概要
OnePlusが初めて投入したタブレット、OnePlus Padは7:5の画面比率を採用し、ミドル〜ミッドハイのハードウェア設計でAndroid 13(OxygenOSベース)を搭載しています。マルチタスク機能は大きく分けて以下の3つです。
- Split screen(分割表示): 画面を左右に分割して2つのアプリを並べて使う
- Flexible windows(フレキシングウィンドウ/フローティングウィンドウ): 任意のアプリを小さな可動ウィンドウで表示
- Dual windows(デュアルウィンドウ): 同一アプリの別インスタンスを左右に並べる(対応アプリが限定的)
このガイドでは、各機能の使い方、具体的なワークフロー、トラブルシューティング、運用チェックリスト、適したユースケースなどを網羅します。画像は操作イメージです(画面内UIはOnePlusのOxygenOSによるもの)。
Important: 下記の手順はデフォルト設定を前提とします。ユーザー設定でジェスチャーやSmart Sidebarを無効にしている場合は先に設定を確認してください。
主要なマルチタスク機能の詳細
Split screen(分割表示)
Split screenはOnePlus Padで最も実用性の高い機能です。画面を左右(または縦向き時は上下)に分けて2つのアプリを同時利用できます。7:5の画面比が効いて、同クラスのタブレットよりも情報量を確保しやすいのが利点です。
分割表示には主に3つの入り口があります。
1) 最近使用したアプリ(Recents)から起動する方法
手順(ランドスケープ・ポートレート共通):
- 画面下から上へスワイプして、最近使用したアプリ(Recents)を表示します。
- 分割表示したいアプリのサムネイル右上にあるウィンドウアイコン(分割アイコン)をタップします。
- 画面の半分がそのアプリに固定されるので、もう一方に表示したいアプリを選びます。
操作のコツ:
- 真ん中のスライダー(三点のハンドル)を長押しして左右にドラッグすると、表示比率を変更できます。
- 上部を掴んで左右にドラッグすれば、アプリを左右入れ替え可能です。
- アプリグループを最小化すると、その状態はRecentsに保存され、再度復元できます。
注意点:
- すべてのアプリが分割表示に最適化されているわけではありません。フルスクリーン専用のゲームや一部のユニバーサルアプリは想定通り動かない場合があります。
2) Smart Sidebarからドラッグして起動する方法
Smart Sidebar(スマートサイドバー)は画面右上端からスワイプで呼び出せるランチャーで、よく使うアプリを登録しておけます。
設定と手順:
- 右上端を左にスワイプしてSmart Sidebarを表示します。
- 編集(Edit)を押して、不要なアプリを-で削除、+で追加します。
- 使用したいアプリを長押しして画面の任意位置までドラッグします。
- 同じ操作で2つ目のアプリを追加するか、ホーム画面から起動します。
Tips:
- サイドバーに複数の作業用アプリを登録しておくと、毎回アプリ一覧を開かずに済みます。
- サイドバーはアプリ利用中でも呼び出せるので、作業中にすばやく補助アプリを追加できます。
3) 2本指スワイプで分割表示にする方法
OnePlusは2本指ジェスチャーで素早く分割表示を呼び出せます。デフォルトで有効ですが、無効の場合は設定からオンにします。
有効化手順: Settings > Special features > Split screen を開き、「Swipe down with 2 fingers to split the screen」をオンにする。
使用方法:
- 分割したい片方のアプリを開きます。
- 画面中央付近で2本指を使って下方向へスワイプします。
- アプリのウィンドウが左側(既定)に寄せられ、空いたスペースにもう一方のアプリを開きます。
補足:
- ジェスチャーは片手で操作しづらい場合があります。物理キーボードやトラックパッドを使っている場合はショートカット(アプリ切替等)との併用を検討してください。
Flexible windows(フレキシブルウィンドウ/フローティング)
フローティングウィンドウは、任意の対応アプリを小さな移動可能なウィンドウとして表示できます。Split screenと組み合わせれば、3アプリ並行のワークスペースも作れます(例: ブラウザで調査、ノートでメモ、SNSを小窓で監視)。
