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動画を画質を落とさずにリサイズする完全ガイド

3 min read 動画編集 更新されました 16 Oct 2025
画質を落とさず動画をリサイズする方法
画質を落とさず動画をリサイズする方法

なぜ動画は大きくなるのか

現代のほとんどの撮影は高解像度です。高解像度は情報量が多く、結果としてファイルサイズが大きくなります。動画編集で複数クリップを結合したり、エフェクトやカラグレを適用すると、出力ファイルはさらに大きくなることが一般的です。アップロード速度やストレージの制約から、容量を下げつつ見た目の画質を維持したい場面が多くあります。

定義(1行): リサイズとは、解像度やビットレート、コーデック、コンテナを調整してファイル容量を小さくすることです。画質を保持するとは、人間の視覚での違いがほとんど認識できない状態を目指すことを指します。

重要ポイント:

  • コーデックの選択が最も影響します。H.264(MPEG-4 AVC)は広く互換性が高く効率的です。H.265(HEVC)はさらに効率的ですが互換性が限定されます。
  • ビットレートを下げればサイズは下がりますが下げすぎると目に見える劣化が出ます。
  • 解像度を下げると劇的に容量が減りますが、用途に応じて許容できる最低解像度を定める必要があります。

目次

  • 基本原理と用語集
  • ツール別手順と実践設定
    • Avidemux
    • HandBrake
    • FLV 変換(Free Video to Flash Converter)
    • VirtualDub
    • Type Studio(オンライン)
  • ベストプラクティスと品質を保つためのチェックリスト
  • いつリサイズすべきでないか(失敗例)
  • ロール別チェックリスト
  • SOP(短めの実務手順)とテンプレート
  • 決定フロー(Mermaid)
  • 1行用語集
  • 要点のまとめ

基本原理と用語集

  • コーデック: 音声や映像を圧縮・復元する方式(例: H.264, H.265, AAC)。
  • コンテナ: 音声・映像・字幕などをひとつにまとめるファイル形式(例: MP4, AVI, FLV)。
  • ビットレート: 1秒あたりのデータ量。高いほど品質保持に有利だが容量増加。固定ビットレート(CBR)と可変ビットレート(VBR)。
  • 解像度: ピクセル数。1080pは1920×1080、720pは1280×720。
  • フレームレート(fps): 1秒あたりの映像フレーム数。一般的に30fpsや60fps。

重要な心得: 「見た目の品質」と「客観的な数値」は常にトレードオフです。視聴環境(スマホ、PC、テレビ)を決めてから目標設定を行うと効率的です。


ツール別手順と実践設定

下記は現場で使える具体的な手順と、画質を保ちながらサイズを下げるための推奨設定を含みます。どのツールも得意・不得意があります。使用目的(アーカイブ、SNSアップロード、ストリーミング)に応じて使い分けてください。

Avidemux を使ったリサイズ手順

ビデオ編集ソフトのインターフェーススクリーンショット

Avidemux は無料でオープンソースの軽量エディタです。カット、フィルタ、エンコードが可能で、Windows/Mac/Linuxに対応します。適切な設定では「8 GB の生データを 200 MB 程度に変換しても視覚的にほとんど差がない」ケースが報告されていますが、これは設定と素材によります。

手順(詳細):

  1. Avidemux の公式ページからOSに合ったインストーラをダウンロードしてインストールします。
  2. アプリを起動し、編集領域に動画ファイルをドラッグ&ドロップします。複数ファイルを連結したい場合は順番に読み込むか、ツールの結合機能を利用します。
  3. 左側にある三つのボックス「Video」「Audio」「Format」を確認します。動画のコーデックは「Video」のドロップダウンから「MPEG-4 AVC(x264)」または「H.264」を選びます。
  4. 「Audio」では「AAC (Faac)」を選択します(互換性を重視)。
  5. 「Format」では「MP4」を選択します。
  6. Video の設定を開いてビットレートやプロファイル(Main/High)を設定します。推奨:解像度が1080pなら平均ビットレートを 6,000–10,000 kbps、720pなら 3,000–5,000 kbps を目安にします。スマホ向けならさらに低くても可。
  7. フィルタを使って不要な映像領域をクロップ(トリミング)することで無駄なピクセルを削除します。例:16:9 を 4:3 用にする場合、両端を切ると容量削減に繋がります。
  8. 上部の「Save Video」アイコンをクリックしてファイル名の末尾に必ず「.mp4」と手動で入力して保存します。ここを「Save Project」と間違えないよう注意してください。
  9. エンコード中は他作業を極力行わないでください。処理時間はCPU性能とソースサイズに依存します。

