Windows 11 25H2 のブート可能USBを作成してインストールする方法

簡潔に言うと、Windows 11 バージョン 25H2 をクリーンインストールまたはアップグレードする最も確実な方法は、8GB 以上の USB ドライブを使ってブート可能なインストーラーを作ることです。この記事は公式ツール(Media Creation Tool)と Rufus を使った ISO ベースの両方の手順、互換性チェック、トラブルシューティング、実務向けのチェックリストとヒューリスティックを含む完全ガイドです。
このガイドは、Windows 11 バージョン 25H2 をインストールまたは再インストールするために必要な全手順を丁寧に説明します。初めての方でも安心して作業できるように、用語の簡単な定義、事前準備、ダウンロード、作成、インストール、よくある問題とその対処までカバーします。
重要な用語(1行定義)
- ISO: 光学メディアの内容を丸ごと保存した単一ファイル。
- ブート可能USB: 電源を入れたときにPCがUSBから起動できるように準備したUSBドライブ。
- UEFI / GPT: 現代のファームウェアとパーティション方式。高速起動とセキュリティ機能を提供。
- Legacy / MBR: 古いBIOSと従来型パーティション方式。古いPC向け。
なぜブート可能USBを使うのか
ブート可能USBは、クリーンインストールやトラブルシューティング、複数台への展開に便利です。インターネット経由のアップデートよりも確実で、ネットワークの状態に左右されません。USB は再利用可能で、作成したインストーラーは複数回使えます。
前提条件と準備リスト
- 作業用の動作するPC(ダウンロード/USB作成用)
- 安定したインターネット接続
- USB フラッシュドライブ(8GB 以上)。作成時に完全に消去されます。重要データは必ずバックアップしてください。
- Windows 11 25H2 の ISO ファイル、または Media Creation Tool
- ツール: Microsoft の Media Creation Tool、または Rufus(Windows向け)
- TPM 2.0 と Secure Boot が必要な場合があります(後述の互換性チェックを参照)
重要: 途中でドライブを初期化するとデータは消えます。必ずデータのバックアップを行ってください。
ステップ 1: Windows 11 25H2 をダウンロードする
Windows 11 をインストールするには、公式または信頼できる配布元からインストール用ファイルを入手します。ここでは2つの方法を紹介します。
方法 A — Microsoft 公式サイトから直接ダウンロード(推奨)
画像:
手順:
- ブラウザで Microsoft の公式ダウンロードページにアクセスします。
- URL: https://www.microsoft.com/software-download/windows11
- ページ上で「Create Windows 11 Installation Media(インストールメディアの作成)」か「Download Windows 11 Disk Image (ISO)(ディスクイメージのダウンロード)」が選べます。
- Media Creation Tool を使うなら最初のオプション、Rufus などでISOを使うなら「Download ISO」を選んで適切なエディションと言語を選択してダウンロードしてください。
- ISO のダウンロードリンクは通常24時間有効です。期限前に保存してください。
画像:
注意: Microsoft 公式から入手することで改変されていないクリーンなファイルが手に入ります。
方法 B — msdl.tech-latest.com 経由でダウンロード(代替)
Microsoft の公式サイトが一時的に遅いまたはアクセスできない場合、msdl.tech-latest.com などのミラーサイトを使う方法があります。これらのサイトは Microsoft のサーバーから直接 ISO を提供していることが多いですが、必ずダウンロード後にファイルの整合性(サイズや署名)を確認してください。
手順:
- https://msdl.tech-latest.com にアクセスします。
- Windows 11 を選び、Version 25H2 を選択します。
- 言語を選んで 64-bit の ISO をダウンロードします(Windows 11 は 32-bit 非対応)。
画像:
画像:
検証: ダウンロードした ISO のサイズが Microsoft の記載と概ね一致するかを確認し、可能であれば SHA256 等のハッシュ値で整合性をチェックしてください。
ステップ 2: ブート可能USBドライブを作成する
ISO またはインストールメディアが準備できたら、USB をブート可能にします。ここでは Media Creation Tool と Rufus の 2 通りを解説します。
方法 A — Media Creation Tool を使う(初心者向け)
画像:
手順:
- Microsoft のダウンロードページで「Create Windows 11 Installation Media」セクションの「Download Now」をクリックして Media Creation Tool を入手します。
- ダウンロードした実行ファイルを開き、管理者権限で許可を与えます(「はい」を選択)。
- ライセンス条項に同意します。
- 言語とエディションが自動検出されますが、必要であれば変更できます。
