概要
Windowsは初期セットアップで「登録された所有者(RegisteredOwner)」や「登録組織(RegisteredOrganization)」を自動的に設定します。通常はMicrosoftアカウントに紐づく名前や組織名が入りますが、中古PCを買った場合や表示名を変更したい場合は、自分で値を書き換える必要があります。本記事ではレジストリエディターを使った手順、コマンドラインでの代替方法、検証方法、よくあるトラブル対処までカバーします。
重要: レジストリを編集するとシステムに影響を与える可能性があります。作業前に必ずバックアップを取り、管理者権限で実行してください。
変更手順(レジストリエディター)
レジストリのバックアップ
- スタートで「regedit」と検索し、レジストリエディターを開く前に、ファイル > エクスポートからバックアップを保存します。
- バックアップは安全な場所に保管してください。
レジストリエディターを起動
- スタートメニューで検索するか、Win + R を押して「regedit」と入力してEnter。
対象キーに移動
- レジストリエディターの上部にあるアドレスバーに以下をコピー&ペーストしてEnterを押します。
HKEY_LOCAL_MACHINE\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion
- 値を編集
- 右ペインの文字列値一覧から RegisteredOwner をダブルクリックします。
- 「値のデータ」に希望の名前を入力して「OK」を押します。
- 同様に RegisteredOrganization をダブルクリックして組織名を入力します。
- 値が見つからない場合は作成
- 右ペインの空白部分を右クリックして「新規 > 文字列値」を選び、RegisteredOwner として作成します。
- RegisteredOrganization も同様に作成します。
- 再起動して確認
- 編集後にPCを再起動します。
- スタートで「winver」と入力してEnterを押すと、表示されるウィンドウで登録情報を確認できます。
代替方法:コマンドライン(管理者権限)
GUIが使えない、またはスクリプトで複数台を一括変更したい場合は、管理者としてコマンドプロンプトまたはPowerShellで reg add を使えます。例:
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion" /v RegisteredOwner /t REG_SZ /d "あなたの名前" /f
reg add "HKLM\SOFTWARE\Microsoft\Windows NT\CurrentVersion" /v RegisteredOrganization /t REG_SZ /d "あなたの組織名" /f
- /f を付けると確認プロンプトなしで上書きします。ローカルPCでテストしてから運用してください。
安全対策とバックアップ
- 事前にシステムの復元ポイントを作成することを推奨します。
- レジストリ全体のエクスポート(.regファイル)を保存しておくと、元に戻すのが簡単です。
- 管理者権限で作業を行い、不明なキーは編集しないでください。
よくある問題と対処法
変更が反映されない
- 変更後に再起動しているか確認してください。
- 値を正しいキーに設定したか再確認してください(HKLMのCurrentVersion)。
値が作成できない(アクセス拒否)
- 管理者権限で実行しているか確認します。
- グループポリシーや企業の管理下にあるPCでは変更が制限されている場合があります。IT管理者に問い合わせてください。
他のアプリが古い情報を表示する
- 一部のアプリはキャッシュを持っています。アプリの再起動、またはユーザーのプロファイル再ログインで更新されます。
いつこの方法が適さないか(反例)
- 企業管理のドメイン参加PCで、Active DirectoryやMDM(Intuneなど)により所有者情報が自動で再設定される場合は、ローカルでの上書きがすぐに戻されます。
- セキュリティポリシーでレジストリ編集が禁止されている場合。
管理者と一般ユーザー向けチェックリスト
管理者向け(複数台対応):
- 変更ポリシーを確認(AD/MDMの影響)
- スクリプトで事前にテスト
- 変更ログとバックアップを保存
一般ユーザー向け(個人PC):
- レジストリのバックアップを取得
- RegisteredOwner と RegisteredOrganization を編集
- 再起動して winver で確認
用語(1行定義)
- RegisteredOwner: Windowsレジストリに保存される「登録所有者」の文字列値。
- RegisteredOrganization: Windowsレジストリに保存される「登録組織」の文字列値。
- HKLM: HKEY_LOCAL_MACHINEの略。マシン全体の設定を保持するレジストリハイブ。
まとめ
レジストリを使ってWindowsの登録所有者や組織名を変更するのは簡単です。ただし、編集ミスがシステムに影響する可能性があるので、事前のバックアップと管理者権限での実行を必須としてください。企業管理下の端末では、ローカル変更がすぐに上書きされるケースがあるため、IT管理者と調整してください。
FAQ
Q: 変更は即時反映されますか? A: 多くの場合は再起動後に反映します。アプリ側のキャッシュがある場合は、アプリの再起動が必要です。
Q: レジストリを触るのが怖いです。代替はありますか? A: 管理者に依頼するか、コマンドで reg add を使う方法があります。家庭用PCであればGUIで安全に操作できます。
Q: 企業PCで変更が戻される場合は? A: グループポリシーやMDMが原因です。IT管理者に問い合わせてください。
重要: 編集前に必ずバックアップを取得してください。