概要
Blazing Chrome はローカル協力プレイを備えた高速アクションゲームです。多くのプレイヤーが「楽しいが一部のバグで体験が阻害される」と報告しており、代表的な問題は以下です:ゲームクリア後のアンロックが反映されない、Proton / Linux 環境での Win32 関連エラー、Windows で起動しない・白画面、V-Sync 有効時の著しいスローダウン。
この記事は、初心者プレイヤーでも順を追って検証・修正できるように作成しています。用語は短く定義します:
- Proton: Linux 用の互換レイヤー。Steam Play 機能の一部。
- Vulkan 32bit ドライバ: Linux で 32bit lib を提供するグラフィックドライバ。
目次
- 頻出問題と個別対策
- ゲームクリア後のアンロックが反映されない
- Win32 function failed (HRESULT: 0x80004005) - Proton 環境
- Windows で起動しない・白画面
- V-Sync 有効時のスローダウン
- 汎用トラブルシュート手順(ミニ方法論)
- 役割別チェックリスト(プレイヤー / 管理者 / 開発者向け)
- 判定フローチャート(Mermaid)
- 受け入れ基準(クリア条件)
- よくある質問(FAQ)
- 要点まとめ
頻出問題と個別対策
1) ゲームクリア後の hardcore / キャラクター解除が反映されない
症状: ゲームをクリアした際に「hardcore」「mirror」「boss rush」「新キャラクター」などのアンロック通知は表示されるが、新しいゲームを開始するとそれらが見つからない。
原因(想定): ローカルのアンロック保存処理が正しく完了していない、または Steam のオーバーレイ API を経由した処理が期待どおりに動作していない。報告では Steam オーバーレイを有効にすることで対処できた事例が多い。
対処手順:
- Steam を起動して、右上の “Steam” メニューから「設定」を開きます。
- 左ペインで「ゲーム中」を選び、「ゲーム中に Steam オーバーレイを有効にする」にチェックを入れます。
- Blazing Chrome を右クリック → 「プロパティ」→「一般」→「起動オプション」を空に戻す(特別なオプションがあれば一旦削除)してから再起動して試す。
- オーバーレイ有効化後にもう一度ゲームをクリアし、アンロックが反映されるか確認します。
注意: 開発者は次回パッチでこの問題を修正予定としていますが、現時点ではオーバーレイが回避策です。
代替手段/もし失敗したら:
- Steam のゲームファイル整合性チェックを実行
- セーブデータ(ローカル保存)をバックアップしてからゲーム再インストール
- Cloud セーブが有効なら、同期状態を確認
2) Win32 function failed: HRESULT: 0x80004005 (Linux + Proton)
症状: Proton 上で起動しようとすると次のようなエラーメッセージが出る。
Win32 function failed: HRESULT: 0x80004005 Call: at line 266 in file Graphics_DisplayM.cpp
原因(想定): グラフィック API の互換性問題。ゲームは Direct3D の期待する動作を前提としており、Proton での翻訳層(Direct3D→Vulkan 等)に 32bit の Vulkan ドライバが無い、またはドライバの機能差により失敗することがある。
推奨対処:
- 32bit Vulkan ランタイム / ドライバをインストールします(ディストリビューションに応じてパッケージ名は変わります)。例(Ubuntu 系):
sudo apt update
sudo apt install libvulkan1:i386 mesa-vulkan-drivers:i386
- Steam の Blazing Chrome の起動オプションに以下を追加して Proton が WINE 上で D3D11 を使うよう強制します:
PROTON_USE_WINED3D11=1 %command%
- Proton バージョンを切り替えてテスト(Steam のプロパティ→互換性→別の Proton バージョンを選択)
- Proton トラブルシュートのログを有効化し、~/.steam/steam/steamapps/compatdata/
/pfx/ などの Wine プレフィックスログを確認する。
注意: 上のコマンドやパッケージ名はディストリビューションによって異なります。パッケージマネージャの正確な名前は各 distro のドキュメントを参照してください。
3) Windows でゲームが起動しない/中央に白いフィールドだけ表示される
症状: ゲーム起動時に何も起こらず、画面中央に白い四角が現れるのみ。
原因(想定): DirectX 機能レベルや GPU ドライバ、またはセキュリティソフトによるブロックが原因でレンダリングが正常に初期化されない。
対処手順:
- DirectX 11(Windows 10 では通常プリインストールされている)が有効か確認。Windows Update を適用して最新の DirectX コンポーネントを確保します。
- GPU ドライバをメーカー(NVIDIA/AMD/Intel)公式サイトから最新の安定版へ更新します。
- 一時的にウイルス対策ソフト(アンチウイルス)を無効化または Blazing Chrome の実行ファイルを例外に追加して試す。
- 管理者権限で Steam とゲームを実行する(右クリック→『管理者として実行』)。
- Steam の “プロパティ” で “互換性” を確認し、互換モード設定が無効になっているか確認。
- ファイル整合性チェックを実行(Steam でゲーム→プロパティ→ローカルファイル→『ゲームファイルの整合性を確認』)。
代替手段/もし失敗したら:
- 一時的にウィンドウモードやボーダーレスウィンドウモードで起動してみる
- 古いセーブが破損していないか確認(セーブバックアップを取り、新規セーブで試す)
4) V-Sync 有効時の大幅なスローダウン
症状: V-Sync(垂直同期)を有効にすると極端にフレームレートが下がり、プレイ不能に近くなる。ウィンドウモードでは問題が発生しないことが多い。
