Windows Terminal の設定をバックアップして復元する方法

Windows をアップグレードしたりリセットしたりしたときに、カスタムした Windows Terminal の設定が失われるのは非常に困ります。settings.json をバックアップしておけば、再設定の手間を省き、別のマシンへ素早く移行できます。
この記事では、一般的なバックアップと復元の手順に加え、代替手段、実務で使えるプレイブック、テスト基準、よくある問題と解決方法、役割別チェックリストなど、実用的な情報を幅広く提供します。
目的と適用範囲
- 目的: Windows Terminal のユーザー設定を安全にバックアップし、必要なときに確実に復元すること。
- 適用範囲: Microsoft Store 版 Windows Terminal を対象。企業環境や個人利用の双方に応用できます。
準備知識(1行定義)
- settings.json: Windows Terminal の外観やプロファイル設定を保持する JSON ファイルです。
すぐ使えるハイレベル手順
- 現在の settings.json を探す(%LocalAppData% 以下)。
- ファイルを安全な場所にコピーする(ローカル・クラウドどちらでも可)。
- 必要時に元の場所へ上書きして復元する。
Windows Terminal 設定をバックアップする方法
以下は代表的な方法です。用途や権限に合わせて選んでください。
ファイルエクスプローラーでバックアップする手順
- Win + E でファイルエクスプローラーを開きます。
- アドレスバーに次のパスを貼り付けて Enter を押します。
%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState
- 表示されたフォルダー内の settings.json を見つけます。
- settings.json を右クリックして「コピー」を選ぶか、Ctrl + C でコピーします。
- バックアップ先のフォルダー(例: D:\Backups\WindowsTerminal)に移動し、Ctrl + V で貼り付けます。必要に応じてフォルダー名に日付を付けて履歴管理してください。
ヒント: バックアップは複数世代残すと安心です。ファイル名に YYYYMMDD を付けておくと管理が容易になります。
管理者権限のコマンドプロンプトでバックアップする手順
- スタートメニューを開き、”Command Prompt” または「コマンドプロンプト」を検索します。
- 右クリックして「管理者として実行」を選びます。
- 次のコマンドを実行して settings.json を任意の場所へコピーします(
を保存先に置き換えてください)。
copy /y /v "%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json" ""
例: C:\Program Files にバックアップする場合:
copy /y /v "%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json" "C:\Program Files"
注意: 保存先に書き込み権限が必要です。管理者権限で実行していることを確認してください。
PowerShell を使う方法(代替)
PowerShell が好みであれば、以下のコマンドで同様にコピーできます。
Copy-Item -Path "$env:LocalAppData\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json" -Destination "C:\バックアップ\WindowsTerminal\settings.json" -Force
PowerShell はスクリプト化やタスクスケジューリングと相性が良く、自動バックアップに向いています。
同期機能を使う代替アプローチ
Windows Terminal は設定同期(Settings sync)機能を持つことがあります。Microsoft アカウントや GitHub アカウントと連携して設定をクラウドに保存できる場合は、内蔵同期を有効にするだけで複数 PC 間の同期が可能です。企業ポリシーやプライバシー要件を確認してから有効化してください。
Windows Terminal 設定を復元する方法
ファイルエクスプローラーで復元する手順
- バックアップ先のフォルダーを開き、settings.json を選んで Ctrl + C でコピーします。
- 次のフォルダーへ移動します。
%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState
- Ctrl + V で貼り付けます。置換確認ダイアログが表示されたら「コピー先のファイルを置き換える」を選びます。
- Windows Terminal を再起動すると設定が反映されます。
コマンドプロンプトで復元する手順
- 管理者としてコマンドプロンプトを開きます。
- 次のコマンドを実行してバックアップから元の場所へコピーします(
をバックアップ元に置き換えてください)。
copy /y /v "" "%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState"
例:
copy /y /v "C:\Program Files\settings.json" "%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState"
PowerShell で復元する方法
Copy-Item -Path "C:\バックアップ\WindowsTerminal\settings.json" -Destination "$env:LocalAppData\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json" -Force