- 「Create installation media (USB flash drive, DVD, or ISO file)」を選択して Next をクリックします。
- 「USB flash drive」を選び、接続した USB を選択します。注意: 選択した USB 上のデータは全て消えます。
- ツールが自動的に必要なファイルをダウンロードして USB を作成します。完了まで数十分かかる場合があります。
画像:
Media Creation Tool は Microsoft が提供するため、基本的に最も安全で簡単な方法です。ただし、ツールは Windows 上で動作します。
画像:
方法 B — Rufus を使う(上級者向け、柔軟性あり)
Rufus は小型のフリーソフトで、ISO からブート可能 USB を作る際に細かい設定が可能です。特に UEFI/GPT と Legacy/MBR の選択や、Windows To Go 形式など高度なオプションが必要な場合に有用です。
画像:
手順:
- Rufus の公式サイトから最新版をダウンロードします。インストール不要で実行ファイルを起動できます。
- USB を PC に挿入します。
- Rufus を起動すると自動的に接続した USB を検出して Device 欄に表示します。
- Boot selection で「Select」をクリックし、ダウンロードした Windows 11 25H2 の ISO ファイルを選択します。
- Image option は通常「Standard Windows installation」のままで OK です。
- Partition scheme は基本的に GPT を選びます(UEFI 対応のほとんどの新しいPC)。古い BIOS のみ対応の PC の場合は MBR を選びます。
- Target system は「UEFI (non-CSM)」が表示されることを確認してください。
- Volume label に任意の名前(例: Win11_25H2)を付けても構いません。
- その他はデフォルトのままで Start をクリックします。USB 内のデータは消去されます。
- 警告が出たら内容を確認の上、続行します。作業は 10〜30 分程度かかることがあります。
画像:
Rufus の主なオプション解説:
- GPT vs MBR: GPT は UEFI 向け。MBR は古い BIOS 向け。ほとんどの近年のマシンは GPT を使ってください。
- Target system: UEFI (non-CSM) は Secure Boot との互換性が高い設定です。
- Image option: Windows の通常インストールか、Windows To Go などの別オプションが選べます。
ステップ 3: USB から Windows 11 をインストールする
インストール前の最終チェック:
- 重要データのバックアップが完了しているか
- インストール先のドライブ(例: Drive 0)が判別できるか
- 必要なドライバーやライセンスキーが揃っているか(後で入力可)
手順:
- ブート可能 USB をインストール先の PC に差し込みます。
- PC を再起動します。
- 起動時にブートメニューキーを押して USB から起動します。製品別のキー例:
- Dell: F12
- HP: Esc または F9
- Lenovo: F12
- Asus: F8
- Acer: F12
- MSI: F11
- ブートメニューで USB を選択して Enter を押します。
- Windows セットアップが始まります。言語、時刻、キーボードレイアウトを選択して Next。
画像:
- 「Install Now」をクリックします。
画像:
- プロダクトキーがあれば入力。無ければスキップして後でアクティベートできます。
画像:
- エディションを選択(表示された場合)。
- ライセンス条項に同意して Next。
- アップグレード(既存の Windows を保持)かカスタム(クリーンインストール)を選びます。クリーンを望むなら「Custom: Install Windows only」を選択します。
- インストール先のパーティションを選びます。通常は Drive 0。完全に消去したい場合は既存パーティションを削除して未割当領域を選択してください。
画像:
セットアップはファイルのコピー、機能のインストール、数回の再起動を行います。完了するまでは USB を抜かないでください。完了画面は「Hi, we’re getting things ready for you」といった初期セットアップ画面になります。
画像:
互換性と事前チェック: TPM、Secure Boot、PC Health Check
Windows 11 の要件には TPM 2.0、Secure Boot、対応 CPU などが含まれます。公式の PC Health Check アプリで互換性を確認してください。必要なら BIOS/UEFI 設定で TPM と Secure Boot を有効化します。古い PC では回避策や非サポートインストールが必要になる場合がありますが、セキュリティの観点からは推奨されません。
チェック項目:
- TPM 2.0 が有効化されているか
- Secure Boot が有効になっているか
- ストレージが GPT(UEFI)かどうか
- RAM とディスク容量が要件を満たしているか
よくある問題と対処法
問題: USB から起動できない 対処:
- ブート順序を BIOS/UEFI で確認
- USB が FAT32 でフォーマットされているか(UEFI 向け)
