エラーコード0xc0000098の修復方法: ブート失敗の対処ガイド
重要: これらの操作はシステム領域とブート情報を直接変更します。作業前に可能ならデータのバックアップを取り、手順に不安がある場合は経験ある技術者に依頼してください。

エラーコード0xc0000098とは何か
エラーコード0xc0000098は、起動プロセス中に必要なファイルが欠落または破損していることを示すブート関連のエラーです。具体的には、Windowsのブート構成データ(BCD)やブートセクター、あるいは起動時に読み出されるシステムファイルに問題がある可能性が高いです。
このエラーが発生する一般的な原因:
- Windows更新やシャットダウン中の中断によるファイル破損
- ディスクの物理的な不良(セクタ不良、コントローラ障害)
- ユーザやツールによる誤ったブート設定の変更(UEFI/Legacy、パーティションの書き換え)
- まれにウイルスやマルウェアによるブート関連ファイルの改ざん
pci.sysとは
pci.sysはWindowsがプラグアンドプレイやPCIデバイスを扱う際に使うシステムドライバの一つです。起動時にpci.sysが見つからない/読み込めないというメッセージが出る場合、ファイルそのものの欠落や破損、あるいはブート時にハードウェア検出でエラーが発生している可能性があります。特にディスクやメモリ、マザーボードの問題が絡んでいることが多く、ソフト面だけの対処では復旧しない場合があります。
必要な準備と前提条件
このエラーはWindowsが起動できない状態で発生するため、通常のWindows内ツールは使えません。作業には以下を準備してください:
- WinRE(Windows Recovery Environment)に入れること。起動時のエラー画面で「回復オプション」や「トラブルシューティング」が表示されるか確認します。
- WinREに入れない場合は、別の正常なPCで作成したブート可能なUSBインストールメディアが必要です。メディア上で「コンピューターを修復する」を選択して同じ回復オプションにアクセスします。
- インターネット接続(dism /restorehealthがオンラインで依存ファイルを取得する場合に便利)。イーサネット接続を推奨します。
- 作業時間は状況により数十分〜数時間。chkdskやDISMは時間が掛かります。
回復環境へ入ったら「トラブルシューティング」→「コマンドプロンプト」を開いてください。
操作手順(推奨順)
以下は優先順位の高い順に並べた対処手順です。各手順を実行したらPCを再起動して状況を確認してください。
1. Check Diskで物理・論理エラーを検査する
目的: ディスクの物理セクタやファイルシステムの整合性を確認し、修復可能なエラーを直す。
コマンド:
chkdsk C: /f /r補足:
- C: はWindowsがインストールされているドライブに置き換えてください。WinREではドライブ文字が通常と異なる場合があるため、該当ドライブを特定してから実行します。
- /f はファイルシステムエラーを修復、/r は不良セクタを探して読み出し可能なデータを回復します。
- 実行には時間がかかる場合があります。完了ログをメモしておくと後の判断に役立ちます。
期待される結果と限界:
- エラーが軽度ならchkdskで解決することがあります。しかし、ブート構成自体が壊れている場合は別手順が必要です。
2. システムファイル検査とイメージ修復(SFC / DISM)
目的: Windowsの保護されたシステムファイルの破損を検出・修復し、必要ならオンラインから置き換える。
コマンド:
sfc /scannow次にインターネット接続がある場合:
dism /online /cleanup-image /restorehealth補足:
- sfcは保護されたシステムファイルをチェックし、問題があれば自動で置き換えます。
- dism /restorehealth はWindowsイメージ全体の整合性をチェックし、破損があればWindows Updateや指定したソースから修復ファイルを取得します。WinRE上で実行する場合、/online の扱いには注意が必要です。オンラインリソースにアクセスできる環境を作ってから実行してください。
- どちらも成功すればブートに必要なファイルの欠落や破損が原因であった可能性を排除できます。
3. ブート構成データ(BCD)とブートセクターの再構築
目的: 既存のブート情報をリセットし、新しいブートセクターとBCDを作成する。
