Google Photosを外付けドライブにバックアップする方法

なぜGoogle Photosをローカルにバックアップするべきか
Google Photosは自動でバックアップしてくれて便利です。しかし単一のクラウド依存はリスクがあります。主な理由は以下の通りです。
- オフラインでのアクセス: ローカルコピーがあれば、インターネットがなくても写真や動画を閲覧・編集できます。
- アカウント障害への対策: パスワード紛失、二要素認証トラブル、アカウント停止などでアクセス不能になる可能性があります。ローカルにコピーがあれば影響を受けません。
- データ消失リスクの軽減: 稀ではありますが、クラウド側の削除や同期の誤操作でデータが失われるケースがあります。ローカルバックアップは唯一無二の復旧手段になり得ます。
重要: バックアップは冗長化が基本です。1つのバックアップは無いのと同じ、と考え、可能なら複数の場所にコピーしてください(例: 外付けドライブ + 別のクラウド or NAS)。
ハードウェアの選び方
外付けドライブには主に2種類あります:
- ポータブルHDD/SSD(USB接続で即使用可能)
- M.2 NVMeを収めるUSBエンクロージャ(自分でSSDを用意して組み合わせる)
どちらを選ぶかは予算と目的次第です。一般的な推奨:
- 大量の写真・動画を安価に保存したい → 大容量の外付けHDD
- 高速かつ将来のアップグレード性を重視 → M.2 NVMe + USB-Cエンクロージャ
- 持ち運びが多い → ポータブルSSD(耐衝撃性を確認)
例: 私は2TB NVMe M.2 SSDをUSB-Cエンクロージャに入れる方法を選びました。安価でアップグレードしやすく、高速にアクセスできます。
購入時のチェックリスト
- インターフェース: PC側がUSB-C/USB 3.xに対応しているか
- 容量: 写真と動画の総容量を見積もり、余裕を持たせる(少なくとも1.5〜2倍推奨)
- 冗長性: 重要ならRAIDや別ドライブへのコピーも検討
- 耐久性: 持ち運ぶならSSDを推奨
- フォーマット互換性: Windows、macOS、Linuxで読み書きできるか(exFAT推奨)
Google Photosからローカルへバックアップする方法(推奨: Google Takeout)
用意するもの:
- GoogleアカウントにアクセスできるPC(ブラウザ)
- 空き容量十分なローカルドライブ(外付けドライブを接続)
- 安定したインターネット接続(エクスポート準備に時間がかかる場合あり)
以下は分かりやすい手順です。操作画面のラベルは随時変更されることがありますが、流れは同じです。
- ブラウザで takeout.google.com にアクセスします。
- ページ上部の「すべて選択を解除」(Deselect all)を押します。
- リストから「Google フォト(Google Photos)」を探してチェックを入れます。
- 必要に応じて「アルバムを選択」して特定のアルバムだけをエクスポートできます。すべてを取得する場合は「すべてのアルバムが選択されています」のままにします。
- ページ下部の「次へ」をクリックします。
- 配信方法を選択します。「ダウンロードリンクをメールで送信」を選ぶのがシンプルで確実です(別のクラウドへ転送する選択肢もあります)。
- 配信の頻度は「1回のエクスポート(Export once)」が通常です。定期的に実行したければ自動エクスポートを設定できます。
- ファイルタイプは「.zip」を選びます。アーカイブのサイズ(2GB/4GB/10GB/50GB)を選択すると、Googleがそのサイズごとに分割して出力します。大きめを選ぶとファイル数は少なくなりますが、ダウンロード時に途中で切れるリスクに注意してください。
- 「エクスポートを作成」をクリックします。
- Googleがアーカイブを準備します。所要時間は数時間から数日です(ライブラリのサイズ次第)。完了すると「Your Google data is ready to download」という件名のメールが届きます。
- メール内のダウンロードリンクから.zipファイルをPCに保存します。外付けドライブに直接保存するか、一旦ローカルに落としてから外付けへ移動してください。
- ダウンロードした.zipを展開(解凍)すると、年・月別やアルバム別のフォルダ構成で写真・動画が入っています。
ダウンロード時の注意
- 大きなエクスポートは途中で失敗することがあります。失敗したら再試行するか、分割サイズを小さくして再実行してください。
- .zipのまま外付けストレージに保存しておくと復元は容易ですが、検索やサムネイル表示はできません。展開しておくことを推奨します。
ダウンロード後の整理と検証
エクスポートが完了したら、以下の手順で確実にバックアップを管理します。
- フォルダ構成を確認: 年/月/アルバムのように整理されているかを確認します。
- サンプル検証: 任意の写真・動画を数十件選び、実際に開けるか確認します。
- チェックサム(オプション): 大規模ライブラリならファイル数やハッシュを比較してエラーを検出します。macOSやLinuxならsha256sum、WindowsならPowerShellのGet-FileHashが使えます。
- 別のコピーを作成: 可能ならもう一台の外付けドライブやNASにコピーして冗長化します。
- ラベリング: ドライブ名やフォルダに作成年月日を付記して、いつ取得したものか一目で分かるようにします。
運用SOP(手順書)— 年1回のフルバックアップを例に
目的: Google Photosライブラリの年次ローカルバックアップを安定運用する。
