AndroidでEvernoteの全文ページクリップを有効にする方法

クイックリンク
- なぜこれをするのか?
- 何が必要か
- Dolphinブラウザ+Evernoteアドオンでのキャプチャ
- EverClipでのキャプチャ
なぜこれをするのか?
Evernoteを使ってウェブページを後で読み返すためにクリップするユーザーは多いですが、Androidの標準共有(Share)を使うと、Evernoteに渡されるのは元ページのタイトルとURLだけになります。これにより、デスクトップでの「フルページクリップ」と同等の体験が得られず、後から手作業でページ内容を取得し直す手間が発生します。
問題の核心は、Androidの共有インテントがページ本文を渡さない点にあります。ブラウザ上で共有を呼び出すと、タイトルとURLのみが共有対象になり、画像や記事本文といったリッチなコンテンツは含まれません。よって、モバイルで直接「記事部分だけ」「ページ全体」を保存したい場合は、別の方法が必要です。
重要: 「共有」機能自体を無効化する必要はありません。代わりに共有先やサードパーティのツールを工夫することで、実用的な全文クリップを実現できます。
何が必要か
今回は2つの実用的な手法を紹介します。どちらにも利点と妥協点があるので、使い方に応じて選んでください。
手法A(推奨):
- Dolphin Browser(無料)
- Dolphin: Evernote Add-on(無料)
手法B(選択肢):
- EverClip(無料/Pro: $2.59)
注: EverClipの有料版は追加機能(ノートブック選択やタグ付けなど)を解除します。価格は配信ストアの表示に従ってください。
Dolphinブラウザ+Evernoteアドオンでのキャプチャ
この組み合わせは、今回紹介する中で最もシームレスで速く、筆者たちの推奨手段です。Dolphinは通常のAndroidブラウザよりも動作が軽快で、内蔵の共有機能が拡張されている点が強みです。
手順:
- PlayストアからDolphin Browserをインストールします。既にインストール済みでも次の手順を続けます。
- Dolphin用のEvernoteアドオンをインストールします(Evernoteアカウントでの認証が必要です)。
- Dolphinでクリップしたいページを開き、メニューをタップします。
- 「Share page」または共有に相当する項目を選ぶと、標準の共有先に加えてDolphin独自の共有オプションが表示されます。
- Evernoteアイコンを選ぶと、ページ全体がEvernoteに送信されます。初回はEvernoteアカウントとの連携許可を求められます。
送信後のノートは次のようになります。タイトル、本文(記事のHTML)、リンクなどがまとめて保存され、必要に応じてノート名の変更、ノートブック選択、タグ付け、コメント追加が可能です。
デスクトップ版Evernoteで確認すると、モバイル記事の内容がそのまま取り込まれているのが分かります。
長所:
- ワンクリックでページ全体をクリップできる。
- ノートブック変更、タグ付け、タイトル編集が可能(無料)。
- Dolphinはブラウズ体験自体が快適。
短所/制約:
- キャプチャ領域の選択ができない。ページ全体がそのまま取り込まれるため、広告や余分なサイドバーまで取り込まれる可能性がある。
重要: モバイル向けに最適化されたページ(レスポンシブデザインや記事中心レイアウト)は、大抵きれいに取り込まれます。だが、サイドコンテンツが多いサイトでは不要な情報まで含まれる可能性があります。
EverClipでのキャプチャ
Dolphinの「ページ全体一括取り込み」に対して、EverClipは「取り込み領域を指定できる」という強みがあります。現在使っているブラウザを変えたくない、あるいは特定の段落だけ切り取りたいというニーズがある場合に有効です。
EverClipの使い方の要点:
- EverClipを直接起動してブラウズするか、既存のブラウザから共有してEverClipにページを渡すことができます。
- EverClipでページを開いたら、矩形選択や拡大縮小でクリップ範囲を調整します。必要な本文だけを選ぶことで、ノイズの除去が可能です。
長所:
- キャプチャ領域を細かく指定できる。
- 既存ブラウザを変えずに利用可能。
短所/制約:
- 無料版ではノートブック変更やタグ付けが制限される(これらはProで解除される)。
