ゲーム概要と接続問題の種類
Dead by Daylight は非対称マルチプレイヤーのサバイバルホラーです。プレイヤーはキラーかサバイバーを選び、キラーはサバイバーを脱出させないことが目的です。人気の殺人鬼キャラクターは映画やホラー作品から着想を得ています。
オンライン対戦を楽しむ上で、以下のようなネット接続の問題がよく起こります。
- Dead by Daylight がオンラインサービスに接続できない
- ネットワーク接続が見えない(ゲーム内で「接続なし」になる)
- ホストから切断される、試合中に突然同期ずれ(デシンク)が発生する
- 高い ping(遅延)やパケットロス、ラグジャター(揺らぎ)
重要: パケットロスと高遅延は別物です。パケットロスはデータパケットが目的地に到達しない現象で、これが原因で再送が発生すると遅延が増えます。ただし、遅延は回線混雑や経路上の距離、無線の問題でも発生します。
パケットロスを検出する方法
まず確認すべきはサーバー側が稼働しているかどうかです。Downdetector などの稼働状況確認サイトで Dead by Daylight のサービス状況を調べてください。サーバーがダウンしている場合はプレイヤー側でできることは限られます。
サーバーが稼働している場合は、次の手順で経路上のどこでパケットが失われているかを特定します。
- ゲームを起動し、試合中に問題が出る状態にする。
- ローカルでパケットキャプチャ(Wireshark など)またはコマンドラインツールで接続先の IP を確認します。Windows では以下のコマンドで現在のソケット情報を確認できます。
netstat -n
- サーバーの IP アドレスが分かったら、経路追跡とパケット損失検査に pathping を使います(Windows)。
pathping x.x.x.x
- 出力の各ノード(ルーターや中継点)を確認し、パケットロス率が高いノードを特定します。ローカル側(1~2 ホップ目)に高い損失があれば回線・機器が原因。中間ノードで発生していれば ISP や中継回線が原因の可能性があります。
補足: P2P(ピアツーピア)から専用サーバーへと移行したタイトルは、専用サーバー側での混雑が明確に影響する場合があります。専用サーバーが混雑していると、プレイヤー側でいくら最適化しても改善が難しいことがあります。
対処法の概要
以下は一般的な優先度順の対処リストです。まずはサーバー稼働確認、次にローカル機器の切り分け、最後に経路(ISP)や VPN を検討します。
1) VPN を試す(ISP が原因のときに有効)
手順(例として Private Internet Access を紹介します):
- Private Internet Access をダウンロードする。
- PC にインストールする。
- アプリを起動する。
- アカウントでログインする。
- レイテンシーの低いサーバーを選ぶ(近場かゲーム最適化サーバー)。
- Dead by Daylight を起動して動作を確認する。
理由: VPN はトラフィックを別経路へ迂回させるため、ISP 側の帯域制限や特定経路でのパケットロスを回避できることがあります。ただし、以下の場合は VPN を使っても逆効果になります。
- あなたのローカル回線(ルーターやケーブル、ネットワークカード)に問題がある場合
- ゲームサーバー自体が不安定または混雑している場合
価格表示の例(記事掲載時の情報): $2.85/月などのプロモーション表記がある場合があります。契約前に公式サイトで最新料金を確認してください。
重要: VPN は万能ではありません。VPN 接続は暗号化によってオーバーヘッドが増えるため、状況によっては遅延が悪化する可能性もあります。
2) 手動トラブルシューティング(プレイヤーがすぐできる項目)
- ゲームサーバーが稼働中か確認する
- Wi-Fi ではなく有線 LAN(Ethernet)で接続する。無線はパケットロスが発生しやすい
- PC をルーター経由ではなくモデムや壁の配線に直接接続して確認する(ルーターをバイパス)
- ルーターとモデムを再起動する
- ケーブル、LAN ポート、ネットワークカードなど物理的な不良をチェックし、必要なら交換する
- ネットワークドライバーを最新に更新する
- ルーターのファームウェアを最新化する
- ISP に連絡して回線検査を依頼する
- Dead by Daylight のサポートに報告する(サーバー側の問題であれば運営側で対応が必要)
- ピーク時間(夜間など)を避ける
メモ: カテゴリの古いケーブル(例: Cat5)を Cat6 に変えるだけで品質が改善するケースがあります。物理層の改善は意外と効果が大きいです。
