Windows 11でDISMコマンドを使ってシステムイメージを修復する方法

DISMとは(定義)
DISMは、Windowsのイメージ(システムファイルの集合)を点検・修復するためのMicrosoft公式ツールです。短く言うと「壊れたシステムコンポーネントを検出して置き換える」ためのコマンドラインユーティリティです。
目次
- DISMの基本
- システムイメージのチェック
- イメージのスキャン
- イメージの復元
- ローカルソースを使った修復
- トラブルシューティングと代替手段
- 管理者向けチェックリスト
- 一行用語集
- まとめ
DISMの基本
重要: 管理者権限のコマンドプロンプトで実行してください。修復処理はシステムファイルに関わるため、実行前に重要なデータはバックアップしておくことを推奨します。
各コマンドの目的(短く):
- CheckHealth — イメージに既知の破損があるかをすばやく確認。
- ScanHealth — より詳細に破損を検索。修復可能かどうかを検出。
- RestoreHealth — 見つかった破損を修復する。既定ではWindows Updateをソースに使う。
1. システムイメージのチェック
DISM /Online /Cleanup-Image /CheckHealth
- 役割: 既知の破損が存在するかを短時間で確認します。
- 影響: 変更は行いません。レポートのみ返します。
- 使いどころ: 最初の簡易確認。システムが不安定なときはまず実行。
2. イメージのスキャン
DISM /Online /Cleanup-Image /ScanHealth
- 役割: 深いスキャンで修復可能な破損を検出します。
- 所要時間: システム状態やディスク速度によって異なりますが、数分から数十分程度が一般的です。
- 使いどころ: CheckHealthで問題が示された、またはシステムに継続的な不具合がある場合。
3. イメージの復元
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth
- 役割: Windows Updateを既定のソースとして破損を修復します。
- ネットワーク: 通常はインターネット接続が必要です。
- 使いどころ: ScanHealthで修復可能な破損が検出されたとき。完了後、SFC(System File Checker)を併用すると効果的です。
4. ローカルソースを使った修復
ネットワークに接続できない環境や特定のイメージを使いたいときは、ローカルのインストールメディア(install.wim または install.esd)を指定します。
DISM /Online /Cleanup-Image /RestoreHealth /Source:D:\Sources\install.wim /LimitAccess
- /Source: に実際のドライブレターとパスを指定してください(例: D: を置き換えます)。
- /LimitAccess を付けると、DISMはWindows Updateへの問い合わせを行いません。
- install.wim の代わりに install.esd がある場合はそのパスを指定できます。
トラブルシューティングと代替手段
重要: DISMは万能ではありません。以下はよくあるケースと対処アイデアです。
- 実行が途中で止まる / エラーが出る
- ログ(C:\Windows\Logs\DISM\dism.log)を確認。ディスクのI/Oエラーやネットワーク接続の問題が原因の場合があります。
- ローカルソースを使って再試行。
- 修復後も問題が続く
- SFC(sfc /scannow)を実行してシステムファイル整合性を確認。
- CHKDSKでディスクの論理エラーを確認(chkdsk /f /r)。
- 特定のエラーコードが出た場合
- 公式ドキュメントやエラーメッセージを手がかりに個別対処。頻出のエラーにはネットワークや署名の問題があります。
代替アプローチ(用途別):
- 軽微なファイル破損:SFCを先に実行
- ディスク自体の問題:CHKDSK
- イメージの一貫性を確認したい管理者:DISM
失敗しやすい状況(当てはまるとき)
- インターネット接続が不安定でWindows Updateが利用できない。
- ソースのinstall.wimが対象のWindowsビルドと一致していない。
- 深刻なハードウェア故障(SSD/HDD)の場合、ソフトウェア修復では解決しない。
管理者向けミニ手順(方法論)
- 管理者権限でコマンドプロンプトを起動する。
- DISM /CheckHealth を実行して簡易チェック。
- 問題ありなら DISM /ScanHealth を実行。
- 修復が必要ならまず DISM /RestoreHealth を試す。
- ネットワークなしや失敗時はローカルの install.wim をソース指定して再試行。
- 修復後に sfc /scannow を実行してシステムファイル整合性を確認。
管理者別チェックリスト(役割別)
- 一般ユーザー
- 重要データをバックアップ
- IT担当に問い合わせる
- PC管理者
- 管理者権限で実行
- システムイメージのソース(install.wim)を準備
- DISMログを保存して報告
- サポートエンジニア
- DISMログとSFCログを解析
- 必要ならオンサイトでハードウェア診断を実施
事実ボックス(目安)
- CheckHealth: 数秒〜数分(変更なし)
- ScanHealth: 数分〜数十分(システム依存)
- RestoreHealth: 数分〜長時間(ネットワークと破損度合いによる)
よくある質問
なぜWindows 11でDISMを使うのですか?
システムが不安定、または繰り返すエラーがある場合、DISMは標準的なアプリの修正では直せないコアなシステムファイルを修復できます。他ツール(SFC、CHKDSK)と組み合わせて問題切り分けを行います。
インターネットがなくてもDISMを実行できますか?
はい。/Source:PATH_TO_WIM を指定して /LimitAccess を付ければ、ローカルのWIM/ESDから修復します。
DISMは個人ファイルを消しますか?
いいえ。DISMはシステムイメージのコンポーネントを対象にし、ユーザーデータは直接変更しません。しかし、万が一に備えて重要なファイルは必ずバックアップしてください。
DISMはどれくらい時間がかかりますか?
システムの状態、ディスク速度、ネットワーク状況によります。ScanHealthは数分、RestoreHealthは数分から数十分、場合によってはさらに長くかかることがあります。
一行用語集
- DISM: Windowsのイメージを点検・修復するコマンドラインツール。
- SFC: システムファイルチェッカー。システムファイルの整合性を確認・修復する。
- CHKDSK: ディスクの論理エラーを検査・修復するユーティリティ。
まとめ
DISMはWindows 11のシステムイメージ問題を検出・修復する強力なツールです。まずCheckHealthで確認し、必要ならScanHealth/RestoreHealthを順に実行してください。ネットワークが使えない環境ではローカルのinstall.wimやinstall.esdをソースにして修復できます。修復後はSFCを併用し、問題が続く場合はログを確認してハードウェア診断や更なるトラブルシューティングを行ってください。