以下は代表的な起動方法と操作です。
1) Recentsからフローティングウィンドウを開く
手順:
- 画面下からスワイプしてRecentsを開く。
- 開きたいアプリの三点メニュー(またはウィンドウメニュー)をタップし、「Floating window」を選ぶ。
操作:
- ウィンドウ上部のバーを掴んで移動できます。
- 画面端にドラッグするとウィンドウがタブ化されて隠れ、再タップで戻ります。
- 全画面化は左上の全画面アイコンで行い、閉じるにはXを押します。
2) Smart Sidebarから起動する方法
手順:
- Smart Sidebarにフローティングで使いたいアプリを登録する。
- サイドバーを呼び出し、アプリをタップして開くとフローティングウィンドウで表示されます。
3) スワイプアップでフローティング化する方法
手順:
- 対象アプリを開き、上方向へスワイプします。
- 画面上部に「Release」という表示の小窓が出たら指を離すとフローティングウィンドウになります。
実用上のヒント:
- 小ウィンドウでメッセージ返信や簡単なタスクを行い、主要作業は分割表示で続けると効率的です。
- 連続してタスクを切り替える場合、ウィンドウの自動最小化と復元を覚えておくと便利です。
Dual windows(デュアルウィンドウ)
Dual windowsは同一アプリの別インスタンスを左右に並べて使う機能です。ドキュメントを2つ並べたり、同一のSNSアカウントを複数ビューで比較したりできます。
制限事項:
- 現状では対応アプリが非常に限られており、主にOnePlus純正アプリやパートナーアプリに限定されることが多いです。
- OnePlus側は対応アプリを増やす予定だと述べていますが、普遍的に使える機能にはまだ達していません。
判断基準:
- 同一アプリで作業を分割したい場合にのみ検討する。複数アプリを並べる一般的な分割表示の代替にはなりにくい。
いつ有効か、いつ不向きか(カウンタ―エグザンプル)
有効なケース:
- 文章作成中に資料を参照しながら書く場合(ブラウザ + ノート)
- ビデオ会議を見ながら議事録をとる場合(ビデオ + ドキュメント)
- リアルタイムでチャット監視しつつ別作業をする場合(チャット小窓 + メイン作業)
不向きなケース:
- ドラッグ&ドロップでファイルやテキストを頻繁に移動する重いデスクトップワーク(Padはこの機能が限定的または非搭載)
- CPU/GPU負荷の高いゲームを分割してプレイする場合(多くのゲームは分割表示で正しく動作しない)
- 専用のタブレット最適化アプリがない業務用途(アプリ側の最適化不足で利便性が下がる)
マインドセットと意思決定モデル(簡潔なヒューリスティック)
- 作業を「参照」「作成」「監視」の3つに分類する。参照+作成はSplit screen、監視はFloating windowを選ぶと効率的。
- 主要作業は常に視線の中央へ。補助作業は小窓やサイドに追いやる。
- 作業開始前にSmart Sidebarに必要アプリをセットしておく。
実践ワークフロー(SOP / Playbook)
簡易セットアップ(15分):
- Settingsで2本指スワイプとSmart Sidebarを有効化する。
- Smart Sidebarに毎日使うアプリ(ブラウザ、ノート、メール、チャット)を登録する。
- 不要な常駐アプリを終了してメモリを確保する。
- 可能ならキーボード/トラックパッドをペアリングする。
日常のセッション(例: 調査→執筆):
- ブラウザを左側でSplit screenに固定してソースを表示。
- 右側にノートアプリを配置して執筆開始。
- Twitterやメッセンジャーは小ウィンドウ(Floating)にして通知確認専用にする。
- 作業終了後、Recentsでグループを最小化して次回のセッションに備える。
役割別チェックリスト
学生:
- 学習用ブラウザとノートをSplit screenに設定
- スマートサイドバーにリファレンスアプリを登録
- フローティングウィンドウで辞書や計算機を常備
ビジネスプロフェッショナル:
- ビデオ会議とドキュメントを分割して配置
- メールは小窓で監視、重要な通知は優先表示に設定
- 作業中は通知の集中モードを検討
