テクノロジーガイド

iPhoneとMacでAirDropを使ってファイルをワイヤレス転送する方法

2 min read チュートリアル 更新されました 07 Oct 2025
iPhoneとMacでAirDropを使う手順とトラブル解決
iPhoneとMacでAirDropを使う手順とトラブル解決

AirDropを使えば、インターネットやケーブル不要でiPhoneとMac間で写真、書類、リンク、地図の場所などを高速かつ安全にワイヤレス転送できます。この記事ではAirDropの仕組み、両デバイスでの設定手順、送受信の方法、よくあるトラブルの解決策、代替手段、運用チェックリストやテスト項目まで包括的に解説します。

AirDropでファイルを共有する手順を示す図

AirDropはApple製品同士で近接無線通信を使い、ファイルを直接やり取りする機能です。インターネット経由や外部サーバーを経由せずにピアツーピアで通信します。暗号化にはTLSを使い、安全にデータを送受信できます。対応する機器同士であれば、写真、動画、書類、連絡先、ウェブのリンク、マップの位置情報などを瞬時に共有できます。

重要

AirDropはWi‑FiとBluetoothの組み合わせを使います。両方がオンになっており、デバイスが近距離にあることが基本条件です。

対象と目的

このガイドは次の人向けです。

  • iPhoneとMacで写真やファイルを簡単にやり取りしたい人
  • AirDropがうまく動作しないと感じている人
  • 管理者やフォトグラファーとしてワークフローを効率化したい人

定義

  • AirDrop: Appleのピアツーピアファイル共有機能。接続にWi‑FiとBluetoothを使用。暗号化はTLS。

目次

  • AirDropの概要と仕組み
  • iPhoneでの設定手順
  • Macでの設定手順
  • iPhoneからMacへ送る手順
  • MacからiPhoneへ送る手順
  • よくあるトラブルと解決策
  • 代替手段と使い分け
  • 運用チェックリストとSOP
  • テストケースと受け入れ基準
  • セキュリティとプライバシーの注意点
  • まとめ

AirDropの仕組みと互換性

AirDropは近距離無線でデバイス同士を検出し、TLSで暗号化した通信を確立したうえでデータを直接やりとりします。データはインターネットを経由しないため、ネット回線がない場所でも利用できます。

互換性の目安

  • 対応iPhone: iPhone 5以降、iOS 7以降が基本。ただし新機能は最新版OSで改善されることが多いので、最新のiOSを推奨します。
  • 対応Mac: 2012年以降のモデルでOS X Yosemite以降が基本。モデルによってAirDropの動作や検出範囲が異なることがあります。

重要な注記

一部の企業向けや古いMacモデルではAirDropがサポートされていない場合があります。事前にモデルとOSバージョンを確認してください。

iPhoneでAirDropを設定する手順

  1. コントロールセンターを開きます。端末がFace ID搭載機なら画面右上から下へスワイプし、ホームボタン搭載機なら画面下から上へスワイプします。
  2. WiFiとBluetoothがオンになっていることを確認します。WiFiとBluetoothのボタンが灰色でないことを確かめます。
  3. WiFiボタンを長押しあるいは強く押して拡張パネルを開きます。
  4. 拡張パネル内でAirDropのアイコンをタップします。

コントロールセンターからAirDropを有効にする画面

代替の設定方法

  • 設定アプリから「一般」または「一般管理」→「AirDrop」を開き、受信設定を行うこともできます。

受信オプションの説明

  • 受信しない: 他のデバイスからの送信を受け取らない
  • 連絡先のみ: 自分の連絡先に登録された人のみ受信可能
  • すべての人: 近くにいる全てのAppleデバイスから受信可能
  • すべての人を一時的に有効にする場合は時間制限を使うと安全です

AirDropの受信オプションを選ぶ画面

MacでAirDropを設定する手順

  1. 画面左上のAppleメニューからシステム設定またはシステム環境設定を開きます。
  2. WiFiをオンにします。WiFiメニューでネットワークに未接続でも構いませんが、WiFiが有効である必要があります。
  3. Bluetoothをオンにします。メニューバーのBluetoothアイコンから操作できます。
  4. Finderを開き、メニューバーの移動を選んでAirDropをクリックします。表示されない場合はハードウェア非対応の可能性があります。
  5. AirDropウィンドウの下部にある発見可能設定で「連絡先のみ」または「すべての人」を選びます。