- ワークフローに手間が増える(選択操作が必要)。
比較マトリックス
項目 | Dolphin + Evernote Add-on | EverClip |
---|---|---|
使いやすさ | 高(ワンクリック) | 中(範囲指定が必要) |
キャプチャ精度 | ページ全体 | 範囲指定可能 |
ノートブック/タグ | 可能(無料) | 無料版は制限あり |
ブラウザ変更の必要 | 必要(Dolphin) | 不要 |
使用シナリオと判定基準
どちらを選ぶかの簡単な基準:
- すばやく全ページを保存したい → Dolphin + Evernote Add-on
- 特定の本文だけを正確に保存したい → EverClip(Proならフル機能)
- 現在のブラウザを変えたくない → EverClip
以下のマーメイド図は選択を助けます。
flowchart TD
A[クリップしたいページの種類は?] --> B{記事中心か?}
B -- はい --> C[高速に保存 → Dolphinを使う]
B -- いいえ --> D{不要部分を除去する必要があるか?}
D -- はい --> E[EverClipで範囲指定]
D -- いいえ --> C
代替アプローチと補足テクニック
- スクリーンショット+OCR: どうしても構造化データが必要な場合は、長いスクロールスクリーンショットを取り、OCRでテキスト抽出する手法もあります。ただし手間とエラー率が増えます。
- PocketやInstapaperと併用: 記事整理が主目的なら、本文抽出に特化したPocket/Instapaperで記事保存 → 必要に応じてEvernoteに送る、という二段階ワークフローも実用的です。
- ブラウザ拡張(デスクトップ): モバイルで補完できない場合は、後でデスクトップEvernote Web Clipperを使って補う手もあります。
いつこの方法が失敗するか(反例)
- サイトがJavaScriptで動的にコンテンツを読み込む場合、共有時点で本文が取得できないことがあります。
- ページ側が印刷用CSSやAMPのように特殊なビューを提供していると、期待したレイアウトで取り込めないことがあります。
- 認証が必要なコンテンツ(ログイン後のみ閲覧できる記事)は、共有インテントでその本文が渡らない場合があります。
対策: そのようなページでは、ログイン済みのブラウザで開いた状態でクリップする、もしくはスクリーンショットで代替するのが現実的です。
実行チェックリスト(役割別)
開発者/技術担当:
- DolphinとEvernoteアドオンを社内端末でテストする
- EverClipのPro機能が必要か評価する
- 社内ポリシー(データ保護)に適合するか確認する
コンテンツ作成者/リサーチャー:
- 記事をクリップする目的(アーカイブ/引用)を明確にする
- 必要に応じてキャプチャ後に不要部分を手動で削除する
- タグやノートブックで整理ルールを決める
日常ユーザー:
- 好みのブラウザで短時間で保存したい → Dolphinを検討
- 特定領域のみ保存したい → EverClipを検討
ミニ手順(SOP): Dolphinを使ったワークフロー
- Dolphinを起動してクリップしたいページを開く
- メニュー→Share pageを選択
- Evernoteアイコンをタップして送信
- Evernoteでタイトル、ノートブック、タグを確認して保存
セキュリティとプライバシーの注意
- EvernoteおよびDolphinのアクセス許可を確認し、不要な権限は無効にしてください。
- 社内機密や個人情報を含むページをクラウドサービスに送信する前に、情報共有ポリシーを遵守してください。
まとめ
- Androidの標準共有はタイトルとURLしか渡さないため、追加ツールが必要です。
- Dolphinブラウザ+Evernoteアドオンはワンクリックで全文を取り込める手軽さが魅力です。
- EverClipはクリップ領域を精密に指定したい場合に有効で、既存ブラウザを維持できます。
- 各ツールの制約(キャプチャ範囲、ノートブック/タグの可否、費用)を理解して、ワークフローに合わせて選んでください。
まとめのひと言: どちらの方法を選んでも、これまでの「URLだけしか保存できない」問題は解消されます。モバイルでもデスクトップ並みの全文クリップ体験を手に入れましょう。
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