役割別チェックリスト
プレイヤー向け(迅速に試す)
- 有線接続でプレイする
- ルーター再起動と PC 再起動
- pathping で経路確認
- Wireshark で極端なパケット損失や頻繁な再送を確認
- VPN を短時間試して改善するか確認
ネットワーク管理者/上級ユーザー向け
- ルーターの QoS 設定を確認(ゲームトラフィックの優先度)
- MTU 設定とフラグメントの確認
- スイッチやルーターのログでエラーや CRC エラーを確認
- 代替経路でのスループットテスト
ISP 向け(ユーザーが伝えるべき情報)
- 発生日時、頻度、影響を受けるサーバー IP
- pathping の結果(問題のあるホップと損失率)
- ローカル診断で実施済みの項目(再起動、ケーブル交換など)
プレイ改善のための SOP(手順書)
- まず Downdetector などでサーバー稼働確認
- 家庭内の簡易チェック(有線接続、再起動、接続機器チェック)
- pathping 実行で問題のホップを特定
- ローカル側ホップが悪ければ機器交換・設定変更
- 中間経路で悪ければ ISP にエスカレーション
- ISP 対応が遅い/明確な解決が見えない場合に VPN を試す
- 改善がない場合は Dead by Daylight サポートに詳細レポートを提出
意思決定フローチャート
flowchart TD
A[ゲームが接続できない/ラグがある] --> B{サーバー稼働確認}
B -- ダウン --> C[待機または運営の対応を待つ]
B -- 正常 --> D[ローカル診断]
D --> E{有線接続か}
E -- いいえ --> F[有線で再テスト]
E -- はい --> G[pathping 実行]
G --> H{問題ホップはローカルか?}
H -- ローカル --> I[機器交換/ドライバー更新]
H -- 中間/ISP --> J[ISPに問い合わせ]
J --> K{ISP が解決しない}
K -- はい --> L[短期間VPNで改善を試す]
K -- いいえ --> M[問題解決]
例外と失敗するケース(カウンター例)
- ゲームサーバーそのものが過負荷で、同一 ISP すべてのユーザーに影響が出ている場合。プレイヤー側での対処は限定的。
- 極端に古い家庭内配線や物理的損傷がある場合。VPN では改善しない。
- VPN 経由でも遠回りになる経路しかない場合、遅延は悪化する。
セキュリティとプライバシー上の注意
- 商用 VPN を使用する際は、信頼できるプロバイダを選び、ログポリシーと利用規約を確認してください。ゲームプレイ中のトラフィックをプロバイダがどの程度記録するかはサービスによって異なります。
- 公共 Wi‑Fi でプレイする場合は、暗号化されていないトラフィックが盗聴されるリスクがあります。重要なアカウント情報は共有しないでください。
よくある質問
パケットロスと高 ping、どちらが先に疑うべきですか?
パケットロスはまず pathping で確認してください。パケットロスがなければ遅延の原因は距離や回線混雑、無線の品質など他にあります。
VPN は常に推奨されますか?
いいえ。ISP 側の問題であると分かっている場合に有効です。ローカル機器やゲームサーバーが原因なら逆効果のこともあります。
自分で交換すべき機器は何ですか?
LAN ケーブル、ルーター、スイッチ、ネットワークカードあたりを順に確認してください。物理層の問題は意外と多いです。
まとめ
- 最初にサーバー稼働を確認する。運営側が落ちているならこちらでできることは限られる。
- pathping などで経路上のパケットロスを特定し、ローカル側か中間ノードかを切り分ける。
- ローカルが原因なら有線化、機器交換、ドライバー更新、ケーブル交換で改善することが多い。
- ISP 側が問題なら VPN が有効なケースがあるが、万能ではない。
- 重要情報はすべて記録して ISP やゲーム運営に正確に伝える。
重要: まずは簡単なチェック(再起動、有線化、pathping)を試してから、より高度な手順に進んでください。
参考:チェックリストとテンプレート
プレイヤーが ISP に連絡する際のテンプレート(コピーして使える短いフォーム):
- 発生日・時刻: YYYY-MM-DD HH:MM
- 問題の内容: 接続切断 / 高遅延 / パケットロス(具体的に)
- pathping 結果のスクリーンショットまたはテキスト(問題ホップと損失率)
- 試した対処: ルーター再起動、有線接続、ケーブル交換、VPN テスト など