Windows 11でコンテキストメニューを既定で「その他のオプション」に戻す方法

目次
- 一時的にクラシックコンテキストメニューを表示する
- レジストリで既定を復元する
- コマンドプロンプトでレジストリを編集する
- Winaero Tweakerを使う
- 変更を元に戻す
- いつ効かないか(例外)
- 代替アプローチと比較
- 役割別チェックリスト
- 決定フローチャート
- 注意点とリスク
- まとめ
一時的にクラシックコンテキストメニューを表示する
ショートカット的で最も安全な方法は、右クリックの際にShiftキーを押すことです。Shiftを押しながら右クリックすると、Windows 11の短縮メニューではなく、従来のフル(クラシック)コンテキストメニューが一時的に開きます。
- 利点: アカウントに管理者権限がなくても使える。恒久変更を行わないので安全。
- 使いどころ: 公共の端末、職場のPC、友人のPC、またはテスト時。
重要: 毎回Shiftを押すのが面倒なら、以下の恒久的な方法を検討してください。
レジストリで既定を復元する
管理者権限がある場合、レジストリを変更してWindows 11で「その他のオプション(Show more options)」を既定で表示させることができます。操作前に必ずバックアップを取りましょう(システムの復元ポイントやレジストリのエクスポート)。
- Win + Rを押し、
regedit
と入力してOKでレジストリエディターを開きます。 - 次のキーに移動します:
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\CLASSES\CLSID\
- 右ペインの空白部分を右クリックして、[新規] → [キー]を選び、キー名として次を入力します(波括弧 { } を含める):
{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}
- 新しく作成したキーを右クリックし、[新規] → [キー]でさらにサブキーを作成し、名前を入力します:
InprocServer32
- 作成したInprocServer32キーの右側にある(既定)をダブルクリックして開き、値を空のままにしてOKを押します(値を設定しないことが重要です)。
- レジストリエディターを閉じ、PCを再起動します。
再起動後、右クリックでクラシックなフルコンテキストメニューが既定で表示されるようになります。
注意: レジストリの誤った編集はシステム不安定や起動不能を招く可能性があります。操作は慎重に行ってください。
コマンドプロンプトでレジストリを編集する
レジストリエディターを使わず、コマンドで同じ変更を行うこともできます。こちらも管理者権限が必要です。
スタートメニューを開き「コマンドプロンプト」と検索し、結果で「管理者として実行」を選びます。
次のコマンドを入力してEnterを押します(キーの作成と空値の設定):
reg add "HKCU\Software\Classes\CLSID\{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}\InprocServer32" /f /ve
- 設定を反映させるためにFile Explorerを再起動します。まず停止コマンドを実行します:
taskkill /f /im explorer.exe
- 次にExplorerを再起動します:
start explorer.exe
この手順後、クラシックコンテキストメニューが既定で利用可能になります。
危険性を避けるため、コマンドをコピー&ペーストして実行する際はダブルクオートやバックスラッシュが正しいか再確認してください。
Winaero Tweakerを使う
レジストリ編集に自信がない場合は、信頼できるサードパーティツールを使う方法もあります。代表的なのがWinaero Tweakerです。無料で更新されているツールで、Windowsのさまざまな設定をGUIで調整できます。
手順:
- Winaero Tweakerを公式サイトからダウンロードして展開します。
- 同梱のセットアップ(WinaeroTweaker)を実行してインストールします。
- Winaero Tweakerを開き、左ペインの「Windows 11」セクションから「Classic Full Context Menus」を選びます。
- 右ペインで「Enable classic full context menus」にチェックを入れます。
- プロンプトが出たら、WinaeroにFile Explorerの再起動を任せてください。完了後、任意のファイルやフォルダーを右クリックし、クラシックメニューが復活していることを確認します。
