Appleは2017年に古いiPhoneを意図的に減速させた問題で米国の集団訴訟と和解し、対象者に1人あたり約25ドルを支払う手続きを行っています。対象機種と条件を確認し、期限内にオンラインでシリアル番号を提出して請求する必要があります。請求の締切や除外の選択肢、最終審理の流れもこの記事で分かりやすく整理します。
概要
2017年、Appleは古いiPhoneが突然シャットダウンする事象を防ぐ目的で、iOSの更新により一部機種の処理速度を抑える措置を講じたことを認めました。しかし多くの利用者に対して事前の通知が無かったため、米国で集団訴訟が提起されました。和解案に基づき、対象となるiPhone所有者は申請により現金支払いを受けられる可能性があります。
重要な日程と数字は次の通りです。
- 支払額目安:1人あたり約25ドル(承認請求数により増減)
- 和解総額:最低3億1000万ドル、最大5億ドル(法律費用含む)
- 請求締切:2020年10月6日(当初の和解時点)
- 最終審理予定:2020年12月4日(裁判所が公平性を審査)
対象者は誰か
和解のクラス対象は次の条件をすべて満たす米国の現・元iPhone所有者です。
- 対象機種:iPhone 6、6 Plus、6s、6s Plus、7、7 Plus、あるいはSE
- 条件となるiOSバージョン:iOS 10.2.1以降を2017年12月21日以前に実行していた端末
- ただしiPhone 7/7 PlusはiOS 11.2以降を2017年12月21日以前に実行していたものも対象
- さらに端末で「性能低下(diminished performance)」を経験していること
端末の所有履歴やOSの適用時期が争点になる場合があります。自分が対象かどうか不明な場合は請求サイトの検索ツールを使って確認してください。
支払いの内訳と法律費用
和解金の総額は承認された請求数に応じて1人あたりの配分が変動します。和解には弁護士費用や手続きに関する費用が含まれ、報道では約9300万ドルが弁護側へ支払われる見込みでした。個人が受け取る金額は固定ではなく、最終的な承認後に算定されます。
申請手順(ステップバイステップ)
- 指定された和解サイトへアクセスする(サイト名は裁判所が指定した “In re Apple Inc. Device Performance Litigation” のページ)
- 自分が和解クラスの対象か確認する
- 請求する端末のシリアル番号を入力する
- シリアル番号が分からない場合は、Apple ID、氏名、住所を使う検索ツールで特定できる
- 所要情報を入力してオンラインで請求を提出する
- 必要に応じて郵送での請求を行う場合は期限内に到着するよう発送する
すべての請求はオンライン提出または郵送による受領が2020年10月6日までに行われなければなりません。期限を過ぎると請求は却下され、受領権利を放棄したと見なされます。
flowchart TD
A[対象か確認] --> B[シリアル番号を準備]
B --> C{申請方法を選択}
C -->|オンライン| D[フォームに入力して提出]
C -->|郵送| E[指定住所へ書類を発送]
D --> F[審査と承認]
E --> F
F --> G[支払い受領]
最終審理とその後の流れ
裁判所は2020年12月4日に和解の公平性、合理性、十分性を審査する最終審理を予定しました。異議申し立てや上訴がなければ、判事が和解を承認し、支払い手続きが開始されます。上訴がある場合は支払い遅延や条件変更の可能性があります。
背景:なぜiPhoneは減速されたのか
Appleは古いiPhoneの突然のシャットダウンを防ぐため、iOS 10.2.1や11.2などのアップデートで処理速度を制御していたと説明しました。目的は端末寿命の延長と突発的な電源オフの回避でしたが、ユーザーに対する事前の通知がなかったことが批判を招きました。Appleは通知不足を詫び、2018年末までバッテリー交換費用を一時的に50ドル値下げして対応しました。
除外と別の選択肢
和解クラスから自分を除外(オプトアウト)すると、和解金の支払いを受け取れませんが、将来同様の問題でAppleを個別に訴える権利は保持されます。除外の選択はリスクと利益を比較して決めてください。集団和解に残る場合は手続きが簡素である一方、個別訴訟では成功時により大きな回収が見込める可能性がありますが、時間と費用がかかります。
重要な注意点
- 期限厳守:郵送の場合は到着日が重要です。余裕を持って提出してください
- シリアル番号の扱い:サイトでの検索にApple IDなどの個人情報を使う際は、公式サイトであることを確認する
- 支払い額は固定ではない:承認済み請求の総数によって1人あたりの金額が変動します
役割別チェックリスト
被害者/所有者
- 対象機種・期間を確認する
- シリアル番号を用意するか検索ツールで特定する
- 請求をオンラインまたは郵送で期限内に提出する
- 除外するか和解に残るか判断する
弁護士/代理人
- クラスメンバーの特定と証拠収集を行う
- 個別訴訟との比較検討を行う
Apple側
- 和解条件に基づいた支払い手続きを進める
- 対象者への通知と手続きの透明性を確保する
事実ボックス
- 対象OS更新:iOS 10.2.1、11.2
- 対象機種:iPhone 6以降(SE含む)
- 和解総額の下限:310,000,000ドル
- 和解総額の上限:500,000,000ドル
- 申請締切:2020年10月6日
- 最終審理日:2020年12月4日
よくある質問
Q どのように自分が対象か確かめればよいか
A 指定された和解サイトでシリアル番号を入力するか、シリアル番号が不明な場合はApple ID、氏名、住所を使う検索ツールで確認してください。
Q 支払額は確定しているか
A 支払額は最終的に承認された請求数により決まるため、1人あたりの金額は変動します。報道では目安として約25ドルとされています。
Q 和解から除外したらどうなるか
A 除外すると和解金は受け取れなくなりますが、将来Appleに対して個別訴訟を起こす権利を保ちます。
Q 支払いはいつ届くか
A 和解が裁判所で承認され、上訴がなければその後に支払い手続きが始まります。上訴がある場合は遅延する可能性があります。
最後に(まとめとアクション)
この和解は、2017年に発覚したiPhoneの減速問題に対する消費者救済の一つです。対象者は指定サイトでシリアル番号を確認し、期限内に請求手続きを行ってください。除外する選択肢もありますが、個別訴訟の可能性や費用対効果を考慮して判断してください。
重要
和解手続きや支払いに関する詳細は裁判所が設けた公式サイトで必ず確認してください。不明点がある場合は消費者相談窓口や弁護士に相談することをお勧めします。
1行用語集
- シリアル番号:端末固有の識別番号