Avidemux のヒント:

  • x264 のプリセットはエンコード速度と圧縮効率のトレードオフです。品質重視なら slower、ファイルサイズ重視であれば medium/fast を選びます。
  • 2回パス(2-pass)エンコードはより均一なビット配分で同じサイズでも高品質になります。Avidemux は対応状況を確認してください。

HandBrake を使ったリサイズ手順

HandBrake のメインウィンドウスクリーンショット

HandBrake はクロスプラットフォームの動画トランスコーダです。ビットレート、最大ファイルサイズ、フィルタ、バッチ処理などが可能で、無料で利用できます。

手順(詳細):

  1. 公式サイトからお使いのOS用の HandBrake をダウンロードしてインストールします。
  2. アプリを起動し、左上の「Source」ボタンをクリックして変換したい動画を選びます。
  3. 右側の「Destination」で保存先とファイル名を指定します。出力形式は「MP4 File」を選びます。
  4. 下部にあるタブ(Video, Audio, Subtitles, Advanced, Chapters)から「Video」を選びます。
  5. Quality の「Target size (MB)」を使えば希望の最終ファイルサイズに合わせて自動的にビットレートが計算されます。ルールとしては、元ファイルの半分未満に縮めると劣化が目立つことが多いので避けます。
  6. 解像度を落とす場合は「Dimensions」タブで変更します。1080p→720p の変換は画質差が目立ちにくく、効果的な容量削減手法です。
  7. すべて設定が終わったら上部の「Start」ボタンを押して変換を開始します。

HandBrake のヒント:

  • Constant Quality(CRF)モードは簡単で効果的です。CRF 値は 18–23 の範囲が一般的で、値が小さいほど高品質です。目安:CRF 20 前後でバランス良し。
  • 2-pass エンコードを使えばより安定したビット配分で指定サイズを狙えます。

FLV フォーマットに変換して容量を下げる手順

Free Video to Flash Converter の画面

FLV は過去にオンライン配信で広く使われたフォーマットで、同等の外観を保ちながらサイズを半分にできるケースがあります。ただし、現在はMP4のほうが互換性が高いため、用途をよく検討してください。

手順(詳細):

  1. Free Video to Flash Converter(DVDVideoSoft)を公式ページからダウンロードしてインストールします。
  2. アプリを起動し、「Add files」で変換したい動画を追加します。
  3. 出力フォーマットで「FLV」を選択します(SWF と間違えないよう注意)。
  4. 「Save to」で保存先を指定します。
  5. 圧縮設定アイコン(魔法の杖のようなボタン)をクリックしてビデオビットレートとオーディオビットレートを指定します。目安:ビデオ 2–4 MB/s(=2000–4000 kbps)、オーディオ 192 kbps。
  6. 必要なら解像度を 1080p→720p に変更します。
  7. 「Convert」をクリックして変換を開始します。

FLV 使用上の注意:

  • 一部のモダンなプラットフォームやデバイスは FLV をネイティブ再生できません。変換後はターゲット環境での互換性を必ず確認してください。

VirtualDub を使ったリサイズ手順

VirtualDub のインターフェーススクリーンショット

VirtualDub は主に AVI を対象とした Windows 向けキャプチャ&処理ツールです。Mac や Linux で使う場合は Wine 等の互換レイヤを利用します。

手順(詳細):

