Escape from Tarkov(高性能PC)での低FPSを改善する方法

重要: まずはタスクマネージャーで不要なプロセスを終了し、メモリとCPU負荷を確認してください。
概要
このガイドは、高性能なPCでEscape from Tarkov(以下Tarkov)をプレイしているのにFPSが低い、あるいは安定しない場合に取るべき具体的な対策をまとめたものです。想定プレイヤーはゲーミングPC所有者で、Windows環境を前提としています。用語の一行定義:
- FPS: Frames Per Second。1秒間に描画されるフレーム数。高いほど滑らか。
- VSync: 垂直同期。画面のティアリングを防ぐが入力遅延やFPS上限を招く場合がある。
目次
- 原因のメンタルモデル
- 手順 1: グラフィックドライバー更新とシステム要件確認
- 手順 2: ゲーム内グラフィック設定の最適化
- 手順 3: ゲームブースターの利用方法
- 手順 4: Windowsをゲーミング向けに最適化
- 手順 5: 高DPIスケーリングの無効化
- 追加の代替アプローチとハードウェア確認
- 問題が解決しないときのチェックリストとテスト項目
- ロール別(カジュアル/競技/配信者)チェックリスト
- ミニSOP(30分でできる順序)
- 結果の検証(テストケース)と受け入れ基準
- よくある失敗例(逆例)
- まとめ
原因のメンタルモデル
パフォーマンス問題を考えるときは、次の4つのリソースを順に疑うと効率的です。
- GPU(グラフィックス処理)
- CPU(ゲームロジックやスレッド)
- RAM / ストレージ(スワップやロード遅延)
- ネットワーク(遅延・パケットロスは体感の悪化を招く)
この順にボトルネックを潰していくと原因特定が速くなります。
手順 1: グラフィックドライバー更新とシステム要件確認
- タスクバーのスタートを右クリックし、デバイス マネージャーを選択。
- ディスプレイ アダプターを展開し、使用中のGPUを右クリックしてドライバーの更新を選択。
- ドライバーソフトウェアの自動検索を選び、指示に従って更新を適用。
- 公式のEscape from Tarkovシステム要件ページを確認し、PCスペックと照合する。
ローカルチェックポイント:
- GPUの製造元(NVIDIA/AMD/Intel)の公式ツールで最新ドライバーか確認。
- クリーンインストールが必要な場合はDDU(Display Driver Uninstaller)を使って完全に削除してから再インストールする。
推奨システム要件(開発者提供、参考)
コンポーネント | 推奨要件 |
---|---|
OS | Windows 7/8/10(64ビット) |
プロセッサー | クアッドコア 3.2 GHz(Intel i5/i7)または3.6 GHz(AMD FX/Athlon) |
メモリ | 最低 16 GB |
グラフィックス | DirectX11 対応、VRAM 2 GB 以上 |
サウンド | DirectX 対応サウンドカード |
ネットワーク | 常時接続インターネット |
ディスク容量 | 最低 19 GB |
注意: 推奨要件は目安です。実際のパフォーマンスはGPU世代、ドライバ、解像度、画質設定で大きく変わります。
手順 2: ゲーム内グラフィック設定の最適化
ゲーム内設定は最も即効性があります。Tarkovを起動して以下を試してください。
- 設定 > グラフィック を開く。
- フルスクリーンモード を有効にする(ウィンドウモードのオーバーヘッドを低減)。
- VSync をオフにする(入力遅延を削減しFPS向上の余地を作る)。
- Overall Visibility(視界範囲) を 1000 に設定(視界が不要なら 400 に下げて大きくFPS改善)。
- Shadow Visibility(影の視認距離) を 100 に設定(長距離シャドウは負荷が高い)。
- Object LOD Quality(詳細度) を 2 に設定。
- Noise、Grass Shadows、HBAO、SSR、HDR、Z-Blur、Chromatic Aberration(色収差)をオフにする。
これらはGPU負荷の高い描画設定を下げることで、安定したFPSを確保します。
手順 3: ゲームブースターの利用
- Game Fire や LagoFast のようなゲームブースターをダウンロード・インストール。
- アプリを開き、Escape from Tarkovを検索。
- ゲームを選択して、必要なサーバーを選び、Boost を実行。
- リアルタイムのpingやパケットロスを監視する。
ゲームブースターはネットワークやプロセス優先度の調整により体感のラグを減らすのに有効ですが、必ずしもFPS自体を劇的に上げるわけではありません。
手順 4: Windows をゲーミング向けに最適化
- Win + I で設定を開く。
- システム > 電源とスリープ を選択。
- 右側の関連設定で電源の追加設定を開く。
- 高パフォーマンスまたは同等の電源プランを選択。
補足:
- Windowsのゲームモードを有効にする(設定 > ゲーム > ゲームモード)。
- バックグラウンドアプリや不要な常駐ソフトを無効化する。
手順 5: 高DPIスケーリングの無効化
- Tarkovインストールフォルダへ移動。
