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クラウドストレージ間でファイルを移行する方法

2 min read クラウド移行 更新されました 13 Oct 2025
クラウドストレージ間でファイルを移行する方法
クラウドストレージ間でファイルを移行する方法

クラウドストレージ間でファイルを移行する方法

クイックリンク

  • 明白だが遅い方法

  • Mover.io

  • Otixo

  • IFTTT

クラウドストレージを別のサービスに切り替えたいことがあるでしょう。例えば、Microsoft OneDriveへ移行して大容量の保存領域を得たい場合などです。すべてのファイルをいったんダウンロードして再アップロードすることもできますが、もっと速い方法があります。

自宅のインターネット回線のアップロード速度がボトルネックになることが多いです。クラウド間で直接ファイルを移動してくれるサービスを使えば、アップロード速度やパソコンを起動し続けることを気にせずに済みます。

明白だが遅い方法

関連: 1 TBのクラウドストレージを実際に使う6つの方法

まずはシンプルに考えましょう。クラウドに保存しているデータ量が少なければ、下に挙げる外部サービスを使う必要はありません。基本的にはファイルを自分のコンピュータにダウンロードするだけで移行できます。すでにすべてが同期されているなら、それで十分です。同期されていない場合は、サービスの同期設定を変更してすべてのファイルをローカルに同期してください。

Google ドキュメントを使っている場合は、別サービスに移す前にGoogleドキュメント形式をOffice形式やPDFなど他の形式にエクスポートする必要があります。

ローカルに同期されたクラウドフォルダの例

次に、移行先のサービスのデスクトップクライアントをインストールし、現在のクラウドストレージのフォルダから新しいフォルダへファイルを移動またはコピーします。すると、新しいクラウドサービスがあなたのコンピュータからデータセンターへアップロードします。

この方法は簡単ですが、すべてを一度自宅の回線でダウンロードしてから再アップロードするため、時間がかかります。自宅の回線が遅い場合、効率は悪くなります。解決策は、代わりにサーバー側でファイルを直接取得して新しいサービスへ送ってくれるサービスを使うことです。

ダウンロードと再アップロードのフロー

Mover.io

Mover.ioは、Canonicalと提携してUbuntu Oneの終了前にユーザーのファイルを他のサービスに移すのを支援したことで知られています。Mover.ioは複数のサービスをサポートし、個人向けには無料で使える点が魅力です。消費者向けの無料サービスとして、Dropbox、Microsoft OneDrive、Google Drive、Box、Copy、Yandex、PutIOなどから移行できます。

関連: サードパーティアプリのアクセスを削除してオンラインアカウントを保護する方法

アカウントを追加すると、Mover.ioはOAuthでアクセス許可を取得します。その後に即時転送を実行するか、スケジュール転送を設定して自動的に移行が行われるようにできます。Mover.ioは自社の高速なネットワークを使ってファイルを取得・転送するため、個人の回線で行うより速いことが多いです。また、処理はクラウド上で完結するため、長時間パソコンを稼働させる必要はありません。

転送が完了したら、継続してMover.ioを使わないのであればサービスのアクセス許可を取り消してください。どのサービスでも、使用後はアクセス権を取り消すことを推奨します。

Mover.ioの操作画面のスクリーンショット

Otixo

Otixoは単にクラウド間のファイル移動に特化したツールではなく、複数クラウドサービスを一つのインターフェースで閲覧・操作できる集約サービスです。Otixoはドラッグ&ドロップでサービス間のファイル転送を簡単に行えます。

Otixoの利点は、SugarSync、Amazon S3、FTPサーバー、WebDAVサイトなど幅広いサービスをサポートしている点です。無料アカウントではサービス間で同時に複数ファイルを転送できず、1ファイルずつしか移動できない制限があります。ただし、大きなISOファイルや動画、アーカイブを扱う場合は、この制限がそれほど大きな問題にならないこともあります。