復元後、Windows Terminal を再起動して設定が期待どおり反映されるか確認してください。
トラブルシューティング
- 復元しても反映されない場合: Windows Terminal を完全に終了してから再起動する。タスク マネージャーでバックグラウンド プロセスが残っていないか確認。
- アクセス拒否エラー: 保存先フォルダーへの書き込み権限を確認。管理者権限で操作するか、別のフォルダーへコピーする。
- JSON 構文エラーで読み込めない場合: バックアップ前に手動編集していた場合は、JSON 検証ツールで構文を確認する。
- 同期が有効で設定が上書きされる場合: 同期をオフにしてから復元する。
受け入れ基準
- 復元後に Windows Terminal を起動したとき、以前の配色・フォント・プロファイルが元通りになっていること。
- エラーメッセージが発生しないこと(アクセス権や JSON エラーなど)。
- 復元操作はドキュメント化され、少なくとも 1 回は復元テストを実行していること。
テストケースと検証手順
- バックアップ作成テスト
- 手順: settings.json をバックアップ先にコピーする。
- 期待結果: バックアップ先に存在し、直前のタイムスタンプが保存されている。
- 復元テスト
- 手順: settings.json を元の場所に置換し、Windows Terminal を再起動する。
- 期待結果: 設定が正しく反映され、エラーが出ない。
- 同期競合テスト
- 手順: 同期を有効にした状態でローカルファイルを復元する。
- 期待結果: 同期の優先度を確認し、望まない上書きを防げること。
役割別チェックリスト
- 開発者
- settings.json をバージョン管理に直接入れない(個人情報やマシン依存の設定回避)。
- 必要ならローカルで diff を取り、プロファイルの差分のみを共有する。
- システム管理者
- 管理対象マシンに対して復元手順をドキュメント化。
- 定期バックアップを PowerShell スクリプトで自動化して運用する。
- 一般ユーザー
- バックアップファイルをクラウドに保管しておくと移行が容易。
- 重要なカスタムテーマや拡張は別ファイルで保存。
プレイブック(SOP) — 端末移行時の手順
- 現行マシンで Windows Terminal を終了する。
- ファイルエクスプローラーまたはコマンドプロンプトで settings.json をバックアップ。
- バックアップファイルを外付けドライブまたはクラウドへ保存。
- 新しいマシンで Windows Terminal をインストールし、最初に起動して初期設定を完了する。
- settings.json を復元して Windows Terminal を再起動する。
- 差分がある場合は手動でマージし、動作を確認する。
小さな技(チートシート)
- バックアップ元パス:
%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json
- コマンドプロンプトでのコピー (バックアップ):
copy /y /v "%LocalAppData%\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json" "C:\Backups"
- PowerShell での自動バックアップ例:
$src = "$env:LocalAppData\Packages\Microsoft.WindowsTerminal_8wekyb3d8bbwe\LocalState\settings.json"
$dst = "C:\Backups\WindowsTerminal\settings_$(Get-Date -Format yyyyMMdd_HHmmss).json"
Copy-Item -Path $src -Destination $dst -Force
判断のためのメンタルモデル
- 設定 = 状態(state): settings.json は UI の状態を定義する“状態ファイル”と考える。状態を保存(バックアップ)→復元(状態を復帰)というモデルで管理すれば、障害発生時の対応がシンプルになる。
互換性と移行時の注意点
- 大きなメジャーアップデートや別ビルド間で設定キー名が変更されることがあるため、復元後に一部設定が無効化される可能性があります。復元後は表示・機能を目視で確認してください。
- 同期機能を有効にしている場合、クラウド側の設定がローカルを上書きすることがあります。復元前に同期の状態を確認してください。
セキュリティとプライバシーの注意
- settings.json にパスやコマンドが含まれている場合、機密情報が含まれる可能性があります。共有やクラウド保存時には内容を確認し、不要な情報は削除してください。
よくある質問
settings.json を編集してカスタムテーマを入れたいが、安全な編集手順は?
編集前に必ずバックアップを取り、JSON 検証ツール(オンラインまたはエディタの拡張機能)で構文チェックを行ってから適用してください。
複数のマシンで同じ設定を使いたい場合の最良の方法は?
同期機能が利用可能ならそれが最も簡単です。企業ポリシーやセキュリティ要件で使えない場合は、バックアップファイルを安全なクラウドストレージに保存し、必要時に復元してください。
まとめ
- settings.json のバックアップは最短でファイルコピーだけで済みますが、PowerShell スクリプト化や同期機能の活用で運用効率が上がります。
- 復元後は必ず Windows Terminal を再起動して設定が適用されているか確認してください。
- 役割別チェックリストやプレイブックを用意しておくと、移行や障害対応が安定します。
FAQ:
- バックアップは定期的に行い、重要な設定は複数世代で保存することを推奨します。