手順:
- 外付けドライブを接続し、十分な空き容量を確認する。
- takeout.google.com でエクスポートを作成する(手順は前節参照)。
- アーカイブをダウンロードして展開する。
- 展開後、30件ランダムに開いて正常に再生・表示されるか確認する。
- 別ドライブ(またはクラウド)に複製して冗長化する。
- ドライブにラベル(例: PhotosBackup-2025-10-17)を付ける。
- 監査ログを残す(実行者、日付、容量、検証結果)。
チェック項目(受け入れ基準):
- ダウンロードしたファイル数が期待値と一致する
- サンプル表示で破損ファイルが見つからない
- 複製先に同一データが存在する
障害対応ランブック(クラウド側の問題でアクセス不能になった場合)
- まずローカルドライブのデータを確認し、重要データが存在することを確認する。
- ローカルデータを別の安全な場所へ複製する(クラウド復旧の補助として)。
- Googleアカウントの復旧作業を行う(パスワード再設定、サポート問い合わせ)。
- 必要ならローカルデータからサービスに再インポートする手順を検討する。
- 将来的に同様の問題が起きないよう、定期的なバックアップスケジュールを厳格化する。
代替アプローチと、どの方法が向いているか
- Google Drive経由で手動ダウンロード: 小規模なデータ量や単一ファイルの取得に便利。ただし一括エクスポートには不向き。
- サードパーティツールを使う: 自動化や差分取得が必要なら検討。ただし信頼性とプライバシーを慎重に評価すること。
- 定期同期ソフト(rcloneなど): 上級者向け。細かい制御やスケジューリングを行いたい場合に有効。
いつ向かないか(反例):
- 単発で数ファイルだけコピーしたい場合、Takeoutは重すぎる。
- 継続的に差分だけを同期したい場合、Takeoutは手間がかかる。同期ツールの方が適切。
心構えとメンタルモデル(ヒューリスティック)
- 3-2-1ルール: 3つのコピー、2種類の媒体、1つはオフサイト保管。
- 小さな問題のうちに対応: 少数の破損や欠落は早期に見つけて対処する。
- 自動化と検証: 自動でバックアップしても、定期的に中身を検証することが重要。
決定ツリー(どの方法でバックアップするかの簡単な判断)
flowchart TD
A[写真データの規模は?] -->|少量 '<50GB'| B[手動ダウンロードまたはDrive経由]
A -->|中量 '50–500GB'| C[Google Takeoutでエクスポート]
A -->|大容量 '>500GB'| D[Takeout + 分割 or rcloneなどで同期]
C --> E[外付けHDDに保存]
D --> F[NVMe + エンクロージャ or NAS]
役割別チェックリスト
一般ユーザー:
- Takeoutでエクスポートを作成
- .zipを展開して外付けドライブへ保存
- 1回は全体を目視で確認
パワーユーザー/技術者:
- 差分同期ツール(rclone等)を検討
- チェックサムで整合性確認
- 定期的に自動化スクリプトを実行
IT管理者:
- 中央管理のバックアップポリシーを作成
- 暗号化・アクセス制御を実施
- 監査ログと復旧手順を整備
互換性と移行の注意点
- フォーマット: exFATはWindowsとmacOS両対応で大容量ファイルに便利。ただしファイルシステムの制約とパーミッション差に注意。
- 動画コーデック: 古いコーデックは再生ソフトが対応していない場合があります。必要に応じてトランスコードを検討。
- メタデータ: GoogleのサムネイルやAIタグはエクスポート後も完全に移行されないことがあります。タグ・アルバム情報を引き継ぎたい場合は、Takeoutのメタデータファイルを確認してください。
リスクマトリクスと緩和策
- リスク: ダウンロード失敗 → 緩和: 分割サイズを小さく、再試行
- リスク: ドライブ故障 → 緩和: 2台以上に複製、重要データはクラウドにも保存
- リスク: 誤削除 → 緩和: バックアップのバージョン管理(日時ラベル)を実施
- リスク: 不正アクセス → 緩和: ドライブ暗号化、パスワード管理
最後に: 継続運用のための簡単なプラン
- 年1回のフルバックアップ(Takeout)を予定表に入れる。
- 半年ごとにサンプル検証を実施する。
- 重要な写真は別の物理媒体またはクラウドに複製する。
- 重大なイベント(結婚式、旅行など)の後には即座にバックアップを取る習慣をつける。
1行用語集
- Google Takeout: Googleサービスからデータをエクスポートする公式ツール。
- NVMe: 高速なSSD用のインターフェース規格。
- exFAT: 大容量ファイルに対応するファイルシステム。
よくある質問(FAQ)
Q: Takeoutで何日かかりますか?
A: ライブラリの大きさ次第です。数時間〜数日が一般的です。
Q: .zipを展開せずにそのまま保存してもいいですか?
A: 長期保存は可能ですが、検索や再生ができないため展開を推奨します。
Q: 自動で差分だけバックアップしたいです。どうすれば?
A: rcloneなどの同期ツールや、クラウドAPIを利用したスクリプトで差分同期が可能です。技術的な知識が必要です。
まとめ: Google Photosは便利ですが、ローカルバックアップを持つことで安心感が大きく変わります。Google Takeoutは最も手軽で信頼できる方法です。計画と検証を組み合わせて、あなたの写真資産を確実に守りましょう。
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