Windows 11:Suggested Actions(提案アクション)の有効化と無効化

Suggested Actionsとは何か
Suggested Actions(提案アクション)は、Windows 11専用の機能で、クリップボードにコピーした「日付」「時刻」「電話番号」を検出して適切な操作(カレンダーに予定を作成、通話アプリで発信など)を提案する小さなアクションバーを表示します。次の点を一行で定義すると:
- 定義: クリップボードの日時・電話番号に基づいてアプリや操作を提案する機能。
対応するアプリは、標準アプリ(カレンダーなど)やシステムにインストールされている通話アプリなどです。ほとんどのテキスト入力可能な環境(メモ帳、Gmail、Sticky Notes、ブラウザなど)で動作しますが、すべての形式やアプリで必ず表示されるわけではありません。
利点と制限
- 利点: 手動でアプリを探す手間を省き、日付の予定登録や電話発信が素早く行える。
- 制限: 日付・時刻・電話番号に限定。国や書式によって認識精度が変わる場合がある。サードパーティのクリップボード管理アプリと競合する可能性がある。
有効化・無効化の選び方(早見ガイド)
- 一般ユーザー: 設定メニューが最も安全で簡単。
- テスター/先行機能を試す人: ViVeToolでフラグを切り替え。
- 管理者やスクリプトで一括運用する場合: レジストリで直接設定。
有効化・無効化の方法
以下は、Windows 11でSuggested Actionsを有効化または無効化する、代表的な3つの方法です。どの方法でも変更後は再起動を推奨します。
1. 設定メニューを使う
設定メニューからの切り替えは最も推奨される方法です。
- 「設定」を開きます(スタートボタン→歯車アイコン、またはWin + I)。
- 左側のパネルで「システム」を選択します。
- 「クリップボード」をクリックします。
- 「Suggested Actions(提案アクション)」のトグルをオンにすると有効化、オフにすると無効化です。
変更後はシステムの再起動を行ってください。再起動しないと動作が反映されない場合があります。
2. ViVeToolを使う(開発/テスト向け)
ViVeToolはサードパーティのCLIツールで、Windowsの隠しフラグを切り替える用途に使われます。正式リリース前の機能を試す場合に使用することがあります。使用は自己責任で、企業環境ではITポリシーに従ってください。
手順概要:
- ブラウザでViVeToolの配布ページにアクセスしてダウンロードします。
- ZIPを解凍して実行ファイル(ViVeTool.exe)があるフォルダを開きます。
- エクスプローラーでViVeTool.exeを右クリックし、「パスのコピー」を選択します(またはファイルを配置したフォルダのパスを控える)。
- スタートメニューで「コマンドプロンプト」を検索し、「管理者として実行」を選びます。
- コマンドプロンプトで、先ほどのフォルダパスに移動またはフルパスを貼り付けます。
- 有効化する場合は次のコマンドを実行します(例):
ViVeTool.exe /enable /id:34592303
- 無効化する場合は次のコマンドを実行します:
ViVeTool.exe /disable /id:34592303
- 実行後、PCを再起動して変更を反映させます。
注意点:
- ViVeToolは公式のMicrosoftサポート対象外のツールです。企業のポリシーや社内規則に従って使用してください。
- ID番号は記事時点の実例です。将来的にIDが変更される可能性があります。
3. レジストリエディターを使う(上級者向け)
レジストリを編集すると、システム設定を直接変更できます。編集ミスはシステムに重大な影響を与えるため、必ず事前にバックアップを取ってください。
レジストリ編集の手順(要注意):
- 事前準備としてレジストリのバックアップを取ります。レジストリ エディターで「ファイル」→「エクスポート」を選び、全体を保存してください。
- Win + R を押して「regedit」と入力し、Enter。UACが出たら「はい」を選択します。
- 次のキーに移動します:
HKEY_CURRENT_USER\Software\Microsoft\Windows\CurrentVersion\SmartActionPlatform\SmartClipboard
- 右ペインの「Disabled」という値をダブルクリックします(存在しない場合はDWORD値として作成)。
- 値のデータを「0」にすると有効化、「1」にすると無効化です。
- 設定を保存してレジストリ エディターを閉じ、PCを再起動します。
バックアップ方法(簡単):
- レジストリエディターを開き、「ファイル」→「エクスポート」を選択。範囲を「すべて」にして .reg ファイルを保存します。問題があれば、その .reg を右クリックして「結合」して元に戻せます。
トラブルシューティング(よくある問題と対処)
アクションバーが表示されない
- 設定のトグルがオンになっているか確認する。
- 変更後に再起動しているか確認する。
- クリップボードにコピーしたテキストが「日付/時刻/電話番号」として認識される形式か確認する(地域の書式に依存することがある)。
- サードパーティのクリップボード管理アプリが動作を妨げている可能性がある。無効化して再試行する。
- システムの最新のWindows Updateを適用する。
ViVeToolで反映されない
- 管理者権限で実行しているか確認する。
- 正しいIDを使用しているか確認する。
- 開発チャネル/テストビルド特有のフラグである可能性があるため、全ユーザーでの動作を保証しない。
レジストリ編集で問題が発生した
- 保存しておいた .reg バックアップで復元する。
- システムが起動しないなど重大な問題が発生した場合は、Windowsの復元ポイントやインストールメディアを使って回復を試みる。
いつSuggested Actionsが向いていないか(反例)
- 機密情報をクリップボードに頻繁に置く運用(例: パスワードや顧客の個人情報)には向かない可能性がある。アクション表示により情報の一部が画面に出ることを懸念する場合は無効化する方が安全です。
- サードパーティの高度なクリップボード管理を必須とするワークフローでは挙動が変わる場合がある。
管理者とIT部門向けチェックリスト
- ポリシーの確認: ViVeToolやレジストリ変更が組織ポリシーに合致するか確認。
- テスト計画: 代表的なロケール(日本語、英語など)で日付/電話番号の認識テストを行う。
- ロールアウト手順: グループポリシーや構成マネージャーで管理する方法を用意する。
- 監査とログ: 変更後のユーザー報告を集めて想定外の問題を検知する。
意思決定フローチャート
flowchart TD
A[Suggested Actionsを使う予定?] -->|はい| B{用途は何か}
B -->|一般利用| C[設定メニューで有効化]
B -->|テスト/先行機能| D[ViVeToolでフラグを切替]
B -->|大量配布/スクリプト| E[レジストリで設定]
A -->|いいえ| F[無効化して運用]
まとめ
Suggested Actionsは小さな利便性を提供する機能ですが、利用環境やセキュリティポリシーに応じて有効化の可否を判断する必要があります。一般ユーザーは設定メニューで簡単に切り替えられ、上級者やIT管理者はViVeToolやレジストリによる直接操作で詳細制御が可能です。変更後は必ず再起動して挙動を確認してください。
重要: レジストリ編集やサードパーティツールの使用は自己責任です。企業環境ではIT管理者の指示に従ってください。