コマンドを1つずつ実行します:
BOOTREC /fixmbr
BOOTREC /fixboot
BOOTREC /scanos
BOOTREC /rebuildbcd補足:
- /fixmbr: マスターブートレコード(MBR)を書き換えます。UEFI/GPT環境ではMBR操作は無関係な場合があるため、システムがUEFIかレガシー(BIOS)かを確認してください。
- /fixboot: ブートセクターを再作成します。アクセス拒否が出ることがあります。これはWinREの権限やEFIシステムパーティション(ESP)の問題が原因のことが多いです。
- /scanos と /rebuildbcd はOSのインストールをスキャンしてBCDに登録します。
よくある障害と対処:
- 「アクセスが拒否されました」が出る場合: diskpartでEFIパーティションをアクティブにしてドライブ文字を割り当て、bootrecを再実行する方法があります。手順は次章に記載します。
4. EFIパーティションとdiskpartを使った手動修復(UEFI環境向け)
目的: EFIシステムパーティションに問題がある場合に、パーティションへアクセスし必要ファイルを書き込む。
操作例:
diskpart
list disk
select disk 0 (Windowsが入っているディスクを選択)
list partition
select partition X (EFIパーティションを選択:通常は小容量のFAT32パーティション)
assign letter=Z:
exitその後、Z: を使って以下のようにbootフォルダを再作成する場合があります。管理者権限のコマンドプロンプトで:
cd /d Z:\EFI
mkdir Microsoft
cd Microsoft
bcdboot C:\Windows /l ja-JP /s Z: /f UEFI補足:
- bcdboot コマンドはWindowsインストールから必要な起動ファイルをEFIパーティションへコピーして登録します。ロケール(/l)やターゲットパーティション(/s Z:)、ファームウェアタイプ(/f UEFI)を正しく設定してください。
- 操作ミスでEFIパーティションの内容を削除するとさらに起動不能になるため、手順は慎重に実行してください。
5. 追加の対処とハードウェア確認
目的: ソフト面の修復で直らない場合にハードウェア故障を疑い、チェックや交換を行う。
チェックリスト:
- SMART情報の確認(別PCやUSBブートでsmartctl等を使用)。
- データケーブル(SATA/電源)を差し直す、別ポートで試す。
- 別の動作するマシンや外付けケースでHDD/SSDを検査する。
- メモリテスト(memtest86)でRAMの不良を確認する。
- pci.sysのエラーがある場合は、PCI機器(カード)を一度外して起動を試す。
失敗した場合の選択肢と代替アプローチ
- システム復元ポイントがあればそれを適用して過去の安定した状態に戻す。
- ブート可能なLinuxライブUSBで重要ファイルを外部メディアへバックアップしてからクリーンインストールする。
- Windows 11のインプレースリセット(再インストール時に「ファイルを保持する」を選択)を試す。古いWindowsではクリーンインストールが必要になる場合があります。
- 物理故障が明らかな場合はディスク交換後にイメージ復元や再インストールを行う。
いつこの手順が効かないか(失敗例)
- ディスク上に複数の深刻な不良セクタがあり、重要なシステムファイルが完全に読み出せない場合。
- マザーボードやストレージコントローラの故障で、OSからディスクが安定して認識されない場合。
- 暗号化(BitLockerなど)されていて回復キーが利用できない場合。回復キーが無いとデータにアクセスできない可能性があります。
役割別チェックリスト
ホームユーザー:
- 重要データのバックアップを試みる(ライブUSBでアクセス)
- 上記のchkdsk→SFC→DISM→BOOTRECを順に実行
- 直らない場合は再インストールを検討
IT管理者:
- イメージバックアップからの復元を検討
- ハードウェア診断とSMARTレポート収集
- ネットワーク経由でドライバやリカバリパッケージを配布
フィールド技術者:
- 物理接続(ケーブル、電源)と周辺デバイスを確認
- 別ディスクへのクローン作成後での復旧を試す
- ディスク交換とイメージリストアの手順準備
ミニ手順表(迅速判別フロー)
- 回復環境へ入れるか確認
