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Windowsで「An audio stream is currently in use」エラーを解決する方法

2 min read トラブルシューティング 更新されました 17 Oct 2025
Windowsで「An audio stream is currently in use」エラーを解決
Windowsで「An audio stream is currently in use」エラーを解決

Windowsの電源とスリープ動作をチェックする画面のイメージ

概要

スリープや休止状態は短時間の離席に便利な低電力状態です。しかし、Windowsは再生中のオーディオが存在するとこれらの状態へ移行できないことがあります。エラー表記は英語のまま出ることが多く、原因特定が難しい場合があります。本稿は、原因の識別方法と実用的な修正手順、検証手順、元に戻す方法などを網羅します。

重要: 以下の手順は一般的なWindows環境向けです。企業管理下の端末や特殊なオーディオソリューション(ASIO、プロ向けオーディオインターフェース)を使っている場合は、管理者またはベンダーの指示に従ってください。

目次

  • 何がこのエラーを引き起こすのか
  • 基本的なチェック(最初に試すこと)
  • 修正手順(詳細)
    • 高度な電源設定の確認
    • Cortanaをオフにする
    • サウンド設定でLine-inを無効化する
    • ドライバーの更新またはロールバック
    • 問題のあるデバイスを無視してスリープに入る方法
  • トラブルシュートのフローチャート(決定ツリー)
  • 検証、テストケース、受け入れ条件
  • ロールバックとリスク、よくある失敗パターン
  • まとめと推奨される日常運用

何がこのエラーを引き起こすのか

一般的な原因:

  • バックグラウンドで音声を再生するアプリ(ブラウザ、音楽プレーヤー、ボイスチャットなど)。
  • Line-inや外部オーディオ入力が有効で、入力デバイスが「使用中」状態になっている。
  • オーディオドライバーが古い、破損している、またはWindowsの最新ビルドと互換性がない。
  • 電源設定や電源プランが誤設定されている(スリープを阻害する設定)。
  • Cortanaや音声アシスタントがマイク/オーディオを占有している。
  • 仮想オーディオデバイス(仮想ケーブル、OBSの仮想デバイスなど)が常に音声ストリームを保持している。

注意: アプリが音声を出していなくても、ドライバーやデバイスが占有状態になっていると同様の症状が起きます。

基本的なチェック(最初に試すこと)

  1. 再生・録音アプリをすべて終了する(ブラウザのタブ、音楽プレーヤー、会議アプリ)。
  2. 物理的な外部オーディオ機器(USBオーディオインターフェース、Bluetoothヘッドセット)を一時的に取り外す/切断する。
  3. すべての仮想オーディオデバイスが無効化できるなら無効にする。
  4. PCを再起動して、もう一度スリープ/休止を試す。

上記で改善する場合は、どのデバイスやアプリが原因かを次のセクションで特定します。

修正手順(詳細)

以下は、それぞれの原因に対応するステップと検証方法です。手順は影響の少ない順に並べています。

1. 高度な電源設定を変更する

説明: 電源オプションでスリープまでの時間や「スリープ後に何かが阻害する」設定があると、スリープに移行しません。正しい時間や設定をセットしてください。

手順:

  1. スタートメニューを開き、検索で「コントロール パネル」と入力して開きます。
  2. 右上の「表示方法」を「カテゴリ」に変更します。
  3. 「ハードウェアとサウンド」を選択します。
  4. 「電源オプション」→現在のプランの「プラン設定の変更」をクリックします。
  5. 「詳細な電源設定の変更」をクリックします。
  6. 「スリープ」→「スリープを有効にする(あるいはスリープ後)」の項目で、バッテリー駆動時や電源接続時の時間を「10分」など適切な値に設定します。
  7. 「適用」→「OK」を押して保存します。

検証: 設定後に再度スリープを実行し、エラーが出ないことを確認します。

重要: ノートPCで「バッテリー時にはスリープしない」設定にしていると、バッテリー残量節約のためスリープが阻害されることがあります。

2. Cortanaをオフにする

説明: Cortanaがバックグラウンドで音声入力やマイクを確保し、結果的にオーディオストリームを占有することがあります。ローカルのグループポリシーを使って無効化できます(Windows Pro/Enterpriseで利用可能)。

手順(グループポリシーを使用する方法):

  1. Win + R を押して「ファイル名を指定して実行」を開きます。
  2. 「gpedit.msc」と入力してEnter。
  3. 「コンピューターの構成」→「管理用テンプレート」→「Windows コンポーネント」→「検索」に進みます。
  4. 右ペインの「Cortana を許可する(Allow Cortana)」ポリシーをダブルクリックします。
  5. 「無効」を選び、「適用」→「OK」。

注意: Homeエディションにはgpedit.mscがないため、レジストリ編集や設定画面からのオフを検討してください。レジストリを編集する場合は必ずバックアップを取ってください。