- EscapeFromTarkov.exe を右クリック > プロパティ を選択。
- 互換性タブを開き、高DPI設定の動作を上書きする にチェック。
- ドロップダウンで アプリケーション を選び、適用する。
これでDPIスケーリング由来の描画・パフォーマンス不具合を防げます。
追加の代替アプローチ(クイックリスト)
- ドライバのクリーンインストール(DDUを使用)。
- GPUメーカーのコントロールパネルで電源管理を「パフォーマンス優先」に設定。
- ゲームオーバーレイ(Discord、Steam、NVIDIA GeForce Experience)を無効化。
- ウイルス対策のリアルタイムスキャンを一時無効化して改善するか確認(自己責任)。
- SSDにインストールしてロード遅延を減らす。
- 温度監視(GPU/CPUがサーマルスロットリングしていないか)。HWMonitorやMSI Afterburner推奨。
問題が解決しないときのチェックリストとテスト項目
- タスクマネージャーでCPU・GPU・メモリ・ディスク使用率を監視。
- 温度が高すぎないか確認(GPU > 85°C や CPU 高温はスロットリングの疑い)。
- FPS計測ツールで平均/中央値/最小値を記録(例: Fraps、RTSS)。
- ネットワークのパケットロスを確認。パケットロスは一見FPSの問題のように感じる場合がある。
- 他タイトルで同様の問題が発生するか確認(Tarkov固有かシステム全体かの判別)。
受け入れ基準(例):
- 平均FPSがベースラインより20%以上向上、かつ最小FPSが50%以上になったら「改善」と判定。
- スタッタ(カクつき)が顕著に減ったらOK。
ロール別チェックリスト
- カジュアルプレイヤー:
- 推奨: 解像度を下げ、シャドウ/エフェクトをオフ。ゲームモード有効化。
- 競技プレイヤー:
- 推奨: フルスクリーン、VSyncオフ、最小レイテンシ設定、モニターのリフレッシュレートに合わせる。
- 配信者:
- 推奨: ストリームは別PCまたはハードウェアエンコードを使用。OBSでエンコード負荷を監視。
ミニSOP(30分でできる順序)
- タスクマネージャーで不要プロセスを終了(5分)。
- ゲームのグラフィック設定を上書き(10分)。
- GPUドライバー更新(10〜20分、再起動を含む)。
- 電源プランを高パフォーマンスに設定し、DPIスケーリングを確認(5分)。
この順で実施すると短時間で多くの問題を潰せます。
テストケース / 受け入れ基準(具体例)
- テスト1: すべての設定をデフォルトから推奨値に変更後、同じマップを5分間周回して平均FPSを計測。
- テスト2: GPU/CPU温度をログ取りし、プレイ中にサーマルスロットリングが発生しないか確認。
- テスト3: ネットワークをモニタリングし、ping/パケットロスがない状態でのパフォーマンスを比較。
合格条件: 平均FPSが以前より向上し、最小FPSの低下が減少。温度は安全域に収まること。
よくある失敗例(逆例)
- VSyncをオンにしたまま高リフレッシュレートモニターでプレイし、FPS上限に引っかかる。
- アンチウイルスを無効化せずにインストールした後、大量のディスクI/Oでスタッタが発生。
- ドライバの更新を中途半端に行い、古いドライバファイルが残ることで不安定になる。
セキュリティ・プライバシーの注意点
- サードパーティのゲームブースターや最適化ツールを使う際は、公式ソースから入手し、不要な権限を与えないこと。
- DDUのようなユーティリティは強力だが、使用方法を守らないとシステムに影響する。バックアップを推奨。
トラブルシューティングのフローチャート
以下は簡易的な原因切り分けフローチャートです。
flowchart TD
A[ゲームで低FPS] --> B{他ゲームでも発生?}
B -- はい --> C[システム全体の問題: ドライバ/温度/電源]
B -- いいえ --> D[ゲーム固有の設定やファイル破損]
C --> E[ドライバ再インストール / 温度対策 / 電源設定確認]
D --> F[設定最適化 / ゲーム修復 / 設定ファイル初期化]
E --> G[再テスト]
F --> G
G --> H{改善したか?}
H -- はい --> I[運用]
H -- いいえ --> J[追加ログを取得して専門フォーラムへ相談]
まとめ
- まずはドライバーとゲーム内設定を最適化し、不要なバックグラウンドを停止するのが基本です。
- GPU/CPU温度やディスクI/O、ネットワーク状態を確認してボトルネックを特定してください。
- 上記の手順を順に実行し、テストケースで改善を確認することが重要です。
重要: TarkovのバックエンドエラーやパケットロスはFPS低下とは別問題です。ネットワークが不安定な場合はパケットロス対策ガイドを参照してください。
要点の振り返り:
- ドライバー更新とクリーンインストール
- ゲーム内描画設定の調整
- Windows電源設定とDPIスケーリングの確認
- 温度・ネットワーク・バックグラウンドプロセスの監視
もし個別のエラーメッセージやログがあるなら、それを添えて相談していただければさらに詳しい診断手順をお出しします。
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