Windows 10のエラー0x80070718を修正する方法

重要: 管理者権限での操作が必要な手順があります。作業前に重要なデータのバックアップを取ってください。
問題の概要
一部のユーザーが、ローカルPCからネットワークフォルダーへファイルをコピーまたは移動しようとしたときにエラーコード「0x80070718」を受け取ります。表示されるメッセージは「Not enough quota is available to process this command」(このコマンドを処理するためのクオータが不足しています)です。ネットワーク共有の運用上、この問題はファイルの同期や共有を阻害するため、速やかな対応が必要です。
定義: クオータはユーザーまたはシステムに割り当てられた使用上限のことです。ここではオフラインファイルやディスク使用量に関する上限を指します。
発生しやすい原因
- 低いディスク使用量の上限(オフラインファイルの既定制限)
- 既定の保存先がSSDに設定されている(容量やクオータの関係で問題が起きることがある)
- 共有対象のファイルやフォルダーが破損している
- ページングファイル(仮想メモリ)のサイズが不足している
目次
- ディスク使用量の上限を変更する
- 既定の保存先をHDDに変更する
- 破損ファイル・フォルダーの修復方法
- ページングファイルサイズを変更する
- 検証手順と受け入れ基準
- 管理者と一般ユーザーのチェックリスト
- トラブルシューティングフロー(図示)
- 用語集とよくある注意点
ディスク使用量の上限を変更する(推奨の最初の手順)
多くの場合、最初に確認すべきは「オフラインファイルのディスク使用量制限」です。既定値が低いためにネットワークコピーでクオータ不足が起きることがあります。
手順(管理者権限推奨):
- Windows検索バーで「Control Panel」と入力して開きます。
- コントロールパネルから「Sync Center」(同期センター)を開きます。
- 左メニューで「Manage offline files」を選択します。
- 「Disk Usage」をクリックし、表示されたダイアログで「Change limits」を選択します。アクセス許可の要求が出たら承認します。
- 「Maximum amount of space all offline files can use」と「Maximum amount of space temporary files can use」を引き上げます。目安は70%程度の値に設定することを推奨します(環境により調整)。
- OKを押して適用し、PCを再起動して変更を反映させます。
確認方法:
- エラーが再現されないことを確認する(同じファイルを再度ネットワークへ移動・コピー)。
- 必要であれば同期センターでオフラインファイルの状態を確認します。
注意点:
- サーバー側でもユーザーごとのクオータ制限がある場合は、この操作だけでは不十分です。サーバー管理者と連携してください。
既定の保存先をHDDに変更する
SSDを既定の保存場所にしていると、環境によってはネットワーク転送時に問題が出ることがあります。特に容量が限られているSSDを使用している場合は、HDDに切り替えて検証します。
手順:
- Windows検索バーで「Run」と入力して実行を開きます。
- 実行ボックスに「ms-settings:savelocations」と入力して Enter。既定の保存先設定が開きます。
- 例:新しいアプリ、新しいドキュメントなど、問題が発生しているファイルタイプのドロップダウンからHDDを選択します。
- Apply(適用)をクリックして設定を保存し、PCを再起動してから動作を確認します。
検証:
- 同じ操作を行い、エラーが消えるか確認します。
- 複数のファイルタイプ(ドキュメント、画像、アプリなど)で問題が再現されないかチェックします。
注意:
- 既定の保存先をHDDにしても、サーバー側のクオータやネットワークポリシーが原因の場合は根本解決になりません。
破損したファイルやフォルダーの修復
共有対象のファイルやフォルダーが破損していると、コピーや同期でエラーが発生します。次の方法で修復を試みてください。
修復の選択肢:
- 市販のファイル修復ツール(例: Repair Toolbox、Hetman File Repair、Stellar 修復ツール)を使う。
- Microsoft提供のトラブルシューターを使う(公式の Diagnose and Repair Tool for File and Folder)。
Microsoftのトラブルシューターの基本手順:
- Microsoftの公式ページから「Microsoft Diagnose and Repair Tool for File and Folder」をダウンロードします(公式サイトから入手してください)。
- ダウンロードした winfilefolder.DiagCab をインストール/実行します。
実行手順:
- トラブルシューターを開き、「Advanced」をクリックします。
- 「Apply repairs automatically」(自動で修復を適用)をチェックして「Next」を押します。
- 初期診断が終わるまで待ち、「Others or I don’t know(その他/不明)」を選んでNextを続行します。
- 修復完了後、PCが自動で再起動する場合があります。しない場合は手動で再起動してください。
注意点:
- 破損が深刻な場合、ツールで完全に復旧できないことがあります。その際はバックアップからの復元や元ファイルの入手元へ問い合わせる必要があります。
ページングファイル(仮想メモリ)サイズの変更
操作中に仮想メモリが不足すると、同様のクオータエラーが発生することがあります。ページングファイルサイズを適切に設定してみましょう。
手順:
Windows検索バーで「Control Panel」を開きます。
「System」を開きます。