  1. VirtualDub をダウンロードしてインストールします。安定したコーデックを用いるために K-Lite Codec Mega Pack のインストールを推奨します。
  2. VirtualDub を起動し、対象動画を開きます(File > Open video file)。
  3. メニューの「Video」>「Compression」を選択します(Ctrl+P ショートカット可)。
  4. コーデックの一覧から「Xvid MPEG-4 Codec」を選びます(環境によっては別のコーデックを選択)。
  5. 圧縮設定を調整し、OK を押します。
  6. 「File」>「Save as」で保存先とファイル名を指定して書き出します。

VirtualDub のヒント:

  • VirtualDub はフレーム単位での操作(フィルタ、インターレース処理、リサンプリング)に強みがあります。細かな画質調整を行いたい場合に有効です。

オンラインでリサイズする方法:Type Studio

Type Studio のようなオンラインツールはソフトをインストールしたくないユーザーに便利です。ブラウザ上でトリミング、リサイズ、フォーマット変更が可能です。アップロードとダウンロードに高速なインターネット回線が要求されます。

手順(詳細):

  1. 安定したインターネット接続を確保します。アップロード速度が遅いと非常に時間がかかります。
  2. Type Studio にサインアップしてログインします。
  3. プロジェクトページに動画をアップロードします。
  4. 左側に自動生成されたトランスクリプトが表示されます。必要なら誤字を訂正します。右側のビデオキャンバスでサイズ変更や回転を行います。

エディタ内で動画のリサイズを行う画面のスクリーンショット

  1. ビデオ上にカーソルを合わせると四隅にハンドルが現れます。角のポイントを掴んで左右にドラッグしてスケールを調整します。
  2. フォーマット(アスペクト比)を変更する場合は、ビデオ上部のフォーマットボタンから Original / Square / Landscape / Portrait / Horizontal Post / Vertical Post / Pinterest などを選びます。
  3. 編集が終わったらエクスポートボタンで書き出します。

オンラインツールのヒント:

  • プライバシーに注意:機密映像はクラウドにアップロードしないこと。
  • ブラウザのメモリ制限で長時間の高解像度動画は失敗しやすい。短いクリップや SNS 向け変換に向く。

画質を保ちながら容量を下げるためのベストプラクティス

  1. 最初に目的を決める(アーカイブ、YouTube、スマホ視聴、SNS)。用途で最適解が変わります。
  2. コーデック優先:可能なら H.264(互換性)または H.265(圧縮効率)を選びます。H.265 はアップロード先と視聴機器の互換性を確認してください。
  3. 解像度の段階的な判断:視聴デバイスがスマホなら 720p で十分なことが多いです。大画面向けなら 1080p を維持します。
  4. ビットレートは目標サイズから逆算するか、CRF/2-pass を利用して最適化します。
  5. オーディオ設定を見直す:ステレオ音声であれば 128–192 kbps の AAC が一般的に十分です。
  6. クロップで不要ピクセルを削除する。黒帯や余白がある素材は切るだけで容量が減ります。
  7. ノイズが多い映像は圧縮効率が落ちる。可能なら軽いデノイズフィルタを使ってから圧縮するとサイズを抑えられる場合があります。
  8. 常に短いテストエンコードを行う。数十秒のクリップで設定を確認してからフルファイルを処理します。

いつリサイズを避けるべきか(失敗パターンと回避方法)

  • 元ファイルが既に低ビットレートかつ低解像度の場合:さらに圧縮すると明確に劣化します。回避策:サイズ削減よりもフォーマット変換のみ検討。
  • プロの納品物やマスターファイルの場合:原本は必ず無劣化または低圧縮フォーマットで保存します。配信用に副本を作る。回避策:ワークフローでマスター保持を必須にする。
  • 画面キャプチャやテキストが多い素材:圧縮すると文字が滲むことがあります。回避策:ビットレートを高めに設定する、または画面録画専用のコーデックを使う。

決定フロー(簡易版)

以下は「どのツール・設定を使うべきか」を選ぶための判断フローです。

flowchart TD
  A[目的を決める] --> B{配信先は何か}
  B -->|YouTube/大画面| C[H.264/H.265, 1080p, CRF 18-22]
  B -->|SNS/スマホ| D[H.264, 720p, CRF 20-24]
  B -->|ブラウザのみ| E[オンラインツール(Type Studio)]
  C --> F{操作環境}
  D --> F
  E --> G[短時間の編集・高速出力]
  F -->|デスクトップ| H[Avidemux or HandBrake]
  F -->|Windows専用素材| I[VirtualDub]
  H --> J[テストエンコードを行う]
  I --> J
  J --> K[本処理]