注意: Winaeroは多機能ですが、何を変更するかを理解してからオプションを有効にしてください。大量の変更を行う前に必ずバックアップを取りましょう。
変更を元に戻す
いつでも元の短縮されたメニューに戻したい場合は以下の手順を行います。
- レジストリエディターまたはコマンドで設定した場合:
- regeditを開き、先ほど作成したキー
HKEY_CURRENT_USER\SOFTWARE\CLASSES\CLSID\{86ca1aa0-34aa-4e8b-a509-50c905bae2a2}
を見つけて削除します(InprocServer32を含めて作成したキー全体を削除)。
- PCを再起動します。
- Winaero Tweakerを使った場合:
- アプリを開き、「Enable classic full context menus」のチェックを外します。
- アプリの指示に従いExplorerを再起動します。
注意: レジストリの他の部分を誤って削除しないよう、削除前にキー名を慎重に確認してください。
いつ効かないか(例外)
- グループポリシーで明示的に制御されている管理環境では、この手順が上書きされることがあります。
- 企業や学校などの管理下にある端末では、IT管理者が変更を禁止している場合があります。
- 将来のWindowsアップデートで振る舞いが変わる可能性があります。OSの主要アップデート後は動作を再確認してください。
代替アプローチと比較
- サードパーティのコンテキストメニューエディター: メニュー項目を個別に追加・削除したい場合に便利。ただし互換性とセキュリティを確認する必要があります。
- レジストリスナップショット+スクリプト: 大量のマシンへ適用する際は、レジストリのスナップショットと適用スクリプト(.regファイルやPowerShell)を使うのが効率的です。
- グループポリシー: ドメイン環境で設定を一元管理したいIT管理者向け。ローカルレジストリ編集より管理しやすいが、項目が制限されます。
各手法の選び方の目安: 個人PCはレジストリかWinaero、複数台・管理対象はスクリプトまたはグループポリシー。
役割別チェックリスト
管理者向け:
- バックアップ(システム復元ポイントまたはイメージ)を作成する
- レジストリ変更手順をテスト機で検証する
- ドキュメント化して関係者に通知する
一般ユーザー向け:
- Shift押下による一時表示をまず試す
- レジストリを編集する前にデータをバックアップする
- サードパーティを使う場合は公式サイトとレビューを確認する
IT管理者向け:
- グループポリシーや構成管理ツール(SCCM/Intune等)での展開を検討
- ロールバック手順と変更管理を確立する
決定フローチャート
flowchart TD
A[右クリックメニューを変更したい?] --> B{一時で良い?}
B -- はい --> C[Shiftで一時表示]
B -- いいえ --> D{管理者権限はある?}
D -- はい --> E{GUIかコマンドどちらが良い?}
E -- GUI --> F[Winaero Tweakerを使用]
E -- コマンド --> G[レジストリを編集(regadd)]
D -- いいえ --> H[Shiftで一時表示または管理者に依頼]
F --> I[変更を確認しバックアップ作成]
G --> I
H --> I
注意点とリスク
- リスク: レジストリの誤編集はシステム障害を招く可能性がある。必ずバックアップを取ること。
- 互換性: 将来のWindows更新でこの方法が無効になる可能性がある。
- セキュリティ: サードパーティツールを使用する場合は、配布元とレビューを確認して信頼性を確かめる。
緩和策:
- 変更前にシステム復元ポイントを作る
- 企業環境ではITポリシーに従う
- スクリプト適用時はまずテスト環境で試す
1行用語集
- コンテキストメニュー: 右クリックで表示される操作メニュー。
- レジストリ: Windowsの設定データベース。
- File Explorer: ファイル操作を行うエクスプローラー。
- Winaero Tweaker: Windowsの設定を変更するGUIツール。
まとめ
Windows 11の短縮メニューはShift押下で一時的に回避できますが、恒久的にクラシックコンテキストメニューを既定にするには管理者権限でレジストリを編集するか、コマンド、あるいはWinaero Tweakerのようなツールを使う方法があります。変更前には必ずバックアップを取り、企業環境ではポリシーに従ってください。
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