MacでAirDropを有効にする手順を示す画面

iPhoneからMacへAirDropで送る方法

  1. iPhoneで共有したい写真や書類を開きます。
  2. 共有ボタンをタップします。共有シートが表示されます。

iPhoneの共有ボタンを示す画面

  1. 表示されたAirDropアイコンまたは受信可能なMacのアイコンをタップします。見えない場合はAirDropボタンをタップして探します。

iPhoneからMacへファイルを送信する画面

  1. 送信が始まり、Mac側に通知が表示されます。受信側で承認を求められる場合は承認してください。
  2. 受信後、ファイルは通常ダウンロードフォルダに保存されます。写真やビデオは自動で写真アプリに保存されます。

MacからiPhoneへAirDropで送る方法

  1. Finderや任意のアプリで共有したいファイルを選択します。
  2. ファイルを右クリックして共有メニューを開きます。

Macで共有メニューからAirDropを選ぶ画面

  1. 共有オプションからAirDropを選択し、送信先のiPhoneをクリックします。

MacからAirDropで送信する画面

  1. iPhone側で受信の承認を求められる場合は承認します。画像や動画は写真アプリ、書類はファイルアプリに保存されます。

よくある問題と基本チェックリスト

まずは以下を確認してください。

  • 両方のデバイスがAirDrop対応機種であること
  • 両方のデバイスでWiFiとBluetoothがオンになっていること
  • 両方のデバイスが近距離にあること(目安は10メートル以内)
  • 受信側のAirDrop設定が受信可能な状態になっていること

想定される問題例

  • コントロールセンターにAirDropが表示されない
  • iPhoneから送った写真をMacが受け取らない
  • 受信リストにiPhoneが現れない
  • 送信操作を行っても転送が始まらない
  • Macが検出されない
  • 音楽ファイルがAirDropできない

次節で具体的な解決手順を示します。

トラブルシューティング詳細

解決策 1: サードパーティツールの利用

説明

  • 一部のMacではFinderメニューにAirDropのショートカットが無い場合があります。iBoysoft MagicMenuのようなコンテキストメニュー拡張は、右クリックから直接AirDropを起動できるため、操作負荷を減らす助けになります。インストールと拡張の有効化を行えば、任意のファイルを右クリックしてAirDropで共有できます。

iBoysoft MagicMenuを使ってMacからAirDropする画面

注意

サードパーティツールを導入する際は、導入前にベンダーの信頼性とフォーラムの評価を確認してください。企業利用ではIT管理者の承認を得てください。

解決策 2: VPNとファイアウォールを一時的に無効にする

説明

  • VPNや厳格なファイアウォール設定がネットワークの発見や接続を阻害することがあります。トラブル時には一時的にVPNを切り、Macのファイアウォールをオフにして検証してください。

Macでの手順

  • システム設定からネットワークを選び、接続しているVPNを切断する
  • システム設定のセキュリティとプライバシーまたはネットワーク内のファイアウォール設定でファイアウォールをオフにする

解決策 3: WiFiとBluetoothの再起動

  • 両方のデバイスでWiFiとBluetoothを一度オフにしてから再度オンにします。多くの場合、接続再初期化で問題が解決します。

iPhoneの手順

  • 設定アプリでWiFiとBluetoothをオフにし、数秒後にオンに戻します

Macの手順

  • メニューバーのコントロールセンターからWiFiとBluetoothを切り替えます

解決策 4: 再起動とソフトウェア更新

  • 両方のデバイスを再起動し、最新のOSアップデートがある場合は適用します。古いバージョンのOSはバグや互換性の問題を引き起こすことがあります。

解決策 5: アカウントと連絡先の確認

  • 送受信で「連絡先のみ」を利用している場合、送信者のApple IDが受信者の連絡先に正しく登録されているかを確認してください。連絡先に登録しているメールアドレスや電話番号と、実際に使用しているApple IDが一致している必要があります。