ロール別チェックリスト

  • 撮影者:

    • マスターを無圧縮または低圧縮で保存する。
    • 目的に沿った解像度で撮影する(必要以上に高解像度で撮らない)。
  • 編集者:

    • クロップで不要領域を削る。
    • カラグレやエフェクトを適切に適用してからエクスポート設定を調整する。
    • テストエンコードを複数回行う。
  • 配信担当:

    • 最終フォーマットが配信先の推奨仕様に合っているか確認する。
    • 字幕・メタデータが正しく埋め込まれているか確認する。

SOP(短い実務手順)

  1. マスターをローカルにバックアップする。
  2. 目的を決める(例: YouTube 1080p)。
  3. テストクリップ(30秒)を HandBrake/Avidemux で設定してエンコード。
  4. テストを確認後、全編をバッチで変換する。
  5. 出力ファイルを別のデバイスで確認し、問題なければ配信・アップロードする。

テンプレート(出力設定例):

目的コーデック解像度ビデオ設定オーディオ設定
YouTube 標準H.2641920×1080CRF 18-22 / 2-passAAC 192 kbps
SNS スマホH.2641280×720CRF 20-24AAC 128 kbps
互換性重視H.264オリジナルVBR 中-高AAC 192 kbps

テストケースと受け入れ基準

  • テストケース1: 静止画が多いトーク動画 10分を 1080p → 720p に変換。受け入れ基準:テキストの可読性を保てること。
  • テストケース2: 高動きのスポーツ映像 2分を圧縮。受け入れ基準:モーションブラーやブロックノイズが明瞭に出ないこと。

よくあるトラブルと対策

  • 出力ファイルが再生できない: コーデックとコンテナの組み合わせを確認。MP4/H.264 は最も互換性が高い。
  • 画面にノイズが増えた: デノイズフィルタを弱めに入れて再エンコードする。
  • 音声がずれる: フレームレートやタイムベースの異なる素材を結合すると起きる。素材を同一フレームレートに揃える。

短い用語集(1行ずつ)

  • CRF: 恒常品質モード。低いほど高品質。
  • VBR: 可変ビットレート。映像の複雑さに応じてビットを配分する。
  • CBR: 固定ビットレート。一定の帯域を使う。
  • コンテナ: ファイル形式。映像・音声を格納する箱。

追加の代替アプローチ

  • クラウドトランスコーディングサービスを使う: ローカルPCのCPU負荷を避けたい場合に有効。ただしコストとプライバシーを考慮。
  • プロ向けツール(Adobe Media Encoder、DaVinci Resolve)を使う: より詳細なプロファイル制御が可能。
  • 専用ハードウェアエンコーダ(NVENC/QuickSync)を使う: エンコード時間を短縮できるが品質の最終調整はソフトエンコードのほうが細かく行える場合がある。

SEO 用語候補(参考)

この記事の主目的は「動画を画質を落とさずにリサイズする方法を学ぶこと」です。関連する検索語のバリエーション例: 動画 圧縮 画質維持, 動画 リサイズ 方法, HandBrake 使い方, Avidemux リサイズ, オンライン 動画 圧縮。


要点のまとめ

  • 目的を最初に決めてから手順と設定を選ぶ。
  • コーデック、ビットレート、解像度の組み合わせが鍵。
  • テストエンコードを必ず行う。
  • マスターは必ず無劣化で保存し、出力は副本とする。

重要: 機密性の高い素材はオンラインサービスにアップロードしない。画質を守るために、常に視覚チェックを行ってください。


参考チェックリスト(実行前確認)

  • 目的は明確か
  • マスターがバックアップされているか
  • 出力フォーマットは配信先に合っているか
  • テストエンコードを行ったか
  • エンコード完了後に別デバイスで再生確認をしたか
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