Windows 10で閉じたフォルダーやファイルを再表示する方法とおすすめツール

なぜWindows 10は「閉じた状態の再表示」を標準で提供しないのか
多くのブラウザが「Ctrl+Shift+T」でタブを再度開けるのに対し、Windowsのファイルエクスプローラーや個別アプリは同様の操作を備えていません。設計上、OSはファイル・フォルダーの「現在の状態」を扱うため、ユーザーのクリック操作(ウィンドウを閉じるなど)を履歴として遡る仕組みは基本的に無いからです。
定期バックアップ(ファイル履歴、復元ポイント、クラウド同期)とは別に、作業中の「直近の状態」を手早く巻き戻すにはプロセスやUI操作を記録する常駐ツールが有効です。
重要: システム保護やファイル履歴はファイルの「内容」を復元するためのものです。一方、本稿で扱うツールは「開いていたウィンドウ/フォルダー/アプリ/クリップボードの履歴」を復元するための補助ツールです。
この記事の意図
主目的: Windows 10で閉じたフォルダーやファイル、アプリ、クリップボード状態を手早く「再表示(再オープン)」する方法とツールを紹介する。
関連の検索バリエーション(参考):
- Windows 10 閉じたフォルダー 再表示
- 閉じたファイルを復元 Windows
- 最近閉じたフォルダー 復元 ツール
- UndoClose 使い方
ベストツールの概要(要点)
- AlomWare Undo: 最も多機能。ウィンドウ、ファイル、アプリ、クリップボードの履歴を短時間で遡れる。履歴記録は既定で過去2時間。
- GoneIn60s: シンプルで軽量。既定60秒の履歴を持ち、急いで閉じてしまった場合に即復元可能。設定で履歴間隔を変更可。
- UndoClose: 時間制限なし(無制限に近い履歴保持が可能)。ポータブルでホットキーによる復元が中心のシンプル設計。
各ツールの詳細と使い方
AlomWare Undo
AlomWare Undoは、画面上で発生した操作を短時間記録して巻き戻せる多機能ツールです。フォルダーやファイルのウィンドウの開閉、アプリの起動・終了、さらにクリップボードの履歴まで追跡します。
主な特徴:
- 記録ウィンドウ: デフォルトで過去2時間の操作を保存します(設定で調整可能な場合あり)。
- 復元できるもの: エクスプローラーのフォルダー、アプリウィンドウ、ドキュメント、コピーしたテキストなど。
- 検索機能: 履歴を検索して特定の操作やファイル名で遡ることが可能。
- セキュリティ: 履歴はローカルに保存され、通信で外部へ送信しない旨が開発者情報に記載されています(ただし導入前に最新のプライバシー情報を確認してください)。
使い方(基本手順):
- AlomWare Undoをダウンロードしてインストール(またはポータブル版があればそれを利用)。
- 起動するとバックグラウンドで操作を記録します。
- 誤ってフォルダーやファイルを閉じたら、AlomWareのUIを開き、対象の操作を選択して復元します。
向いている人:
- 多種の操作(ウィンドウ/クリップボード/アプリ)をまとめて巻き戻したいユーザー。
- 悪意あるプロセスの痕跡を確認したい場合(履歴から異常な動きを検出)。
注意点:
- 常時記録するため、軽量な仕組みとは言え一定のリソースを消費します。古いPCではパフォーマンスを確認してください。
GoneIn60s
GoneIn60sは名前のとおり「直近60秒」を標準で記録し、誤って閉じたフォルダーやファイルを即座に復元することにフォーカスした軽量ツールです。
主な特徴:
- 既定60秒の履歴を保持。設定で変更可能。
- トレイ常駐型。右クリックメニューで直近の項目を一覧表示。
- ダブルクリックで60秒分の全てを一括で再オープン可能。
使い方:
- GoneIn60sをインストールして起動。
- タスクトレイのアイコンを右クリックして最近閉じた項目を選択するか、ダブルクリックで一括復元。
向いている人:
- 「すぐに閉じてしまった」操作を短時間で取り戻したい人。
- 常駐ソフトはなるべく軽く抑えたい人。
制限:
- デフォルトは非常に短い履歴(60秒)。誤操作に気づく時間が短い場合は不便。
- 深い履歴を調べたい、長時間の巻き戻しが必要な場合は不向き。
UndoClose
UndoCloseはシンプルさと柔軟性を両立したツールです。時間制限がなく、ホットキーで素早く再表示できるのが特徴です。
主な特徴:
- 時間制限なしに近い履歴保持(設定や環境により上限は異なる)。
- フォルダー用およびアプリ用の2つのホットキーを設定可能。
- ポータブル版あり。インストール不要でUSBなどに入れて持ち運べます。
- 起動時に自動起動を設定可能。
使い方:
- UndoClose(ポータブル版推奨)をダウンロードして実行。
- ホットキーを設定(例: Ctrl+Alt+Z をフォルダー用に割り当て)。
- 閉じてしまったらホットキーで復元。
向いている人:
- ホットキー操作で素早く復元したい人。
- インストール不要で持ち運びたい人。
制限:
- UIは最小限。履歴の詳細検索やクリップボード復元のような多機能性は限定的。
どのツールを選ぶべきか(意思決定フロー)
以下は簡易的な選び方のヒューリスティックです。
- あらゆる操作(ウィンドウ・アプリ・クリップボード)を巻き戻したい → AlomWare Undo
- 誤ってすぐに閉じてしまうことが多い・軽量性重視 → GoneIn60s
- ホットキーで素早く、インストール不要で持ち運びたい → UndoClose