- chkdskを実行 → 再起動
- sfc /scannow → dism /restorehealth → 再起動
- bootrec系コマンドでBCD再構築 → 再起動
- EFIパーティション修復(必要時)
- ハードウェア検査とバックアップ
- 最終的に再インストール
以下は簡易フローチャート(Mermaid形式):
flowchart TD
A[WinREに入れるか?] -->|はい| B[chkdsk実行]
A -->|いいえ| G[ブートUSBで起動]
B --> C[sfc /scannow]
C --> D[dism /restorehealth]
D --> E[bootrecでBCD再構築]
E --> F[再起動して確認]
F -->|修復成功| H[完了]
F -->|失敗| I[ハードウェア検査 or 再インストール]受け入れ基準(Критерии приёмки)
- PCがエラー画面を表示せずにWindowsのログイン画面まで進むこと
- 重要なアプリケーションが起動し、ファイルにアクセスできること
- 起動後にイベントビューアで重大なブートエラーが連続して出力されないこと
テストケースと受け入れテスト
- 正常系: 上の手順を踏んで再起動し、OSが10分以上安定稼働すること。
- 異常系: chkdskやsfcが実行中にI/Oエラーを報告した場合、ハードウェア交換後に同手順を再実行して問題が解決すること。
よくあるトラブルと回避策
- chkdskが途中で停止する/途中で電源断される: 完全に終わるまで電源を切らない。可能ならUPSを使用。
- DISMがオンラインで失敗する: インターネット接続を確認。プロキシやネットワーク制限がある環境ではローカルソースの指定を検討。
- bootrec /fixboot でアクセスエラーが出る: EFIパーティションのマウントとbcdbootの利用を検討。
データ保護とバックアップの注意点
- 可能なら別マシンでUSB経由でディスクを接続し、重要ファイルをコピーして保全する。
- BitLockerや他の暗号化を使用している場合は回復キーを必ず用意する。
1行用語集
- BCD: ブート構成データ。Windows起動に必要な情報を格納する。
- MBR: 古いタイプのブート領域。GPT/UEFI環境では使用されないことが多い。
- EFI/ESP: UEFI環境で使われるシステムパーティション。FAT32でフォーマットされている。
事例と注意点
ケース1 — 軽度のファイル破損: chkdskとsfcで復旧できる。起動成功。
ケース2 — 更新中の断絶によるBCD破損: bootrecとbcdbootで復旧できることが多い。
ケース3 — 物理故障: chkdskで多数の不良セクタが見つかったり、SMARTが臨界値を示す場合、ディスク交換が必要。
エキスパートの見解: 「ブートエラーはソフト的修復で治ることも多いが、再発リスクを下げるにはハードウェアの健全性を確認することが重要だ。」
最後に: 再発予防と運用上のヒント
- 定期的なバックアップとシステムイメージの保存を習慣化する。
- Windows Updateを行う前に重要な作業を控えるか、更新中の電源断を避ける。
- ノートPCではバッテリーや電源の状態を確認し、可能ならUPSを使用する。
よくある質問
Q: pci.sysがエラーに表示された場合はどうすればいいですか?
A: まずは上記のソフトウェア修復手順(SFC/DISM/BOOTREC)を試し、それでも改善しない場合はPCIデバイスを一時的に取り外して再起動してください。デバイスのハードウェア不良が原因の場合はその交換が必要です。
Q: WinREに入れない場合は?
A: 別のPCでWindowsのインストールメディアを作成し、問題のPCをUSBブートして「コンピューターを修復する」を選択してください。
Q: データを失わずに回復できますか?
A: 多くの修復手順はシステム領域に限定され、ユーザーデータを保持しますが、必ずしも保証されません。重要なデータがある場合はまずライブUSBでデータをバックアップしてください。
要点まとめ:
- まずはWinREからchkdsk→sfc→dism→bootrecの順に実行してみる。
- UEFI/EFI環境ではEFIパーティションの修復(bcdboot)が有効。
- ソフトウェア修復で直らない場合はディスク/ハードウェアの診断と交換を検討。
以上の手順で多数の0xc0000098事例は解決しますが、復旧が難しい場合は専門サービスへ相談してください。