Unityランチャーをプロファイルで切り替える(launcher-list-indicator)

概要
私は平日は仕事用、週末はエンターテインメント用といったように、一台のパソコンを複数目的で使うことが多いです。Unityデスクトップでは、ランチャー(左側のバー)にアプリをピン留めしておくとすぐ起動できて便利です。しかしアプリが増えると目的のアイコンが下の方に埋もれてしまい、見た目も散らかった印象になります。
この問題をシンプルに解決するのが launcher-list-indicator です。複数のランチャー・リスト(プロファイル)を作成して切り替えられるため、作業内容ごとに表示するアイコンだけをまとめられます。実装は小さなスクリプトで、オープンソースです。
対象読者: Unityデスクトップを使うUbuntuユーザー。シンプルにランチャーを切り替えたい人向け。
重要: この記事のコマンドや手順は Ubuntu 14.04 上で検証済みです。他のバージョンでは挙動が異なる可能性があります。詳細は「互換性と移行メモ」を参照してください。
launcher-list-indicatorとは
launcher-list-indicator は、Unityランチャーの現在のアイコン並びを保存し、名前付きのプロファイルとして管理できる小さなツールです。GUIは非常にシンプルで、システムトレイに常駐するアイコンから「現在の状態を保存(Save current)」や「終了(Quit)」を選べます。保存したプロファイルはいつでも呼び出してランチャーを切り替えられます。
用語: ランチャー = Unityの左側にあるアプリ起動バー。プロファイル = 保存したアイコン一覧の集合。
ダウンロード・インストール・設定
- 公式サイト(ソースアーカイブ)から .zip または .tar.gz をダウンロードします。
- ダウンロードしたパッケージを解凍します。解凍後、コマンドラインでメインディレクトリに移動します(例: launcher-list-indicator-0.1)。
- メインディレクトリで以下のコマンドを実行してツールを起動します:
./launcher-list-indicator
このコマンドでツールがシステムトレイに起動します。以後の操作は GUI のトレイアイコンから行います。
重要: 実行権限がない場合は、先に chmod +x ./launcher-list-indicator を実行してください。
使い方(ステップごと)
- ツールを起動すると、システムトレイにアイコンが表示されます。下図の N/A の右側にあるアイコンが対象のツールです。
- アイコンをクリックするとメニューが現れます。選べる項目は主に「Save current(現在の保存)」と「Quit(終了)」です。
- 「Save current」を選ぶと、現在のランチャー状態に名前を付けて保存できます。任意のプロファイル名を入力してください。
- 保存が完了すると、アプリのメニューにそのプロファイル名が表示されます。以後、メニューから名前を選ぶだけで保存した並びに切り替わります。
- 不要になったプロファイルはメニューの「Remove」項目から削除できます。
実運用のベストプラクティス
- 命名規則: プロファイル名は短く分かりやすく(例: Work, Play, Media, MyOriginal)。
- 最小限のアイコン: 各プロファイルにはその用途に必要な最小限のアプリだけを残すと効果的です。
- バックアップ: ホームディレクトリの dotfiles と同様に、プロファイルの保存先(スクリプトがどこに状態を書いているか)を把握してバックアップしておくと安全です。
- テスト: まずは MyOriginal のように現在の状態を保存しておき、作業用にアイコンをアンロックしてから新しいプロファイルを作ると元に戻せます。
具体的なプロファイル設計例
- Work: エディタ、ターミナル、ブラウザ(仕事用プロファイル)、コミュニケーションツール
- Play: Steam、ゲームランチャー、メディアプレイヤー
- Media: 動画編集ソフト、音楽プレイヤー、ストリーミングブラウザ
- Minimal: 必要最小限(フルスクリーン作業用)
これらの例はすぐに作れて、作業効率が上がります。
