Unity Launcher Editor(ULE)でUnityランチャーを簡単に編集する

Unity Launcher Editor(ULE)はPythonスクリプトで、Unityランチャーのアプリ管理やクイックリストの作成・編集をGUIで行えます。ソースをダウンロードして実行するだけで、.desktop を手動でコピー・編集するより速く安全にカスタマイズできます。
概要
以前の記事ではランチャーに追加できる便利なクイックリストを紹介しました。しかし、従来の手順は.desktopファイルをホームにコピーして編集し、Unityを再起動する必要があり、手間がかかります。Unity Launcher Editor(以下 ULE)はその作業をGUI化し、迅速かつ直感的にクイックリストやランチャー項目を追加・削除できます。
用語定義
- ULE: Unity Launcher Editor の略称。Pythonで書かれたローカルスクリプトです。
重要
ULEは公式のUbuntuリポジトリやPPAには存在しないため、ソースから取得して実行します。実行にあたってはローカル環境に影響するため、バックアップを取ることをおすすめします。
インストール
現在(この記事作成時点)ULEはUbuntu標準リポジトリにありません。Launchpadからソースを取得して実行します。まずはBazaarをインストールしてソースを取得します。
sudo apt-get install bzr
bzr branch lp:unity-launcher-editor
ダウンロードが完了すると、ホームに「unity-launcher-editor」フォルダが作成されます。Nautilus(ファイルマネージャ)で該当フォルダ内の unitylaunchereditor サブフォルダへ移動し、main.py をダブルクリックしてください。実行確認のプロンプトが表示されます。
実行をクリックします。
ULEの基本構成と使い方
ULEのUIは大きく3つの領域に分かれます。左側パネルはランチャーに登録されているアプリ一覧、右上は選択アプリの基本情報、右下はそのアプリのクイックリスト項目です。アプリを選択すると右側に詳細が表示されます。
既存アプリにクイックリストを追加する手順
- 左パネルで対象アプリ(例: Firefox)を選択します。
- Quicklist Group 欄でプラスボタンをクリックします。
- グループ名と実行させたいコマンドを入力します。例としてFirefoxにプライベートモードで起動するクイックリストを追加します。
- 保存をクリックします。
保存後、ランチャーにクイックリストが反映されます。反映されない場合はログアウトして再ログインするか、Unityを再起動してください: unity --replace
。
ランチャーへ新規アプリを追加する手順
- 左パネル下のプラスボタンをクリックし、ランチャー名を入力します。
- 追加後、右上でアイコンやコマンド、表示名などのプロパティを編集します。
注意
新規アプリをランチャーに追加する最も簡単な方法は、まずそのアプリを起動し、ランチャー上のアイコンを右クリックして「ランチャーに登録」することです。ULEはより細かい編集や既存項目の追加・削除に向いています。
よくある目的別ワークフロー(ミニ手順)
- クイックリストを1つだけ追加したい: アプリ選択 → Quicklist Group で + → グループ名とコマンド入力 → 保存 → 必要なら Unity 再起動
- 既存ランチャーをバックアップしてから編集したい: ~/.local/share/applications の該当 .desktop をコピーしておく → ULEで編集
- 大量の変更を自動化したい: ULEはGUIツールのため自動化は不得手。スクリプト編集が必要なら .desktop を直接編集する
代替アプローチと比較
- 手動で .desktop を編集する
- 長所: 完全に自動化可能、細かい制御が可能
- 短所: ミスが起きやすく、手順が冗長
- アプリを起動して右クリックで「ランチャーに登録」する
- 長所: 最も簡単で手早い
- 短所: アイコンが存在するアプリに限られる、クイックリスト編集は不可
- Unity Tweak Tool などの設定ツールを使う
- 長所: GUIで設定が可能、他設定もまとめて行える
- 短所: クイックリスト編集に対応していない場合がある
いつこの方法が向かないか(失敗例)
- ULEが古いUnityの仕様にしか対応しておらず、新しいデスクトップ環境では動作しない場合があります。
- システムがWaylandへ移行している環境では、Unity特有の挙動を期待できません。
- セキュリティポリシーでホームディレクトリのスクリプト実行が制限されている場合は実行できません。
トラブルシューティング
- ULEが起動しない
- Python環境や依存モジュールが不足している可能性があります。ログを確認して不足モジュールをインストールしてください。
- 変更が反映されない
- 一度ログアウトして再ログインするか、
unity --replace
を実行してUnityを再起動してください。
- 一度ログアウトして再ログインするか、
- 既存の .desktop と競合する
- 変更前に該当 .desktop のバックアップを取っておくと復旧が容易です。
役割別チェックリスト
デスクトップユーザー
- 変更前に重要な .desktop をバックアップしたか
- 変更内容をまず1つだけ試したか
- 変更後にログアウト/Unity再起動を行ったか
システム管理者
- ULEのスクリプトを配布前に内部で検証したか
- 必要ならユーザごとにテンプレート .desktop を用意したか
セキュリティとプライバシーの注意
ソースを外部から取得して実行するため、ダウンロード元の整合性を確認してください。信頼できるリポジトリ(Launchpadなど)から取得すること、スクリプト内容を確認して不審な挙動がないか目視で確認することを推奨します。
まとめ
ULEは、Unityランチャーのクイックリスト編集とアプリ管理をGUIで簡潔に行える便利なツールです。小さな変更を頻繁に行うユーザーや、.desktop を直接編集するのが面倒な人に向いています。反映されない場合はUnityの再起動やログインし直すことで解決することが多いです。
重要
常に変更前のバックアップを取り、少量ずつ変更して動作確認を行ってください。
短い発表文
Unity Launcher Editor はUnityランチャーのクイックリスト作成やアプリ追加をGUIで行えるツールです。ソースを取得してmain.pyを実行するだけで、手動編集より安全で効率的にカスタマイズできます。