Windowsでページファイルのサイズと場所を変更する方法

概要と定義
ページファイル(pagefile.sys): Windowsが物理メモリ(RAM)を補うために使うディスク上のファイルです。短い定義: RAMの補助ストレージとして使われる仮想メモリ領域です。
なぜ変更するのか: エラーの回避(例: “page fault in nonpaged area”)、ディスク空間の調整、別ドライブに移してシステムドライブ(通常はC:)の空き容量を確保する場合などです。
重要ポイント:
- 通常はWindowsに任せる(”自動管理”)。
- パフォーマンス改善には物理メモリ(RAM)を増やすほうが効果的。
- ページファイルを外付けドライブやネットワークドライブに移すのは推奨されません。
主な手順(ページファイルのサイズを変更する)
以下はWindows 10/11共通の操作フローです。UIラベルは日本語化した表記で示します。
- タスクバーのWindowsボタンを右クリックし、システムを選択。次にシステムの詳細設定を開きます。
- 「詳細設定」タブのパフォーマンスセクションで設定をクリックします。
パフォーマンスオプションの「詳細設定」タブで仮想メモリの変更をクリックします。
「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外します。
ページングファイルを設定したいドライブを選び、カスタムサイズを選択して、初期サイズ(MB)と最大サイズ(MB)を入力します。入力後、OKで確定します。
推奨サイズの目安(単位: GB):
- Windowsの標準動作: 合計RAMの約1/8または4GBのどちらか大きい方を確保することが多いです。
- 実践的な目安: 最低でもRAM容量の0.5〜1倍、最大で2倍程度を設定することが多いですが、用途(動画編集、仮想マシンなど)で変わります。
変更後は必ず再起動してください。再起動しないと新しい設定が反映されないことがあります。
ページファイルの保存場所を変更する方法
ページファイルを別のドライブに移す手順は上と同じ画面で行います。
- 仮想メモリのウィンドウを開き、「すべてのドライブのページング ファイルのサイズを自動的に管理する」のチェックを外します。
- 現在のデフォルトドライブ(通常C:)を選択し、ページング ファイルなしを選んで設定をクリックして無効にします。
- ページファイルを置きたいドライブを選び、システム管理サイズまたはカスタムサイズを選択して設定し、最後にOKで閉じます。
- 再起動して変更を有効にします。
注意: 外付けUSBドライブやSDカード、ネットワークマウント上にページファイルを置くと、接続喪失時にシステムが不安定になる危険があります。常に内部ドライブ(できれば高速なSSD)を選んでください。
いつ変更すべきか/やってはいけないケース
変更しても効果が薄い、または悪影響が出るケース:
- 根本原因が不足した物理RAMなら、ページファイル増量では根本解決にならない。RAM増設を優先。
- ページファイルの場所を頻繁に切り替えると、ログや一時ファイルの一貫性で問題が出る場合がある。
- ノートPCでSSD寿命を心配する場合は、必要最小限のサイズにするか、システム管理に任せて動作を監視する。
適切な場面:
- C: の空き容量不足でシステムの安定性に問題があるとき。
- 特定のアプリケーションが大量のページングを発生させ、パフォーマンスが著しく低下しているとき(ただし根本はメモリ不足の場合が多い)。
- デバッグやOSトラブルシューティングでpagefileの場所を変える必要があるとき。
トラブルシューティング: “page fault in nonpaged area” の対処
症状: システムがクラッシュしたりブルースクリーン(BSOD)を出す。原因はドライバー不具合、メモリ破損、または仮想メモリ設定の不整合など多岐にわたります。
対処手順(優先度順):
- メモリ診断を実行してRAMの物理故障を確認(Windowsメモリ診断ツール)。
- 最近インストールしたドライバーやソフトウェアをアンインストールして再現するか確認。
- ページファイルをシステム管理サイズに戻して再起動。問題が軽減するか確認。
- 必要ならページファイル増加で一時的に回避できることもあるが、恒久解決策にはならない。
管理者・一般ユーザー向けチェックリスト
管理者向け:
- 変更前にシステム全体のバックアップを取得する。
- 変更するドライブに十分な空き容量があるか確認する。
- サーバー環境では、IO特性(読み書き速度、レイテンシ)を考慮して別ドライブを選定する。
一般ユーザー向け:
- まずはWindowsに自動管理させる。
- C: の空き容量が極端に少ない場合にのみ、別ドライブへ移す検討をする。
- 変更後は再起動して動作を確認する。
代替アプローチとヒューリスティック
- パフォーマンス改善が目的なら、まずは物理RAM増設を検討する。これは最も確実で副作用が少ない。
- SSDを使っている場合、ページファイルをSSD上に置くと速度面で有利。ただし極端な書き込み負荷がある場合はSSDの寿命を考慮する。
- サーバーやワークステーションでは専用の高速ドライブ(NVMeなど)をページファイル用に割り当てる判断もある。
事実ボックス(キー数値)
- Windowsのデフォルト確保目安: 合計RAMの約1/8 または 4GB のどちらか大きい方。
- 単位換算: 1GB = 1024MB。
まとめ
- ページファイルは仮想メモリの重要な要素です。通常はWindowsの自動管理が最も安全です。
- 特別な理由(エラー対策、ディスク空間確保、運用要件)がある場合のみ、サイズや保存場所を変更してください。
- 設定変更後は必ずシステムを再起動し、動作とエラー発生状況を確認してください。
重要: ページファイルの変更は効果が限定的なことが多く、原因が物理メモリ不足の場合はRAM増設が最善の解決策です。
All images and screenshots by Tanveer Singh.