Windows エラー 0x800700DF を解消する完全ガイド

Windowsで「Error 0x800700DF: File exceeds the limit allowed and cannot be saved」が出る場合、原因は主にファイルシステムの制限(FAT32)やWebClient設定、レジストリのファイルサイズ上限、あるいは悪意あるソフトウェアです。本記事はNTFSへの変換(またはフォーマット)、レジストリの調整、WebClientサービス確認、マルウェアスキャン、代替の対処法まで、段階的に安全に進める手順とチェックリストを提供します。
概要と原因の整理
このエラーは以下が原因で起きます。いずれも順に確認すると解決しやすいです。簡易チェックリスト:
- 外付けドライブや共有先のファイルシステムがFAT32になっていないか
- WindowsのレジストリでFileSizeLimitinBytesが低く設定されていないか
- WebClientサービスが動作しているか(SharePointやWebDAV経由での転送時)
- ウイルスやマルウェアの影響がないか
重要な前提:操作を始める前に必ず重要ファイルのバックアップを取ってください。フォーマットやレジストリ編集はデータを失う可能性があります。
1. ファイルシステムをNTFSにする(推奨)
背景:FAT32は単一ファイル最大4GB(約4ギガバイト)という制限があります。NTFSにすると理論上の単一ファイル最大は数TB~16TBクラスになり、大容量ファイルの転送が可能です。
注意:パーティションをフォーマットすると既存のデータは消えます。フォーマット以外に既存データを保持したままNTFSへ移行する方法も下で紹介します。
手順(フォーマットする場合)
- エクスプローラーを開き、問題の外付けドライブやパーティションを確認します。
- 対象ドライブを右クリックして「フォーマット」を選択します。
- 「ファイルシステム」を「NTFS」に設定します。
- 「割り当て単位サイズ」は「既定」を選びます。
- 「ボリュームラベル」に任意の名前を入力します。
- 「クイックフォーマット」のチェックは外すことを推奨します(完全フォーマットで不良セクタを検出できます)。
- 「OK」をクリックし、完了を待ちます。処理時間はドライブ容量と速度によります。
- 終了後、PCを再起動し、再び大きなファイルをコピーして問題が解決しているか確認します。
代替:データを残したままFAT32をNTFSへ変換する方法(既存データを保持)
- 管理者権限のコマンドプロンプトを開き、次のコマンドを実行します(Xはドライブレターに置き換え):
convert X: /fs:ntfs
- この方法は多くの場合データを残したまま変換できますが、操作前に必ずバックアップを取ってください。
いつフォーマットが必要かの目安:変換に失敗したり、ドライブに不良セクタがある・互換性の都合でクリーンフォーマットが必要な場合はフォーマットを選びます。
2. レジストリでFileSizeLimitinBytesを確認・調整
背景:WebClient経由の転送やSharePoint接続ではレジストリのFileSizeLimitinBytesというキーが上限を決めています。既定値より小さいとアップロードがブロックされます。
重要:レジストリ編集はシステムに重大な影響を与える可能性があります。編集前にレジストリのバックアップを必ず取り、手順を正確に行ってください。
手順
Windowsキー+R を押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
regedit と入力して「OK」を押し、レジストリエディターを起動します。管理者権限が必要です。
次のパスへ移動します:
HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters
右ペインで FileSizeLimitinBytes を探します。存在しない場合は新しい DWORD(32ビット)値または QWORD(64ビット)値を作成します。環境によってはQWORDが必要な場合があります。
値をダブルクリックし、「値のデータ」を 40000000 に設定します。
「基数」は「10進」を選択してから「OK」を押します。
レジストリエディターを閉じ、PCを再起動します。
注記:ここで設定する 40000000 はバイト単位の値です。もしもっと大きな上限が必要なら、より大きな10進数を設定します。ただし、値の意味と単位を理解してから変更してください。
3. WebClientサービスを確認して再起動する
背景:SharePointやWebDAVを介したファイル転送はWebClientサービスに依存します。サービスが停止していると接続やアップロードが失敗します。
手順
- スタートメニューの検索に「サービス」と入力し、管理者として実行します。
- サービス一覧から「WebClient」を探します。
- ステータスが「実行中」でない場合は右クリックして「開始」を選びます。
- 既に実行中の場合は「停止」→「開始」で再起動してみてください。