クリエイター:
- リファレンス資料を左、制作ツールを右へ配置
- 小窓でSNSやフィードバックを監視
- GPU負荷の高いツールは単独で動かすことを検討
受け入れ基準(Kriterii priemki)
以下を満たせばそのセッションは「実用的なマルチタスク」と判断できます。
- 2つ以上のアプリを同時に安定表示できる
- アプリ間で主要な操作(テキスト選択、コピー&ペースト)が可能
- フローティングウィンドウの最小化・復元が期待通りに機能する
- 作業中にUIがクラッシュしたり著しく応答が遅くならない
テストケース/受け入れ基準の例
テスト項目:
- Split screenでブラウザ+テキストエディタを開き、スクロール操作を個別に行えるか。
- フローティングウィンドウを画面端に隠し、タブをタップして復元できるか。
- 2本指スワイプで分割表示に入れるか(設定がオンの前提)。
- アプリグループを最小化→Recentsから復元して同じ状態が保持されるか。
合格基準: 上記4項目がすべて成功すること。
トラブルシューティング(よくある問題と対策)
問題: 分割表示しても片方のアプリが黒くなる/表示が崩れる 対策: アプリを最新バージョンに更新、端末を再起動、アプリを単独で全画面起動して挙動を確認。
問題: ドラッグ&ドロップでファイルを別アプリへ移せない 対策: OnePlus Padはドラッグ&ドロップのサポートが限定的な場合があります。代替としてクリップボードや共有シートを使うか、ファイル管理アプリでコピーを行ってください。
問題: フローティングウィンドウが消えた/復元できない 対策: Recentsから該当アプリを探して再度Floating windowを選ぶ。改善しない場合は設定のSmart Sidebarやジェスチャーが競合していないか確認。
パフォーマンスとバッテリーの最適化
- 長時間のマルチタスクはCPU/GPUとメモリを消費します。重要な作業時はバックグラウンドアプリを閉じ、不要な同期を停止しましょう。
- 画面の明るさやアニメーションを下げるとバッテリー持ちが改善します。
セキュリティとプライバシーの注意点
- フローティングウィンドウは他の画面の上に表示されるため、機密情報を含むアプリを小ウィンドウ化する際は注意してください。スクリーンショットや通知の露出を制御する設定を確認しましょう。
- 公共の場で作業する場合は、自動ロックや画面の自動消灯を短めに設定することを推奨します。
互換性と移行のヒント
- 多くのAndroidスマホ向けアプリはタブレット最適化が不十分です。生産性を重視するなら、タブレット対応を謳うアプリを選ぶか、ブラウザベースのサービスを使うと体験が安定します。
- 既存のスマホワークフローをPadへ移す際は、Smart Sidebarのセットアップとキーボードショートカットの登録が最初の時間投資として有効です。
代表的な失敗パターン(エッジケース)
- 大画面でも1つのアプリだけをフルに使う方が効率的なケース(グラフィック処理、大容量データ解析など)
- アプリのウィンドウ化が部分的にしか機能せず、スクロールや入力が二重に動作する不具合
- 同一アプリでのデータ整合性(Dual windowsで編集競合が生じる)
参考ワークシナリオ(具体例)
調査→レポート作成ワークフロー:
- 左画面: ブラウザで情報収集(ブックマーク、タブ整理)
- 右画面: ドキュメントエディタでレポートを書く
- 右下にフローティングでメモアプリを配置し、スニペットや引用を素早く保存
- 必要に応じてSmart Sidebarから計算機や辞書を呼び出す
簡易チェックリスト(印刷用テンプレート)
- Smart Sidebarをセットアップした
- 2本指ジェスチャーを有効化した
- よく使うアプリを更新した
- バックグラウンド負荷を確認した
要約
OnePlus Padは分割表示とフローティングウィンドウをうまく使えば、モバイルとは異なる生産性を発揮できます。ただし、OxygenOSのタブレット最適化やアプリ側の対応状況により、期待通りのデスクトップライクな体験にならない場面もあります。用途に合わせて「分割で作る作業空間」か「フローティングで監視する補助空間」かを意識的に使い分けることが重要です。
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