代替手段と使い分けガイド

AirDropが使えない、あるいは大量ファイルの転送やネットワーク越えの共有が必要な場合の代替手段を紹介します。

  • iCloud写真: 写真やビデオの自動同期。容量課金が必要になる場合があります。
  • iCloud Drive: 書類共有に便利。共有リンクで他者とも共有可能。
  • メッセージまたはメール: 小さめのファイルやリンクを即時共有するのに有効。
  • ケーブル接続: 大量の写真や高容量ファイルの転送で安定して高速。
  • サードパーティクラウドサービス: Dropbox、Google Driveなど。プラットフォーム跨りで汎用的。

選択の目安

  • 近距離で素早く1つずつ送るならAirDrop
  • 継続的な同期やバックアップが欲しいならiCloud
  • クロスプラットフォームで共有したいならクラウドサービス
  • 大容量を短時間で確実に転送したいならUSBケーブル

運用チェックリストとSOP(標準作業手順)

短いSOP

  1. 送信前に両デバイスでWiFiとBluetoothをオンにする
  2. 受信側のAirDrop設定を確認する(連絡先のみかすべての人)
  3. 送信側で共有メニューからAirDropを選び、受信デバイスをタップする
  4. 受信側で承認が必要なら承認する
  5. 転送後に保存場所を確認し、必要なら整理する

フォトグラファー向けチェックリスト

  • RAWや高解像度画像はケーブル転送を優先するか、事前に圧縮を検討する
  • 複数枚を一括送信する場合は圧縮ZIPを作り、AirDropで送ると一度で済む
  • 受信後は必ずバックアップポリシーに従って外部ストレージやクラウドに保存する

IT管理者向けチェックリスト

  • 社内端末のAirDropポリシーを明確にする(有効化範囲、ログ、承認フロー)
  • セキュリティ要件がある端末ではAirDropを無効にするか、利用を制限する

テストケースと受け入れ基準

基本的なテストケース

  1. 単一の写真をiPhoneからMacに送信できるか
  2. 複数ファイルを一括で送信できるか
  3. ファイル受信時に正しいアプリに開けるか(写真は写真アプリ、書類はファイルアプリ)
  4. 連絡先のみの設定で、連絡先に含まれるユーザーのみ検出されるか
  5. VPN有効時に検出できない問題が再現するか

受け入れ基準

  • 送信開始から受信完了までに明確な進行が表示されること
  • 受信したファイルが正しい場所に保存されること
  • 両デバイスが仕様に沿った距離と設定で確実に検出されること

セキュリティとプライバシーの注意点

  • AirDropはTLSで暗号化されますが、受信設定がすべての人になっていると、不特定多数から送信されるリスクがあります。公共の場では受信を無効にするか、連絡先のみを使用してください。
  • 顧客データや機密情報の共有は慎重に行ってください。ログや監査が必要な環境ではAirDrop利用は適さない場合があります。
  • GDPRや個人情報保護の観点から、個人データを共有する際は事前に同意を得ることと、共有後の保存・削除方針を検討してください。

AirDropが向かない場面の例

  • 長距離での転送やインターネット越しの共有が必要な場合
  • 大量のRAW画像やプロジェクトファイルを頻繁に移動する場合
  • 企業ポリシーでピアツーピア通信が禁止されている場合

意思決定フローチャート

以下はファイル共有方法を決めるための簡単なフローチャートです。

flowchart TD
  A[共有したいファイルは小さいか?] -->|はい| B[近くに受信デバイスがあるか]
  A -->|いいえ| C[ケーブルかクラウドを検討]
  B -->|はい| D[短時間で共有したいか]
  B -->|いいえ| C
  D -->|はい| E[AirDrop]
  D -->|いいえ| C

まとめ

AirDropは近距離で迅速かつ安全にファイルをやり取りするための便利な機能です。正しく設定すれば、ケーブルやメールを使わずにスムーズに共有できます。問題が起きた場合はまずWiFiとBluetooth、受信設定、VPNやファイアウォールの有無を確認してください。運用ルールとセキュリティ配慮を整えることで日常のワークフローを大幅に効率化できます。

要点

  • AirDropはTLSで暗号化されたピアツーピア転送を行う
  • 両デバイスでWiFiとBluetoothをオンにし、近距離に置くことが必要
  • 代替手段としてiCloud、ケーブル、クラウドサービスを状況に応じて使い分ける

今回の記事がAirDropの理解と運用に役立てば幸いです。必要であれば、職種別の導入ガイドや社内ポリシー雛形をさらに提供できます。

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