- 関連設定の「Advanced system settings」を開きます。
- 表示されたダイアログの「Advanced」タブで「Performance Settings…(パフォーマンス設定)」を選択します。
- 「Advanced」タブの「Change…」をクリックし、Virtual Memoryダイアログを開きます。
- 「Automatically manage paging file size for all drives」のチェックを外します。
- 「Custom size」を選びます。Initial size(初期サイズ)に推奨値を入力し、Maximum size(最大サイズ)にはやや大きめの値を設定します。最後に「Set」をクリックして保存します。
推奨の設定方針:
- 初期サイズはシステム推奨値を目安にする。
- 最大サイズは初期の1.5〜2倍程度を目安にする(ディスク容量と相談)。
注意:
- ページングファイルをSSDに指定するとパフォーマンスや寿命に影響が出る場合があります。運用ポリシーに従ってください。
検証手順と受け入れ基準
簡単に再現・検証できるテスト手順と合格条件を示します。
再現手順:
- 同一ユーザーで問題を報告された操作(例: 大きなファイルをネットワーク共有へコピー)を実行します。
- エラーが出るかを記録します(画面のスクリーンショットやイベントログ)。
修正後の検証:
- 修正手順(例: ディスク使用量の上限引き上げ)を実行する。
- PCを再起動して同一の操作を行う。
- 合格条件: ファイルが正常にコピー/移動され、エラー0x80070718が表示されないこと。
ログ確認:
- イベントビューア(Application/Systemログ)に関連エントリがないことを確認します。
受け入れ基準(Критерии приёмки):
- 同一操作を3回実行して再現しないこと。
- 他のユーザー環境でも同様の対応で改善する旨が確認されること(可能な場合)。
管理者と一般ユーザー向けチェックリスト
管理者チェックリスト:
- サーバー側のユーザークオータを確認したか
- オフラインファイルのディスク使用量上限を調整したか
- ページングファイルの設定を確認したか
- ネットワーク共有の権限と割り当てを確認したか
- 破損ファイルがある場合の復旧手順を用意したか
一般ユーザーチェックリスト:
- PCを再起動したか
- 既定の保存先がSSDになっている場合はHDDに変更して試したか
- 同じファイルで他のPCからも同じ操作を試してみたか
- 重要ファイルのバックアップを持っているか
トラブルシューティングの意思決定フロー
以下は簡単なフロー図です。まずはディスク使用量上限→保存先→ファイル破損→ページングファイルの順で対応するのが効率的です。
flowchart TD
A[エラー 0x80070718 が発生] --> B{オフラインファイルの上限?
'不足しているか確認'}
B -- はい --> C[上限を引き上げる]
C --> Z[再起動して再確認]
B -- いいえ --> D{既定の保存先はSSD?}
D -- はい --> E[保存先をHDDに変更]
E --> Z
D -- いいえ --> F{ファイル/フォルダが破損している?}
F -- はい --> G[修復ツールで修復(Microsoftまたは市販)]
G --> Z
F -- いいえ --> H{仮想メモリ不足?}
H -- はい --> I[ページングファイルを増やす]
I --> Z
H -- いいえ --> J[サーバー側のクオータ/権限を確認]
J --> Z
Z --> K[問題解決済みか確認]
よくあるケースと失敗するケース(反例)
- 反例1: クライアント側の設定を変更しても、サーバー側でユーザークオータが厳しく設定されている場合は解決しません。サーバー管理者へ相談が必要です。
- 反例2: ファイル自体が壊れていて修復不能な場合、修復ツールでも復元できないことがあります。その際はバックアップから復元してください。
- 反例3: ネットワークの帯域や共有権限の問題が根本原因であるケースでは、クライアント側の上限変更だけでは解決しません。
代替アプローチ:
- 一時的な回避策として、ファイルを圧縮して小分けにして転送する。
- サーバー側へ直接アップロードする(SFTPや別の共有方法を利用)。
ミニメソッド:問題解決の手順(簡潔版)
- 再現手順でエラーを確認する。
- オフラインファイルの上限を引き上げる。
- 既定の保存先をHDDへ変更して試す。
- ファイルの破損を診断・修復する。
- ページングファイルサイズを見直す。
- サーバー側クオータと権限を確認する。
リスクと緩和策
リスク: ディスク使用量の上限を上げすぎると、ローカルドライブがいっぱいになりシステム不安定化の危険がある。
- 緩和策: 上限は段階的に引き上げ、ディスク使用量の監視を行う。
リスク: ページングファイルを過度に大きくするとディスク消費が増える。
- 緩和策: 物理メモリを増設するか、推奨値を守る。
1行用語集
- クオータ: 使用可能な容量やリソースの上限。
- オフラインファイル: ネットワーク共有をローカルにキャッシュする仕組み。
- ページングファイル: 仮想メモリの一部としてディスクに作られるファイル。
まとめ
エラー0x80070718はたいていクオータや保存先、破損ファイル、仮想メモリのいずれかが原因です。まずはオフラインファイルのディスク使用量上限を確認・調整し、次に保存先とファイル破損、ページングファイルを順にチェックしてください。サーバー側クオータや権限が原因の場合はサーバー管理者と連携して解決します。
問題が解決しない場合や管理者権限がない場合は、スクリーンショットとイベントログを用意してシステム管理者へ問い合わせてください。
お問い合わせ: 追加のサポートが必要な場合は、発生時のスクリーンショット、実行した手順、使用しているWindowsのエディションとビルド番号を添えてご連絡ください。