- Rufus で作成時に GPT / UEFI を選んだか
問題: インストール時に TPM 要件で拒否される 対処:
- BIOS/UEFI で TPM を有効にする
- PC Health Check を再実行
- どうしても対応できない古いハードでは、Microsoft のサポート外の回避策がありますがセキュリティリスクがあるため注意
問題: インストール途中で「このPCはWindows 11を実行できません」と出る 対処:
- CPU が公式サポート対象か確認
- TPM / Secure Boot の状態を確認
- 最新の BIOS にアップデートすることを検討
問題: ネットワークに接続できない、ドライバーがない 対処:
- ネットワークカードのドライバーを別USBに入れて読み込む
- インターネット接続はセットアップ後に行い、Windows Update でドライバーを取得
代替ツール・方法
- balenaEtcher: macOS / Linux / Windows で使えるシンプルなイメージ書き込みツール。ISO を USB に書き込むのに便利だが、UEFI/詳細設定には制限がある。
- Ventoy: 複数の ISO を一つの USB に置いて選択して起動できるツール。複数環境を試す技術者向け。
セキュリティ上の注意
- 公式以外の配布元からの ISO は危険が伴う。可能な限り Microsoft 公式または信頼できるミラーから取得してください。
- インストール後は Windows Update を直ちに実行して最新のセキュリティパッチを適用してください。
展開・運用向けの実務チェックリスト(役割別)
ホームユーザー:
- バックアップ済みか確認
- 重要ソフトのインストーラーを用意
- Microsoft アカウント情報を手元に
IT担当者(少人数運用):
- 製品版プロダクトキーの一覧を準備
- カスタムイメージ(ドライバーやソフトを統合)を検討
- テストマシンで導入試験を実施
システムビルダー/ショップ:
- 複数台展開用のイメージ管理
- UEFI とドライバ互換性の検証
- ドライバ、チップセット、ネットワークの標準化
検収基準(インストール成功の受け入れ条件)
- USB から起動してインストーラーが立ち上がる
- インストール先のディスクに OS が正しく書き込まれる
- 初回起動後、Windows のセットアップ画面まで到達する
- デバイスマネージャーに未認識の主要デバイスがない
- Windows Update を実行し、主要な更新が取得できる
ミニメソドロジー:安全で確実なインストール手順(要約)
- バックアップを取る(イメージや重要ファイル)。
- 公式から ISO または Media Creation Tool をダウンロード。
- 適切なツールで USB を作成(Media Creation Tool または Rufus)。
- BIOS/UEFI の設定(TPM、Secure Boot、ブート順)を確認。
- USB から起動してインストール。
- ドライバーと Windows Update を適用。
決定支援フローチャート
flowchart TD
A[開始] --> B{すでに ISO を持っているか}
B -- はい --> C[Rufus で USB を作成]
B -- いいえ --> D{Windows PC で作るか}
D -- はい --> E[Media Creation Tool を使用]
D -- いいえ --> F[別の PC か balenaEtcher を検討]
C --> G[ブートテスト]
E --> G
F --> G
G --> H{起動成功か}
H -- はい --> I[インストールへ進む]
H -- いいえ --> J[設定と互換性を再確認]
追加のヒューリスティック(現場のコツ)
- USB は品質の良いものを使う(書き込み速度と信頼性が重要)。
- 作成中にエラーが出たら別の USB で再試行する。
- 企業展開ではイメージをカスタマイズし、ドライバーとポリシーを統合する。
- 可能であればクリーンインストールを推奨。累積的不具合を抱えた環境より安定する場合が多い。
エッジケースギャラリー(短評)
- 古いCPUや TPM 非搭載機: 非対応か回避策が必要だが、セキュリティリスクは増す。
- Mac や Linux 上で USB 作成: balenaEtcher が使いやすい。Rufus は Windows 専用。
- ARM ベースデバイス: x64 用 ISO は動作しない。必ず対応アーキテクチャを確認。
まとめ
Windows 11 25H2 のブート可能 USB 作成は、正しいツールと事前準備があれば難しくありません。公式の Media Creation Tool は手軽さが最大の利点で、Rufus は柔軟性と詳細設定が必要な場面で強力です。インストール前のバックアップと互換性チェックを怠らないでください。問題が発生した場合は、BIOS/UEFI 設定、USB の作成方法、ISO の整合性を順に確認すると多くは解決します。
重要: 公式以外の ISO を使う場合はセキュリティリスクを理解し、ファイルの整合性を確認すること。
要点の再掲(短いまとめ):
- 公式サイトからのダウンロードと Media Creation Tool の使用が最も安全。
- Rufus は詳細設定が必要な場合に有利。
- USB 作成前にバックアップを必ず行う。
- TPM と Secure Boot の互換性を確認する。
ご不明な点や実行中のエラーがあれば、使用している PC のメーカーとエラーのスクリーンショットを添えてご相談ください。