また、業務利用でログ・監査が必要な場合は、導入前にIT部門やセキュリティポリシーに確認してください。
flowchart TD
A[用途を確認] --> B{クリップボードも復元したい?}
B -- はい --> C[AlomWare Undo]
B -- いいえ --> D{履歴は短時間で良い?}
D -- はい --> E[GoneIn60s]
D -- いいえ --> F[UndoClose]
C --> G[導入前にプライバシー確認]
E --> G
F --> G
よくある用途とワークフロー例
シナリオA — 複雑なパスのフォルダーを誤って閉じた:
- UndoCloseまたはAlomWareで最近閉じたフォルダーを見つけて再表示。
- フォルダーをブックマーク(エクスプローラーでクイックアクセスにピン留め)して、次回からのアクセスを短縮。
シナリオB — 重要なテキストを上書きしてしまった:
- AlomWareのクリップボード履歴から以前のテキストを復元。
- すぐに別のファイルにペーストして保存。
シナリオC — 作業中の複数ウィンドウを一括で復元したい:
- GoneIn60sのダブルクリックで直近60秒の全ウィンドウを再オープン(設定した場合)。
セキュリティ・プライバシー上の注意
- 履歴にはファイル名やウィンドウタイトル、コピーしたテキストなど機密情報が含まれる可能性があります。共有PCや業務端末では導入前に管理者と相談してください。
- ローカル保存が基本ですが、アップデートやオンライン機能により外部通信が発生する場合があります。公式ドキュメントやプライバシーポリシーを必ず確認してください。
- 管理者視点の対策: 導入ポリシー、監査ログの保持、端末内の暗号化を検討してください。
代替アプローチといつ使うべきでないか
代替手段:
- ファイル履歴(File History)やクラウド同期(OneDrive): ファイル内容の復元に有効。ただし「どのウィンドウを開いていたか」を復元する用途には不向き。
- システムの復元ポイント: OSレベルの問題解決には有効だが作業ウィンドウの巻き戻しには重すぎる。
- 手動のブックマークやクイックアクセス: 頻繁に使うフォルダーは事前にピン留めしておくことで誤閉じの被害を減らせる。
いつ使うべきでないか:
- 機密情報を扱う共有端末に、管理者の承認なく履歴ツールを導入するのは避ける。
- 古いPCでパフォーマンスが問題になる場合は、軽量のGoneIn60sやWindows標準機能で代替する。
トラブルシューティングとチェックリスト
導入前チェック:
- OS対応確認: Windows 10での動作確認(64-bit/32-bitの区別がある場合あり)。
- 管理者権限の必要性: ポータブル版なら不要な場合がある。
- セキュリティ要件: 企業ポリシーやアンチウイルスとの相性。
導入後の確認手順:
- ツールを起動して操作を行い、閉じた項目が復元できるかテスト。
- ホットキーやトレイメニューが期待どおりに動作するか確認。
- 履歴保持時間を要件に応じて設定(可能なら)。
問題が起きたとき:
- 復元できない: 設定で履歴保存時間が短いか、ツールが管理者権限で動作していない可能性あり。
- 高負荷が出る: 常駐プロセスを停止して様子を見る。軽量ツールへ乗り換えを検討。
比較マトリクス(簡易)
- AlomWare Undo: 多機能、クリップボード履歴、過去数時間を保存、やや重め。
- GoneIn60s: 軽量、短い履歴(既定60秒)、即時復元向け。
- UndoClose: 時間制限が無い(長期履歴化可能)、ホットキー中心、ポータブル対応。
ロール別チェックリスト
一般ユーザー:
- まずはポータブル版や無料版で機能を確認。
- 常に重要なフォルダーはクイックアクセスへピン留め。
開発者/パワーユーザー:
- クリップボード履歴やウィンドウの連続操作をAlomWareで試す。
- 必要ならホットキーで素早く復元できる設定を行う。
IT管理者:
- 企業ポリシーに沿った利用可否を判断。
- セキュリティリスク評価(履歴に機密情報が含まれるか)を実施。
よくある質問
Q: これらのツールで削除されたファイル自体を復元できますか?
いいえ。これらのツールは「開いていたウィンドウや直近の操作の再表示」が主目的です。ファイル削除そのものの復元には、ファイル履歴、ゴミ箱、または専用のデータ復旧ツールが必要です。
Q: 会社のPCに入れても問題ありませんか?
管理者の許可が必要です。履歴には機密情報が残る可能性があるため、企業ポリシーに従ってください。
Q: どのくらい過去まで遡れますか?
ツールによって異なります。AlomWareは標準で数時間、GoneIn60sは既定で60秒、UndoCloseは時間制限が少ない設計です。設定で変えられるものもあります。
まとめ
- Windows 10に「閉じたウィンドウを元に戻す」ネイティブ機能はないため、作業の巻き戻しにはサードパーティツールが有効です。
- 用途別にツールを選ぶ: 多機能が良ければAlomWare Undo、軽量で即時復元ならGoneIn60s、ホットキー/ポータブル性優先ならUndoClose。
- セキュリティとプライバシーに注意し、企業環境では必ず管理者に相談してください。
ご自身の利用シナリオ(頻度、履歴の深さ、業務端末か個人端末か)に応じて、上記のどれかを試してみてください。コメントでご意見や「他に良いツールがある」情報があれば教えてください。
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