検証: ポリシー適用後、再起動してからスリープを試します。

3. サウンド設定でLine-inを無効にする

説明: Line-in(ライン入力)が有効だと、接続された外部機器が音声入力を維持し、スリープを阻害することがあります。録音デバイスの設定で無効化します。

手順:

  1. 設定(Windowsキー + I)を開き、「システム」→「サウンド」を選択します。
  2. 下へスクロールして「その他のサウンド設定」をクリックします(古いコントロールパネルのサウンドダイアログが開きます)。
  3. 「録音」タブに切り替えます。
  4. 「Line-in」や不要な入力デバイスを右クリックして「無効にする」を選択します。
  5. 「適用」→「OK」。

検証: 無効化後、スリープを試してエラーが出ないか確認します。

重要: 本当に不要なデバイスのみを無効化してください。オーディオインターフェースや外付けマイクを使う作業中は影響が出ます。

4. ドライバーの更新またはロールバック

説明: ドライバーの不整合や破損でオーディオデバイスが常に使用中と認識されることがあります。最新ドライバーをインストールするか、直近の更新で問題が出た場合はロールバックします。

ドライバー更新手順(デバイスマネージャーから):

  1. スタートメニューを開き、検索で「デバイス マネージャー」と入力して開きます。
  2. 「サウンド、ビデオ、およびゲーム コントローラー」を展開します。
  3. 該当するオーディオデバイスを右クリックし、「ドライバーの更新」を選びます。
  4. 「ドライバー ソフトウェアの自動検索」を選択し、Windowsに任せてインストールさせます。

別の方法(Windows Update経由):

  1. 設定 → 「Windows Update」→「詳細オプション」→「オプションの更新」→「ドライバーの更新」で該当するドライバーがないか確認し、あればダウンロードしてインストールします。

ロールバック手順(更新後に問題が悪化した場合):

  1. デバイスマネージャーで該当デバイスのプロパティを開きます。
  2. 「ドライバー」タブを選択して「ドライバーを元に戻す(ロールバック)」が使える場合は実行します。

検証: ドライバー更新/ロールバック後にPCを再起動してスリープを試します。

注意: ベンダー提供の専用オーディオドライバー(Realtek、Qualcomm、WASAPI/ASIOなど)を使用している場合は、公式サイトの手順を優先してください。

5. 問題のあるデバイスまたはプロセスを無視してスリープに入る

説明: Windowsはどのプロセスやドライバーがスリープを妨げているかを報告するコマンドがあります。問題が特定できれば、そのデバイス/ドライバーをスリープ無視リストに追加して一時的に回避できます。

  1. 管理者としてコマンドプロンプトを起動します(スタート→「コマンド プロンプト」を右クリック→「管理者として実行」)。
  2. 次のコマンドを入力して実行します:
powercfg -requests

このコマンドは、現在スリープを阻害しているリソース(例: [SYSTEM][DRIVER] Realtek High Definition Audio)を一覧表示します。

  1. 表示された問題のあるドライバー名(例: Realtek High Definition Audio)をメモします。
  2. 次に、以下のコマンドでそのドライバーをスリープ無視に設定します(管理者権限が必要):
powercfg -REQUESTSOVERRIDE DRIVER "名前(例: Realtek High Definition Audio)" SYSTEM
  1. Enterで実行します。

検証: コマンド実行後、再度スリープを試して改善するか確認します。

注意: この方法は一時的な回避であり、根本原因(破損ドライバーなど)を解決するものではありません。システムの安定性や電力管理に影響する可能性があるため、無効化した内容は記録しておき、恒久対策を行ってください。

6. その他の考慮事項(追加のチェック)

  • Bluetoothデバイス: ヘッドセットやスピーカーが接続されたままだとスリープに影響することがあります。切断して再試行してください。
  • 通信アプリ: Zoom、Teams、Discord等の常駐プロセスがマイク/スピーカーを占有していることがあります。完全終了してください。
  • 仮想オーディオソフト: VB-Audio Virtual CableやOBS Virtual Audioなどが原因であるケースは多いです。無効化またはアンインストールを検討してください。

トラブルシュートの決定ツリー(Mermaid)

以下は、原因特定のための簡易フローチャートです。UIがMermaidをサポートする場所であることを前提とした図です。

flowchart TD
  A[スリープできない] --> B{バックグラウンド再生はあるか}
  B -- はい --> C[アプリを終了/ミュートして再試行]
  B -- いいえ --> D[powercfg -requests を実行]
  D --> E{出力にDRIVERやPROCESSはあるか}
  E -- DRIVER --> F[該当ドライバーの更新/ロールバック]
  E -- PROCESS --> G[問題のプロセスを終了または無視設定]
  E -- なし --> H[Line-in/Cortana/仮想デバイスを確認]
  H --> I[無効化して再試行]
  F --> J[再起動して検証]
  G --> J
  I --> J
  J --> K{解決したか}
  K -- はい --> L[運用用の対策を記録]
  K -- いいえ --> M[専門家/ベンダーに問い合わせ]

検証とテストケース(受け入れ基準)