Otixoのダッシュボードで複数サービスを表示している例

IFTTT

関連: IFTTTを使ったクラウドの二重バックアップでファイルを保護する方法

IFTTT(イフト)は「If This Then That」の略で、トリガーに基づいて動作するレシピ(=アプレット)を作れるサービスです。IFTTTにはクラウドストレージからファイルを取得して別のストレージへ送る機能があり、ユーザーが作成したアプレットを使えばDropboxからOneDriveへ同期する、あるいは特定のDropboxフォルダに入れたファイルを自動的にGoogle Driveへ追加する、といった自動化が可能です。

ただし注意点として、IFTTT上ではOneDriveやGoogle Driveを“送信元”として使えない場合があります。つまり、OneDriveやGoogle Driveをデータの提供元として指定できず、あくまで転送先にしかできないケースがあります。Dropboxなどを送信元として利用する場合には便利ですが、すべてのサービスの組み合わせが可能とは限りません。

IFTTTのワークフロー構成画面の例


追加の選択肢と比較

上記以外にも、クラウド間コピーを謳うサービスや企業向けの移行ツールが多数存在します。選ぶ際は以下を比較してください。

  • サポートされるソースとデスティネーションの数
  • 一括転送・並列転送の可否
  • 無料利用の範囲と有料プランの料金体系
  • アクセス権管理(OAuthの種類、APIスコープ)
  • 転送ログ・監査ログの有無
  • データ保持・セキュリティポリシー

簡単な比較表(概念例):

  • 個人用途: Mover.io(無料で主要な消費者向けサービスに対応)
  • 多様なプロトコル: Otixo(FTP/S3/WebDAV対応)
  • 自動化重視: IFTTT(トリガー&アクションで細かい自動同期)

いつ自分でダウンロード→アップロードすべきか

  • 移行するデータ量が数GB〜十数GB程度である
  • ネットワークセキュリティ上、第三者サービスにアクセスを許可したくない
  • 特定の変換(例: GoogleドキュメントをOffice形式に変換)を手作業で行いたい

上記に当てはまるなら、ローカル経由での移行がシンプルで安全です。

いつサーバー間移行サービスを使うべきか

  • データ量が数十GB〜数TBに達する
  • 自宅回線のアップロード速度が極端に遅い
  • 長時間PCを稼働させたくない、または不可能である
  • 複数のアカウント/複雑なフォルダ構造を維持したい

この場合、Mover.ioやOtixoのようなサービスが効率的です。

重要: どのサービスを使う場合でも、移行作業後は必ずサードパーティのアクセス権を取り消してください。

移行前チェックリスト(最小限)

  • 重要ファイルのバックアップを別途保存しているか
  • Google ドキュメント等は適切なフォーマットにエクスポート済みか
  • 両方のアカウントで十分な空き容量があるか
  • アカウントの2要素認証(2FA)が有効であるか(可能なら対象アカウントで有効化)
  • 使用する移行サービスのプライバシーと利用規約を確認したか
  • 大量ファイルや大容量ファイルのテスト移行を行ったか

ロール別チェックリスト

  • エンドユーザー

    • 個人データの重要度を評価する
    • テスト移行でファイル整合性を確認する
  • IT管理者

    • APIスコープとアクセスの最小化を設定する
    • 転送ログを収集・保存できるか確認する
  • セキュリティ担当

    • データ転送時の暗号化方法を確認する
    • サービスのデータ保持ポリシーを評価する

ミニSOP(ステップバイステップ)

  1. 移行対象フォルダと優先度を決める(例: 写真、ドキュメント、アーカイブ)
  2. 小規模なテスト移行を行う(1〜10ファイル)
  3. ファイル整合性(ファイルサイズ、ハッシュ、開けるか)を確認する
  4. 本番移行をスケジュールする(夜間や回線負荷の低い時間帯)
  5. 移行完了後、アクセス設定と共有設定を確認する
  6. サードパーティサービスのアクセス権を取り消す
  7. 必要であれば旧サービスのデータを削除する(削除前に必ず数日〜数週間の検証期間を設ける)

