テクノロジーガイド

Firefox の Web Developer ツールの使い方

2 min read 開発ツール 更新されました 06 Oct 2025
Firefox 開発者ツールの使い方ガイド
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Quick Links

  • Page Inspector
  • HTML Inspector
  • CSS Inspector
  • JavaScript Scratchpad
  • Web Console
  • Get More Tools

Firefox の Web Developer メニューには、ページの検査、任意の JavaScript の実行、HTTP リクエストや各種メッセージの表示など、開発時に必要なツールがまとまっています。Firefox 10 で導入された新しい Inspector と更新された Scratchpad(構文ハイライト付き)は、より使いやすくなりました。

Firefox の組み込み開発者ツールは、Firebug や Web Developer Toolbar のような優れたアドオンと組み合わせることで、ウェブ開発に理想的な環境を提供します。すべてのツールは Firefox のメニュー内「Web Developer」から利用できます。


Page Inspector

要素を検査するには、対象の要素を右クリックして「Inspect」(またはキーボードで Q を押す)を選びます。Web Developer メニューから起動することも可能です。

Firefox の Web Developer ツールの概要画面

選択すると、画面下部にツールバーが表示されます。選択中の要素はハイライトされ、ページ上の他の要素は薄く表示されます。

要素検査を示すページインスペクタの画面

新しい要素を選びたい場合はツールバーの Inspect ボタンをクリックして、ページ上でホバーし、クリックしてください。Firefox はカーソル下の要素を強調表示します。

カーソル下の要素をハイライトするインスペクタ

ツールバーのパンくず(breadcrumbs)をクリックして、親要素や子要素へ移動できます。これにより DOM ツリーの構造を直感的にたどれます。

パンくずで親子要素を辿る様子

重要: Page Inspector は視覚的に問題を特定する最初の手段です。レイアウト崩れや透明化、重なり順(z-index)問題などはここでほぼ把握できます。

HTML Inspector

HTML ボタンをクリックすると、選択中の要素の HTML コードが表示されます。

現在選択中要素の HTML を表示するインスペクタ

HTML インスペクタではタグの展開・折りたたみができます。階層を視覚的に確認しやすく、構造の把握が速いです。ページ全体のソースを平坦なファイルで見たい場合は、Web Developer メニューから「View Page Source」を選んでください。

ページソースを表示する例

活用ヒント:

  • 動的に生成される要素は、インスペクタで確認することで実際の DOM 状態を把握できます(ページソースとは異なる場合があります)。
  • 属性(data- や aria-)の値を直接編集して振る舞いを試せます。

CSS Inspector

Style ボタンをクリックすると、選択要素に適用されている CSS ルールを確認できます。

選択要素に適用される CSS ルールを示す画面

Rules(ルール)と Properties(プロパティ)を切り替えられるパネルがあります。Properties パネルには検索ボックスがあり、特定のプロパティを素早く見つけられます。

CSS プロパティの検索を示す画面

Rules パネルからは CSS をその場で編集できます。チェックボックスを外してルールを無効化したり、テキストをクリックして値を変更したり、パネル上部から独自のルールを追加できます。例えば次のように font-weight を追加すると、要素の文字が太字になります。

ルールを追加して要素を太字にする例

実践テクニック:

  • レンダリングの問題を切り分けるときは、display、position、z-index、overflow などを一つずつ変更して影響を観察します。
  • 既存のルールに打ち消されている場合は、どのルールが優先されているか(特異性や later-on-page)を確認します。

JavaScript Scratchpad

Scratchpad(スクラッチパッド)は Firefox 10 で更新され、構文ハイライトが追加されました。現在のページで実行する JavaScript を入力できます。

Scratchpad に JavaScript を入力する画面

コードを書いたら、Execute メニューから Run を選びます。コードは現在のタブで実行されます。

Scratchpad の Execute メニューを示す画面

例: コンソールへメッセージを出す簡単なコード

window.console.log("Hello World");

注意: Scratchpad で実行したコードはページの実行コンテキスト内で動くため、変数や関数に影響を与えることがあります。必ず非破壊的な操作から始めてください。

Web Console

Web Console は旧 Error Console の代替で、古い Error Console は非推奨です。コンソールはネットワークリクエスト、CSS エラー、JavaScript エラー、開発者メッセージの 4 種類のメッセージを表示できます。各種メッセージは表示・非表示を切り替え可能です。

Web Console のメッセージタイプを示す画面

「Web developer messages」とは window.console オブジェクトに書き込まれるメッセージのことです。Scratchpad で次のように実行すると、コンソールにメッセージが表示されます。

window.console.log("Hello World");

コンソールに表示されたログの例

ページをリロードすると生成されるネットワークリクエストやその他のメッセージも確認できます。

ネットワークリクエストを表示したコンソール

検索ボックスを使ってメッセージをフィルタし、詳細を見たいリクエストをクリックして情報を展開できます。

リクエストの詳細を調べる様子

Page Inspector と連携して使うと強力です。インスペクタで選択中のオブジェクトはコンソールで $0 変数として参照できます。たとえば、選択した要素を隠したい場合は次のように実行します。