原因(想定): フルスクリーン専用のレンダリングパスや GPU ドライバの V-Sync 実装に差分があり、ゲーム側とドライバ側の同期で不整合が起きる場合がある。また、V-Sync が 30FPS にロックされるような省電力設定が影響することもある。
対処手順:
- ゲーム内設定で V-Sync をオフにする。
- フルスクリーンではなくボーダーレスウィンドウ(フルスクリーンと見た目は同じだがレンダリングモードが異なる)でプレイする。
- GPU のコントロールパネル(NVIDIA Control Panel / AMD Radeon Settings)で V-Sync の設定を確認し、アプリケーション側設定を優先するように設定する。
- ゲームの最大フレームレート(FPS)を手動で設定できる場合は、ディスプレイのリフレッシュレートに合わせる(例:60Hz→60FPS)か、軽量のフレームキャッピングを導入する。
代替手段:
- Adaptive V-Sync や Fast Sync(NVIDIA)などのドライバ機能を試す
- V-Sync を使わずに軽微なティアリングを我慢する
ミニ方法論: 不具合を自力で診断・修正する5ステップ
- 再現性の確認 — 何度も発生するか、特定操作で必ず出るかを確認する。
- 環境の切り分け — 他のゲームやウィンドウモードで問題が起きるかを確認する。
- ログ収集 — Steam のログ、Proton/Wine ログ、Windows イベントログを取得する。
- 既知の回避策を試す — オーバーレイ、ドライバ更新、起動オプションなど。
- 報告とエスカレーション — 再現手順・ログ・環境情報(OS・GPU・ドライババージョン)を添えてサポートやフォーラムへ報告する。
重要: ログやスクリーンショットはサポートに共有する際非常に有用です。再現手順をコピペで残しておきましょう。
役割別チェックリスト
プレイヤー(一般):
- Steam オーバーレイを有効にする
- GPU ドライバと DirectX を更新する
- ウイルス対策を一時的に無効化して試す
- Steam のファイル整合性を確認する
- 起動オプションに PROTON_USE_WINED3D11 を設定(Linux)
サーバー/コミュニティ管理者:
- ユーザー報告をテンプレ化(OS/GPU/ドライバ/再現手順)
- よくある対処を FAQ にまとめて共有
- パッチ公開時に影響範囲をテストする簡易チェックリストを用意
開発者(推奨手順):
- アンロック処理の保存フローに telemetry を追加して失敗ログを取得
- Proton/Proton-GE など複数互換レイヤーで自動化テストを走らせる
- V-Sync 周りのフルスクリーンとウィンドウフルスクリーンでレンダリング経路を分けて検証
判定フローチャート
flowchart TD
A[ゲームが起動するか?] -->|はい| B[アンロックが反映されるか?]
A -->|いいえ| C[白画面かエラーメッセージか?]
C -->|白画面| D[ドライバ更新・DirectX再確認・AV一時停止]
C -->|エラー'HRESULT'| E[32bit Vulkan と PROTON_USE_WINED3D11 を試す]
B -->|いいえ| F[Steam オーバーレイを有効化して再試行]
B -->|はい| G[問題なし]
D --> G
E --> G
F --> G
受け入れ基準(解決と見なす条件)
- ゲームが安定して起動し、メニューやステージが正しく表示されること
- クリア後にアップデート/アンロックが次回プレイ時に反映されること
- V-Sync を無効化せずともプレイ可能な FPS が得られること(または代替手段で映像品質が保たれること)
- Proton 環境で起動する場合は、エラー HRESULT が発生しないこと
よくある質問(FAQ)
Q1: Steam オーバーレイはどこで有効にしますか?
A1: Steam アプリの左上「Steam」→「設定」→「ゲーム中」で「ゲーム中に Steam オーバーレイを有効にする」をチェックします。ゲーム単位でもプロパティからオーバーレイの切り替えが可能です。
Q2: PROTON_USE_WINED3D11=1 をどこに設定しますか?
A2: Steam ライブラリで Blazing Chrome を右クリック → プロパティ → 一般 → 起動オプション に次の文字列を入れてください(Linux 環境):
PROTON_USE_WINED3D11=1 %command%
Q3: 32bit Vulkan ドライバのインストール方法は?
A3: ディストリビューションによりますが、Ubuntu 系なら libvulkan1:i386 や mesa-vulkan-drivers:i386 を導入する必要があります。パッケージ名は各ディストリビューションのパッケージリストを確認してください。
Q4: セーブデータが消える心配はありますか?
A4: 大抵の場合、セーブデータは別問題です。ただし回避策を試す前にセーブファイルのバックアップ(Steam Cloud を利用している場合は同期状態の確認)を推奨します。
追加のベストプラクティスとトラブルケース
- 常に GPU ドライバはメーカー公式の安定リリースを使用する。ベータは問題を引き起こす可能性あり。
- マルチプレイヤー協力プレイ中に同期問題が発生する場合は、ホストの環境(オーバーレイ・セーブ状態・モッド)を疑う。
- Proton 環境では、公式 Proton と Community-built Proton-GE の双方を試して結果を比較する。
要点まとめ
- まずは Steam オーバーレイと GPU/DirectX の更新を試す。
- Linux(Proton) 環境では 32bit Vulkan ドライバと PROTON_USE_WINED3D11 の導入が有効なことが多い。
- V-Sync のスローダウンはウィンドウモードやボーダーレスで回避可能。
- 問題が解決しない場合はログを集め、再現手順を添えてサポートに報告する。
関連記事(参考):
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記事作成後のアクション(短いプレイブック):
- 再現手順とスクリーンショットを取得
- Steam の整合性チェック実行
- ドライバ・DirectX を更新
- Linux なら 32bit Vulkan と PROTON_USE_WINED3D11 を試す
- 結果をフォーラムまたはサポートに共有