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Server 2008 R2でRemote Desktop Services(ターミナルサーバー)を構築する方法

2 min read システム管理 更新されました 01 Oct 2025
Server 2008 R2でRDS(ターミナルサーバー)を導入する手順
Server 2008 R2でRDS(ターミナルサーバー)を導入する手順

重要: 本シリーズはIT管理の基礎を学ぶ目的のもので、全環境に当てはまらない場合があります。

目的とこの記事で得られること

  • Server 2008 R2にRemote Desktop Services(RDS)を導入する手順を理解できます。
  • RDSで注意すべきライセンスや互換性のポイントが分かります。
  • RDS上でのアプリケーションインストール手順(インストールモード)とベストプラクティスを学べます。

重要用語(1行定義):

  • RDS: Remote Desktop Services、複数ユーザーが同一サーバーにRDPで接続するためのサーバーロール。
  • CAL: Client Access License、ユーザーまたはデバイス単位で必要なアクセスライセンス。

目次

  • RDSとは何か
  • 導入前の準備と注意点
  • Remote Desktop Servicesのインストール手順(詳細)
  • ライセンス設定と有効化の流れ
  • RDS上でのアプリケーションインストール方法
  • 運用チェックリスト(役割別)
  • よくある問題と対処(トラブルシューティング)
  • 受け入れ基準
  • まとめと推奨作業順序

RDSとは何か

Remote Desktop Services(RDS)は、複数ユーザーが同じ物理または仮想サーバーにRemote Desktop Protocol(RDP)で接続し、個別のセッションとデスクトップ環境を利用できるサーバーロールです。アプリはサーバー側に1回だけインストールすれば、接続した全ユーザーが実行できます。クライアントはWindowsのRemote Desktop ConnectionやThin Client、RDP互換クライアントから接続可能です。

利点: ハードウェアコストと管理コストの削減、アプリ配布の一元化、リモート作業の簡素化。

短所(失敗しやすいケース): GPUや高負荷アプリ、ライセンス未整備、アプリのライセンス条件がRDS利用を禁止している場合。


導入前の準備と注意点

重要なチェックポイント:

  • アプリケーションのライセンス互換性
    • 例: Officeはボリュームライセンスが必要な場合があります。RDS上で利用可能か必ずベンダーに確認してください。
  • クライアントアクセスライセンス(CAL)
    • Per UserまたはPer DeviceのCALが必要です。テストまたはトライアルなら「Configure Later」を選ぶと120日(4ヶ月)無制限で使用可能です。
  • ネットワークと帯域幅
    • RDSの外観をWindows 7風にする機能を有効にすると帯域消費が増えます。セッション数に応じたネットワーク計画を立ててください。
  • セキュリティ
    • NLA(Network Level Authentication)を有効にすると、NLA対応クライアントのみが接続できます。企業ポリシーに合わせて選択してください。

画像: リソースや手順に沿ったスクリーンショットは記事中で参照してください。


Remote Desktop Servicesのインストール手順(GUI)

  1. Server Managerを開き、Rolesを右クリックして「Add Roles」を選択します。

Server ManagerでRoles追加画面

  1. 「Before You Begin」画面でNextをクリックし、インストール可能なロール一覧からRemote Desktop Servicesを選択してNextを押します。

Roles一覧でRemote Desktop Servicesを選択

  1. 「Introduction To Remote Desktop Services」画面でNext、次にRole Servicesの選択画面で以下を選びます:
    • Remote Desktop Session Host(セッションホスト)
    • Remote Desktop Licensing(ライセンスサービス)
      その後Nextをクリックします。

Role Services選択画面

  1. アプリケーション互換性のページでは、セッションホストロールを導入してからアプリケーションをインストールするように案内されます。まだアプリをインストールしていないことを確認してNextを押します。NLAを有効にするかを聞かれます。NLAを有効化するとNLA対応クライアントのみが接続可能になるため、環境に応じて選択してください。

アプリ互換性とNLAの選択

  1. ライセンスの方法を選択します。すぐにCALを持っていない場合、「Configure Later」を選ぶとインストール後120日間は制限なく使えます。CALを持っている場合はPer UserまたはPer Deviceを選択します(既存のRDSライセンシングサーバーと同じモードである必要があります)。

ライセンシングの違い:

  • RDS Per User CAL: ユーザーにライセンスを紐付け。複数デバイスから接続するユーザー向け。
  • RDS Per Device CAL: デバイスにライセンスを紐付け。同じ端末を複数人が共有する環境で有効。

ライセンス選択画面

  1. 誰がRDSに接続できるかを指定します。テスト時は管理用アカウントだけ追加しておき、後でグループポリシーやADで整備するのがよいでしょう。

接続を許可するユーザーの追加

  1. 外観とユーザーエクスペリエンスの設定画面で、Windows 7のような近代的なテーマを有効にするか選択します。帯域やクライアント側性能を考慮して選んでください。

ユーザーエクスペリエンス設定

  1. Discovery Scopeの選択(Server 2008 R2では不要な場合が多い)を確認してNext、最後にInstallをクリックしてインストールを開始します。

インストール実行画面

  1. インストール完了後はサーバーを再起動してください。再起動後に構成が完了します。

ライセンス設定と有効化の流れ

  1. RD Licensing Manager(ライセンスマネージャ)でサーバーをアクティベートします。
  2. 購入したCALをライセンスサーバーにインストールします。
  3. RDS Session Host側で使用するライセンスサーバーを指定します。

RDS Session Host Configuration MMCを開き、Remote Desktop license serversのリンクをダブルクリックします。