目的: 修正後にスリープ/休止が通常通り動作することを確認する。

最低限のテストケース:

  1. 標準状態でスリープを実行し、PCがスリープに移行すること。
  2. スリープから復帰できること(キーボード/マウス/電源ボタンで復帰)。
  3. 再発確認: 24時間以内にスリープが阻害されないこと。
  4. 外部オーディオデバイス(USBまたはBluetooth)を接続した状態でも期待どおりにスリープできるかを確認する(必要なら個別にテスト)。

受け入れ基準:

  • 「powercfg -requests」に問題が表示されない、または表示されてもスリープに入れること(無視設定を使用しない本質的修正が望ましい)。
  • ユーザーが日常的に利用するアプリの操作に支障がないこと。

よくある失敗パターンと対策

  • 対策を行っても再発する: たいていは自動更新でドライバーが差し戻されるか、仮想オーディオソフトが再インストールされる場合です。恒久対策としてはベンダーの安定版ドライバーをインストールし、自動更新を制御することを検討してください。
  • 無効化のやりすぎ: 重要な録音デバイスまで無効化してしまうと、音声会議や録音作業に支障が出ます。変更はメモして元に戻せるようにしてください。
  • 管理ポリシーで制御されている端末: 企業PCではローカル変更が無効化される場合があります。IT管理者へ連絡して対応してもらってください。

元に戻す(ロールバック)方法

  • powercfgで行った無視設定を取り消すには以下を実行します(例):
powercfg -REQUESTSOVERRIDE DRIVER "Realtek High Definition Audio" SYSTEM

上記を取り消す場合は、代わりに同じコマンドの引数を使って削除コマンドを実行します(Windowsのバージョンによってはオプションが異なるため、まずはhelpを確認してください)。管理者として次のコマンドを実行してヘルプを参照します:

powercfg -REQUESTSOVERRIDE /?
  • デバイスマネージャーからドライバーのロールバックを実行する。
  • Cortanaのポリシーを元に戻すには「gpedit.msc」で該当ポリシーを「未構成」または「有効」に戻して適用します。

ロールベースのチェックリスト(管理者向け / ユーザー向け)

管理者向けチェック:

  • 企業イメージでのドライバー配布ポリシーを確認
  • Windows Updateのドライバー自動配布を監視
  • 仮想オーディオソフトの標準構成を決定
  • 問題発生時のエスカレーション手順を用意

ユーザー向けチェック:

  • まずアプリをすべて終了
  • Bluetooth/USBオーディオを切断
  • powercfg -requestsで確認
  • 必要ならpowercfgの無視設定を一時的に使用

代替アプローチといつ使うか

  • セーフモードでの確認: 通常の起動で直らないときはセーフモードで起動し、問題が再現するかを確認する。セーフモードで発生しない場合、常駐ソフトが原因です。
  • 新しいユーザープロファイルでの確認: ユーザープロファイル固有の設定が原因と疑われる場合に有効。
  • システムの復元: 最近導入したドライバーやソフトが原因なら復元ポイントで戻す。

よくあるケースのギャラリー(抜粋)

  • ケースA: ブラウザの特定タブが音声APIを使用し続けていた。タブを閉じたら解決。
  • ケースB: 仮想オーディオケーブルが常に仮想デバイスを開いており、無効化で解決。
  • ケースC: Windows Update後にオーディオドライバーが不安定になり、ロールバックで改善。

まとめと推奨

  • まずはシンプルな操作(アプリ終了、再起動、外部デバイスの切断)から始める。
  • 次に powercfg -requests で阻害元を特定し、ドライバー更新やLine-in無効化、Cortana停止など段階的に対処する。
  • powercfg の無視設定は一時的なワークアラウンドであり、根本原因(壊れたドライバーや常駐アプリ)を修正することを最終目標とする。

重要: 企業管理下のPCや、特殊なオーディオワークフローを使用している場合は、ローカルでの設定変更は事前にIT管理者と相談してください。

最終チェックリスト(すぐできる順)

  1. 再生アプリと会議アプリを全て終了する。
  2. Bluetooth/USBオーディオを切断して試す。
  3. 設定→サウンド→その他のサウンド設定→録音タブでLine-inを無効化。
  4. 管理者コマンドプロンプトで powercfg -requests を実行して原因を確認。
  5. ドライバーを更新、またはロールバック。
  6. 必要なら powercfg -REQUESTSOVERRIDE で一時回避。

これで多くの場合、Windowsは正常にスリープ/休止状態に移行するはずです。問題が継続する場合は、オーディオハードウェアの故障や企業ポリシーの影響を疑い、専門家に相談してください。


要約:

  • オーディオストリーム使用中エラーは、バックグラウンド再生、Line-in、ドライバー、Cortana、仮想デバイスが主な原因です。
  • powercfg -requests で原因を特定し、個別に対処します。
  • 無視設定は一時的回避。恒久対策としてドライバーの整備や不要サービスの停止を行うこと。
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