テストケースと受け入れ基準

  • テストファイル(10個)を転送し、すべて正常に開ける
  • フォルダ構造が維持される
  • メタデータ(作成日時・更新日時)が重要な場合、どの程度保持されるかを確認する
  • 大容量ファイル(例: 1GB超)を転送してタイムアウトや失敗が発生しない

失敗例と回避策

  • 問題: Google ドキュメントが変換されず開けない

    • 回避策: Google ドキュメントを事前にOffice形式やPDFにエクスポートする
  • 問題: APIスコープが広すぎて不要な権限を付与してしまった

    • 回避策: 最小権限でのOAuth設定を確認し、不要権限は取り消す
  • 問題: 大量ファイル転送中にエラーが発生し、中断した

    • 回避策: 小分けでの転送、スケジュール分割、自動再試行設定の利用

リスクマトリクスと対策

  • リスク: サービスに個人情報が残る

    • 影響度: 中〜高
    • 対策: 転送後にAPIアクセスを即時取り消し、ログとデータ削除ポリシーを確認
  • リスク: データ破損

    • 影響度: 高
    • 対策: ハッシュ検証、テスト移行、冗長バックアップ
  • リスク: 誤って共有設定を公開にしてしまう

    • 影響度: 高
    • 対策: 移行後に共有設定を監査し、デフォルトを非公開に設定

セキュリティとプライバシーのチェックポイント

  • OAuthアクセスのスコープは最小化する
  • 2要素認証(2FA)を有効にする
  • 移行サービスのプライバシーポリシーとログ保存期間を確認する
  • 機密性の高いデータは事前に暗号化しておく(必要ならローカルで暗号化)

マインドセットと意思決定のヒューリスティック

  • データ量が小さければ自分でやる。大きければサーバー間転送を検討する。
  • サービスに与える権限は“必要最小限”を基準にする。
  • まずテスト、次に本番の順で行う。

意思決定フローチャート

flowchart TD
  A[移行を検討] --> B{データ量は多いか}
  B -- 少ない --> C[ローカル経由で移行]
  B -- 多い --> D{移行先/元はサポートされているか}
  D -- はい --> E[サーバー間移行サービスを使用]
  D -- いいえ --> F[手動でダウンロード→アップロード]
  E --> G[テスト移行実施]
  C --> G
  F --> G
  G --> H[整合性確認]
  H --> I[アクセス権取り消しと完了]

役割別プレイブック(短縮版)

  • エンドユーザー: テスト移行→確認→問題がなければ全移行→共有設定確認
  • 管理者: APIアクセス管理、ログ収集、容量確認
  • セキュリティ: データ分類、暗号化要否判定、ポリシー遵守確認

1行用語集

  • OAuth: アプリに限定的にアクセス権を与える認証方式
  • API: サービス同士が通信するためのインターフェース
  • ハッシュ: ファイル整合性を検証する短い文字列

ローカル移行手順のテンプレート(チェックリスト表形式)

  • 事前準備: バックアップ完了 / フォーマット変換完了 / 容量確認
  • テスト移行: 3〜10ファイルを移行し、整合性確認
  • 本番移行: フォルダごと順次移行(優先度順)
  • 事後対応: アクセス権取り消し / 旧サービスのデータ削除(検証期間後)

まとめ

クラウドストレージの移行は、データ量とセキュリティ要件によって最適な方法が変わります。少量ならローカル経由で簡単に終わりますが、数十GB〜TBの移動にはMover.ioやOtixoのようなサーバー間転送サービスが効率的です。IFTTTは自動化や特定のワークフローに便利ですが、サポート範囲に制限がある点に注意してください。

最後に、移行前にテスト移行と整合性チェックを行い、移行後は必ずサードパーティサービスのアクセス権を取り消すことを忘れないでください。

Image Credit: Jordan Richmond on Flickr

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