RDS Session Host Configurationの開始画面

リンクを開いたら、ライセンシングモードを選択しAddボタンでライセンスサーバーを指定します。

ライセンスサーバー指定画面

ライセンスモード選択とサーバー追加

注意: 120日トライアル期間があるため、初期導入時はまず動作確認を行い、その後ライセンスを揃える運用が現実的です。


RDS上でのアプリケーションインストール方法(重要)

RDSにアプリケーションをインストールする際は、通常のデスクトップと同じ手順でインストールすると不整合やレジストリの問題が発生することがあります。RDSでは「インストールモード」でアプリを導入することが推奨されます。

手順(一般的):

  1. 管理者としてRDSサーバーにローカルログオンします(コンソールセッション推奨)。
  2. コマンドプロンプトを開き、次のコマンドでインストールモードに切り替えます:
change user /install
  1. アプリケーションのインストーラー(msiやセットアップ)を実行してインストールします。
  2. インストール完了後、必ず次のコマンドで実行モード(通常モード)に戻します:
change user /execute

ポイント: MSIベースのパッケージは特にインストールモードでの導入が推奨されます。複雑なアプリ(データベースとクライアントが分離されるもの、ドライバを必要とするもの、GPU依存のもの)はRDS向けでないことがあるため事前検証が必要です。

代替手段: アプリの仮想化(Microsoft App-V など)や、個別VDI(仮想デスクトップ)導入で互換性を確保する方法もあります。


運用チェックリスト(役割別)

管理者チェックリスト:

  • RDSロールとSession Hostの導入確認
  • ライセンスサーバーのアクティベーションとCALの割当状況確認
  • NLAやRDPポート(3389)へのアクセス制御(ファイアウォール、VPNの利用)
  • バックアップ対象(プロファイル、重要データ)の指定

ヘルプデスクチェックリスト:

  • ユーザーの接続権限確認
  • 接続問題発生時の再起動/セッション切断手順
  • よくあるエラーの一次対応フロー

セキュリティチェックリスト:

  • パッチ適用(OSとRDS関連)
  • ログ監査(セキュリティイベント、ログオン履歴)
  • 管理者アカウントの多要素認証導入

よくある問題と対処(トラブルシューティング)

問題: クライアントがNLAエラーで接続できない
対処: クライアント側がNLAに対応しているか確認。古い端末はRDPクライアントの更新が必要。必要に応じてNLAを一時無効化して接続確認を行う。

問題: アプリが複数ユーザーで正しく動作しない
対処: アプリのRDS対応をベンダーへ確認。可能ならインストールモードで再インストールし、プロファイル分離とパーミッションを確認する。

問題: ライセンス認証エラーやCALが認識されない
対処: RD Licensing Managerでサーバーがアクティベート済みか、適切なモード(Per User/Per Device)が選ばれているか確認する。RDSホストに指定したライセンスサーバーのFQDNが正しいか確認。


受け入れ基準(Критерии приёмкиに相当)

  • RDSロールがインストールされ、再起動後もRDS機能が稼働している。
  • 1つ以上のテストアカウントでRDP接続が成功し、個別セッションが提供される。
  • 試用期間(120日)を含め想定ユーザー数で負荷テストを行い、応答性が許容範囲内である。
  • 主要アプリケーションをインストールモードで導入し、複数ユーザーでの同時利用検証を完了している。

セキュリティとプライバシー上の注意点

  • RDPはインターネット直結ではなく、必ずVPNやリバースプロキシ、RD Gateway経由で公開してください。
  • ログイン試行の監視とロックアウトポリシーを設定してブルートフォース対策を行ってください。
  • 個人データを扱う場合はログ保管やアクセス権管理、必要に応じて暗号化キーの管理ポリシーを整備してください(GDPR等の規制が適用される場合は法令に準拠すること)。

導入後の運用フロー(ミニSOP)

  1. 初期導入: RDSロール導入 → 再起動 → ライセンスサーバー設定
  2. テスト: 管理者・代表ユーザーで接続テスト、アプリ動作確認
  3. 移行: ユーザーを段階的に切り替え、本番アクセスへ移行
  4. 監視: セッション数 / CPU / メモリ / ネットワークを監視
  5. 保守: 毎月のパッチ、四半期ごとのライセンス棚卸し

まとめ

  • RDSは複数ユーザーのリモート作業を効率化する強力な仕組みです。
  • 導入前にアプリケーションのライセンス互換性とネットワーク要件を必ず確認してください。
  • アプリは必ずインストールモードで導入し、ライセンス(CAL)を計画的に準備してください。

推奨作業順序: 1) 設計と要件確認 2) RDSロール導入と再起動 3) ライセンスサーバーの設定 4) インストールモードでアプリ導入 5) テストと移行


補足:参考スクリーンショット

画面キャプチャ: Server ManagerのRoles追加ウィザード。

画面キャプチャ: インストール可能なロール一覧でRemote Desktop Servicesを選ぶ画面。

画面キャプチャ: Remote Desktop Session HostとLicensingサービスを選択する箇所。

画面キャプチャ: アプリ互換性警告とNLAの有効化オプション。

画面キャプチャ: ライセンスモード選択(Configure Laterなど)。

画面キャプチャ: RDSに接続許可を付与するユーザーの追加画面。

画面キャプチャ: Windows 7風の外観を有効にする設定。

画面キャプチャ: インストール進行画面。

RD Licensing Managerの初期画面 画面キャプチャ: RD Licensing Managerの例。

画面キャプチャ: RDS Session Host Configuration MMCの開始画面。

画面キャプチャ: Remote Desktop license serversリンクを開いた状態。

画面キャプチャ: ライセンスモードを選択しサーバーを追加する画面。


要約: RDS導入は一見シンプルですが、ライセンスとアプリの互換性、ネットワーク設計、セキュリティを適切に計画することが成功の鍵です。

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