows 10 やそれ以前では画面の文言や場所が若干異なることがあります。
手順:
- Win + I を押して「設定」を開きます。
- 左ペインで「プライバシーとセキュリティ」を選びます。
- 「Windows セキュリティ」をクリックします。
- 「Windows セキュリティを開く」をクリックします。
- 左メニューで「アプリとブラウザー コントロール」を開きます。
- 「信頼性に基づく保護の設定(Reputation-based protection settings)」をクリックします。
- 「アプリとファイルの確認(Check apps and files)」をオフにします。確認ダイアログが出たら「はい」を選びます。
- 必要なら「望ましくない可能性のあるアプリのブロック(Potentially unwanted app blocking)」もオフにします。
- インストールが完了したら必ず SmartScreen を元に戻しておいてください。
重要: SmartScreen を無効にしている間は未知の悪意あるファイルが通過する可能性があります。作業は短時間で終わらせ、再有効化を忘れないでください。
いつ上記の方法が効かないか(対処の優先順位)
- 企業のグループポリシーで明示的にインストールが禁止されている場合
- アプリ自体がマルウェアや改竄されている疑いがある場合
- 発行元の証明書が失効している/改竄されている場合
対処:
- 企業端末はIT管理者に依頼する(ログやポリシーの確認が必要)。
- ソフトの配布元に問い合わせて、正規のインストーラーのハッシュや署名情報を確認する。
- 署名や証明書の詳細を確認し、失効リスト(CRL)や OCSP を確認する。
追加の安全対策とハードニング(実行後に推奨)
- インストール後は必ず SmartScreen を有効に戻す。
- インストールしたソフトをウイルス対策ソフトでフルスキャンする。
- 署名のあるインストーラーかどうかを確認する: ファイルを右クリック→プロパティ→デジタル署名タブで確認。
- 不要な場合は信頼できない発行元リストからの削除やファイルのブロック解除操作を最小限に留める。
- 企業環境では UMA(ユーザー権限の最小化)とアプリケーション管理ポリシーを使う。
意思決定ツリー(どの方法を先に試すか)
以下の図は、どの手順を優先するかを簡単にまとめたものです。
flowchart TD
A[インストールで発行元ブロックエラー] --> B{ファイルは入手元が確実?}
B -- はい --> C[1: ファイルのプロパティで解除]
B -- いいえ --> H[配布元に確認/ダウンロード元を見直す]
C --> D{解除できた?}
D -- はい --> Z[インストール完了]
D -- いいえ --> E[2: 信頼できない発行元を確認]
E --> F{発行元がリストにある?}
F -- はい --> G[発行元を削除して再試行]
F -- いいえ --> I[3: 管理者権限で実行または 4: SmartScreen を一時オフ]
I --> J[インストール後は必ず SmartScreen をオンに戻す]
H --> K[正規の配布元から再取得]
役割別チェックリスト
管理者向けチェックリスト:
- グループポリシーや Intune の設定でブロックされていないか確認する。
- 発行元証明書の有効性(有効期限、失効状況)を確認する。
- 署名情報と配布元のハッシュを照合する。
- 必要なら配布者を許可するための手順をドキュメント化する。
一般ユーザー向けチェックリスト:
- 配布元の正当性を確認する(公式サイト、ダウンロード元、レビュー)。
- ファイルをウイルス対策でスキャンする。
- まずファイルのプロパティで「ブロックの解除」を試す。
- 解決しない場合は IT に相談するか、管理者権限を借りる。
よくある失敗例と回避策(カウンター例)
失敗例: SmartScreen をオフにしてインストールしたが、マルウェアだった。 回避: 常にインストール前後でウイルススキャンを実行し、出所を確認する。
失敗例: 「信頼できない発行元」を削除したが、別の署名付きファイルで再度ブロックされた。 回避: 発行元の Friendly Name に似た別エントリがないか確認し、証明書の詳細をチェックする。
失敗例: 管理者権限での実行でもブロックされる(グループポリシーが原因)。 回避: IT 管理者にグループポリシーの例外追加や監査ログの確認を依頼する。
1行用語集
- SmartScreen:Windows のレピュテーション(評判)ベースの防御機能。未知のアプリを警告・ブロックする。
- 発行元(Publisher):ソフトのデジタル署名を行った個人または組織の識別名。
- 証明書:署名の正当性を証明するデジタル文書。発行元と有効性を確認できる。
テンプレート:IT 管理者に送る問い合わせ文(コピペ可)
件名: インストーラーが「発行元がブロックされました」でインストール不可
本文:
いつもお世話になっております。以下のソフトウェアのインストールでエラーが発生し、ブロックされています。対応をお願いいたします。
- ソフト名:
- バージョン:
- 配布元URL:
- インストーラーのファイル名とハッシュ(可能なら):
- 発生日時:
- 実施済み手順: ファイルのプロパティ解除、証明書確認、管理者実行(必要なら結果も)
ご確認の上、グループポリシーの例外追加または証明書の許可をお願いいたします。
最終まとめ
Windows が発行元をブロックするのは、主にユーザー保護のためです。まずは「ファイルのプロパティでブロック解除」を試し、発行元が信頼できるかを確認してください。企業環境では管理者権限やグループポリシーが介在するため、IT 部門と連携することが重要です。SmartScreen を一時的に無効にする方法は最後の手段とし、作業後は必ずセキュリティ設定を元に戻してください。
要点:
- まずは簡単な解除方法から試す(プロパティ → ブロック解除)。
- 発行元リストや証明書の有効性を確認する。企業環境では IT に相談する。
- 管理者権限での実行や SmartScreen の一時無効化はリスクを伴うため注意する。
重要: 手順実行前に必ず配布元の正当性を確認し、不明点があればダウンロード元やベンダーに問い合わせてください。