補足:SharePoint側にもアップロードサイズ制限があります。WebClientを有効にしてもSharePointの設定で上限が低ければアップロードはできません。管理者に確認してください。
4. マルウェアスキャンを実施する
症状:ファイルサイズ制限エラー以外にも不審な動作や複数のファイル転送失敗がある場合、マルウェアの可能性を疑います。
対処:フルスキャンを行い、見つかった脅威は隔離・削除します。Windows Defenderや信頼できるサードパーティ製のアンチウイルスを使用してください。可能ならセーフモードでのスキャンも検討します。
5. 一時的な回避策と代替手段
- ファイルを分割する:ツール(7-Zipなど)で分割アーカイブを作成し、4GB未満のチャンクに分ける。
- 圧縮する:PDFや画像、動画は圧縮ツールでサイズを下げるとアップロード可能になる場合があります。
- クラウド同期クライアントを使う:公式のOneDrive/SharePointクライアント経由でアップロードする方法は限界が異なるため成功することがあります。
- 別の共有方法:外付けHDDに直接コピーする、あるいは大容量転送サービスを利用する。
代替アプローチのメリットと欠点
convertコマンド(データを残して変換)
- メリット:フォーマット不要で速い
- 欠点:変換失敗でファイル破損のリスク、ドライブ状態による
クイックフォーマット
- メリット:速い
- 欠点:不良セクタを検出できないため信頼性が落ちる
トラブルシューティングの意思決定フロー
flowchart TD
A[問題発生:0x800700DF] --> B{接続先は外付けドライブか?
}
B -- はい --> C{ドライブのファイルシステムはFAT32か?}
B -- いいえ --> D{SharePoint/WebDAV経由か?}
C -- はい --> E[convertまたはNTFSへフォーマット]
C -- いいえ --> F[レジストリとWebClientを確認]
D -- はい --> F
D -- いいえ --> G[圧縮/分割/別の転送手段を検討]
F --> H{問題解決?}
E --> H
G --> H
H -- はい --> I[完了]
H -- いいえ --> J[マルウェアスキャンおよび専門家に相談]
J --> I
管理者・エンドユーザー別チェックリスト
管理者向け
- 重要データのバックアップを確保する
- ファイルシステムの状態(FAT32/NTFS)を確認する
- 必要ならNTFSへ変換またはフォーマットを実行する
- WebClientサービスとレジストリ値を監査する
- SharePointのアップロード上限を確認する
エンドユーザー向け
- 大きなファイルは圧縮/分割してからアップロードする
- クラウドクライアントを最新に保つ
- 問題が継続する場合はIT管理者へ報告する
ヘルプデスク向け
- 発生状況(対象ファイルサイズ、経路、再現手順)を収集する
- 管理者へレジストリ・WebClientのチェックを依頼する
- 必要なら遠隔でconvertコマンドまたはフォーマットの支援を行う
リスクと緩和策
- リスク:フォーマットによるデータ消失。緩和:事前バックアップと検証。
- リスク:レジストリ編集によるシステム不安定化。緩和:レジストリのエクスポート(バックアップ)を取得してから変更。
- リスク:マルウェア検知の遅れ。緩和:定期スキャン、自動更新の有効化。
1行用語集
- FAT32:古いファイルシステム、単一ファイル上限は約4GB。
- NTFS:現代のWindows向けファイルシステム、大容量に対応。
- WebClient:Windows上でWebDAV経由のファイル操作を仲介するサービス。
- FileSizeLimitinBytes:WebClientが許可するファイルサイズの上限を示すレジストリキー。
ミニ手順集(すぐ使えるクイックリファレンス)
- ドライブをNTFSへ無破壊変換:管理者コマンドプロンプトで「convert X: /fs:ntfs」
- レジストリ編集パス:HKEY_LOCAL_MACHINE\System\CurrentControlSet\Services\WebClient\Parameters
- WebClient再起動:サービス管理ツールからWebClientを再起動
- マルウェア検査:Windows Defenderのフルスキャンを実行
最後に
ファイルサイズに関するエラーは、ファイルシステムの仕様、OS側の制限、サーバーやサービス側の上限、そして悪意あるソフトウェアなど複合的な要因で発生します。本ガイドを順に実行すれば多くのケースで解決しますが、状況により手順の順序や内容を調整してください。問題が解決しない場合はバックアップを確保した上で専門家へ依頼することをおすすめします。
まとめ
- FAT32は4GBが単一ファイルの上限。大容量はNTFSへ。
- FileSizeLimitinBytesやWebClientが影響するため、レジストリとサービスを確認。
- マルウェアやSharePoint側の制限も確認する。
- 重要データは必ず事前にバックアップする。