いつ使うべきか・使うと向かないケース
有効なケース:
- 一台のマシンを仕事と趣味で切り替えて使う場合
- 定期的に使うアプリ群が明確に分かれている場合
向かないケース:
- アプリの数が少なく、ランチャー整理が不要な場合
- Unity ではなく別のデスクトップ環境(例: GNOME シェル)を使っている場合
代替アプローチ
- 仮想デスクトップ(ワークスペース)を使って目的ごとにアプリを分離する。長所: 標準機能で追加ツール不要。短所: ランチャー自体は同じで、ピン留めは切り替わらない。
- Dock 管理ツール(サードパーティ製)を利用する。見た目や自動切替など豊富な機能がある一方で複雑になることがある。
- ユーザーを分ける(複数アカウント): 完全に別設定にできるが、ユーザー切替が手間。
トラブルシューティングと制限
- 自動切替機能はない: 時刻や曜日で自動的にプロファイルを切り替える機能は標準ではありません。必要ならスクリプトで自動化できます。
- Unity 専用: Unity ランチャーの仕様に依存するため、別環境では動作しません。
- 永続性の取り扱い: ツールがどのファイルにランチャーの状態を保存しているか確認し、OS のアップデートや設定変更で消えないようにバックアップしてください。
技術的なヒント(自動化のミニメソッド)
- 保存されたプロファイル名と内部ファイルを確認する。
- cron や systemd タイマーで小さなスクリプトを呼び出し、指定プロファイルを復元する。
- 自動切替の条件例: 時刻(09:00→Work、18:00→Play)、ネットワーク接続(会社ネットワーク→Work)など。
注意: 自動化する場合は必ず現在のプロファイルを先にバックアップしてください。
役割別チェックリスト
開発者:
- Work プロファイルにエディタとターミナルを配置
- デバッグツールを常に表示
- MyOriginal を保存しておく
ゲーマー:
- Play プロファイルにゲームランチャーとボイスツールを配置
- 目障りなユーティリティはアンロック
- フレームレート監視ツールは別ウィンドウで管理
メディア制作者:
- Media プロファイルに編集ソフトを並べる
- 高負荷アプリは一つに絞る
- 出力先フォルダのショートカットを用意
互換性と移行メモ
- 本稿の検証環境は Ubuntu 14.04(Unity 使用)です。
- Unity を採用しているディストリビューション向けのツールです。Ubuntu の標準デスクトップが GNOME に戻っているバージョンでは同等の挙動は期待できません。
- もし新しい Ubuntu で同様の機能を求める場合は、GNOME 拡張や別のドック管理ツールを検討してください。
意思決定フローチャート
次のシナリオで launcher-list-indicator を導入すべきか簡潔に判断できます。
flowchart TD
A[1台のPCを複数用途で使う?] -->|はい| B[Unityデスクトップを使用している?]
A -->|いいえ| Z[導入不要]
B -->|はい| C[ランチャーの整理を手作業でできる?]
B -->|いいえ| Y[別ツール検討]
C -->|いいえ| D[launcher-list-indicator を導入]
C -->|はい| E[既存運用を継続]
用語集(1行定義)
- Unity: Ubuntu で長らく採用されてきたデスクトップ環境の一つ。
- ランチャー: Unity の左側にあるアプリ起動用の縦バー。
- プロファイル: 保存されたランチャーのアイコン並びのスナップショット。
結論
launcher-list-indicator は機能を限定したシンプルなツールです。自動化や高度なフィルタリングを望む高機能志向のユーザーには物足りないかもしれませんが、手早くランチャーの表示を用途別に切り替えたい人には実務的で有用です。小さなコードベースなので、必要に応じて自分で拡張することも可能です。
短い案内: まずは現在の状態を MyOriginal として保存し、その後 Work や Play を作る手順を試してください。戻したくなったときに元に戻せる安全なワークフローです。
ソーシャル用短文: Unity のランチャーを用途別に切り替えたい人向けのシンプルなツール紹介と運用ガイドです。