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24/7 カスタマーサポートを迅速かつ効率的に構築する方法

2 min read サポート運用 更新されました 16 Oct 2025
24/7カスタマーサポート構築ガイド
24/7カスタマーサポート構築ガイド

24時間対応のカスタマーサポートの組織図と運用イメージ

本当に必要かを見極める

24/7サポートを立ち上げる前に、まずは必要性を検証してください。小規模な顧客ベースで、ある社員の工数の30%未満しか問い合わせ対応が発生していないなら、従来型の専任サポートは過剰投資です。逆に顧客数が多く、応答遅延が解約やクレームに直結しているなら、ヘルプデスク導入を検討すべきです。

定義: ヘルプデスク — 顧客からの問い合わせを受け、分類・対応・追跡する仕組みです。

重要: 早めに見切り発車するより、必要なタイミングで体制を整えること。遅れると顧客ロイヤルティの低下や競合への流出を招きます。

アクションプランを作る

サービス構築には会社ごとの個別要件がありますが、共通のステップを以下に示します。

  • ニーズ評価(問い合わせの時間分布、チャネル別量、問題の重大度)
  • チャネル選定(優先度の高い1~2チャネルから開始)
  • 人員計画と採用基準
  • 教育・スクリプト整備
  • 勤務スケジュール設計と労務面の確認
  • 運用ツール(チケットシステム、IP電話、SNS管理ツール)の選定
  • KPIsと受け入れ基準の設定

コミュニケーションチャネルの選択

候補: 電話、メッセンジャー系(Telegram、Viber)、SNS(Instagram、Twitter)、メール、ウェブの問い合わせフォーム(チケットシステム)

実務のコツ: 最初は1チャネルに絞る。リソースが整ってから順次追加する。

チーム構成と教育

  • 誰を採用するか(正社員、契約社員、アウトソース)
  • トレーナーは誰が行うか
  • 研修内容(製品知識、対応テンプレート、共感的コミュニケーション、エスカレーションルール)

注意: チャットボットのみで人間対応を完全代替するのは困難です。人間の判断が必要なケースを明確にしてください。

スクリプトとガイドライン

よくある質問(FAQ)を分類し、応答テンプレートを作ります。口調はブランドに合わせて「ビジネス寄り」か「フレンドリー」に統一してください。

テンプレートの例(簡易):

  • 挨拶: 「いつもご利用ありがとうございます。サポート担当の◯◯です。」
  • 問い合わせ受領: 「お問い合わせありがとうございます。チケット番号は #XXXX です。」
  • 調査中: 「ただいま確認中です。最大で○時間以内にご連絡します。」
  • 完了報告: 「問題は解決しました。再発があればご連絡ください。」

参考: ビジネス文書作成の基本ルールをベースに、短く明確な表現を心がけます。

勤務スケジュール設計

24/7を目指すなら、夜間・週末のシフト計画が必要です。ただし、夜間問い合わせが全体の5%未満であれば24時間化は早計です。標準勤務のみで済むなら、土日夜間のオプションを限定提供にするほうがコスト効率が高いです。

労務の留意点:

  • 夜間勤務は法令上の割増賃金が発生する可能性がある
  • 連続夜勤や過度なシフトは離職リスクを高める

人員スケーリングと管理職の配置

組織が大きくなると、階層管理が必要になります。一般的な成長フェーズと必要な役割の一例:

  • 初期(1名〜3名): サポート担当、マネージャ兼務
  • 成長期(4名〜10名): 専任のスーパーバイザー、品質管理(QA)担当
  • 拡大期(10名以上): シフト管理者、トレーナー、分析/レポート担当

ヒューリスティック: 10人増えるごとに1名の中間管理職を検討する。

チャネル別の運用ポイント

メッセンジャー系・SNS(Viber、Telegram、Instagram など)

長所: 導入コストが低い。ユーザー接触率が高い。短文で迅速に対応できる。 短所: 会話が断片化しやすい。長期のトラブルシューティングには不向き。

運用ポイント:

  • 受信時に自動応答で受付番号(内部チケットID)を発行する
  • 公開コメントとDM対応を使い分ける(機密情報はDMへ誘導)

チケットシステム

定義: チケットシステム — 問い合わせを個別の「チケット」として記録・追跡するソフトウェアです。

長所: 応答履歴の追跡、担当者間のエスカレーション、統計の取得が容易になる。 短所: 初期設定の工数、ユーザーへの案内コスト。

導入ヒント: Zendesk、Jira Service Management、Freshdesk など、既製品を活用すると早く回せます。カスタム開発は必要最低限に留める。

電話

長所: 即時性が高く、複雑な説明がしやすい。 短所: 記録の取り扱い、応答のばらつき、通話コスト。

運用ポイント:

  • IVR(自動音声応答)で簡単な分類を行う
  • 通話録音と要約のテンプレートを用意し、品質管理に活かす

最終的な考察

顧客は「すぐに答えが得られる」ことを期待します。質問に対して適切で迅速な対応ができる企業は、リピートや推奨につながります。運用効率だけでなく、顧客体験(CX)を改善する観点で投資を検討してください。

重要: ツールは手段であり目的ではありません。正しい人とプロセスの上にツールを置くこと。


付録: 実践プレイブックとチェックリスト

ロール別チェックリスト

  • サポート担当
    • 製品知識の基礎を習得済み
    • 応対テンプレートを常時参照できる
    • チケットの作成・更新ルールを理解している
  • スーパーバイザー
    • シフト表を作成し、出勤管理ができる
    • 重大インシデントの初期判定とエスカレーションが可能
    • 定期的な品質レビューを実施する
  • トレーナー
    • 新人教育カリキュラムを保有している
    • ロールプレイや評価指標(KPI)を設計している
  • シフト管理者
    • 勤務希望・休暇を反映したシフトを作れる
    • 労務ルール(残業、夜勤割増)に精通している

受け入れ基準(Критерии приёмки)

サービスを“稼働”と判断するための最低条件:

  • 主要チャネルでの初回応答時間が定義されている(例: 平日9–18時内は1時間以内)
  • チケット登録と追跡が運用に組み込まれている
  • 少なくとも1名の担当者が夜間・週末対応のロールを理解している
  • エスカレーションルールと連絡先が文書化されている

初期SOP(操作手順)サマリー

  1. 受信: チケットを自動発行/電話はログを作成
  2. 分類: 緊急度(高/中/低)をラベル付け
  3. アサイン: 担当者に割り当て(自動または手動)
  4. 対応: テンプレートを用いて顧客連絡、必要に応じて調査
  5. エスカレーション: ルールに従い上位へ展開
  6. 解決: 顧客へ手順と結果を通知し、チケットをクローズ
  7. レビュー: 週次で統計と品質を評価

チケット記入テンプレート(例)

  • チケットID: #
  • 受信日時:
  • チャネル: (例: Telegram)
  • 顧客名:
  • 問題概要(1行):
  • 詳細(調査ログ・スクリーンショットの有無):
  • 現在の対応状況:
  • 次のアクションと担当者:

このテンプレートをチケットシステムの必須フィールドとして組み込みます。

シフトテンプレート(週間例)

  • 平日 09:00–18:00: 2名
  • 平日 18:00–23:00: 1名(夜勤開始)
  • 深夜 23:00–07:00: 1名(オンコールベース)
  • 週末 09:00–18:00: 1名

※ 実際の人数は問い合わせ量と重症度に応じて調整してください。

リスクマトリクスと緩和策

  • リスク: 人員不足
    • 影響: 応答遅延、CS低下
    • 緩和: 優先チャネルへ集中、外部委託、オンコール体制
  • リスク: 法令・労務違反(夜勤手当など)
    • 影響: 罰則、訴訟リスク
    • 緩和: 労務担当と協議、就業規則の明文化
  • リスク: 情報漏洩(通話・メッセージ)
    • 影響: 信頼失墜、法的責任
    • 緩和: 個人情報の取り扱いポリシー、アクセス制御、暗号化

品質指標(KPI)候補

  • 初回応答時間(チャネル別)
  • 平均解決時間(MTTR)
  • 顧客満足度(CSAT)
  • 再開率(同一問題による再問い合わせ率)
  • SLA遵守率

代替アプローチといつ向かないか

  • フル内製が向く場合: 製品知識と頻繁な技術的判断が必要な高複雑サービス
  • アウトソースが向く場合: 大量の定型問合せ処理、コスト優先でスケールしたい場合
  • 向かない例: 顧客数が一桁で、問い合わせが不定期にしか発生しない小規模B2Bサービス

1行用語集

  • チケット: 顧客問い合わせを記録する単位
  • SLA: サービスレベル合意。応答や解決の目標値
  • MTTR: 平均復旧時間。問題解決までの平均時間

ソーシャルメディア用プレビュー(例)

OGタイトル: 24/7カスタマーサポートを迅速に構築する実践ガイド OG説明: 本記事は、必要性の見極めからチャネル選定、採用・シフト設計、SOPまでを網羅した実践ガイドです。


まとめ

  1. まずは必要性をデータで判断する。無駄な24/7化はコストでしかない。
  2. 優先チャネルを1つに絞り、テンプレートとSOPで品質を担保する。
  3. 人員スケーリングは段階的に行い、管理職やトレーナーを早めに配置する。
  4. KPIと受け入れ基準を定めて、定期的にレビューする。

実行可能な小さなステップから始め、安定した運用を目指してください。導入後はデータに基づく改善サイクルを回すことが、長期的な成功の鍵です。

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