$0.style.display = "none";

コンソールとインスペクタを併用する例

詳しい組み込み関数や使い方は Mozilla の Developer Network(MDN)にある Web Console ページを参照してください。

Get More Tools

Get More Tools オプションは、Mozilla Add-Ons の Web Developer’s Toolbox コレクションへ移動します。Firebug や Web Developer Toolbar をはじめとした、開発者向けの優秀なアドオンがまとめられています。


もし数年前から Firefox を使っているなら、DOM Inspector を覚えているかもしれません。統合された開発者ツールはそこから大きく進化しました。

実務でのワークフロー(ミニ・メソドロジー)

  1. 問題の再現手順を再現してページをロードする。
  2. Page Inspector で対象要素を選択し、HTML 構造と CSS を確認する。
  3. CSS を一時的にオフ/編集して影響を確認する。
  4. ネットワークリクエストは Web Console で確認し、必要があれば再現ログを取得する。
  5. Scratchpad やコンソールで修正案を試し、動作を確かめる。
  6. 変更をソース(スタイルシートや JS)に反映し、再度テストする。

この手順は「問題の特定→切り分け→修正案の検証→恒久対策」というデバッグの基本に沿っています。

役割別チェックリスト

開発者:

  • 要素の CSS/HTML を編集して修正を試す。
  • コンソールでエラーとスタックトレースを確認する。
  • ネットワーク遅延や失敗を Web Console で確認し、API の応答を検証する。

QA:

  • 問題を再現するための最小手順を記録する。
  • コンソールのエラーログ(日時、エラー内容)を添えてバグレポートを作成する。
  • スタイルの回帰チェックを行い、複数の画面幅で検証する。

デザイナー:

  • レイアウトやフォント、カラーパレットをインスペクタで確認する。
  • 実際のブレークポイント(レスポンシブ)を確認して、意図したデザイン通りか検証する。

よく使うスニペット集(チートシート)

  • 選択中の要素を非表示にする
$0.style.display = "none";
  • console 出力
console.log("変数の中身:", someVar);
console.error("エラーの詳細:", err);
  • 要素のテキストを変更する
$0.textContent = "テスト用テキスト";
  • ネットワークリクエストの再現に便利なヘッダ確認(コンソールでクリックして開く)

代替アプローチと比較

  • 他ブラウザの DevTools(Chrome や Edge)と比べると、Firefox はアクセシビリティ確認や CSS Grid の視覚化、カラーマネジメントの点で優れています。
  • ただしチームで Chrome ベースの拡張機能に依存している場合は、作業の互換性を考え Chrome DevTools を併用することを検討してください。

いつこの方法が通用しないか(反例)

  • サーバ側で生成される HTML を直接修正したい場合、ブラウザ内の編集だけでは不十分です。サーバ側ソースに変更を入れてデプロイする必要があります。
  • サードパーティスクリプト(CDN 上で動作する一部のライブラリ)は、クライアント側の一時変更で完全に制御できない場合があります。

トラブルシューティングの簡易プレイブック

  1. コンソールのエラーメッセージを最初に読む。行番号やファイル名をメモする。
  2. Page Inspector で対象要素を選び、期待されるスタイルが適用されているか確認する。
  3. ネットワークタブでリソースが 200 で返っているか、CORS エラーがないか確認する。
  4. Scratchpad/コンソールで小さなコードを実行して、修正の当たりを付ける。
  5. 修正が確定したら、ソースに反映してビルドし、環境(ステージング)で再テストする。

重要: 変更を本番に反映する前に必ずソース管理(Git など)で差分をレビューし、ユニット/統合テストを通してください。

1行用語集

  • Page Inspector: ページ内の DOM とスタイルを視覚的に検査するツール。
  • Scratchpad: ブラウザ上で JavaScript をテスト実行できる簡易エディタ。
  • Web Console: ログ、エラー、ネットワーク情報を表示するコンソール。

セキュリティとプライバシーへの注意

  • Scratchpad やコンソールで実行するコードは、現在開いているページのコンテキストで動きます。信頼できないサイトでは実行しないでください。
  • コンソールログに API キーや個人情報を出力しないでください。ログは他者に見られる可能性があります。

まとめ

  • Firefox の Web Developer ツールは、DOM、CSS、JavaScript、ネットワークの各観点からデバッグを行える総合的なツール群です。
  • Page Inspector と Web Console の連携($0 など)は、要素の即時操作と検証をスムーズにします。
  • 実運用では再現 → 切り分け → テスト → 差分反映という工程を守ると安全で確実です。

注意: この記事はツールの一般的な使い方と実務向けのワークフローを説明するもので、詳細な API 仕様やバージョン固有の差異は MDN 等の公式ドキュメントを参照してください。

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